テイルズオブゼスティリア 〜審判を超えし者の旅路〜 作:夢見草
《SAO:AF》も終わってないのに..........
ゼスティリアをクリアしてモヤモヤした気持ちを表したらこうなった。
でも、後悔はしない。けど、反省はしよう。なので感想とか批判下さい、甘んじて受け入れます。
多分、描写とかめちゃくちゃですが、大目に見てくれると嬉しいです。
それでは、どうぞ。
Choice01: 物語の終わり
「そんな…...イヤだよ…………ソルト……」
視界がぼやける。涙がほおを伝う。目の前にいるのは、私が愛した人。でも、その体は普通ではあり得ない“異形”で包まれていた。
普段の肌色の肌は、鎧のような黒色と翡翠色のコントラストがなされている何かに包まれ、それが顔まで覆っている。そして、その胸からは、黒いもやが止めどなく吹き出している。
それはつまり、ソルトが“時歪の因子化”している証拠。“骸殻”が、ソルトの体をむしばみ、犯していっているのだ。ソルトやルドガー、エルが背負った、一族の宿命。オリジンの審判を超えるための力。
人類の未来を紡ぐために、骸殻の能力を酷使してきたその代償が、今、ソルトの命を以て払われようとしている。
「イヤダよ……ねえ……」
もっとソルトと一緒にいたい。同じ新聞記者として、そして、恋人として、いつもみたいに笑いあって、おしゃべりして、手をつないで街を歩きたい。
想いがとめどなく溢れて、私はソルトの胸に抱きついた。大好きな、広くて暖かいソルトの胸の中で、私はわんわん泣きじゃくった。
すると、ソルトは骸殻を最小限に解除して、そんな私を困ったかのように抱き返し、私の瞳を見つめると、薄く笑った。
***
体がだるい。もう立っているのもつらくて、このまま意識を手放して眠ってしまいたい。けど、まるでそれを拒むかのように、体は焼けるような熱を感じた。
俺達クルスニク一族が背負った宿命、それが今、途方もない年月と、数えきれることのできない犠牲を払って、ようやく終わりを迎えようとしている。ふと見やると、皆が皆、複雑そうな顔をしていた。そんな顔をすんなよ。俺が選んだんだから。皆の所為じゃない。
だからさ、レイア。大好きな笑顔でいてほしいと思うのは、俺の我儘かな............
***
「さあ、君たちの願いはなんだい?望めば、タイムファクター化だって解除できるよ」
一族の屍が刻まれたカウンターの中から現れた、少年のようないでたちの“大精霊オリジン”は、審判を超えたその報酬として、俺たちに願いを尋ねた。
クロノスを倒して、ビズリーの野望を阻止した俺たちだったけど、すでに分史世界の数は99万個にのぼり、エルは“クルスニクの鍵”の能力を使いはたして時歪の因子化が進行してしまっていた。
もう、俺達がオリジンに願えることは、あまりにも少ない。つまり、エルを助けるのか、分史世界の消去を願うか、エルを助ければ、いずれ人間は失格してしまうだろう。かといって分史世界の消去を願えば、エルは確実に消滅してしまう。
それは、あまりにも重い選択。ルドガーは悩みに悩んで、分史世界の消滅を願った。当然といえば当然。だって、世界が滅んでしまうのだから。
でも、ソレはつまり、エルを見捨てることに他ならない。そんな苦しみと重責を、俺はルドガーに背負ってほしくなかった。そんなことはさせない。させたくない。だから、俺は迷わなかった。
「いいや、大精霊オリジン、エルを救ってやってくれ」
「それはっ!!」
「いいんだジュード、俺に考えがある」
言って、俺は翡翠色をベースとし、同色の歯車の模様が描かれた時計を前に掲げ、その力を解放する。とたん、まばゆいほどの歯車と機何学模様の翡翠色の光につつまれ、俺の体を骸殻が包む。足から顔まで。
“フル骸殻”
これが、骸殻の最高到達点。一族の中でも、この力を解放できるのは、知っている限り俺とルドガー、ビズリーにヴィクトルだけ。
その分、その力は絶大を極める。しかし、力には代償が付きまとうもの。強力である分、タイムファクター化も早く進行する。
俺もその例にもれず、今まで、骸殻を酷使してきたこともあって、すぐにタイムファクター化が進行した。胸から黒い靄が噴き出すとともに、激痛が、俺の全身を駆け巡る。その痛みに、俺は思わず胸を抱え込んだ。
「まさか、エルより先に、ソルトがタイムファクター化を?」
「ソルト・イル・イヴァーノフ、それが、君の選択なんだね」
「……ああ」
さすがミラ、察しがいい。これで、タイムファクターは上限値に達し、進行中のタイムファクターはリセットされる。まあ、俺は死んでしまうけど。
けど、それでいいんだ。俺自身もタイムファクター化はかなり進行していたし、遅かれ早かれこうなってしまうのだ。今なら、俺達のために橋になったユリウスの気持ちがよく分かる。でも、皆はそうもいかないみたい。
「よせ!ソルト!!お前が……」
「そうだよ!早く止めて!!」
ルドガーは俺の肩を掴んで、エルは必死に訴えかけてくる。いいんだ。お前らは今まで多くを失ってきた。なら、幸せにならなきゃウソだろ?
「分かってあげてよ、エルー」
「ソルトは、エルたちの幸せを選んだんですよ」
「今あるこの世界での、あなた達の幸せを」
おお、エリーゼ姫は大きくなったな……ローエンは、流石生きてきた年月が違うなぁ。
「見せてもらった。お前の覚悟を」
「そうだな、ソルトは越えたのだ。超えることのできない壁を、自分の命を使って」
ありゃりゃ、ガイアスにミラまで感心しちゃって、そして、俺はジュードに視線を向けた。ジュードは、これからやらなきゃいけないこと、越えなくてはならない課題がたくさんある。がんばって、成し遂げろよ。
「うん、完成させて見せるよ、必ず」
どうやら、俺の真意が分かったようで、ジュードは力強くうなずいた。
「消滅が、怖くないのかい?」
恐ろしいまでに透き通る声で、オリジンが俺に尋ねてくる。そんなの、分かってるだろ………
「怖くない……っていったらウソになる。でも、こいつらはこんな俺でも一緒にいてくれた。だから、その恩返しがしたんだよ」
「そうか……マクスウェル、これが、人間なんだね」
「ああ、きっと人は、どんなこともなせる」
「信じられぬほど愚かなこともな」
クロノスが、ゆっくりとオリジンの元に歩んでくる。
「そうだね……でも、そんな魂の“負”こそ、人間の力そのものなんだ」
「なんと......」
きっと、ローエンが驚いたのも当然の反応だろう。だって、その“負”こそが、瘴気を生む元なんだから。それを、人間の力なんて言われれば、誰だって驚く。
「そもそも“負”ってなんだい?」
「欲望とかエゴとかだろ?」
「いや、欲望は言いかえれば夢。意思も、見方を変えればエゴとなる。単純に善悪に分けられるものではあるまい」
確かに、それら全てが、人間の生きる力になってるのだから。
「その通り。だから僕は、“負”浄化なんてしてないんだよ。循環の時に生じた瘴気を取り除いて、封じていただけ」
再び、皆に動揺が走る。だって、ソレは悪循環を生むだけだ。精霊達にとって、利益なんて何もない。
「しかし、それでは際限なく瘴気が生まれるだけだろう?」
そんな疑問を、ミラがすかさず尋ねた。すると、オリジンは表情を和らげ、俺の方を見た。
「だから試したのさ。“負”を持ったまま魂を昇華できるかどうか―人の、“選択”をね」
「人の“選択”……」
「そう。僕は、これを確かめたかったんだ……でも、示し続けなきゃ意味がない」
そうだったのか、危うく、俺達はその意図を間違えるところだったんだ。ジュードも、ソレを理解したのか、ゆっくりとうなずいた。
「はい。僕達も、証明して見せます。ルドガーやエル、ソルトにユリウスさんのように―」
そういって、こちらを順々に見つめてくる。やめろよ、なんか気恥かしくなるだろ?
「……我の妨害より厳しい試練だ。それを超えられては是非もない」
複雑な表情のまま、クロノスはオリジンの隣に立った。てか、妨害してた自覚あったんだ。もしここにビズリーがいれば、えらく暴れそうだな……そんな光景が頭に浮かんで、チョット笑ってしまう。
「瘴気は、今しばらく我らが封じよう」
「クロノス……」
コクリとうなずいて、クロノスは続ける。
「だが再び人間が―」
「心配はいらん」
その先は言わなくていい、とでも言うように、ガイアスがクロノスの言葉を遮る。振り返ると、いつもよりも威厳が増しているようだった。これが、王の姿なんだな。
「何千年かかろうと、たどり着いて見せる」
「私も信じたくなっちゃった、誰かさん達のせいで」
ミュゼが、こちらを向いてガイアスに続く。
「……面白い。やって見せろ」
薄く笑って、クロノスはオリジンへと振り向いた。
「世話をかけるね、クロノス」
「時間はある。小言は、後でゆっくり言わせてもらう」
なんでかな……俺には、なんか夫婦のような仲睦まじさを感じるんだけど。そう思ってルドガーを見てみると、あいつも俺と同じ感想を抱いていたようで、目をパチクリさせていた。
「それじゃ、ソルトの願いを叶えよう」
オリジンがふわりと浮かびあがって、両腕を千手観音のように掲げ、その体を輝かせた。
「全ての分史世界の消去を」
そう言った途端、オリジンから眩い光が立ち上って行き、世界が暖かな光に包まれた。それが、あまりにも神秘的で、皆は勿論、俺もまじまじと見つめていた。
ああ、これで、もう思い残すことはない。これで大丈夫だろう。なのに、
「イヤだよ……ねえ…………」
俺の胸に頭をうずめ、泣きじゃくる彼女を見ていると、固まったハズの決意がグラリと揺らぐ。
大好きなブロンドの髪も、くりくりと大きな瞳も、今は悲しみで溢れている。笑っていてほしいけど、多分、ソレは俺のエゴだ。だって、彼女を悲しませているのは他でもない俺なんだから。
仕方なく、俺は骸殻をクオーターまで解除した。本当は見せたくなかったけど。だって、もう俺の体の大部分はタイムファクターに浸食されているだろうから。おそらく顔の半分までタイムファクター化してるんじゃないかな。けど、レイアは少しも嫌な顔をしなかった。そんな彼女を抱き返し、俺は笑った。
「ごめん……な、レイア」
すると、レイアは顔を上げ、首を左右に振った。
「ううん、ソルトが選んだことだもん……でも……でも……もっと一緒にいたかったよ……」
「っつ!!」
せめて、これ以上レイアが悲しまなくていいように、俺はレイアの頭を優しくなでた。もう、タイムファクター化が進行し過ぎたのか、全身に力が入らない。レイアもそれが分かっているのか、より強く抱き返してくる。
「忘れない。私、ソルトがくれたぬくもりと優しさを、絶対に忘れないから」
今までに見た中でも、とびきり印象に残るくらいの穏やかな笑みで、レイアはそう言った。
「ソルト……」
ルドガーのつぶやきが、もう霞んで遠くに聞こえる。
「俺も……さ……もっと……レイ…ア……と..........」
ああ、待ってくれよ。最後くらいちゃんと言わせてくれよ…………
でも、俺の体は口を動かすこともできないほどに力が入らない。最後の力、残っている力を振り絞って、俺はレイアの唇に自身のを重ねた。
「ありがとう…………ソルト…………」
そんな声を聞いたのを最後に、
ここに……一族の宿命を背負った一人の少年の物語が終わった。しかし、一体誰が知り得ようか、これは、エンディングにしてプロローグであるということを。
運命の秒針が、再び時を刻みだした。