俺の恋人は永遠に子ども   作:灰恵

5 / 20
2冊目突入。
後書きにらくがきあり。


第5夜 電話

 

 

家に戻ると、タンマツを使って、カムイの電話に掛ける。

数秒後、電話が繋がった。

 

「おい、カムイ。コレはどういうつもりだ!?」

『リーバーだ』

「!?」

 

カムイだと思ったら、別の奴だった。

一瞬、掛け間違えたか? とタンマツ画面を確認する。

“カムイ・リー”となっていた。

間違いない。

 

『神田?』

「いや、なんでもねェ。カムイは?」

 

リーバーなら、良くカムイの仕事を手伝ってるから、カムイの電話に出てもおかしくねェか。と思い、カムイは?と聞いた。

 

『あー、悪い神田。室長なら今、寝てるんだ』

「起こせ」

 

問答無用で言い放つ。

 

『待て待て、神田。集中力切れて倒れたから、例のアレでも起きないんだ』

 

例のアレとはカムイを起こす際、良く使う、『リナちゃんが結婚しちゃうってさ』である。

 

「そんなことあんのか?」

 

重度(じゅうど)のシスコンが?

(あや)しい。

 

『まあ、こっちも色々とな。室長本人じゃないとダメか?』

 

大抵の事なら、カムイに直接伝えずとも、リーバーに伝えれば、自然とカムイにも伝わる。

 

「本人じゃねェと、ワケが聞けねェかもな」

『というと?』

「こっちで使えるカードをカムイから押し付けられたんだが、いらねェんだよ。正直」

『カード?』

「VIPカードって言うらしいぜ」

『ああ、VIPカードか、懐かしいな。ということは、リナちゃんが受験するって言ってたのは、ローズクロス学園か』

 

リーバーは、リナが受験する高校に神田を潜入させた、と聞いていたが、肝心な受験校を教えてもらっていなかった。

 

「聞いてないのか?」

 

あれだけ、騒ぎを起こしていて、リーバーが知らなかったことに、少なからず、神田は驚いた。

 

『室長がな、教えてくれないんだよ。でも、そっか、なるほどな』

「何がだ」

 

一人で納得すんじゃねェよ。

 

『いや、それでVIPカードがどうしたって ―――』

 

話、そらしやがったな。

 

『え、いらない?』

 

リーバーは神田の「いらない」という発言を思い出し、目を丸くした。

 

「ああ、いらねェ。送り返していいか?」

 

神田は空いている手で、黒く光るVIPカードを眺める。

 

『いやいやいや。ちょっと待て神田。VIPカードは学園に居る間は便利だぞ?』

 

リーバーは慌てて止める。

 

「知ってる。今日、クラスの奴から聞いた」

『なら、便利だって知ってるだろ?』

 

リーバーは神田が、VIPカードがどういうカードなのか知らないで、いらないと言っているのかと思ったが、そうではないらしい事に、ホッとした。

 

「ああ。でも、コレは本来、学園に貢献(こうけん)しているヤツに送られるモンなんだろ。俺はそんな事してねェし、する気もない」

 

『神田・・・』

 

リーバーはその言葉の意味の裏側に存在する感情を感じ取り、悲しくなった。

 

 

 

 

『だから、いらねェんだ。コレ。それに、これ以上、妙なヤツらに目を付けれても困る』

「神田」

 

リーバーは、神田ほど学園に貢献(こうけん)している人間はいないだろうと思っている。

それほど、神田ユウがしてきた功績(こうせき)は計り知れないということだ。

 

「いや、持ってろ。少なくとも学園に居る間は」

『なんでだよ。いらねェよ。つか、次の休みにそっちに行くからな。ここに居ても、こんなに距離があったんじゃ、見舞いにも行けねェ』

 

神田は不貞腐(ふてくさ)れたように文句(もんく)を言う。

 

「そのことなんだがな」

『あぁ?』

「近々、アレンの入院先を変えようと思っててな」

 

コレはカムイも知っている。

 

『は? ふざけんな。他に預けられるところなんざねェよ』

 

神田の低い声が電話を通して、聞こえてくる。

リーバーは背筋を凍らせた。

神田はカムイの所だったからこそ、訳ありのアレンをその病院に預けていたのだ。事情も知らない別の病院に移されては、何をされるか分からない。

 

「落ち着け神田。室長も一緒だから安心しろ」

 

リーバーは電話越しでも分かる殺気に必死になだめる。

これでは今すぐにでも殴り込みに来る。

それはマズイ。

 

『……どこだよ』

 

カムイも一緒と聞いて、少しは落ち着いたようだ。

 

「あ、あぁ……ローズクロス学園の病院だよ」

 

これは、殴り込みは(まぬが)れたか?

 

『こっちの?』

「あぁ。そっちの方が長期的に見ても、設備が整っているからな。リナのことも含めると、こっちの病院にいるより、移った方が便利だろ? それに、これ以上、リナから室長を離しておくのはマズイ。仕事に手が入らん」

 

最後に本音がポロリと出てしまったが、まぁ、いいか。

 

『……わかった』

 

どうやら、納得してもらえたみたいだな。

良かった、良かった。

 

『――― お前も来るのか?』

 

次に出た神田の言葉に、リーバーは一瞬、固まった。

 

「ああ、行くよ。 他にもアレンの担当医や関係者も含めてな」

『チッ。なら、あの婦長も来んのか』

 

“その他関係者も”と聞いて、神田は不機嫌になった。

 

「ハハハ。神田は婦長さんの事、苦手だなぁ」

『苦手っつーか、面倒くせェんだよ。いちいち、小さな怪我で騒がれんのが』

「いや、お前のその“小さな怪我”は一般的には“重傷”と呼ぶんだぞ?」

 

この前の騒ぎをリーバーは思い出し、苦笑いを浮かべた。

 

『知るかよ。そんな事、いちいち気にしてたら戦えねェよ』

 

あたかも、関係ありませんと言っている神田に、リーバーは心配になってきた。

 

「それは、そうなんだがな。 でも、戦う時は十分気を付けろ」

『ああ。分かってる』

「それと、VIPカードの事なんだが、ちゃんと失くさずに持ってろよ。少しでも医療費が軽くなるから」

『チッ』

 

舌打ちは“了解”っと。

俺も段々、神田とのやり取りに慣れて来たな。とリーバーは内心、細く微笑む。

 

「それじゃな。神田」

『ああ』

 

電話が切れる。

ツーツーと鳴る電話を切った。

 

 

 

 

「スピーーーーー」

 

寝息を立てて眠る室長を見て、俺は苦笑いを浮かべた。

 

「まったく、この人は。ちゃんと神田に説明すればよかったのに」

 

電池が切れた様に、机で寝ている室長の寝顔はマヌケ(づら)だ。

肩から落ちそうになるブランケットをかけ直す。

 

――― お前も来るのか? ―――

 

ああ、行くよ。

俺にも、何があっても、全力で支えようって決めたバカがいるから。

 

 

机に広がる書類は全て、この病院の引き継ぎと転職先の書類だ。

この病院に勤めている職員の数名が、アレンと一緒にローズクロス学園に転職することを決めた。

リーバーは、学園案内のパンフレットを手に取る。

 

「また、ここに戻る羽目になるとはなぁ……」

 

 

ローズクロス学園 ――― 知る人ぞ知る。黒の教団の成れの果て ―――

 

 

 

***

 




第5夜 電話・あとがき

注意書き:「書き始めたけど、最後まで書けずに、あれ?これってどんな設定で書いたんだっけ?」という、中途半端なものを、落書きのように載せていきます。時間軸などバラバラですので、ご注意ください。

***

【12歳の鎮魂歌~レクイエム】

 僕が黒の教団に入団して、4年・・・
 14番目の関係者としての疑いは晴れ、教団に認められた。そして2年前、元帥へと進級した僕はセレス・シードという、若干12歳の女の子の弟子を取った。1年半僕の助手をしたセレスを教団に行かせた半年後、つまり今、悲劇が起こった。
 黒の教団総本部がアクマ並びにノアの一族、千年伯爵に襲撃された。というのだ。
 僕は連絡を受けた直後、箱舟を使用し、駆けつけたがその時にはすでに遅く、イノセンスは壊され、教団の人間もエクソシストも死んでおり、かすかに生きていたセレスも助ける事が出来なかった。
 そして、僕は、千年伯爵に次元の彼方へと飛ばされ、この世界の、いや、あの世界の戦争は負けた。
 今、僕がいる世界は、今までいたあの世界とまったく同じ世界で、ただ違うのは、僕が死んでいるということ。そして、あの世界での出来事を知っている僕は、5才ということ、マナがまだ、生きているということ。
 だから、僕は、あの世界と同じ運命をたどらぬように、しなければならない。
 14番めの関係者として、一人のエクソシストとして、ひとつの戦闘狂として、僕は戦わなければならない。
 あの、千年伯爵と・・・

To be continued.
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。