そろそろ戦闘パートに移りたいですねー。
しかし日常回における鈴熊の使い良さ・・・みらいちゃんが平成生まれなのもあって簡単に馴染めそうな雰囲気故に仕方ないといい訳しつつ本編始めます。
わたしがこの鎮守府を訪れてからはや数週間。すっかりと馴染んだ重巡のお部屋。
朝は大体重巡二人とお勉強の時間です。
「うあー・・・これわかんないー」
「ちょっと見せて?・・・ああ、これね。途中まではいいんだけど、この後ね・・・」
「・・・みらい?私も助けてもらうので言いづらいのですが、ちょっとばかり鈴谷を助けすぎでは?鈴谷が成長出来ませんわ」
「まー細かいこと言わない熊野。みらいに聞くとスーッと入ってくるからさ、私でもわかるんだよ?これでも前より弾道計算とか早く出来るようになったもんね!」
勉強会といっても、わたし達艦娘にとっての勉強は航路とか弾道計算。燃料消費の効率化なんかのフネに関する事です。
当たり前といえば当たり前ですけど。
「わたしも苦ではないから気にしないで。それによく言うでしょ?ほかの人に教えれば自分の理解も深まるって」
「そうは言いますが・・・よく貴女のその問題を解きながら出来ますわね・・・」
「そこまでみらいの問題って、難しいの?」
「・・・見てみればわかりますわ」
うっそだー、と笑いながら鈴谷がずいっとわたしの問題を覗き込んできて・・・ピシリと固まってしまいました。
「え、なにこれ」
「なにって・・・戦場となる戦域の情報統合、その後接敵した後からの戦闘に至る経緯。で、そこから攻撃に使用する武装の選択、それから・・・」
「ちょ、ちょっとすと〜っぷ!えと、なに?つまりみらいは、わたしに教えながらずっと戦闘のシュミレートみたいな事してたってこと?」
「そういう事ですわ。ちなみに回答としては・・・大正解に、見えますわね」
なんだ、熊野も理解出来るんじゃないですか。
これ、少し難しいだけですよ?簡単に言えば、与えられた情報からいつも戦闘でやってる事をやればいいだけですから。むしろ変わらない戦況の上で詰将棋してるようなものだから楽でいいです。
・・・わたし達艦娘の艤装は、わたし達だけでも動かせるのですが妖精さんの補佐があるからこそ最大限のスペックを引き出せます。
・・・なんだけれど。妖精さんにもリーダなんかが存在して・・・いわば『艦長妖精さん』と『副艦長妖精さん』がいるんですけれど・・・わたしには副艦長妖精さんがいません。
理由は、わかりません・・・金剛さんに聞いてみたんですけれど前例が無いって。
ただ・・・なんとなく思うんです。
副艦長・・・つまり、わたしの尊敬する1人・・・『角松洋介』二佐。その記憶を持つ妖精さんがいないということは。
あの戦いの最中で歴史が改変されたバタフライ効果で・・・その影響で『未来』の居場所を失った人がいないのなら・・・
それが少なからず影響しているんじゃないかって。
真偽はわかりませんが、流石にトップに近い妖精さんがいないせいで、大分わたしの負担は大きくなっています。他の妖精さんに乗って貰おうにもわたしの艤装は操作できないでしょう。
・・・そうでなくても乗せるつもりはさらさらないですけど。
というわけで現在猛勉強中です。まだまだですけどね。
「あのですね、みらい。それ、私や鈴谷を含めて艦娘でこの短時間で解ける方はごく僅かしかいません。私はみらいの回答を見ただけで解けはしませんわ」
「・・・え、そうかな?確かに難しいとは思うけど、解けない程じゃないと思うけどなぁ・・・」
「いやいや!?敵の思考パターンとか回避予測、この数十分でどれだけ立ててるのさ!?しかも私に教えながら・・・ねえ。実はみらいって天才?」
「まさか。これだって全部やらないと気が済まないからやっただけだし・・・」
そういえばなんでここまで書いたかな?・・・いつもCIC妖精さんと訓練してるからかな?
「でも、やっぱり簡単かな。この世界の交戦規定、穴だらけってレベルじゃないよね?護衛艦時代なんてもっとおにちくだよ?」
「そこまで穴だらけかなぁ〜?」
「いや・・・細かい規定は省いても、『途中で寝るな』『轟沈しないように大破撤退を心掛けろ』『ごっつんこはするな』『仲間を見捨てず敵に情けをかけるな』・・・って、むしろこれ規定以前の問題だし・・・子供でもわかるよ、これ」
「そうなんですけど・・・中にはその子供でもわかる事が出来ない人も、いるんですのよ・・・?」
「あはは〜ごっつんこはうちのお家芸だもんね、特に姉さん達・・・」
あれ?なんか鈴谷と熊野の目からハイライトが・・・
あー、また地雷踏んだかな・・・そういえば最上型のお姉さん達って、よくぶつかってたっけ・・・?あ、もしかしなくてもわたしのせいだ。
「え、えーと・・・あ、そろそろお昼ですね!うん、お腹も減ったし食堂行こうよ食堂!」
「にげたねみらい」
「逃げましたね・・・」
気にしない。2人のジト目なんて気にしないっ!
まあ、実際お勉強もひと段落つきましたし、お昼なのも本当だからタイミングはまちがってないんですけどね。
と言うわけで3人で食堂へと来ました。
今日は金曜日という事もあってみんな大好きカレーの日です!
うーん、この匂いが食欲そそります。でも、流石に人気なメニューな為か中々席が空いてないですね。
結構大きな食堂なんですけどね。用務員さんや妖精さん、中には憲兵さんらしい人までいてお昼ラッシュ!という感じですね。
「・・・と、あそこが空いてますね」
「あー、長門さんの隣って緊張するしね・・・え、あそこ行くの?」
「まあ、このままではせっかくのごはんが冷めてしまいますが・・・」
緊張・・・するかなぁ?連合艦隊旗艦だもんね、長門さん。
わたしは・・・フネの時に大和と出会ってるからそこまで緊張しないんだよね。
「長門さん、お隣にお邪魔してもいいですか?」
「んむっ・・・ああ、みらいか。もちろんだ」
軽く声をかけてからわたし、熊野、鈴谷の順で隣に座っていきます・・・鈴谷、そこまで苦手?
「って長門さん、なんだか嬉しそうですね?」
「ん、ああ、いや・・・実のところを言えば金剛や空母連中以外は私に気を使うからか隣に座らなくてな。静かに食べれるのはいいが、偶には私だって話もしたいさ。そういう意味では、助かったよみらい」
「えへへ、どういたしましてっ!」
「あれ・・・長門さんがいつもと違う」
「・・・鈴谷、それ結構酷いですわよ?長門さんも艦娘ですのよ?まあ、訓練は厳しいですが」
「はは、私だって休憩中くらいは羽を伸ばしたいさ・・・とはいえ鈴谷。あまりはしたなく食べるなよ?」
といった感じて、長門さんと楽しくお昼を食べる事に。
割と酷いですけど、長門さんってファッションとか雰囲気のいい喫茶店とか知ってて驚きました。
なんでも金剛さんや、偶に休日に妹さんと回るそうで。鈴谷がすっごい食いついてたんで、情報に間違いは無さそうですね・・・あれ、もしかしてこの思考も割と酷い?
い、いや、弁明させて貰えば普段の長門さんの服装がダメなんですよ!と心の中で言い訳しつつ。
「・・・あ、そういえば長門さん?一度聞こうとしてたんですけど、この鎮守府って結構戦力多いですよね?何か理由があるんですか?」
「そう言うのは本来提督に聞くべきなんだが・・・まあ、いいか。この鎮守府が日本では最大規模という話は聞いたな?」
「はい、最初に明石さんに案内された時にちらっと」
「しかも妖精さんに聞いたら最新設備なんだって!いや〜、おかげで艤装の調整とか楽で助かるよ」
「他の鎮守府の方々には、申し訳ないですけど、やはり使いやすいですものね」
そうだ、と長門さんが頷きます。
「で、そんな場所だ。その周辺の海域は最初期に解放する事が出来たそうだ。だが、かと言ってそこから戦力を分散しては問題があった時に対処が出来なくなる。ここは日本の中心と言ってもいい立地だしな。防衛の観点からも戦力は多い方がいい・・・そういう話になったそうだ。実は大淀と明石が常駐しているのもそう言った関係だ」
「勿論ただ戦力を温存するだけではありませんわ。有事の際は他の鎮守府に援軍という形で私達も出向することになってますの」
「最近はパラオだったっけ?めちゃくちゃ暑くて汗で服がベタついて大変だったなー・・・そう言えば、あの時だっけ?みらいが鎮守府近くで見つかったの」
へー、そんなお話があるんですね・・・というか、わたしって鎮守府近くで見つかったんだ・・・て、そうか。気絶したから運んで貰ったんですよね?近くなきゃ大変な事になってたかも知れませんね。
「と、少し話は変わるがみらい。正式発表はまだだが・・・近いうちに出撃があるかも知れん。準備だけはしておいてくれ」
「それ、言ってもいいんですか?」
「なに、大丈夫だろう。提督も直ぐに私達に伝えると言っていたからな。それと・・・そうだな。久々の楽しい昼時を満喫出来た礼代わりだと思ってくれ」
そう言うと長門さんはいつの間にか食べ終えてた皿をトレイに乗せて席を立ちました。
よく見ればそろそろお昼も終わりの時間でした。
結構時間がたったなぁ・・・
そう言えば、いつだったか空母の皆さんにわたしの艦載機を見せる約束してたっけ。
わたしは今日、フリーだしお邪魔してみようかな。
と言うことで鈴谷たちと別れて空母のお部屋にやってきました。
「失礼します。加賀さん居ますか?」
「・・・みらいですか?少しお待ち下さい」
少ししてから扉の開く音。ちらりと見えたその姿にいつもの胸当てはナシ・・・どうやら加賀さんもオフのようですね。
・・・前から思ってましたけど、加賀さんっておもちもちですよね、普段は胸当てで隠れてるけど・・・わたしの目はごまかせませんよ!
「・・・あの、どうかしました?」
「あ、いや!気にしないで!ってそれよりも。前に言ってたわたしの艦載機を見せに来たんですよ」
「・・・!そうでしたか。どうぞ入ってください」
加賀さんに案内されてお部屋の中に。
なんだかんだで加賀さんとは演習して付き合いが長くなったので、いつもはあまり表情を動かさなくても大分わかるようになりました。
今はなんだか目を輝かせてるような感じですね。そんなに見たかったんですかね?
中に入ると、ちょうどこの鎮守府に所属している空母の皆さんが揃ってました。
鳳翔さんはなにか編み物をしてます。とても似合ってますね〜。瑞鳳さんは・・・妖精さんの乗る戦闘機を掃除しながらうっとりしてました。
「それでみらい。貴女の艦載機とはどういったものなの?」
「あはは・・・加賀さんがっつき過ぎですよ?」
「・・・貴女が演習で使わないのがいけないのよ。例のしーすぱろーも使わないし」
とは、言われましても。
「確かに海鳥は優秀ですけれど、戦闘はメインでは無いですし。シースパローとかのミサイル兵装は前から言ってるじゃあないですか。弾頭に限りがあるって。妖精さんが開発してくれてるみたいだけど、まだ研究段階らしいし・・・早く補給出来るようにならないかな〜。正直加賀さんの航空部隊相手に単装砲とCIWSだけでは手に負えないです」
「それでも私の子達はぽんぽん落としていくよね・・・」
と、加賀さんと話している間に瑞鳳さんも加わります。
・・・この前演習で瑞鳳さんの2個中隊撃退したのまだ引きずってるのかな?
「いや、それが普通なんですよ?加賀さんの部隊がおかしいだけで・・・なんで分間4500発の対空機銃をすり抜けれるんですか?」
「鍛えてますから」
・・・鍛えてどうにかなるものなのかなぁ?
この頃は単装砲で狙っても発射管制がオートのままだと爆弾抱えたまま避けられちゃうようになりましたし・・・
「単調すぎて逆に避けやすい」・・・ってなにかおかしくないですか?
それでもなんとか今まで勝ち越せてますけど、一航戦怖すぎです。
「それで、貴女の艦載機は?」
「と、話が逸れちゃいましたね・・・これです」
あの後工廠へ行って取ってきたわたしの艦載機、海鳥を皆さんの見やすいところにおきます。
本当はヘリも持ってこようと思ってたんですけど、整備中なので置いてきました。
どうやら鳳翔さんも気になったのか二人に混じって見てますね。
「へぇ・・・みらいの航空甲板にしては大きいね、この子」
「はい。これでは加速をつける前に墜落してしまいそうです」
「でも、武装はかなりのものですね・・・機銃と、これはみさいる?艦載機に付けれるものもあるんですね・・・この子は偵察機ですよね?」
「はい。けれど最悪の場合は威力偵察出来ますし、見ての通り武装はしっかりしてますから対地、滞空、対艦なんでもござれ、ですよ」
皆さんまじまじと見て・・・目が輝いてます。
未来の艦載機が珍しいんでしょうね。瑞鳳さんなんて手に持って色々いじっちゃってますね。
と、そんな時。海鳥の羽がぐいん!と上を向いてしまいました。
当然驚く瑞鳳さん。目をぐるぐるさせて壊しちゃった!?と慌てて・・・ああ、加賀さんと鳳翔さんの顔が怖いです。
「だ、大丈夫ですよ。この子は壊れてなんていないですから」
「で、でもぉ・・・主翼が上を向いたら壊れちゃう・・・」
「あはは、普通ではそうです・・・でも、この子は違います。実は説明し忘れてましたけどこの子は元から主翼が可動するんです」
と、海鳥を持ってくる時について来て貰った妖精さんに主翼を動かしてもらいます。
当然空母の皆さんは驚いてますね。
「・・・これは、どういう事です?」
「今説明しますよ、加賀さん。この子はティルトウィング・・・その名の通り主翼を傾ける事が出来るんです。
さっきわたしの航空甲板が小さいって言ってましたよね?そうです。普通に艦載機を飛ばすのであれば、まったく足りてません。けれども・・・この子は主翼を上に向けることでそれを解決しました」
「・・・!なるほど、前に進む力を上に・・・それならこの子でも発艦出来る、そういうことですね?」
「流石鳳翔さん。わたしみたいな護衛艦はヘリコプターかこの子を搭載します」
ちなみにこの海鳥は時速450キロまでは出せたりします。
多分、敵の艦載機と鉢合わせても逃げれるんじゃないですかね?
「・・・ですが、主翼の強度が問題ですね?」
「その辺りは60年後の技術がなんとか。むしろ問題は主翼が動く分操縦し辛い事・・・でも、それを克服したこの子はわたしを守ってくれる心強い味方でした」
本当に・・・佐竹さんには感謝してもしきれません・・・あの人が庇ってくれなければあそこで沈んでいてもおかしく無かったから・・・
でも、今度はやめて欲しいです。自分の身を犠牲にしてなんて、残された人の気持ちを考えて欲しいです。
わたしの感情を読み取ったのか、妖精さんがバツが悪そうな表情をして頰をぽりぽり掻いてました。
・・・今度は、一緒に生き残ろうね?
長門さんがわたしに出撃があるかも・・・といったということは。
多分近いんでしょう、戦いが・・・もう、すぐそこまで来ている。
・・・わたしの鑑娘になって初めての実戦・・・みんなを守る為に全力を尽くさなきゃ。
その時は・・・この子とVLS・・・使わなけばいけなくなるんでしょうね。
もしもそうなるのなら、手加減は一切しないつもりです。
後悔だけは、もうしたくないから。
と言う事でそろそろ戦闘パートに入りたい、私です。
出番少ない子を出していきましたがまだまだ居ますね・・・
たった20数隻しか居ないのにこんだけしか動かせてないんですからキャラを沢山管理して動かしてる他の人ってすげーなと思います。
金剛姉妹はイベント待ち、龍田さんも天龍さん絡みでイベントあり・・・
あとはぜかましちゃんと球磨型姉妹・・・雪風とぬいぬいももう少し出番増やしたいなぁ・・・
あ、あと感想で「あの名(迷)言って誰か言うの?」と有りましたが、無事決まりました。
っていうか、言ってくれそうなのが一人・・・
今回海鳥の説明を入れたのはアレが架空の機体だから知らない方もいるかなぁと。
しかし書けば書くほどアレですよね、オスプレイ・・・
ただオスプレイはティルトローターなるプロペラ部分のみ(?)の可動で、海鳥とはやっぱり違うみたいですが。
あと、今更なんですけどみらいに積まれてるヘリってシーホークではないっぽいですね(wiki見た感じそう思ったんですけど、合ってますかね?)
なんでもSH−60ではなくSH−60「J」だそうで・・・
てっきり日本製の意味かと勘違いしてましたが、説明みたら困惑しました。
どうやらシーパンサーなる機体らしいです。
なのでこの小説ではシーパンサーになります。4話あたりだったかな、少しだけ話題に出てたのも変えてます、ご了承下さい。
・・・ただこのシーパンサーもwiki見たらすげーってなりました。
改めて『みらい』って過剰戦力だよなぁと感じました(
PS、恒例の誤字報告です。出なくとも、ではなく、でなくともでした。
NNNさん報告ありがとうございました。