俺の恋人は永遠に子ども   作:灰恵

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第3夜 あとがきの続きを第4夜あとがきに掲載。




第4夜 学園

 

 

 

 

「ハジメマシテ! 俺、本田ディックさぁ!」

 

うわ、めんどくせぇ。

 

派手な赤毛のソイツは俺を見るなり、ニンマリ笑い、握手を求めてきた。

ただ、学校に居ればいいと思っていた俺は、早々に面倒くさい相手に目を付けられた。

 

「あれ? 挨拶なし? もしかして、日本人じゃないんさ? 帰国子女?」

 

ハロー? ボンジュール? と別の国の言葉で挨拶してくる。

 

「チッ。 ほっとけ」

「ア、 日本語だったさ。無視するなんて、ひどいさー」

 

ケラケラ笑うソイツは、気にしていないようだ。

あぁ。マジ、めんどくせぇ。

 

「はいはーい。席についてねー」

 

老教師が教師に入って来た。

 

「私はこのクラスの担任で、美術を担当している。フロウ・ティエドールだ。よろしく頼むよ」

 

老教師は教卓の前に立つと、自己紹介を始めた。

優しく語りかけるように話す。温厚な性格なのだろう。

 

 

 

***

 

 

 

――― 私立ローズクロス学園。幼等部、小等部、高等部、大学、大学院とでなる、この巨大な学園は、とある人物が私財のみで完成させた巨大な一つの都市であり。

――― 寄宿舎(きゅしゅくしゃ)、研究所、映画館、病院、銀行などのありとあらゆる施設が整ったこの学園には、学生、職員、関係者、その他家族などが合わせて、なんと一万人以上が登校、生活している。

――― と、なんだかどこかで聞いたような設定のローズクロス学園。

 

「今回は ――……あ゛だ! 痛ったいさー」

 

俺は殴られた頭をさする。

 

「うるせぇ」

「ひどいさぁ、ユウ。 俺、この学園こと説明してんのに」

「それがウゼェって言ってんだよ」

「さっきと言ってること、違うさ」

「何がだよ。あと、名前で呼ぶんじゃねぇーよ。馬鹿(うさぎ)

「兎じゃないさ」

「兎だろ」

 

ユウは後ろの席にドカリと座る。手にはコンビニ袋を持っていた。

 

「あ、昼買って来たんさね」

 

何を買って来たんだろう?と振り向くと蕎麦だった。

 

「やけに、遅かったさねー。 混んでたでしょ食堂」

「なんなんだ、あの混み具合は」

 

ぐったりと椅子の背もたれに寄りかかる様子から見ても、相当(そうとう)混みあっていたようだ。

 

「今年度から理事長の紹介で、三ツ星レストランのシェフが、ここから一番近い食堂に入ったんさ」

「それでか。つか、何でそんな事知ってんだ?お前」

「ディックさぁ。新聞部の子から聞いてたんさ。で、今朝の新聞で、シェフが変わったことがハッキリわかって。皆、『一度でもいいから食べたい』っていう声が多いみたいさね」

 

ユウはまだ、俺の名前を覚えきれてないようだから、さりげなく自分の名前を名乗り、ユウの知りたい情報を話す。

 

「クソッ、これが続くのか」

 

神田はコンビニ蕎麦のフタを開ける。

 

「いんや、期間限定さね」

 

俺は首を横に振る。

 

「だから、み~んな、他よりここを選ぶんさぁ」

 

二ヘラと笑う。

 

「あ~あ、俺も食べたいさ!」

「食えばいいだろ」

「VIPカードぐらいないと、授業終わってから行ったんじゃ、昼休み終わる前に食べ終わらないさ」

 

どうせ食べるんだったら、味わって食べたいし。

 

「VIPカード?」

「そ、生徒会役員とか、風紀委員とか、学園に貢献しているヒトに与えられる特別パス。通称VIPカード。何%か割引になったり、食堂とかでも、注文の順番を速めてくれたり、他にもいろいろあるんさぁ。オレも去年、役員だったから持ってたんだけど、高等部に上がる前に返却しなきゃいけなくってさぁ。()しかったさ。もうちょっと時期、ズレてくれればよかったのにぃ」

 

口を尖らせて、身体を伸ばす。

ユウは蕎麦を食べ終え、片付ける。

隅にあるごみ箱に捨てると戻ってきた。

 

「ほう、これには、そういう意味があったのか」

 

ユウは胸ポケットから、黒いカードを取り出した。それはまさしく、今、話していたVIPカード。

俺は、それを見て目を丸くした。

 

「へ!? ユウちゃん、それ、どうしたんさ!?」

(もら)った」

「誰に!? しかも、それ、最高ランクじゃん!! うそぉ!? はじめて見たさ!」

 

俺は興奮して、見せて見せてとねだる。

他のクロスメートも、俺の声を聴いて注目する。

 

「何?」「VIPカードだってよ」「マジで?」

 

「見せるか、ボケが」

 

ユウの手刀(しゅとう)が頭に降った。

 

「イタイさぁ・・・」

 

ユウの手刀って地味にイタイんさ。

俺は頭をさすり、VIPカードがユウのポケットに仕舞われるのを、涙目で追いかけた。

 

「あ~あ、幻のブラックカードが……」

「自分のモノの様な事、()かすんじゃねー」

 

再び手刀。

だから、イタイんだって。

 

「誰に貰ったんさ?」

「知り合い」

「だから、誰さ。 てか、ユウちゃんって、いったい何者?」

「別に」

「別にじゃないさー。 ――― うし、決めたさユウ」

「なんだよ」

「フフフ……」

 

ディックは悪い顔をしている。

 

「あぁ?」

 

神田はそれにちょっと、イラッときた。

 

「聞きたいさ?」

「聞きたかねーよ」

「そんな事言わないで。聞きたいさ?」

「言いたいなら、言えばいいだろ」

「つれないさ」

「フン」

 

「俺、

 

――― ユウの友達になる 」

 

宣言(せんげん)じみたその言葉に、神田の昔の記憶を()さぶった。

 

「ハッ、現金なヤツだな。(たか)っても(おご)んねーよ」

「そっちじゃないさ。 あ、いや、少しはあるかもしんねーけど」

「あんのかよ」

「俺は純粋(じゅんすい)に、ユウに興味あるんさ」

「は? キモッ」

「ユウって、俺の興味引くモン、いっぱい持ってるんさ」

 

なんだ、このキモいヤツはって言う目で見ないで欲しいさ。

 

「外から来たのもそうだし、授業中サボってんのに教師に怒られないし、それどころか、先生方ってユウの事、怖がってるようにも見えるし、さっきのVIPカードだって、そうさ? ユウって不思議なんさ。 今まで観察してきた人間の中で一番」

 

ユウはどんどん、眉間(みけん)(しわ)()せ、真っ直ぐ見ていた俺の目から、視線を外した。

 

 

 

「(血は争えねーか)」

 

ディックは知らないことだが、神田はディックがブックマンの一族の者だということを知っていた。

そして、自分が一番、あの戦争の裏歴史を知る人物だということを自負(じふ)している。

 

コイツはそれを知っていて、俺に近づいたのかと思ったが、

 

「(200年生きてて、今頃、高校生をやり直すのは、ちと、キツイよな)」

 

子供の中に大人が混じっている状態だ。

いくら、見た目が十代後半だからといって、違和感は(ぬぐ)えないだろう。

 

「(チッ、カムイの野郎。一番面倒なこと、押しつけやがって)」

 

余計にイライラしてきた。

 

「(これで、モヤシし何かあったらただじゃおかねー)」

 

 

 

***

 

 

くしゅ!

 

「風邪っスか? 室長」

「んー。どうかなぁ? ……うん、体調悪いみたいだし、今日はこの辺で……」

 

リーバーは席を立つカムイの肩を持って、椅子に再び座らせる。

 

「今、取ってつけたような、言い訳しないでください。これ以上、書類遅らせたら、神田に殺されるのは、室長なんスからね」

「ぶー。分かってるよ~」

 

カムイは目に涙を()めて、止めていた手を再び動かした。

 

 

 

 

 

***




第4夜 学園・あとがき

注意書き:「書き始めたけど、最後まで書けずに、あれ?これってどんな設定で書いたんだっけ?」という、中途半端なものを、落書きのように載せていきます。時間軸などバラバラですので、ご注意ください。
「第3夜 あとがき」の続き。

***

「はじめまして。リナリーです」
神田はさっさと、別方向に行ってしまった。
新たにリナリーを含めた四人は、彼女の案内によっと紹介された。
クロスもどこかへ行こうとしたが、リナリーが室長が待っているというので、仕方がなくついてきた。
「どぉ~も。科学班室長のコムイ・リーです」
明るい声が聞こえた。その声にはこちらが拍子抜けしてしまうぐらいに。
「歓迎するよ。マナさん。アレン君。いやぁ~、さっきは大変だったねぇ」
「いえ」
そっけなく答えるアレンは、周りを気にすることなくコムイについて行った。
マナは興味津々に周辺をキョロキョロしている。
「クロス元帥も無事、帰還できて、なりよりです」
「フン」
当たり前だという様に鼻を鳴らした。
「クロスが死ぬときはイノセンスに殺されるときだけだ」
アレンはボソッと言ったのだが、その言葉は周囲に聞こえ、みんなは一瞬、静寂してしまった。
「そ、そういう怖いことは言わないで、アレン君」
コムイは、困ったなぁというように言ったが、聞こえた者の心に深く刺さってしまった。
エレベーターで下って、周り一面、真っ暗なところで止まる。
「? ここは?」
マナはクロスに尋ねたが、クロスは顎で前をしゃくっただけで答えなかった。
マナは前を向くと、半透明な女性の髪を思わせるような触手が伸びてきて、アレンに巻きつく。
彼は嫌がる様子もなく、去れるがままにされていた。
「彼は、神のお気に召すかな?」
コムイは暗闇に、アレンが浮いている所の闇に話しかけた。すると、異色な生き物が出てきた。
「イノセンス」
生き物は、それだけ言うと、アレンとアレンのイノセンスのシンクロ率を計り始めた。
「どうだい?へブラスカ」
マナは目を見開いたまま固まり、その様子を見ていた。
コムイは嬉しそうにへブラスカと呼ばれたモノに聞いた。
「信じられん。シンクロ率が臨界点を超えている」
「何!?」
「ほう」
コムイは驚き、クロスは感心した。マナは何が何だか解らないという様に首を傾げている。
へブラスカはアレンを下ろすと言った。
「アレン。お前は、随分と辛い戦いを乗り越えてきたと思う。けれど、これからももっと辛い事ある。それでも戦うか?」
エクソシストは数が少ない。
強制的に戦わせられることに、へブラスカはアレンに聞いた。
アレンは答える。
「―― オレは守るためにきた。宿命なんか関係ない。千年伯爵を殺すための道具だってかまわない。それでも、守りたいモノを守りたいから。二度と失わないために、ここに来た」
皆のしせんが集まる。
「――― 自分の意思で黒の教団(ここ)に来た ―――」

End.
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