岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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やっとゲーム開始です。
さて、次回辺りから本格的にバトル描写が入るわけだが……不安しかねぇ。



【ゲーム開始】

 決戦当日。部屋で武具のチェックを終え、必要な物を全て装備する。

 

 格好は学園の制服だ。リアス先輩に動きやすい服で良いと言われたので、日常で一番着ている服にした。

 

 さて、光剣と封魔銃、祐斗から借りた手甲と具足、予備の回復用のお菓子も持った。因みにエネルギーはレイナーレと黒歌が提供してくれた。お陰で全員に手渡せた。

 

 ベルトの左側に回復用の菓子を入れたポーチを二つ取り付ける。一つは食べて回復する用。もう一つは口に入れることで常時回復する飴だ。反対側にはホルスターに収められた銃と剣を取り付ける。

 

 とりあえず片手は開けておかないとエネルギー攻撃を無効化できないからな。

 

「それじゃあ行って来るよ黒歌、レイナーレ。母さん達のこと、よろしく」

 

 二人に振り返りながら後の事を頼む。フェニックス陣営が何かしてくる可能性もゼロではないので、この家を守って貰う人員も必要だ。

 

 レイナーレがため息を吐いてこちらを指差す。

 

「いい。危なくなったら逃げるのよ。あんたに死なれたらわたしが困るんだから! べ、別にこの町だけでしか生きて行けない訳じゃないし」

 

 どうやら彼女なりに気にしてくれていたらしい。ばつが悪そうな顔をする彼女を安心させるために笑って応える。

 

「はは、ありがとう。死にそうになったらそうするよ。とりあえずは、頑張る」

 

「……そう。じゃあ頑張ってくれば……いい、光力の扱いも魔法と同じでイメージが大事よ」

 

 彼女はそう言って少しだけ頬を赤くし、助言をくれる。そしてもう言う事は無いと部屋に戻っていった。

 

 レイナーレが去るのを見届けると、黒歌は人型になって自分を抱きしめる。

 

「黒歌?」

 

「御主人様、絶対に帰ってきてね」

 

「……ああもちろん。黒歌にも……話さないといけない事があるしね」

 

「話すこと?」

 

「ああ。ま、それは帰ってきてからね」

 

 猫モードの時の様に頭を撫でて、いつもの挨拶をする。

 

「行って来ます」

 

「いってらっしゃい」

 

 黒歌の笑顔に送り出されながら、朱乃先輩から貰った転移術式が書かれたスクロールを起動させて、みんなが待つ学園へと転移する。

 

 視界が一度光で覆われ、次の瞬間には部室に立っていた。

 

「お待たせみんな。自分が最後か?」

 

「ええ。あの堕天使と何かあったのではと、心配していましたわ。そしてカッコイイですわ白野君」

 

 朱乃さんが一瞬怖い顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻って自分の格好を褒めてくれる。

 

「そうですか?」

 

「うん。似合っているよ白野君」

 

 近くに居た祐斗も笑顔で朱乃先輩に賛同する。

 

 なぜだろう。同じ格好なのに、祐斗が身につけると格好良さが三割り増しに見える。

 

「祐斗こそカッコイイじゃないか。自分の場合は逆に冒険者とか装備に拘りが無い傭兵みたいな感じだよな。まあ、らしいと言えばらしいか」

 

 戦士とか騎士って感じより自分としてはそっちのイメージの方が妙にしっくりくる。

 

 全員と軽く話したあと、荷物から資料を取り出してテーブルに広げて作戦に穴が無いかチェックしながら時間が来るのを待つ。

 

 全員が揃ってから二、三十分経ったその時、魔方陣が光りそこからグレイフィアさんが現れた。

 

「皆様準備はよろしいでしょうか? 開始十分前ですので、説明を開始いたします」

 

 全員がその言葉に頷きグレイフィアさんの元に集まる。

 

「開始時間になりましたらこの魔方陣で戦闘用に作られた異空間に転移して頂きます。異空間ですので被害を気にする必要はありません。思う存分全力を出してください」

 

 異空間か、生前戦ったアリーナや決闘場を思い出すな。

 

 そしてふと、まだ来ていない人物が居る事を思い出した。

 

「そういえば、もう一人の僧侶はどうしたんだ? この大事な戦いに参加しないのか?」

 

「あ、白野も気になってたか? 俺もそう思ってたんだよ」

 

 自分の言葉に一誠も頷き、一誠はリアス先輩に視線を向け、自分は周りに視線を向ける。すると全員が腫れ物に触るような表情をする。

 

「……残念だけど、もう一人の僧侶は来ないわ。あ、二人共勘違いしないで欲しいのだけど、『参加しない』のではなく『参加できない』のよ。だから今回は私達だけで戦う事になるわ……そう、そうね。あの子の思いも背負っているのだから、ますます負けられないわ」

 

 リアス先輩はそれだけ伝えると、拳を握り決意を固めた表情をする。その表情に一誠と自分はこれ以上訊いても無駄だと思い口を閉じる。そしてこちらの会話が終わったのを見計らってグレイフィアさんが口を開く。

 

「それと今回の戦いは両家の皆様も中継でご覧になっております」

 

 へぇ、観戦できるのか。そのあたりはやっぱり殺し合いよりスポーツに近いんだな。

 

「さらに今回の一戦は魔王ルシファー様も拝見なされておられます。その事をお忘れなきように」

 

「お兄さまが? そう、お兄さまが直接御覧になるのね」

 

「ええ!? ま、魔王様が部長のお兄さま!?」

 

 リアス先輩のお兄さま発言に一誠が驚きの声を上げる。無理もない。自分も声には出していないが驚いている。

 

 驚き戸惑っている自分達に、祐斗が苦笑しながら色々説明してくれた。

 

 なんでも既に初代魔王は亡くなっていて、魔王なくして悪魔は成り立たないという事で今では実力での襲名制度になったらしい。つまり家名に関係無く力のある四人の悪魔が魔王の頂点に位置する『ルシファー、ベルゼブブ、レヴィアタン、アスモデウス』の四魔王を名乗る事になっているらしい。

 

 本来はグレモリー家を継ぐはずだったリアス先輩のお兄さんはその襲名によって今はルシファー、魔王という扱いのため家督を告ぐ事ができなくなってしまい、その結果リアス先輩が家督を継ぐことになったらしい。

 

 魔王なんてセイバーとかギルガメッシュみたいな暴君を予想していたが、祐斗の話を聞くとだいぶイメージと違うみたいだ。

 

 と言うより、この制度って純血悪魔に真っ向から喧嘩売ってないか? だって純血からしたら、横から新しい自分達以外の魔王の家系が出来るわけだし……あれ? そう考えるとこの戦いの意味って?

 

「それと月野」

 

「あ、はい」

 

 祐斗の話を聞いて魔王について考えていた自分の思考が、グレイフィアさんの声に引き戻される。

 

「本来レーティングゲームに人間が参加する等と言うことは想定されていません。よって生命優先を掲げるゲームである以上、あなたの怪我の具合次第では、たとえあなたが戦える状態でも強制退場させる場合があることを覚えておきなさい」

 

「分かりました」

 

 ということは自分は軽い怪我でも退場させられるかもしれないのか、いきなりハードルが一段上がったな。まぁそれでも死ぬよりはマシか。

 

「では、そろそろ時間です。みなさま魔法陣に」

 

 色々考えている間に時間が来たらしく、全員がグレイフィアさんの傍の魔方陣の上に乗る。

 

 そして部室内を光が包み、次の瞬間には景色が一変する。なんて事は無かった。

 

「あ、あれ? 転移失敗ですか?」

 

 一誠が辺りを見回しながら尋ねる。何故なら自分達の周りの景色は一切変わっていないからだ。

 

 視界に広がるのは見慣れたオカルト研究部の部室。だが、ここが異空間なのは間違いない。なんせ空の色が変だし、自然の気が殆ど感じられない。

 

 しばらくするとグレイフィアさんの放送が流れ、ここが駒王学園を基に作られたレプリカの駒王学園だと知らせてくれた。

 

 さて、予想の一つが当たったが、にしてもどうやってここまで詳しく調べたのだろうか。家具の配置まで一緒なんだが。それとも結界展開時に自動的に解析しているのだろうか?

 

 悪魔の情報収集能力や魔法技術に驚きつつ、リアス先輩が全員に作戦会議を行う旨を告げる。

 

 全員がソファーに座るのを確認してから、リアス先輩が荷物から駒王学園の見取り図をテーブルに広げる。

 

「……まさか戦地の候補として『駒王学園』の可能性は考えていたけど、当たるとはね」

 

「こちらの為の配慮でしょう。人数が少ないからせめて慣れた場所と小規模フィールドにして頂けた。といったところでしょうか」

 

 リアス先輩の呟きに地図を見下ろしながら朱乃先輩が応える。

 

「まあいいわ。合宿での話し合いが無駄にならずに済むもの。それじゃあ改めて作戦の確認と修正を行うわ」

 

 リアス先輩の言葉に全員が頷き、それぞれの役割の最終確認を行う。

 

 いよいよゲームの開始だ!

 




一応四巻以降での旧魔王派との会話を読み解いた個人的な解釈がこちら↓

昔=魔王の血筋の者が実力に関係なく魔王の役職に選ばれていた。

今=魔王という役職以外の魔王姓を持つ悪魔は、ただの純血悪魔扱いになった。

多分こんな感じであっていると思う。(そうじゃないと原作での魔王の名をめぐる戦いの辻褄が……)

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