第161話 魔法大国での冒険
LP0004
-ゼス アイスフレーム拠点-
視界が赤く染まる。あちこちから上がる火の手。吹き飛ぶ鮮血。聞こえてくる悲鳴。そこら中に転がっている人であったモノ。何が起こっているのか、理解したくない。
「早く行け! お前だけでも生き残れ!!」
そう叫んだのは、父様。体中から血を流し、ボロボロの状態でなお剣を握りしめ、敵と相対している。優しく誇り高い、私の憧れ。
「動揺しないで、冷静に動いて。行きなさい!」
動揺している自分の頬を優しく叩いたのは、母様。父があのような状況であるにも関わらず、唇を噛み締めて冷静な判断を下せる強い女性。いつか母様のような女性になりたいと思っていた。
「俺の事はいい! 逃げろ!!」
これまで聞いた事の無いような怒声で自分を逃がそうとするのは、兄様。いつもの笑顔はそこにはない。その笑顔を奪ったのは、一体誰。
「ぐぁぁぁぁぁ!!」
「あぁっ……」
「…………」
三人が順々に倒れていく。魔法で黒焦げにされた父様の身体から嫌な匂いが漂ってくる。母様の身体からジワリジワリと血が広がっていく。兄様はピクリとも動かない。この状況を生み出したのは、誰。
私だ。
瞬間、地面から亡者たちが湧き出してくる。全て自分の仲間であった人たち。だが、今は見る影もない。黒焦げの男性、顔半分が失われた女性。それが彼らの死に際の状態だったのだろう。逃げださなければ。だが、動けない。亡者たちに足を掴まれ、動けないのだ。わらわらと足元に群がってくる亡者たち。いつしか彼らは強い力で足を引っ張り出していた。このままではちぎれてしまう。
「……いだ」
「……のせ……」
亡者たちの声が聞こえてくる。激しい恨みを含んだその声に耳を傾ける。いや、傾けるべきではなかったのかもしれない。そうすれば、彼らが何を言っているのか理解せずに済んだのだから。
「……せいだ」
「お前の……」
「お前のせいだ!!」
両足が引きちぎられた。
「……っ!!」
両目を見開く。先ほどまで真っ赤だった景色とは違い、目に飛び込んできたのは薄暗い自室。そして、気が付く。今見ていたものが幻であった事を。
「また……あの夢……」
初めてではない。もう何度も見た夢だ。掌に視線を落とすと、ジワリと汗が滲んでいる。いや、掌だけではない。身体中に汗がベットリと纏わりついていた。酷い寝汗だ。上半身を起こし、そっと足に手を伸ばす。
「…………」
指先が足に触れる。ちぎられてなどいない。両足は確かにここにある。だが、今はその機能をなしていない。動かせないのだ。一体いつから。決まっている、あの日からだ。自分のせいで家族と多くの仲間が命を落としたあの日から悪夢は続いている。
「……父様……母様……兄様……ごめんなさい……」
激しい後悔と贖罪の念に苛まれ続ける女性がいた。多くの人が彼女に手を伸ばしたが、その手を取って再び立ち上がる事は出来なかった。彼女を再び立ち上がらせる事が出来る者がいるとすれば、それは無理矢理にでも引っ張りあげる事が出来る者なのかもしれない。そう、例えば、英雄としての資質を持った者。
LP0004 3月
-ゼス 廃坑洞窟F-
「がはははは!!」
ここはゼスにある鉱山。数年前に廃坑となった場所であり、今は人が寄り付かない場所だ。そんな場所だというのに、何故か威勢の良い男の声が響き渡る。左手に持った剣、軽めの鎧に緑のマント。大きな口をあんぐりと開けて機嫌良く笑っているこの男は、当然あの男。ランスだ。
「うむ、俺様最強」
「ランス様、お疲れ様です」
モンスターを葬ったランスにシィルが労いの言葉を掛ける。その言葉を受け、ランスはモンスターに突き刺さったままであった剣を引き抜く。
「シィル、まだか?」
「そろそろ最深部のはずです。ルルさんはそこにいらっしゃるかと……」
「うむ、ならさっさと行くぞ。悪いメイドのルルちゃんにはお仕置きせんとな。ぐふふ……」
シィルが廃坑の地図を片手にそう答えると、ランスの顔がデレッとだらしないものになる。二人がこの廃坑にやってきたのはとある依頼を受けたからであった。毎度の如く生活費の無くなったランスはキースギルドで一つの依頼を受ける。魔法使いに憧れて家出した少女を連れ戻すという簡単な依頼であった。当然、そんな簡単な依頼は既に完了している。魔法大国であるゼスにやってきていた少女を捕まえ、折檻と称してHな悪戯をして家に帰している。
「キースの奴め。俺様には優先して簡単で金払いの良い仕事を回せと言っているのに……」
「1000GOLDですし、相場ではありますけどね」
「いーや、安い! ヒカリちゃんの時は人探しで20000GOLDだったのだぞ!」
「(それはあの事件が特殊なケースというだけな気もしますが……)」
ぶつぶつと文句を口にしながら歩くランス。そう、家出少女の依頼は簡単ではあったがその分報酬がイマイチだったのだ。これでは一か月も遊んで暮らせばまた無一文になってしまう。となれば、他にも依頼を受けなければならない。そう考えたランスは折角ゼスに来たのだからと気まぐれでゼスのギルドに寄り、そこである依頼を受けた。それがこの廃坑に来た理由となる依頼だ。
「金の燭台を盗み出した悪いメイドのルルちゃんを見つける。同じ人探しの依頼だが、こっちは報酬5000GOLD。うむ、実に金払いの良い依頼人だ」
「ゼスの教育長官直々の依頼ですからね」
教育長官ラドンからの依頼の報酬は破格であった。純金の燭台を盗み出したルルという使用人を捕まえる。それだけで5000GOLDだ。即座に依頼を受託したランスはこうしてルルが逃げ込んだと思われる廃坑までやってきていたのだ。最深部はもう間もなく。そこにルルがいるはず。
「お、宝箱。シィル、開けろ。金目のものだったら回収しておけ」
「はい、ランス様」
宝箱には罠が掛かっている事もあるため、開けるのはもっぱらシィルの仕事だ。文句ひとつ言わずに宝箱を開けるシィルだったが、ふとランスがきょろきょろと辺りを気にしているのが目に入る。
「ランス様、どうかしましたか?」
「いや……俺様の冒険者としての豊富な経験からすると、こういう時は先に宝箱を開けようとしていた美人同業者がいて美味しくいただけるはずなんだが……」
「…………」
目を丸くして絶句するシィル。そんな豊富な経験を持ち合わせているのは大陸広しと言えどもランスくらいではなかろうか。とりあえず宝箱の中身を回収し、更に奥へと歩みを進める二人。だが、その歩く足はすぐに止まった。行き止まりに差し掛かったからだ。
「む……?」
「あ、ランス様。あそこに男性が倒れています」
シィルが指さす先には壁にもたれ掛って死んでいる男の死体があった。ふんと鼻を鳴らすランス。
「死んでるな。放っておけ、今はルルちゃんを探すのが……」
「あの……この男性、手に金の燭台を持っていますけど……」
「なに?」
眉をひそめて男の死体に再度視線を送るランス。確かに右手には金の燭台が握られている。しかし、何故この男が燭台を持っているのか。
「おい、ルルちゃんはどうした? 美人メイドのはずだろう?」
「依頼書を読み直してみます。えっと……犯人、使用人のルル・アルバース。男性とも女性とも取れる名前ですね。それに、使用人とは書かれていますが、メイド……女性とは書かれていません……」
「なんだとぉ!? だ、騙された! きっと男だったら俺様が依頼を受けないと踏んで騙しやがったんだ! そうに違いない!!」
「そ、そうでしょうか……」
激怒するランスだったが、依頼書を見る限り特に騙そうとしたようには見えない。ルルという名前と使用人という言葉からランスが勝手に勘違いしたに過ぎないのだ。とはいえ、それを口に出来るシィルではない。
「えぇい、気分が悪い。とりあえず依頼は達成だ! シィル、金の燭台を回収してお帰り盆栽だ。さっさと金を回収してアイスの町に戻るぞ」
「あ、はい」
洞窟に逃げ込んだはいいが、戦う術を持たないルルはモンスターに襲われて命を落としたのだろう。何とも無様な最期だ。男の死体から金の燭台を回収するシィル。こういった汚れ仕事は基本的にシィルの役目だ。無事依頼を達成した二人は依頼人の待つ琥珀の城へと向かうことにする。その道中、シィルはどこかホッとしていた。ランスが『アイスの町に戻る』と口にしたからだ。本当は最初の依頼が終わった時点で家に帰りたかった。あてな2号が留守番しているし、何より危険な冒険は好きではない。シィルはランスと家でゆっくり過ごしていたいのだ。だからこそ、もう間もなく家に帰れる事を嬉しく思っていた。そう、この時までは無事に帰れると思っていたのだ。
-ゼス 琥珀の城-
「ラドン様。お客様がいらっしゃってます」
「ぷふー……客? 約束の時間はまだ先だったはずだが?」
ゼス南部にある大豪邸、琥珀の城。ここは教育長官ラドン・アルフォーヌの屋敷だ。その自室で横になっている恰幅の良い男、彼がこの城の主だ。ラドンは部屋に入ってきたメイドの話を聞いて眉をひそめる。確かに今日はこの後来客の約束が何件かある。しかし、約束の時間はまだまだ先であったはず。
「いえ、お約束されている方ではなく、冒険者がいらっしゃっています。ギルドに依頼していた金の燭台を回収してきたようです」
「ぷるるっ! 金の燭台!? あの依頼は今日取り下げる予定だったのだが……少し遅かったか」
「依頼を取り下げる……?」
「この後来る予定の冒険者に頼む予定だったのだよ。うーむ……まあ、あちらには事情を話せば問題ないか。ぷる。で、金の燭台を持ってきた冒険者というのは?」
「こちらです」
メイドが書類をラドンに手渡す。ギルドから事前に送られてきていた書類だ。そこに記載されている二人の冒険者を見てラドンの表情が変わる。にんまりと笑顔になり、ベッドの上からスッと立ち上がった。
「ぷるるっ! では会いに行くとしましょう」
ラドンが客人の待つ一階の客間へと降りていく。ラドンの少し前を歩いていたメイドが客間の扉を開くと、二人の冒険者の姿が目に飛び込んでくる。ランスとシィルだ。それを確認したラドンは対人用の笑顔を作り、両手を大きく広げながら客人を出迎える。
「やあやあようこそ、ぷぷぷぷふー! 私がラドンです。今回はどうもありがとう、ぷるるるるっ」
「え?」
シィルが困惑して思わず声を漏らしてしまう。やってきたラドンは何故か自分にだけ微笑みかけているのだ。まるでランスが視界に入っていないかのような振る舞い。チラリとランスの顔を確認すると、当然ランスも気が付いているようで不満そうに眉をひそめているのが見えた。
「流石は魔法使い。仕事が早くていらっしゃる。おまけに可愛らしい、ぷるっ」
「あ、あの、私……」
「おっと、女性を外見だけで評価するのはいけませんな、失敬。ちゃんと実力を評価しませんと。おい、何をしている? このお嬢さんをもてなす準備をしないか」
パンパンと手を叩いて使用人にそう命じるラドン。シィルへの態度とはまるで違う横柄なものだ。こちらがラドンの素なのだろう。その様子をイライラとした様子で眺めるランス。何故ご主人様の自分ではなく、奴隷のシィルにばかりあの親父は話しかけるのか。金の燭台を回収してきたのは自分だというのに。
「ぷふー、貴女の可愛らしく強いお嬢さんには、是非とも娘のお友達になって頂きたく……」
「あ、これ、金の燭台です……これを盗まれていた方は」
これ以上この状態が続けばランスが激怒する。そう察したシィルは話題を変えるべく金の燭台を手渡そうとしたが、皮肉にもこれが最後の引き金となってしまった。ラドンは取り出した金の燭台にまるで汚物を見つめるかのような視線を送ったかと思うと、サッと懐からハンカチを取り出してそれを手に取り、使用人に向かって手渡した。
「捨てておけ。もう使えん」
「え? ラドン様、それをお探しになっていたのでは? 大事な物じゃないんですか?」
「いやいや。こんな物、ほんの80000GOLDほどの安物ですよ。既に同じ物を買い直しています」
「で、では……どうして依頼を……?」
「魔法も使えぬ下等な人間に私の物が盗まれた。この事実がいけない。実に気に入らない。ただそれだけなんですよ、ぷふーっ!」
瞬間、シィルは察する。この人も同じだ。魔法使い至上主義、ゼスに古くからある悪しき思想に囚われてしまっている。元々ゼスの生まれであったシィルはこういった人々をこれまで何度も見てきている。そして、こういった傲慢な人をランスが嫌う事も知っている。
「おい、貴様! それは俺様が数多くの困難を乗り越えて拾ってきた物だぞ! 勝手に捨てるな!!」
「(ああ……やっぱり……)」
心の中でため息をつくシィル。そろそろ限界だとは思っていた。チラリと後ろを振り返ると、烈火の如く怒るランスが見える。きょとんとするラドン。
「ん? なんだ、この下等な戦士は。シィル殿の奴隷戦士ですか?」
「お、俺様がシィルの奴隷だと!?」
「うーむ、困った。シィル殿には申し訳ないですが、このような下等な奴隷を我が家に入れるのは私のプライドが許さない。おい、お前。何故この部屋までこんな男を通した!」
傍に控えていたメイドを叱りつけるラドン。その様子を見てランスの怒りが限界点を超えた。今まで数多くの依頼をこなしてきたし、ムカつく依頼人にも数多く会ってきた。だが、自分を奴隷呼ばわりする依頼人などこの男が初めてだ。スッと鞘に手を伸ばす。今までもムカつく依頼人の大半はこうして斬り捨ててきた。今回も同じだ。このムカつく親父を殺し、家から金目の物を盗っていけばいい。
「ん?」
ラドンがいつの間にかランスが剣に手を伸ばしている事に気が付く。だが、関係ない。こんな親父に俺様を止められるはずがないとランスは高を括っていた。それが、ランスの誤算。どんなに見た目が肥満体系の親父でも、戦えるように見えなくても、この男は魔法大国ゼスの長官なのだ。
「おっと、危ない。スリープププっ!」
「へ?」
ラドンが人差し指をランスに向け、魔法を放つ。油断していたランスはそれをもろに受けてしまい、すぐさま膝から崩れ落ちる。立っていられない。意識が朦朧とする。瞼が重い。自分は今何をされた。
「ランス様ぁぁぁ!!」
「おい、この男を運び出せ」
「くっ……」
そうだ、この親父はスリープとか言っていた。相手を眠らせる呪文だ。馬鹿め、俺様にそんな低級魔法が効くか。それなのにやけに心配そうな声でシィルが叫んでいる。ふん、何を心配しているか。こんな親父、今すぐちょちょいのちょいと……そんな事を考えながら、自分の意志とは裏腹にランスはその意識を手放した。
-ゼス 奴隷観察場-
「なんだここはーっ!!」
目を覚ましたランスの目に飛び込んできたのは、先程までいた豪華絢爛の琥珀城とは打って変わってボロっちい部屋であった。クモの巣、ネズミの開けた穴、ところどころ破れている布団。見回すと、どうやらここは生活空間のようだ。十数人ほどの男が部屋の中にはおり、その内の一人がこちらに近づいてくる。
「よう、新入り。目を覚ましたか?」
小汚い格好の男。つけている鎧は安物であり、ところどころ痛んでいる。年の頃は30半ばといったところか。見るからに弱そうな男だ。
「新入りぃ? おい、ここは何だ?」
「ここはラドン様の持つ奴隷観察場だ」
「奴隷観察場?」
状況を理解していないランスに、その男は丁寧に状況を教えてくれた。この場所は奴隷観察場。ラドンの私有地であり、奴隷を飼っている巨大施設のようだ。この場所にモンスターを放ち、奴隷たちがそのモンスター相手に生き延びられるか、はたまた殺されるかを他の魔法使いと賭けをしながら眺めているらしい。奴隷たちにはモンスター討伐ノルマがあり、達成しないと飯抜きにされ餓死してしまう。無理矢理戦う事を強いられ、その様子を見て楽しむ施設。何とも趣味の悪い話だ。
「奴隷は毎日少なくとも2、3人は死んでいる。特に、新しく入ってきた奴は勝手が判らず殺される可能性が高い。あんたも気を付けな」
「ふん……因みに、モンスターというのはどんなのがいるんだ?」
毎日それだけの人間が死んでいるとすると、それだけ凶悪なモンスターなのだろうか。デカント、ヒトラー、将軍、バルキリー。上級モンスターを思い浮かべ、流石にそれは面倒だぞと考えるランスの耳に男の回答が返ってくる。
「俺が知る限りだと、イカマン、ぷりょ、ローパー、フリーダムだな」
「……は? 雑魚ばかりじゃないか」
呆気に取られるランス。そして、言ってから気が付く。確かに今名前が挙がったのは雑魚ばかりだが、それでも一般人にとっては十分に脅威なのだ。ここしばらくランスの周りには戦える者しかいなかったため、すっかりその感覚を忘れていた。そんなランスを見て苦笑する男。
「なんだ、あんた強いのか? 口だけじゃなきゃいいがな……」
「なにぃ? この大英雄である俺様に向かって……」
「今月のノルマは一人10匹だ。上手く立ち回れば、使用人として採用される可能性もある。ここを出る唯一の手段だ。せいぜいお互い頑張ろうぜ」
ポン、とランスの肩を叩いてこの場から男が離れていく。背中に蹴りでも食らわしてやろうかと思ったが、一応現状を説明してくれた事もあるのでそれは抑えておく。しかし、去り際に変な事を言っていた。ここから出る唯一の手段。ランスがその辺に寝そべっている別の男に声を掛ける。
「おい、出口はないのか?」
「あんた、馬鹿か? そんなもんがあったらとっくにみんな抜け出してるっつーの。へへ……」
「ランスキーーーック!!」
「ぐへぇぇぇ!!」
さっきの怒りも纏めてその男にぶつけるランスであった。
-ゼス 奴隷観察場 見学室-
「ああ、酷い……」
奴隷観察場見学室。そこはランスのいる場所とはまるで対照的な様相であった。豪華絢爛な部屋。高そうな置物にシャンデリア。豪勢な食事を自由に食してよい立食パーティー形式。だが、そんな部屋にいる貴族たちが楽しげに見ているのは、奴隷たちがモンスターに殺されるさま。今また一人、奴隷がイカマンに殺された。瞬間、部屋の中から歓声が上がる。
「(やっぱりこの国の人たちは何も変わっていないんだ……特にラドン長官は、そんな人たちの中の中心人物……)」
シィルが心の中で嘆く。あの後、奴隷観察場に連れて行かれるランスを出してくれと何度か頼んだが、取り合ってもらえなかった。そのラドンとの会話の中で気が付く。彼が魔法使い至上主義者の中心人物の一人である事に。それに気が付いたシィルは、ラドンへの懇願をあえて止めた。
「(もし魔法使いである私がランス様の奴隷である事が知られたら……)」
そう、万が一シィルの方が奴隷である事がばれたら、彼らはランスに何をするか判らない。最悪、眠っている間に殺されてしまう可能性すらあった。そう考えたシィルは黙ってラドンの招きに応え、こうして趣味の悪いショーを観覧しているのだ。何とかランスを助け出す手段を見つけるために。
「……って、ランス様!?」
そんな風に考え事をしていると、窓の外にランスの姿が見えた。あちらもこちらに気が付いたようで、ドンドンと窓を叩いているのが見える。何か叫んでいるようだが、声も叩いている音も聞こえない。相当に分厚いガラスのようだ。
「ランス様……そうか、こちらの声も……えっと、今破壊します。下がってください」
何とか身振り手振りで窓から離れるように伝えると、それを理解したランスが窓から下がる。どうやらモンスターを倒しながらこの場所までやってきたようだ。この見学室の窓は大きく、あちらからもこちらの姿が見えている。曰く、こちらに対して怒り狂った姿を奴隷が見せるのがまた一興らしい。
「……炎の矢!」
心の中でラドンに謝りながら、シィルが魔法を放つ。一直線に窓へと向かった炎の矢であったが、窓にぶつかった魔力はそれを破壊することなく四散してしまった。窓の向こうでランスがぎゃーぎゃーと文句を言っているのが見える。
「えっ……そ、それじゃあファイヤーレーザーを……」
「無駄ですよ、お嬢さん。それは白色破壊光線でもない限り破壊できません」
後ろから声を掛けられ振り返ると、そこに立っていたのは貴族の青年。左手に持っていたワインを一度口に含み、シィルに話を続ける。
「何故貴女のような可愛らしいお嬢さんが魔法も使えぬ二級市民を助けようと?」
二級市民。魔法大国ゼスでは魔法の使えぬ人間をそう呼び、迫害している。この国では魔法を使えるというのはスタートラインでしかない。それを出来ぬ者は、人間に非ず。故に、いくら迫害しようとも問題の無い存在なのだ。悪しき習慣ではあるが、それで国が長きに渡って回っているのもまた事実。二級市民から金を巻き上げ、魔法使いが私腹を肥やし、政治を有益に回す。だからこそ、この悪しきシステムを変えられない。
「あの……えっと……」
「ふむ、そうか。彼は貴女の奴隷ですか。では、彼がどのくらい生き残るか一緒に観覧しませんか」
「いえ、そうじゃなくて……や、止めさせてください」
「ははは、それではワインでも飲みながらゆっくり話を聞かせて貰いましょう」
シィルの肩にそっと手を置き、半ば無理矢理窓から引き離す青年。話を聞くと言っているが、絶対に聞く気などないのは明らか。シィルは頭を悩ませる。ランスが自分の主人である事をばらす訳にはいかない。だが、もう自分一人の力ではどうにもならない。
「(やっぱり、ラドン長官にもう一度頼みにいくしか……ランス様には申し訳ないですけど、私の奴隷で冒険には必要な人だと言って出してもらおう!)」
「ん、どうかしましたか?」
「あの、すいません。私、ラドン長官に話があるので……」
一緒にソファーに腰かけようとしていた青年貴族にそう頭を下げ、シィルが部屋から駆け足で出ていく。何とか青年を振り払って廊下に出たものの、屋敷が広すぎてラドンが今どこにいるのか判らない。すると、丁度メイドが通りかかった。先程金の燭台を受け取ったメイドだ。
「あの、すいません。ラドン長官は今どちらに……?」
「ラドン様なら、二階の客間でお客様と歓談しております」
「い、今すぐ会う事は出来ませんか!?」
「申し訳ありません。大事なお客様ですので、今すぐには……」
言いよどむメイド。どうやら一階の客よりも重要な客人なのだろう。だが、ここで引き下がる訳にはいかない。ランスがあのような雑魚モンスターに殺されるとは思わないが、危険な状況である事には変わりないのだ。
「そこを何とかお願いできませんか? ……お願いします!」
頭を下げるシィル。その姿にメイドは困惑する。これ程腰の低い魔法使いを見た事がなかったからだ。彼女もまた、二級市民。容姿や仕事の覚えの速さからこうしてメイドとして雇ってもらっているが、これまで魔法使いから多くの差別を受けてきたし、今も受け続けている。だからこそ、シィルのこの行動に少しだけ心が動かされた。
「……お部屋まで案内させていただきます。ですが、取り合って貰えるかまでは保証できません」
「ありがとうございます!」
-ゼス 奴隷観察場 場内-
「ちっ、シィルの奴。窓を破壊出来ないうえに、勝手にどこかに行きやがって……えぇい、邪魔だ!」
「フリーダム!!」
何とか脱出出来る場所はないかとランスが場内を歩き回る。出てくるのは聞いた通り、イカマンやフリーダムなど雑魚モンスターばかり。出てきた先から斬っていたので、とっくに今月のノルマとかいう10匹は超えているだろう。いつしか周りから羨望の目で見られているのを感じて少しだけ気を良くしながら探索を続ける。すると、二階に上がったところでまた窓があった。そこに見えるのは恰幅の良い貴族。
「あ、あの野郎!」
間違いない、自分をこんな場所に追いやった親父だ。名前は忘れた。ぷるぷる親父とか確かそんな感じたと思いながら、ランスは全力で窓に突進をかます。だが、窓にはヒビ一つ入らない。
「ちっ……えぇい、なんだそのムカつく顔は!! 必ずそこにいってぶっ殺すから待っていろ!!」
ニヤニヤと窓の向こうで親父や貴族が笑っている。それに対し文句を口にするが、分厚い窓に阻まれてあちらには届いていないだろう。最後に一度窓を蹴飛ばし、この場を後にするランス。すると、更に上の階から何やら話し声が聞こえてきた。見上げると、何やら巨体の男が別の男を蹴飛ばしている。その周囲を取り囲んでニヤニヤとしているのは、巨体の男の部下だろうか。
「何やっても目障りなんだよ、お前は!」
「あ、あいたた……」
「なんだ、その目は! ここのリーダーである俺様に逆らうつもりか!?」
それは、気まぐれ。蹴られているのが美少女だったら間違いなく助けただろうが、何せ男だ。普段であれば無視する。だが、今のランスは非常に苛立っていた。だからこそ、このリーダーは丁度いい捌け口であったのだ。
「ふん、どこにでもいるんだな。自分の実力を知らないで威張るだけの馬鹿というのは」
そう呟きながらランスは三階への階段を上って行った。
-ゼス 奴隷観察場 見学室 二階-
「ははは。先程のは威勢の良い阿呆でしたな」
「魔法で耐衝撃コーティングされているこの窓が割れる訳ないのに……ぷぷぷぷふふっ!」
二階の見学室はシィルの予想通り、一階よりも更に華やかな部屋であった。その部屋にいる人間は10人にも満たない。されど、全員が一階の人間よりも何かしらの空気を纏っている。ただの下品な貴族ではない。その内の一人、ラドンの隣で笑っていた赤髪の中年が口を開く。彼はゼスの金融長官、名をズルキ・クラウンという。
「奴隷観察場というのがこれほど愉快なものとは。これは、真似をして我が家にも建てさせて貰おうかな?」
「その時は特許料でも頂ましょうか。ぷぷぷっ!」
「ははは、ラドン長官の冗談はいつもパンチが効いていて実に面白いですな」
「ところで、誰に賭けましたか? ぷふっ」
「ああ、あの男ですよ。顎の割れた青髪の……」
ラドンに賭けの対象を尋ねられ、ズルキが顎に手を当てながらそう答える。奴隷の中では一際筋肉のついた青髪の男。一際目立つ風貌であったため、ズルキはその男に賭けたのだ。因みに、彼らの言う賭けの対象というのは生き残りを当てるのではない。本日死ぬであろう人物を当てる賭けなのだ。
「あの男は中々しぶといので賭け率は高いのですが、ぷふー……」
「なんと。それでは無駄遣いになってしまったかな?」
「いやいや。この後別に催し物を予定してますので、それ次第ではあの男でも死ぬ可能性が……ぷふっ!」
「ほう。それは楽しみですな。ところでラドン長官……」
空気が変わる。これまでの笑みとは少し違う邪悪な笑みを浮かべるズルキ。軽く周囲を見回し、部屋の中にいる人間たちの顔を確認する。
「ガンジー王はこのような娯楽を嫌っている。全く、あの馬鹿王になってからやりにくくて敵いませんな」
「その内失脚するでしょう、ぷぷぷ。王の唱える人類平等に異を唱える人間は少なくありませんからね」
「例えば、今日集まっている人間……私も含めてね……ふふ、互いに有益な話が出来そうだ」
「まあ、それは夜の会合の時にでも……ぷぷぷっ!」
ニヤリと笑いあうズルキとラドン。ここに集まった人間は、全て反ガンジー王派の人間。当然、偶然ではない。すると、ラドンが後ろから声を掛けられる。
「もうよろしいかしら?」
「おお、すまんね、エミ」
ラドンの大きな体の後ろから小柄な女性が姿を現す。美しい金髪に見目麗しき容貌。信じられないが、彼女はラドンの娘だ。
「ご挨拶が遅れてしまって申し訳ありません、おじさま」
「おお、エミさん。また美しくなって」
「ありがとうございます」
「うちの息子とは仲良くしてもらっていますかな?」
「はい。ハッサム様はとても紳士的な方で……」
ラドンの娘、エミ・アルフォーヌには婚約者がいた。この場にはいないが、ズルキの息子であるハッサム・クラウンがその人だ。多少政略結婚めいたものではあるが、エミは文句を口にしない。この婚約により、いずれ血縁関係になるラドンとズルキは更に強固な関係になるのだ。同時に、政治的な力も。再び笑いあう二人であったが、その時一人のメイドが部屋に入ってきた。
「失礼します。パパイア様がお見えです」
「パパイア様……今回の招待客とは少し色の違う客人を招かれましたな」
「ああ、パパイア様は別件でぷるっよ。何をしている、さっさとこちらにお通ししろ」
そう言われたメイドが慌てて外に駆け出していき、代わりにグラマラスな女性が部屋に入ってくる。彼女が件の客人、四天王パパイア・サーバー。
「はーい、みんな元気してる?」
「ケケケケケ! 元気でやってるかー!?」
「ぷるるる! お忙しいところをわざわざ……」
「これはパパイア様、ご機嫌麗しゅう……」
パパイアと彼女が手に持つ魔導書が声を出すと、その部屋にいた全員が彼女に頭を下げる。四天王。実力で選ばれた彼女たちは一人を除いてあまり政治には関わらないが、その発言力は大きい。それこそ、各長官よりも。ズルキの言うように、パパイアは今日集まっている人間たちのような反ガンジー派ではない。だが、同じく四天王の山田千鶴子のようなガチガチのガンジー派勢力でもない。いわば中立。だとすれば、敵に回すのは得策ではない。
「ここなの? ラドンちゃんご自慢の奴隷観察場って」
「くさっ! 奴隷くさっ!」
「ぷるるっ! そうでございます!」
「ふーん……楽しそうな施設ねー。で、ここで私の合成魔獣を実験していいのね? 何人も死んじゃうだろうけど大丈夫?」
「死ね、死ね、死ね、みんな死ね! ケケケケケ!!」
「はい、存分に実験してくださいっぷる!」
「あーん、助かっちゃう! 一応秘密の研究だから、試す場所が限られてて困ってたのー。じゃあ、存分に暴れさせちゃうわね」
無邪気な声で喜ぶパパイア。そのパパイアにラドンが少しだけ歩み寄り、ズルキにも聞こえないよう声のボリュームを下げる。
「それで……例の件を……」
「予算の件ね。任せて」
「失礼します!」
二人が密談を交わしている中、部屋の扉が開き新たな客人が入ってくる。シィルだ。それを見たラドンが驚いたような表情を作る。
「おや、シィル殿。どうかしましたかな? ぷふっ」
「ラドン長官、彼女は?」
「ああ、先程話した冒険者のお嬢さんです」
「ほう。となると、あのように可愛らしいのに一流の腕を持っているという事ですか。いや、素晴らしい」
対外的には隠しておきたい使用人の不手際だが、ズルキには話していたのだろう。軽くシィルの事を紹介するラドンと、感心したようにシィルを眺めるズルキ。そのラドンにシィルが近づいていく。
「ラドン長官、少しお話が……」
「ぷるる……申し訳ありませんが、後にしてもらえますかな」
「お嬢さん、こちらで少しお話ししていましょう」
「エミ。彼女がさっき話した冒険者のシィル殿だ。冒険譚などを聞かせて貰いなさい」
「はい、お父様」
四天王であるパパイアとの話を中断する訳にもいかないため、ラドンは丁重にシィルの申し出を断り、ズルキとエミがその間に割って入る。
「シィル様、わたくしも攻撃魔法をいくつか嗜むのですが、実戦経験は乏しく……ぜひ、冒険者の心構えのようなものをお聞かせ願いたいですわ」
「あの……その……」
出来れば今すぐラドンと話をしたいシィルであったが、エミの悪気のない質問を邪険に扱う訳にもいかない。だが、こうしている内にもランスは危機の渦中にあるのだ。
「それと、その大胆な服装は一体……冒険者というのはみなそのような格好を……?」
「こ、これは、その……趣味で……」
「まあ! これは随分と大胆なご趣味をお持ちで……」
「ああ、違います! 趣味というのは、その……」
ランスの趣味と言い忘れたため、とんでもない誤解を受けた気がするシィルは慌てて取り繕うが、時すでに遅し。少しだけ頬を赤らめながら自分の格好を見てくるエミ。これはもうしばらく離してもらえそうにない。
『ピンポンパンポーン、はぁい、Bゲートオープン、Bゲートオープン、超全開♪』
シィルがエミから質問攻めにあっていると、構内放送が流れてきた。この声は先程ラドンと一緒にいた女性、パパイアの声だ。見れば、いつの間にかラドンとパパイアの姿がない。エミと話している内にいつの間にか放送室に行ってしまっていたのだ。
『本日よりパパイア様ご提供の合成魔獣が放たれます。期間は奴隷が20名殺されるまで。あーん、大変だったら大変だ♪ 頑張って逃げ回ってくださーい!』
パパイアの気の抜けた放送から数分、ラドンとパパイアが部屋に戻ってきた。すぐに話しかけようとしたシィルだが、先にズルキがラドンに話しかけてしまう。
「ラドン長官、今の放送は?」
「ぷふっ! 窓の外をご覧ください」
「……なるほど、これは面白い」
「まあっ」
ズルキとエミの声につられ、シィルも窓の外を見る。そして、絶句する。窓の外には、巨体のつぎはぎモンスター。イカマンやぷりょなどとは訳が違う強さであるのが見て取れる。事実、今も一人の奴隷が無残に殺されていた。これはまずい。もう待っていられない。今すぐランスを助け出さなければ。
「ラドン長官!」
「ぷるっ?」
「ラドン様、お客様がお見えです」
「おや、もうそんな時間か。シィル殿、失礼」
「あっ……」
ラドンがシィルとの話を打ち切り、メイドにその客人を通すように指示を出している。まただ、また自分の話は聞いてもらえない。窓の外をもう一度見る。また一人、奴隷が合成魔獣の犠牲になっていた。
「(ランス様……)」
「お父様、お客様というのは……?」
「ぷるっ。金の燭台を回収するよう頼もうと思っていた冒険者の方だ。とはいえ回収はもう済んでしまったから、謝らなければいけないのだがね」
「へぇ……優秀な魔法使いなんですの?」
「いや、魔法使いではない」
そう聞いたエミとズルキの眉が少しだけ動く。魔法使いではない冒険者に頼むなど、珍しい事もあったものだ。
「お父様がそのような下等な方に頼むなんて、珍しいですわね」
「正直不本意ではあったのだが、優秀な冒険者を募集していたらサイアス将軍直々にその冒険者を紹介してきたぷるよ……」
「ほう、我が甥が」
驚くズルキ。そう、四将軍サイアス・クラウンとズルキ・クラウンは親戚関係にある。魔法使いではない冒険者を身内が紹介したとあっては、ズルキも黙ってはいられない。
「ああ、サイアス将軍を叱る必要はないぷるよ。確かに紹介されたのは有名な冒険者であったのですから。魔法使いではないから家には通したくなかったが、彼と関係を築いておくのは悪くない」
「ふむ、それほど有名な冒険者ですか」
「へぇ、それは一体どなたですの?」
「エミも聞いたことがあるはずっぷるよ」
窓の外を心配そうに眺めているシィルの耳にラドンたちの会話が入ってくる。正直、ちゃんと聞いてはいなかった。そんな余裕はなかった。だが、その単語だけはハッキリとシィルの耳に届いた。
「『解放戦の英雄』」
頭の中にその単語が響く。それに該当する人物は一人しかない。シィルも良く知る、これまで何度も冒険を共にした、頼りになるあの男。ギイ、と扉が開き、二人の人物が部屋に入ってくる。一人は魔法使いの女性。そしてもう一人は、黒い髪に漆黒の剣。シィルの良く知るあの人物。
「よくぞ来てくださいました、ルーク・グラント殿。ぷふっ!」
「お招き頂き光栄です。キースギルド所属、ルーク・グラント。こちらはパートナーのシトモネ・チャッピー」
「よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる二人の人物を確認すると同時に、シィルは声を出していた。
「ルークさん!!」
「……シィルちゃん、どうしてここに?」
「おや、お知り合いですかな?」
これより始まる、新たな冒険。
-ゼス 奴隷観察場 場内-
「えぇい、鬱陶しい! 助けたくらいで子分面するな!」
それは、リーザス解放戦にも匹敵するほどの大冒険。
-ゼス 奴隷観察場 場内-
「なんだか急にモンスターが強くなりやがったな……さっきの放送か? よっと!」
思いがけぬ再会と……
-ゼス アイスフレーム拠点-
「父様……母様……兄様……」
新たな出会いが待ち受ける。
-ゼス 某所-
「まずい、追手が……火丼の術!」
だが、その戦いはあまりにも過酷……
-ゼス アダムの砦-
「さて、ルークはラドン長官に会えたかな……」
多くの命が失われ……
-ゼス 日曜の塔-
「魔想の娘……殺す……」
多くの悲劇が待ち受け……
-カスタムの町 魔想邸-
「……この男も違う……ラガール……」
多くの宿命が昇華される戦い。
-魔人界-
「ククク……カカカカカ!!」
これより、ゼスは崩壊の道を辿る。
[人物]
ルーク・グラント (6)
LV 63/210
技能 剣戦闘LV2 対結界LV2 冒険LV1
この物語の主人公。英雄候補の一人。ラドン長官に招かれ、奴隷観察場へとやってきたところでシィルと再会する。今回の旅のパートナーはシトモネ。
ランス (6)
LV 18/∞
技能 剣戦闘LV2 盾防御LV1 冒険LV1
原作主人公であり、英雄候補の一人。ラドンの魔法で眠っている間に奴隷観察場へと入れられてしまう。とはいえ、敵は雑魚ばかりなので相手にならない。空白の一年期である程度冒険をしていたため、レベルは少し高め。
シィル・プライン (6)
LV 16/80
技能 魔法LV1 神魔法LV1
ランスの奴隷であり、唯一無二のパートナー。ゼスは故郷だが、その慣習は良く思っていない。奴隷観察場にてルークと再会。