岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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今回もある意味舞台の説明回。




【普通じゃない学園での日常】

 通学路を歩いていると徐々に同じ制服を着た生徒達を見かけるようになる。

 

【駒王学園】

 

 元々は女子高だったが、今は共学になり男子生徒も女子より少ないが在籍している。この町では一番有名な学園だと思う。もっとも、自分が選んだ理由は家から近いからという安易な理由だが。

 

「おはよう白野!」

 

「ん? ああ、おはよう一誠」

 

 登校中に近所に住む幼馴染の兵藤 一誠(ひょうどう いっせい)に声を掛けられた。

 

「ふふふ……」

 

「どうしたそんなニヤけた顔して? 一誠がそういう顔をする時は大抵エロ方面で良い事があった時だけど」

 

 一誠は良い奴だ。明るく熱血漢で女の子に優しい。顔だって黙っていれば悪くない。まぁカッコイイ系よりはカワイイ系かもしれない。

 

 しかしそんな一誠はドスケベだ。『ド』が付くほどのスケベなのだ。そして三度の飯よりおっぱいが好きと言うおっぱいキングを自称する男でもある。

 

 そんな彼がイヤらしい笑みを浮かべるのだから、そっち方面と考えた自分は悪くないと思う。

 

 しかし一誠は両手を交差させてバツ印を作って首を横に振った。

 

「残念。今回は違うんだなぁ~。なな、なんと! オレにもついに彼女が出来ました!」

 

「おお、それは普通にめでたいじゃないか。おめでとう一誠」

 

 笑顔で軽く拍手し祝福すると、一誠はしばらく動かなくなり、途端に滝の様に涙を流して自分の腕で拭い始めた。

 

「ううぅ。やっぱ祝福してくれるのはお前だけだよ親友! 松田(まつだ)元浜(もとはま)は信じてくれやしないし、母さんと父さんも『二次元乙』なんて台詞で一蹴するし!」

 

 まぁ普段の一誠の行動を見ていたらそう思うのも仕方ないけど、確かにそれはひどいな。因みに松田と元浜の二人も自分とは友人であり、一誠を含めた彼らは学園では三馬鹿エロトリオとして有名だ。去年自分だけクラスが違ったので、幸運にもそのトリオに自分が含まれることは無かった。

 

「で、どんな子なんだ?」

 

「ああ、夕麻(ゆうま)ちゃんっていって、スゲー可憐で可愛い子なんだ! 写メあるから待ってろ」

 

 そう言って一誠はスマフォを取り出して操作する。自分も携帯を開いて添付された画像を開くと、そこには黒の長髪にどこかの学生服を着た大人しそうな可愛い少女が映っていた。

 

「へ~可愛い子だな」

 

「だろ~。もう超可愛いだろ! でさ明日から夕麻ちゃんと登下校する事になったからさ。付き合い悪くなると思うんだよね」

 

 これ以上ないくらいに惚気た顔をする一誠。ま、幸せ真っ只中だからな。生前のパートナーの正義の味方のように『爆ぜろ』と言うのは我慢しよう。

 

「構わないよ。やっと掴んだ青春だもんな」

 

「おう! 今迄は青春だったが、これからのオレの学園生活はまさに『性春』だぜ!」

 

 肩に手を置いて激励すると、一誠は親指を立ててイイ笑顔で最低な発言をかましやがった。

 

「……とりあえず彼女の前じゃそう言う下ネタは控えろよ」

 

「馬鹿やろう。言えるわけ無いだろ」

 

 変な所でシャイだった。まぁ、これなら大丈夫か。

 

 結局一誠の彼女自慢はお互いのクラスへと別れるまで続いた。

 

「おはよう」

 

 自分のクラスの扉を開けながら挨拶を交わし、席に向かう。

 

「おはよう白野君。何かあったのかい? 少し嬉しそうに見えるけど」

 

「ん? ああ祐斗《ゆうと》か。いや一誠に恋人が出来たらしくてな。ずっと惚気られていたんだ」

 

 教室に入って自分の席に付くと、後ろの席の木場 祐斗(きば ゆうと)がいつもの爽やかな笑顔と共にこちらに話し掛けて来た。

 

 木場祐斗。

 二年男子でもっとも付き合いたい男ナンバー1にして学園一のイケメンと噂される男子生徒。

 

 容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、性格も気遣いのできる優しい性格と、まさにウチの父親同様パーフェクトイケメンである。

 

 一年の頃に同じクラスになった時からの付き合いで、どこか壁を感じる彼に自分がおせっかいに話しかけたのが最初の切っ掛けだった。

 

 あれから少しは仲良くなれたと思う。少なくとも向こうから親しげに話しかけてくれる位には進展した。

 

「普通は惚気話を聞かされたら呆れたり疲れたりするんじゃないかい?」

 

「そうか? 親友が喜んでいるんだ。喜びを分かち合うのは当然だし、他の人は信じてくれなかったみたいだしな。惚気話くらい付き合うさ」

 

 そもそも好きな人の話で惚気ない事なんてあるのだろうか? うちの両親なんて惚気まくりだぞ?

 

「ふふ。やっぱり変わっているね白野君は。それにしても兵藤君に彼女かぁ」

 

「まぁあいつは良い奴だし、ルックスも悪くないしな。いつかは出来ると思っていた」

 

 因みに祐斗と一誠は自分経由で少しだけ交友がある。もっとも、一誠と松田と元浜が『イケメン死すべし!』と言って泣いて避けたり、女子が『木場君を汚すな!』と妨害してくるのであまり全員で行動する事はなかったが。

 

 一年の頃は極力祐斗と一緒に行動していたなぁ……まぁそのせいで変な噂が広まったが。

 

 周りの女子の一部がヒソヒソ話を始め、その声が耳に届く。

 

「見て。あの木場君がまた自分から月野に声をかけたわよ」

 

「木場君優しいけど自分から積極的には行かないのにね」

 

「やっぱ一年かけて攻略しちゃったんだって」

 

「月×木……やはり鉄板か。今年のソリッドブックの題材は決まったな」

 

「木場きゅんハァハァ。月野きゅんハァハァ」

 

 くそう。腐ってやがる遅すぎたんだ。あと、最後の奴、テメーは男だろ! 近付いたら逃げるからな!!

 

 BなLの疑惑に頭を悩ませながら、今日も変態なクラスメイト達と授業を受ける。

 

 

 

 

 いつもの授業を終えた放課後。学園で特にやる事もなく、祐斗と一誠はそれぞれ用事があるので今日は遊びにいけない。松田と元浜は呪詛撒き散らしながら『イッセー死すべし!』と連呼していたのでスルーする事にした。ああいう時に話しかけると放課後にピンク色のDVD観賞祭りとかに付き合わせられるから。あれは一体何が楽しいのだろう。

 

 ……帰るか。

 

 特に用事も無いので鞄を手に取って下駄箱に向かう。その途中で意外な人達と出くわした。

 

「あら、月野君。今日はもう帰るのね」

 

「あら白野、今日は祐斗と一緒じゃないのね」

 

「こんにちは白野君。では一撫でを」

 

「こんにちは支取(しとり)先輩、今日はみんな用事があるみたいなので。それとグレモリー先輩、別に祐斗とは四六時中一緒にいる訳じゃありませんよ。そして自然な動作で他人の尻を撫でないで下さい。撫で返しますよ朱乃(あけの)先輩?」

 

「ええどうぞ?」

 

「では……てい」

 

「きゃん」

 

 平然と尻を向けようとした朱乃先輩に軽くデコピンを入れる。尻? いや触ったらセクハラだろ。

 

 下駄箱付近でばったりと出会ったのは三年の先輩にしてこの学園の三年では知らぬ者は居ない三大美女に上げられる有名人の三人。

 

 自分に普通に挨拶してくれたのはこの学園の生徒会長を勤める支取 蒼那(しとり そうな)先輩。

 

 ボブショートカットの綺麗な黒髪とメガネ、そしてスレンダーな体型が特徴的な人で、ツリ目の印象そのままに冷静で厳格な性格の人だ。ただ同時にどんな生徒にも別け隔てなく接する所もあり、個人的には外見や口調が厳しいだけで人一倍優しい先輩だと思っている。

 

 その隣で楽しそうに笑っている紅い長髪と大きな胸が特徴的な先輩の名前はリアス・グレモリー先輩。

 

 グレモリー先輩は北欧出身で家の事情で日本にやって来たらしい。らしいというのは自分がその辺りを詳しく知らないからだ。確かに外見は日本人離れしている。

 性格はまんまお嬢様な感じだ。友人思いの優しいところもあるが、負けず嫌いな所もある。その為勝負事にはかなり熱くなる性格をしている。

 

 そしてグレモリー先輩の親友で、人のお尻を勝手に撫でた黒髪ポニーテールの先輩が姫島 朱乃(ひめじま あけの)先輩。

 

 大和撫子を地で行くような優しくおしとやかな性格で、豊満な胸同様包容力があり、気遣いも出来る女性でグレモリー先輩と共に『二大お姉様』と呼ばれる有名な人だ。特に朱乃先輩は『甘えたいお姉さま』と呼ばれている為、生徒や教師に頼られることが多いようだ。

 

 グレモリー先輩と朱乃先輩は祐斗と友人となってしばらく経ったある日、突然向こうから接触してきた。どうやら二人共祐斗と同じ部活の先輩で、部活中に祐斗の話題で自分の名前が出るようになって興味が湧いたのが切っ掛けらしい。

 

 支取先輩とは図書館で何度か顔を合わせてあいさつする程度で、そこまで深い知り合いではなかったが、グレモリー先輩と仲が良いらしく、彼女の紹介で少しだが話すようになった。

 

 まぁ問題は朱乃先輩だな。

 

 だいぶ前に彼女を保健室に連れて行ったことがあるのだが、それ以来自分は彼女から今回の様に妙にセクハラ紛いなスキンシップをされる。更に上級生命令と言われて名前で呼ぶように言われ、それ以来朱乃先輩と呼ぶようになった。

 

 とりあえずいつものように朱乃先輩に注意する。

 

「女の子がそう簡単に返事しない。あと男子のお尻を触るとか、そういうアプローチは誘惑しているみたいに取られるから止めた方がいいと何度も言っているじゃないですか朱乃先輩」

 

「ふふごめんなさい。半年も続けていると、こう、一日一回白野君と触れ合っていないと調子が出なくて」

 

 困ったわ。なんて言いながら何故かデコピンされたのに嬉しそうに微笑む朱乃先輩に溜息を漏らし、彼女の親友であるグレモリー先輩に視線を向ける。

 

「グレモリー先輩も止めてください」

 

「嫌よ。私としては朱乃の面白い一面が見れるから、このやり取りは気に入っているもの。それに恥かしがる白野も可愛いしね」

 

 面白い見世物を見るかのような無邪気な笑顔で答えるグレモリー先輩。この人はダメだ。そう思い支取先輩に視線を移す。

 

「支取先輩」

 

「私はむしろもっと強く抵抗しないあなたに原因があると思うわ」

 

「いや自分は男ですから、同性なら兎も角、異性に身体撫でられるくらいなら我慢できますから。とにかく、勘違いする人は多いでしょうから注意してください」

 

「ええ。気をつけますわ。それでは白野君また明日」

 

「じゃあね白野。今後も祐斗や朱乃と仲良くしてあげてね」

 

「それでは月野君。帰宅するなら寄り道せずに帰りなさい」

 

 うふふ。と笑いながら三人が校舎から出て行く。

 

 内心で溜息を吐き、靴に履き替えて茜色の空を見上げながら心の中で呟いた。

 

 『悪魔』も人間と同じで千差万別なんだなぁ。

 

 黒歌、祐斗、グレモリー先輩、朱乃先輩、支取先輩。そして他数名の学生の背中から生える半透明の小さな黒い蝙蝠のような翼を思い出しながら、今日も平和に一日を過ごせた事に安堵し、帰路へと着いた。

 

 




という訳で朱乃さんも殆ど攻略済みです。というのも今後の展開上、ハクノンに気持ちをある程度移しておかないと、原作通り一誠にフラグが流れてしまうのでこのような形になりました。

次回はリアス視点で他人から見たハクノンの話になります。

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