俺の恋人は永遠に子ども   作:灰恵

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良く似てる。それが第一印象。


後書きに「第5夜電話・あとがき」の続きを乗せています。




第6夜 黒白人形

 

「やぁ、神田君」

「お前、痩せたな」

「おかげさまで」

 

今日は学園内にある病院に来ていた。

ハ、ハ、ハ、ハ、……と笑うカムイに力が入っていない。

 

「戻ってくる必要なかったんじゃねェのか?」

「いきなり本題に入るね」

「イヤじゃねェのかって聞いてんだよ」

「君こそ、僕のワガママを聞いてくれたじゃないか」

「テメェが何かしでかすと、モヤシが危ないんでね」

 

神田はトゲトゲと嫌味を言う。

それにカムイは苦笑いを浮かべながらも、同時に彼らしいと感じた。

 

「アレン君のためか。……僕もね」

「あぁ?」

「アレン君のためでも、あるんだ」

「カムイ」

 

俺は目を見開いた。

 

「もちろん♪ 僕のかわいいリナのためでもあるんだけどね♪」

 

少し期待した俺がバカだった。 そっちが本音かよ。

横顔を見ると、カムイの目元にクマが出来ていた。

 

「(まぁ、知らせが来てから、一ヵ月も経ってねェからな)」

 

アレンの転院とカムイたちの転職を聞いてから一ヵ月すら経っていない。

なのに、既に終わらせているところを見ると、さすが、仕事の速さは目を見張る。

 

「(いつも、このくらい仕事をすればなぁ)」

 

神田は、そっとため息をついた。

 

「ボク、医院長じゃ、なくなったから教師になろうと思ってね」

「リナのためか」

 

これは、きっと波乱を呼ぶな。

 

「もちろん♪ あ、あと、リーバー班長もね」

「リーバーも? おい、大丈夫なのか?」

「アレン君の事だろう? 大丈夫。大丈夫。ここには事情を知る人間が多いから」

 

神田は眉をひそめる。

 

「それが心配なんだよ」

 

カムイは困ったように笑う。

 

「相変わらず、信用してないんだね」

「当たり前だ。本質なんざ、そう簡単に変わるかよ」

 

神田は機嫌を(そこ)ね、どんどん歩いていく。

行き先は、アレンが居る病室。

 

神田は病室が見える位置に来ると、足を止めた。

アレンに宛がわれた病室のドアが開いているのだ。それでは誰でも中に入ってしまう。

 

「チッ」

「おや、開いてるね」

 

誰だ、カギを開けっ放しにしたヤツは、殴り飛ばしてやる。

中に入ると、先客がいた。

 

「あ、兄さん。久しぶり」

 

黒髪のセミロングの美女が振り向き笑うと、周囲に花が咲いた。

 

「リナーーーー!!!」

 

泣きっ面でカムイはリナに抱き着く。

 

「会いたかったよぅぅぅぅ……」

 

よしよしとリナはカムイの頭を撫でた。

 

「神田さんも、お久しぶりです」

「おう」

 

なんだ、リナか。と肩の力を抜いた。

別の奴だったなら、壁にめり込んでいただろう。

祝福だぁ。と(たる)みきった(つら)で、リナを満喫(まんきつ)しているカムイをよそに、俺はドアを閉め、中に入る。

 

「今日はどうした」

「アレン君のお見舞いと……遅くなっちゃったけど、神田さんの入学祝」

 

はい。と鞄の中から、綺麗にラッピングされた青色の袋を取り出した。

 

「・・・」

 

いらねェ。と口を開きかけて、視線を感じた。

カムイを見れば、ものすごく(くや)しがっている。

 

断ったら、分かるよね? 神田君

お、おう・・・

 

そんなやり取りを瞬く間に終え、口を閉じて、プレゼントを受け取った。

何が入っているのやらと眉をひそめる。

 

「開けてどうぞ」

 

許可をもらったので開けてみる。

 

俺は固まった。

 

プレゼントは手作りのぬいぐるみ人形だった。

白い髪に左目にペンタルクの傷。

にっこりと笑っているモヤシをモチーフにしたものだった。

 

「他にも、いろいろと考えたんだけど、時計もネクタイも持ってるじゃない? だから、それ以外で神田さんが喜びそうなのって、これしか思いつかなくって」

 

黙ったままの神田に、リナは不安になり、言い訳をする。

 

「他のがよかった?」

「いや」

 

やっとの思いで声を絞り出して、俺はそれを丁寧(ていねい)(もと)に戻す。

しっかりと手に抱えた。

カムイはリナの頭に手を置いて、笑って頷いた。

 

渡すのは、ちょっと・・・ううん、すっごく不安だったけど、兄さんの笑顔と神田さんが大事に抱えてくれたのを見て、作って良かった。

 

 

アレンが眠るベッドサイドのテーブルには、目つきの悪い黒いぬいぐるみ人形が座っていた。

 

白と黒

 

それはおそろいの服を着ていた。

 

 

 

 

***




第6夜 黒白人形・あとがき(第5夜 電話・あとがき 続き)
注意書き:「書き始めたけど、最後まで書けずに、あれ?これってどんな設定で書いたんだっけ?」という、中途半端なものを、落書きのように載せていきます。時間軸などバラバラですので、ご注意ください。

***

【12歳の鎮魂歌~レクイエム】

 イギリスのロンドンのある通りの裏路地。
 そこに、右肩を腕にかけて怪我をしている男性が壁に寄りかかりながらズルズルと座る姿があった。
 少年は男性に近づいて、敵ではないと声をかけながら、怪我の具合を見た。幸い、すぐに手当てをすれば大丈夫そうだった。
「ここでは、ろくに手当てが出来ないので、移動しますね」
 そういうと少年はその肩から出てきた金色の物体に声をかけた。
「ティムキャンピー、2番ゲート」
 男性はその金色のゴーレムに見覚えがあった。ティムキャンピーは“14番目の箱舟”のゲートを開いた。空間が裂け光が見える。その中に黒い人型の影が揺らめきながらこちらにくるのが分かる。
「ニーナ、運ぶの手伝って」
 黒い影は青いメイド服を着た女性に変わり、少年の指示どうりに男性を運ぶ。
「あなたをお待ちしておりましたのよ」
「ニーナ、話は後だよ」
 ニーナは少年に怒られると、はいはい、と言いながら中へ運ぶ。
―― 後は覚えていない。

「――……さすがに、直りがいいな、この傷、伯爵が付けた傷だね」
「そうですね。どうです?久しぶりにお会いになった感想は」
「……憂鬱だよ」
視界がだんだん明るくなる。話し声もはっきり聞こえるようになった。
「気分はどう? マナ」
 寝かされているわたしを覗いてきた少年はニッコリと微笑んだ。
「ああ……。大丈夫、……君は?」
体を動かそうとしたが、体が重くて起きれそうもない。
「僕は、アレン。彼女はニーナ、ニーナ・S・クライン」
マナが見える位置まで、見た目が18歳くらいのニーナは近づいた。背丈がアレンの2~3倍はある。
「で、これは知っての通りのティムキャンピー」
アレンの頭に乗った金色のゴーレムを指しながら紹介した。確か、ティムはクロスにあげたはずだ。なぜ、この子が……?
「ここは?」
聞きたくないが聞かなければならない。わたしはついさっきまで、ここから……千年公から逃げていたのだから。
「ここは、白い箱舟の内部。僕らは“ジョーカーの箱舟”と呼んでいる。僕の舟だ。だから、安心していいよ。マナ」
敵意が感じられない。本当にわたしを安心させようとしている。アレンは優しくマナの頭をなでた。
「ふふふ……。立場が逆転してますわよ。アレンマスター」
ニーナがその様子を微笑んだ。
「な、しょうがないじゃないか。今は」
アレンが赤く染めながら言った。
「――……ジョーカーの箱舟……」
マナは真剣な表情で考える。ここには千年公はいない。けれど、わたし自身、箱舟を持っていないし、それに、箱舟はひとつのはずだ、ふたつあるわけがない。
「僕たちは、こことは別の、この次元と同じ次元から来ました」
天井を見ていたマナはアレンを見た。
「同じ次元?」
マナは首をかしげる。
「そう、簡単に言えば、僕たちは未来から来た異次元の住人。でも、ここの世界とまったく同じ、違うのは、僕の存在が在るか無いかの違いです」
マナは動かぬ体をゆっくり起きあがらせる。
―― 彼らは……
「君たちは、エクソシストだね。どうしてここへ?」
アレンの表情が曇った。
「僕の世界は、暗黒の3日間が再来しました」
それは、つまり千年公に負けたと言うこと。世界が滅んだということ。
「食い止めることが出来なかった。あなたが守りたかった世界を守りきれなかった。負け犬です」
マナは眉を顰めながら、うつむくアレンの顔をじっと見つめる。
「僕は、負けた後、伯爵にここへ飛ばされました。死んだ仲間を見殺しにして……」
その顔に涙が流れる。それは、悔しさなのか、怒りなのか、悲しみなのか、あるいはすべてなのか、分からない。分からないけれど、
「……復習者にならないでよかった」
マナは優しくアレンを包み込む。
「なろうとした。僕の世界では、あなたはいないから。仲間を殺されたから。でも、止められた。死んでいく仲間に、僕の世界のあなたに、師匠にみんなに止められた」
涙声で答える。死んでいった仲間たちの顔を思い起こしながら。
「復習はなにも生まれない。ただ、失うだけだよ。アレン」
そして、アレンは泣いた。今まで我慢していたかのように、こどものように泣いた。

To be continued.
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