岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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もともと一つだった話を分割。今回はオカ研メンバーがメイン。



【事件解決】

はぁ。よく解からないが、とりあえず事件解決で良いのか?

 

 教会に行ったら一誠の悲痛な叫び声が聴こえたため、浄眼を発動させ、体力の限界ギリギリまでエネルギーを込めてすぐに回復してやれるように生成準備だけは済ませていた。

 

 そしていざ突入すれば一誠の抱く女の子の魂から光が放出されていて、彼女の魂がどんどん縮んで行くのが見て取れた。

 

 その現象を自分は一度だけ見たことがあった。黒歌と始めて出会った時だ。

 

 黒歌を見つけたのは本当に偶然だった。偶々浄眼の性能をチェックしている時に、彼女を見つけたのだ。その時の黒歌も、魂から光を放出して、今にも魂が消滅してしまいそうだった。どうやらあの現象が『死に向かう』という現象らしい。

 

 にしても、流石に体力ギリギリでの全力疾走は疲れたな。ま、女の子は助けられたんだし、良かった良かった。お、なんか武器になりそうな銃と柄らしき物が落ちているけど、これが『悪魔祓い』が使っている武器か?

 

「大丈夫かい白野君?」

 

「ああ、大丈夫だ。スタミナ切れみたいなものだから休めば問題ないよ」

 

 傍に落ちていた武器らしき物を拾ってベルトの内側に挿して仕舞っていると、祐斗が心配そうに見下ろしながら手を伸ばしてくれた。その手を掴んで立ち上がり、一緒に一誠の元に向かう。

 

「一誠。その子は大丈夫か?」

 

「あ、ああ。今は気絶してる。その、白野、本当にありがとうな。お前が居なかったらアーシアは死んでた」

 

「気にするな。友達が泣いて叫んでいた。なら助ける為に動くだろ?」

 

 当たり前の事を言ってやると、祐斗と小猫ちゃんは少しだけ申し訳なさそうな顔をして視線を下げた。多分隠れていた事に罪悪感を感じているのかもしれない。

 

「あ~、祐斗、小猫ちゃん。これは自分の性分みたいなもんだから気にするな、二人には事情があったんだろ?」

 

「事情? あ、そうだよ! どうして二人共やられた振りなんてしたんだ?」

 

「それについては私が説明するわ」

 

 一誠が二人に尋ねると同時に、目の前にグレモリーの魔方陣が現れそこからリアス先輩声が放たれ、すぐに二人が召喚される。

 

「遅くなってごめんなさい一誠。ドーナシークの仲間と思しき堕天使を葬りに行ったのだけど……どうやら彼以外の堕天使は、もうこの街にはいないみたい」

 

 リアス先輩の言葉に内心でほっとする。良かった。どうやらレイナーレと彼女の仲間は逃げ切れたみたいだ。

 

「部長。そんな事を……すいません。俺、部長の気も知らないで酷い事を」

 

「いいのよ。あの時の私の言葉は本心でもあるし、祐斗や小猫にもある事を指示していたし」

 

「ある事?」

 

「ええ。あなたが堕天使と戦う際、その子が生きていれば一誠とその子を護るように伝えてあった。けれどもし、その子が死んでしまった場合は、ギリギリまで一誠に一人で堕天使と戦わせるように言い含めていたのよ」

 

 リアス先輩の言葉に一誠が困惑の表情を浮かべて目を見開く。

 

「な、なんでそんな事を!?」

 

「神器は宿主の強い想いに答える性質がある。今回の一件で一誠に更なる強さを手に入れて欲しい。そう考えて出した指示よ。だから一誠、責めるのなら私を責めなさい」

 

 リアス先輩は一誠の前に歩み出て、一誠と視線を交し合う。

 

「……いえ。もういいんすよ。結果的にはそのお陰であのムカつく堕天使の裏をかけた訳だし。アーシアも生きてる。だから、いいんです」

 

「そう……ありがとう、一誠」

 

 リアス先輩と一誠はお互いに見詰めあったあと、一緒に笑顔を浮かべ合う。ふむ。中々に良い雰囲気じゃないか。邪魔するのは野暮だな。月野白野はクールに去るぜ。

 

 ゆっくり教会から去る為に階段の方に足を進める――が、それは途中で肩を掴まれて止められた。

 

「あらあら、どこに行くのかしら白野君?」

 

「あ、朱乃先輩?」

 

 振り返るといつものニコニコ笑顔の朱乃先輩がいた。しかし何故かその笑顔が今は少し怖かった。

 

「逃がしませんわよ。さあ白野君。色々教えて頂きますわ。うふふ」

 

 気付くと朱乃先輩の傍に小猫ちゃんが申し訳なさそうな顔で立っているた。

 

 小猫ちゃんまさかさっきの戦闘の出来事を喋っちゃったのかってそりゃそうだよ。相手は学年も立場も先輩なんだから、尋ねられたら報告するのは当たり前じゃないか!

 

「落ち着きなさい朱乃。とりあえず今はそのシスターを安全な場所で休ませましょう。白野も疲れているし、よく事態を理解していないでしょうから、明日部室で改めて話し合いましょう」

 

「そうしていただけると助かります」

 

 リアス先輩の助け舟に全力で乗っからせて貰う。すると朱乃先輩も仕方ないと言いたげな表情で手を放してくれた。

 

「もう……折角白野君を弄れると思ったのに……」

 

 朱乃先輩が振り返り様に物凄く物騒な事を呟きながら去っていった。まさかこの人、ドSでドMなのか?

 

 結局その場で解散となり、アーシアという少女は一誠が連れて帰った。

 

 

 

 

 家に戻ると黒歌が出迎えてくれた。

 

「お帰り御主人様。格好良かったにゃん!」

 

「やっぱりあれは黒歌か」

 

 浄眼発動中だった時に、遠目に見知った魂が視えたので気になっていたがやはり黒歌の魂だったみたいだ。

 

「一緒に帰れば良かったのに」

 

 途中からいなくなったことにも気付いてたのでそう尋ねると、彼女は視線を彷徨わせ複雑な表情をする。

 

「にゃ~それがあそこに居たくない事情が出来たと言うか……まぁ、一度は捨てた未練。今更拾って、また居場所を、御主人様と離れるのは嫌にゃん。私は二兎を追うくらいなら一兎を選ぶわ」

 

 そう言って彼女は言葉を濁す。まぁ話したくないことを無理に訊くつもりは無い。

 

「そうか。それとレイナーレは?」

 

 仕切り直す意味で気になっていた事を尋ねる。

 

「もう仲間と一緒にこの街を脱出したにゃん。伝言があるわよ」

 

『あまり無茶が過ぎると私が殺しに行くわよ。せいぜい人間らしく暮らしなさい』

 

 なんとも彼女らしい。

 

伝言を聞いて思わず笑みがこぼれる。

 

 ま、自分も死にたくはない。今回は偶々友人が巻き込まれただけだ。こんな大事は滅多にないだろう。

 

 一誠も新しい力を手に入れたし、積極的に自分が助けなくても大丈夫だろう。

 

「ん~。さて、心配事も終わったし、お風呂に入って寝ようか」

 

「にゃん。そうするにゃん」

 

 いつものように黒歌と一緒にお風呂に向かい、いつものように一緒に布団に入る。ようやく自分の日常が戻って来た事を実感しながら、疲れからだろう。すぐに意識は眠りについた。

 

 

 

 

「ア、アーシア・アルジェントと申します。よよ、よろしくおねがいします!」

 

「という訳で、悪魔に転生して貰いました♪」

 

 事件の翌日。いつものように朝食を済ませて学園に行くと、祐斗が正門で待っていて一緒に部室に来て欲しいと言われて一緒に部室に向かう。そこには駒王学園の制服を着た昨日見かけたシスターの少女がいた。悪魔の翼を生やして。

 

「へへ驚いただろ白野。昨日アーシアと先輩と三人で話し合ってアーシアもこの学園に通わせて貰える事になったんだ。まぁまだ先の事だけどな。あ、それとアーシアが悪魔に転生したのは本人の意思だから、俺達は強制してないからな」

 

「そう、なのか?」

 

 一誠が笑顔で話しかけてくるが、こちらとしては昨日の事情も知らないし、彼女については名前以外まだ何も知らないので、どう答えていいのか分からなかった。

 

 その事を伝えると全員が『あ』と言って表情を固めた。朱乃先輩が慌てて簡単にだが彼女の事情を説明してくれた。涙無しには聞いていられない内容だった。なんて健気な少女だろう。そして一誠、相変わらず友達想いの良い奴だ。

 

「でも本当に悪魔になって良かったのですか?」

 

「はい。その、一誠さんと長く一緒に、はぅなんでも無いんです! そそそその、みなさんともっと一緒に居たくて部長さんの申し出を受け入れる事にしました」

 

 小猫ちゃんの問いに赤くなりながら答えるアーシア。なるほど。一誠と一緒にいたいから、か。十分立派な理由だ。とりあえず自己紹介しておくか。

 

「自己紹介がまだだったな。自分は月野白野。一誠の幼馴染の人間だよ。よろしくアルジェント」

 

「アーシアで構いませんよ月野さん。それとありがとうございました。月野さんの神器のお陰で、私は死なずに済んだんですよね?」

 

「いいさお礼なんて。それと白野でいいよ。これから一緒に行動する事も多いだろうし、名前で呼ばれる方が嬉しい」

 

「分かりました白野さん。皆さんと出会えた事を主に感謝しあうっ!?」

 

 祈る体勢を取った途端、アーシアは頭を抑えて蹲ってしまった。

 

「アーシア、あなたはもう悪魔なんだからそりゃ主に祈ればそうなるわよ」

 

「うう、そうでした」

 

 涙目で項垂れるアーシア。うん可愛い。小猫ちゃんとは別の可愛さがあるな。

 

 アーシアは一誠と同じクラスに配属されるらしい。まぁ一誠が助けた子だ。一誠が面倒を見るのが当然といえる。本人も鼻息荒くしてやる気まんまんだったしな。

 

「さて、アーシアの紹介はこれで終わりとして、次はあなたの事よ白野」

 

 全員の視線が自分に向かう。

 

「神器の能力については聞いたわ。まさか自分以外のエネルギーも変換できるなんてね。どうして黙っていたの?」

 

「正確には黙っていたというより確証が無かった。というのが正しいです。エネルギーを別のエネルギーに変換する力なのだから、もしかしたら魔力や光力で作られた術にも効果が出るんじゃないかと思ってやったら出来たって感じです」

 

 実は魔力の方は興味本位で黒歌との訓練中に試した事があるのだ。それでも光力にも使用できるかは判らなかったから、ある意味賭けであった事に変わりは無い。

 

「おいまさか、ぶっつけ本番で試したのか!?」

 

 一誠が驚きのあまり立ち上がる。

 

「意外です」

 

「うん。白野君はもう少し慎重派かと思っていたよ」

 

 小猫ちゃんと祐斗も口を揃えて驚きの表情を浮かべる。

 

「慎重、というより冷静ですわね。状況に応じて大胆な行動も取れる。軍師にも向いているかもしれませんわね」

 

 朱乃先輩は少し意外そうに頷きながらもしっかりと分析していた。

 

「なるほど。次の質問だけど、あなた、アーシアの魂が死にかけているとか、一誠に言ったそうだけど、それについて説明して貰えるかしら」

 

 浄眼についての説明を求められてどうしたものか、少しだけ悩んだ。

 

 ……まぁいいか。こちらも後で頼みたいことがあるし。

 

「それはですね……」

 

 現状で解かっている浄眼の情報をリアス先輩達に伝えると、全員驚いた表情のあと、妙に納得した顔をした。

 

「……違和感はあったのよ。私達が正体を晒しても妙に冷静だったり、一誠を私達の所にすぐに連れてきたり」

 

「あ~っと、なんかすいません。多分隠して生活してるんだろうからと、こちらから言う訳にもいかなかったので」

 

 苦笑する自分に、リアス先輩は溜息を吐くが、それ以上追求はしてこなかった。表情を見る限り、考える事が多すぎる為に一旦放棄したのかもしれない。

 

「ふう。いいわ。あなたから訊きたかったのはそれだけよ」

 

「あのリアス先輩、今度はこちらから質問させて貰っても構いませんか?」

 

「ええ、別に構わないわよ」

 

「一誠の神器について教えて貰えますか。彼の神器に『魂』が宿っているみたいなんですが……」

 

「ええ!?」

 

 何故か当の一誠本人が驚いている。まさか気付かなかったのか?

 

「ああ、そう言えば一誠にも軽くしか説明していなかったわね。丁度いいわ。一誠にももう少し詳しくその神器について説明してあげる」

 

 リアス先輩が朱乃先輩にお茶のおかわりを頼み、改めて一誠の神器の説明をしてくれた。

 

 神器の中には『神滅具(ロンギヌス)』と呼ばれる神をも滅ぼせるほどの強力な力を持つ物が数点存在するらしい。一誠の神器もその一つで【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】と呼ばれているらしい。

 

 神滅具の特徴としては他の神器と違って世に一つしか存在しない唯一無二の神器である事と、二つ以上の能力を有しているという二つの特徴があると教えられた。

 

 更に一誠の赤龍帝の籠手にはかつて悪魔、天使、堕天使の三陣営に大打撃を与えた二天龍と呼ばれるドラゴンの内の一体である【赤龍帝ドライグ】が封印されているらしい。どうやら自分が見た魂はそれのようだ。実際魂の色は今まで見た事のない白だった。

 

「一誠は気付かなかったのか?」

 

「あ、ああ」

 

「ということはまだ目覚めていないのかもしれないわね。文献では所有者と共に在るとあったから、その内目覚めるかもしれないわ。そうなったら真っ先に教えるのよ一誠」

 

「はい! 分かりました!」

 

 リアス先輩が心配そうな表情で一誠に忠告し、そんなリアス先輩に一誠は笑顔で頷く。相変わらず良い主従関係だ。

 

 とりあえず聞きたい事は聞けたが……自分からも言わなければならない事がある事を思い出す。レイナーレのことだ。

 

 やっぱり黙ったままはまずいよな。

 

「一誠……実はお前に伝えなければならない事がある」

 

「俺に?」

 

「……色々事情があったんだが……自分はお前を殺した堕天使を逃がした」

 

「……え?」

 

「……詳しく教えなさい」

 

 唖然とする一誠と、一変して険しい顔で事情を追求するリアス先輩。当然の反応だろうと頷きながら、自分はレイナーレとの事を包み隠さずに話した。

 




『白野は新しい武器を手に入れた!』ちゃらら~♪

原作ではちょっとしか登場しなかったけど、あの二つは結構便利そうなので他人の私物を強奪するRPGよろしくゲットさせました(誰の物かはもう判りますよね?)

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