テイルズオブゼスティリア 〜審判を超えし者の旅路〜 作:夢見草
今回から、やっと本編に入ることになります。正直、不安ばっかりですが、がんばって執筆していきたいので、どうかよろしくお願いします。
それにしても、やっぱりToX2はいいですね。最近またやり直し始めたんですが、ストーリーは勿論、戦闘とかとってもおもしろいすよね。にくらべてゼスティリアは......どうしてこうなった(笑)まあ、ゼスティリアもおもしろいとことかありましたけどね。
追記:活動報告にちょっとした質問があるので、気軽に参加してください。
Choice03: 動き出す歯車
あちらこちらで商いの店が所狭しと立ち並び、駅から徒歩五分といった手軽なアクセス手段も手伝ってか、ダウンタウンのような少し暗めの雰囲気が鎮座するXXxーXは、人々の活気で溢れている。そんな猥雑さが、彼は好きだった。
自身に課せられた宿命を知り、この世界の理を理解して、本業である記者の仕事をやめ、XXXXをXXするXXXXXーXxXXとなった今でも、本業である記者の血がうずくのか、こうしてXXXと一緒に取材している。
「いやー、もうお腹ペコペコだよー」
「おつかれ、XXX。どっか食べに行くか?」
「賛成!」
彼はGHSで仕事のメールが来てないことを確認すると、早く早くーと急かしてくる山吹色の彼女の背中を追いかけ、XXxーXにあるバーへと向かった。
こじんまりとした店内には、カクテルを振っているマスターと、ポーカーテーブルで賭け事に夢中になっている人々。どうやら、ビッグゲームがあっているようだ。ほかにも、カウンターで酒をちびりと呷っている人々などが、それぞれ思いのまま時を過ごしている。彼は、XXXと共にカウンターのテーブルに座り、マスターに注文をした。
「マーボーカレー一つ、あとサイダー飯も」
「かしこまりました」
マスターはコクリとうなずくと、祖もまま厨房の奥へと消えた。
「ほんと、ソルトってマーボーカレーが好きだよね」
それを見ていたXXXがポカポカと笑う。
「まあ、本当ならXXXーお手製のマーボーカレーが食べたいけど、あいつもあいつで忙しいしな」
「借金、順調に返せているかな?」
「たぶん、な。ま、俺も手伝える時は手伝ってるし、大丈夫だろ」
「だといいけどね」
「まったく」
彼もつられて笑い、XXXの頭をなでた。
「ん…………」
気持ちよさそうに、XXXが目を細め、やがて彼がはなすと名残惜しそうに表情を曇らせる。そんな彼女が、どこか子猫のようだ、なんて思っている彼は、少し苦笑する。
「やっぱり、ソルトの手は気持ちいいな」
「どーも」
そんなしてじゃれ合っていると、
「お待たせしました」
マスターが二人の前にマーボーカレーとサイダー飯を運んできた。
「やった!いただきます」
「いただきます」
空腹をくすぐる、いいにおいが彼と彼女の心をつかむ。XXXと彼は、運ばれてきたお昼に心躍らせながら、スプーンを握った……――――
***
「夢……か……」
床から体を起こし、羽織っていた上掛け布団をはがすと、ソルトはポツリとつぶやいた。所々がぼやけた……不完全な夢のような記憶。別に、今更ソルトは不思議になど思わない。この村で暮らすようになってからずっと、ソルトは毎晩こんな奇妙な夢を見る。もう慣れっこだ。窓からさした日の明かりが、本と作業道具で散らかっている部屋を照らす。
あー、あのまま寝たんだっけか……
くぁーとあくび一つして、ソルトは昨日のことを思い出した。スレイと同様、手先が器用なソルトは、大抵毎日調べものをしているか、生活のための道具や衣服を作ってたりする。
「今日は片付けから始めるか……」
見やると、隣の寝室ではスレイが心地よさそうに寝音を立てている。二地で共同生活しているソルトとスレイは、一週間ごとにベットで寝るか居間で寝るかを交代で変えている。
「そうと決まれば……」
んーと大きく背伸びをして、ソルトは立ち上がる。
「あ……れ………………?」
ふと、自分の頬を、一滴の涙が伝っていることに気付き、ソルトは戸惑った。
***
「ソルト!用意はいい?」
「いつでもー」
アロダイトの森のはずれ、心地よいまでの緑が生い茂る森とは打って変わり、ごつごつとした岩が隆起する断崖絶壁を、ソルトとスレイは伝っていた。二人はスレイの編んだ十ニメートルほどの縄でつながれており、その両手にはソルトお手製のロープダートが巻かれていて、鉤を岩にさしている。
鉤の先端は丈夫な金製で、返しもついているので、ちょっとやそっとでは抜けず、ある手順を踏むと簡単に抜ける構造になっている。二人は、それを使ってロッククライミングの要領で絶壁を移動しているのだ。
しかし、彼らはあきれるくらいの軽装で、いつもの服装に、スレイは儀礼剣を、ソルトは二本の刀を、それぞれ腰にあつらえてある鞘に納めているだけ。しかし、驚くのはそこではない。二人を結んでいる縄は、決して命綱などではなく、あくまでも移動用のためにあるところだろう。
「行くよ!!」
「ああ!」
ソルトが頷くと、スレイは勢いよく壁を蹴った。同時に、こねるようにしてダートを岩から抜く。当然、スレイの体は宙に舞う。だが、
「ふっ!!」
ソルトは右手で縄をつかみ、そのまま支点にして縄をスウィングさせる。すると、スレイの体が引っ張られ、振り子の軌道を描いて壁に引き寄せられる。
「よっと」
スレイは、激突するかしないかの絶妙なタイミングで、両手のダートを突き刺して停止する。
「いいか?スレイ」
「うん!」
その合図で、今度はソルトが壁を蹴り、自由落下を始める。やがて、縄がくくりつけてある腰が急にしまって、ソルトの体が引っ張られる。
「よし」
ソルトも難なく停止し、スレイの方を見やる。
「ソルトー!あと何回?」
「一回ずつってとこだな」
「オッケー!」
そうして、スレイは再び宙を舞い、ようやく目的地である遺跡の外周に着地した。ソルトはそれを確認すると、ソルトは再び壁を蹴る。が、突如として突風が吹きぬけ、ソルトの体があおられる。
「うわっ!」
「マズっ!!」
スレイは何とか耐えようとするが、ソルトの自重に加え、外に膨らもうとする遠心力も加わり、支えることができずにズルズルと前に引っ張られる。
「クソッ!」
このままじゃマズイと判断したソルトは、とっさの判断で巻かれている左手のダートをほどくと、勢いよく遺跡の壁に向かって投擲した。
ガスッと音がして鉤が壁に突き刺さり、ソルトはロープを思いっきり引いた。体が引っ張られ、遺跡外周部に引き寄せられる。それと同時に、ソルトは右手で刀を抜刀すると、ソルトとスレイをつないでいるロープを断ち切った。
「あっぶね……」
「ほんと、大丈夫?」
「なんとか生きてるよ」
「そりゃよかった」
なんとか無事に着地出来たソルトは、刀をくるっと回すと、そのまま鞘におさめた。スレイも、儀礼剣で自身の縄を断ち切る。
「さてと、調査開始だ!」
「おう」
そう言って、スレイは遺跡の奥へと続く階段を駆け上がる。
「わあー」
そこで、スレイは驚くべき光景を目にした。思わず、スレイは駆け寄って、そんな感嘆の声を漏らし、“天遺見聞録”を取り出す。パラパラーっとページをめくりだしたスレイは、やがて手を止めると、本を横にしてその光景と比べ始めた。
「やっぱり、聖剣を掲げる英雄、“導師”の壁画だ!」
「珍しいな、こんなにきれいな状態で残ってるのは」
見事としか表現しようのない壁画に、後から来たソルトもヒュウっと口笛を吹く。あまりの嬉しさに両手を上げ、ガッツポーズしたスレイは、ふと壁画の両端にある片方の銅像の手に何かあるのに気付き、思わず手に取った。それは、数珠と羽根の装飾が施されており、手の甲のあたりには何やら紋章が刻まれた白色の手袋だった。
「これって、導師の紋章……」
突如、横からヒョイッと手が伸び、その手袋を奪った。
「あ!なになに?ミクリオ」
その正体は、ミクリオ。ちょっとムッとした表情で腕組をしている。
「二人に先を越されたね、今回は」
「今回は、じゃないだろう?」
「今回、は」
「ったく、ミクリオも素直じゃないよな……」
「だよなあ」
苦笑いするソルトに続いて、スレイがVサインを出す。そんな二人を見て、ミクリオも笑う。
「やっぱり、アスガード時代以前には、導師は身近な存在だったんだよ」
「そう断じるのは早計じゃないか?」
心が躍るのを隠しきれていないスレイに対し、冷静な態度でクルリと背を向け、ミクリオは続ける。
「何より、まだこの遺跡がアスガード以前のものか確証はないんだ。模造かもしれない」
「この規模の遺跡で様式までのとった模造建築なんてしないんじゃないか?」
「俺もスレイの意見に賛成だな。そんな手間のかかることはしないだろ」
ソルトがそう言ったところで、突然雲が陰りだしてきた。たちまち、あたりを雷が煌めく。
「この雷……」
「自然のものじゃないな」
「なんだかマズイぞ」
そう言っている内にも、雷は激しさを増す。まるで、この遺跡が雷を呼び寄せているかのように。
「遺跡探検はここまでだスレイ、ソルト」
「だな」
そうして、ミクリオが駆けだした。ソルトも、それに続く。しかし、スレイはしばらく壁画を眺めていた。
「スレイ!早くこい!!」
ソルトの呼びかけで、スレイはようやくその後を追う。雷は、更に激しさを増し、それに伴って耐えきれなくなってきた遺跡の外周が崩れ始めた。
やばいな……一体どうなってる?
「このままじゃ俺達もヤバイ!!」
「とにかく走れ!!」
浮かんだ疑問を押しやり、ソルトは叫ぶ。その時、先行していたミクリオの足場が突如として崩れ、崩壊する。
「ミクリオ!!」
あわてて、ソルトはミクリオの襟をつかむ。
「大丈夫!?」
スレイも、ソルトの体を支える。なんとか落ちずに済んだミクリオは、そんな二人に感謝しながらも、顔をうずめた。
「頼むよ、早く上げてくれ」
「おう!待ってろ」
ソルトが引っ張り上げようとするが、今度は二人の足場も崩壊した。
「「「うわああああああ!!!」」」
なすすべもなく、三人は深い暗闇の中に落ちていった………………