岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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ついにライザーとの直接対決!




【VSライザー 後編】

「もうすぐ運動場です」

 

「ああ――っと?」

 

 運動場が見えたそのとき、爆発音と共に目の前に大量の剣の刀身が地面から生えるという光景が飛び込んでくる

 

 これは、確か一誠の譲渡の力で威力が増した祐斗の魔剣創造か。

 

 合宿で一誠の譲渡能力で神器の強化をした時に見た光景だ。因みにアーシアと自分の場合は回復量が上がるだけだった。

 

『ライザーフェニックスの『兵士』一名、『騎士』二名、『僧侶』一名、戦闘不能』

 

 撃破宣告のアナウンスが響く。凄いな今の一撃で一気に四人も倒したのか。

 

「よし、これで人数は逆転した」

 

「凄いです」

 

「ええ。あとで二人を褒めてあげないといけませんわね」

 

 ライザーの眷属を大量に倒した知らせに三人で喜ぶ。

 

「あっ! おーい、みんなー!」

 

 自分達に気付いた一誠がこちらに駆け寄ってくる。一誠は少し疲れた様子だが、どうやら無事なようだ。

 

 祐斗の方を見ると彼もどうやら無事らしいが、どうも様子が変だ。何かを必至に探すように視線を巡らしている。

 

「どうした祐斗!」

 

「みんな戦車を探して! さっきので倒し損ねた!!」

 

  大声で尋ねると、祐斗が焦ったように早口で答え、その言葉に全員が険しい表情で同じように急いで辺りを見回す。

 

 戦車には『キャスリング』という戦車と王の位置を入れ替える特殊な能力がある。確かにこの状況でフェニックスに出てこられたら厄介だ。

 

 急いで浄眼で辺りを見回すが、頭上から突然プレッシャーを感じ、咄嗟に全員に叫んだ。

 

「上だ!!」

 

 自分の言葉に全員が空を見上げる。そこには悠然と宙に浮き、自信に満ちた表情でこちらを見下ろすライザーの姿があった。

 

「見事だリアスの下僕達。いやはや見違える強さだ。火力のみなら上級悪魔に匹敵するだろう」

 

 ぱちぱちと拍手しながらゆっくりと運動場に降り立つライザー、と同時にアナウンスが響く。

 

『ライザーフェニックスの『戦車』一名、戦闘不能』

 

「ふむ、耐えられなかったか。まぁキャスリングが間に合っただけ良しとしよう。さて、本当はリアスを一騎打ちに誘うつもりだったが、こうなっては趣向を変えざるをえないな。リアスが来るまでに、はたして何人残っていられるかな?」

 

「お兄さま……」

 

 挑発的な笑みを浮かべるライザー、その傍にドレスを纏った頭の左右をいわゆるドリルヘアーにしたツインテールの金髪の少女が降り立つ。よくみるとドレスのあちこちが破れていた。

 

「ん? ああレイヴェル、お前は生き残ったか。流石は俺の妹だ。だが、ここからは俺が相手をする。お前は安全な場所に下がるといい」

 

「ええ、そうさせていただきますわ。それとお兄さま、あのドラゴンの兵士、蓄えた力を譲渡する力を持っておりますわ。それと対象の纏っている物を剥ぎ取るなんていう破廉恥極まりない魔法も使ってきます。そのせいで、彼と戦っていた兵士と僧侶のお二人も、あの騎士の一撃を避け損ねてしまいましたわ」

 

 レイヴェルと呼ばれた女の子はそれだけ伝えると一誠を睨み『この変態!』と叫んで翼を広げて新校舎の方へ飛んで行ってしまった。

 

「――一誠?」

 

 どういうことだ。という視線を向けると、何故か一誠は誇らしげに胸を張りながら答えた。

 

「ふふん。俺の魔法の才能全てを注いで作ったオリジナル魔法で、女の子の服を吹き飛ばしてやったのさ。その名も女性限定で纏っている物を剥ぎ取る男のロマン魔法! 『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』だ!!」

 

 どうだと言わんばかりの自信に満ちた表情でこちらに振り向く一誠。

 

「……最低です」

 

 そんな一誠に小猫ちゃんが軽蔑な眼差しを向けながら無慈悲に告げる。うん。仕方ないよね。正直褒められたもんじゃない。というか、あとでいろんな人に怒られないか? 一応これって両家の親族の皆さんに観られているんだよね?

 

 そして分かっていないな一誠、一部が隠れているからこそ、興奮するのだ!

 

 セイバーの水着しかりキャスターの胸空けゴシックしかり!

 

 しかし生前は結局ラニのあの発言の真偽を確認できなかったのだけが悔やまれる。アトラス院は果たして本当に未来に生きているのかいなか……。

 

 って、今はどうでもいいな。

 

「……ごほん。さて、それじゃあまずは誰から相手して欲しい? 俺としてはお前を指名なんだが?」

 

 全員が自分と同じように唖然としていると、ライザーがワザとらしく咳をして注目を集め直し、改めてキザったらしい笑みを浮かべて自分を指差す。それと同時にリアス先輩から通信が入る。

 

『小猫、キャスリングするわ! こっちに着いたらアーシアを背負って急いで運動場に向かって!』

 

「了解です」

 

 通信が切れると同時に小猫ちゃんの姿が一瞬で消え、代わりにリアス先輩が現れる。

 

「やあリアス。君が来るとは予想外だよ」

 

「そう。こちらとしては今の状況も想定内よ」

 

 二人は互いに不敵な笑みを浮かべて睨み合う。

 

 リアス先輩の言葉はハッタリでもなんでもなく事実だ。合宿で色々イレギュラーな状況、不利な状況を連想して戦略を組み立てた。その中には今のような状況もあった。故に対策済みである。

 

「みんな、作戦通りにお願いね」

 

「「はい!」」

 

 リアス先輩は魔力を溜め始め、一誠がリアス先輩の傍で彼女を護るように立ち、自分、祐斗、朱乃さんが二人を守る為に前に出る。

 

「なるほど。下僕君がリアスの滅びの魔力を強化して俺を一撃で倒す、といったところか。その三人は時間稼ぎってことだな」

 

 ご名答。一誠の譲渡を知っただけで瞬時にそう判断できるあたり、やはりライザーは性格に問題はあるが頭は悪くない。

 

「流石にそれはヤバイな。という訳で三人纏めて倒させて貰おう」

 

 ライザーが掌をこちらに向けると、そこに巨大な炎の球体が生み出される。その球体は更に大きくなって行く。

おいおいどんだけの魔力を込めてんだよコイツは。

 

「さてこの攻撃に耐えられるかな?」

 

 ライザーの手から巨大な炎の球体が放たれ、地面を抉りながらこちらに向かってくる。

 

「自分が対処します! 二人はライザーの足止めを!」

 

「分かった!」

 

「お願いしますね白野君!」

 

 二人は空へと飛び上がり、自分は火の玉目掛けて駆け出す。

 

 近付く度に熱が肌を焼き、目もまともに開けられなくなる。オーラで保護しなければ既にこの距離で皮膚は焼かれ、失明しているだろう。

 

 熱い。怖い。肉体が、生存本能が、この場から逃げ出せと急き立てる。

 

「はあああああ!!」

 

 それらを全て雄叫びと共に吐き捨て、細めた目でしっかりと炎を見据えて神器を発動した左手で球体に触れる。

 

 瞬間、左腕に衝撃を感じ、炎はどんどん左手に収束して行く。

 

 くっ。思った以上に時間が掛かる。

 

 だがそれはこの一撃に込められた魔力の多さの証明でもある。せいぜい有効活用させて貰うとしよう。

 

「俺の炎を受け止め収束している? それが貴様の神器か人間!」

 

「ああ!」

 

 ライザーの問いに肯定の返事をする。むろん嘘だ。正直に答えてやる義理はない。勘違いしてくれるならしてくれた方が助かる。

 

 炎が収束する間に祐斗と朱乃先輩が行動に移る。

 

吸収反転剣(アンチブレード)!」

 

 祐斗が普段は使わない程の大きな透明の刀身の両手剣を作り出す。

 

 すぐに透明だった刀身が青く光り、そこから冷気が迸る。代わりにライザーの周囲にあった炎が弱まり、自分が吸収していた炎も少し弱まって行く。

 

「アンチ……まさかその剣! オレの炎を吸収し、逆属性の冷気に変換して放出しているのか!?」

 

 御名答。もっとも、扱いが難しくて今の木場ではあのサイズしか出せない上に集中するせいで身動きが取れない。その上吸収した属性の対属性にしか変換できない。

 

 それでも役割は十分に果たしているから問題ない。あくまでメインは朱乃先輩だ。

 

凍結閃光(フリーズ・レーザー)!!」

 

 朱乃先輩が手から青白い光線を放つ。一瞬にしてライザーの両足を分厚い氷が覆う。

 

「これは!?」

 

 ライザーが驚愕の表情を浮かべるが、すぐに身体から炎を放出して氷を溶かすが、すぐに朱乃先輩が同じ魔法でライザーを攻撃して氷結させ続ける。

 

 これが自分達三人で考えたライザーを足止めする為の作戦だ。

 

 まず祐斗がライザーの炎を吸収して冷気に変えて放出する。そうすることでライザーの身を守る炎を弱らせ、魔力を消費させ続ける。

 

 そして次に祐斗が放つ冷気によって氷結魔法の威力を底上げした朱乃先輩がライザーを氷付けにする。

 

 そんな二人と一誠達をライザーの遠距離攻撃から守るのが自分の役割だ。

 

 作戦が上手く行って誇らし気な笑みを浮かべる二人。そしてこちらもようやく火球の吸収が終わって一粒の包装紙に包まれた飴玉が現れ。素早く握る。

 

「なんだ今のは?」

 

「さあ? なんだろうね?」

 

 怪訝な表情を浮かべるライザーに挑発的な笑みを返しながら高エネルギーの飴をポケットに仕舞い、リアス先輩と通信する。

 

『あとどれくらい時間を稼げばいいですかリアス先輩?』

 

『一誠の現在の体力を考えると一分のパワーアップが限界ね。あと30秒耐えて』

 

『了解』

 

 視線を前に戻すと、ライザーが肩を震わせ次の瞬間―――愉快気に笑いながら顔を上げた。

 

「はは、はははは!! 素晴らしいぞリアス。やはりオレが見込んだ女だけはある。十日でここまで下僕を成長させるとはな。ますますお前が欲しくなったぞ!」

 

 ライザーが高笑いを浮かべて炎の出力を上げて自身を覆う氷を溶かす。が、その炎はすぐに弱まり、溶ける端から朱乃先輩が再度凍らせて行く。

 

「流石にこの連携はうっとおしいな……仕方ないアレをやるか」

 

 アレ?

 

 ライザーは炎を出すのを止める。その事に二人も怪訝な表情をするが、せっかく作ったこの場の優位を放棄する訳には行かないと行動を続ける。

 

「罠かどうか判らないが。ダメージは与えておくべきか」

 

 ポーチの菓子を食べて回復しつつ、封魔銃を構えてライザーに向けて連射する。ライザーの体に光の弾丸が何発も当たる。

 

「ぐっ。これは流石に少し痛むな。人間、覚えていろよ」

 

 光の弾丸を何発も受けてもライザーは少し顔を顰めるだけで、ダメージらしいダメージは受けていないようだった。それどころかこちをの睨む余裕まである。しかし反撃する様子は無い。いったい何を狙っているんだ?

 

 とりあえず自分も距離を詰める。兎に角あと20秒は時間を稼がないといけない。

 

 ん? 

 

 ライザーに近付くにつれて彼の変化に眉を顰める。

 ライザーの肌がどんどん赤く、彼の体の周りの僅かな空間だけ、まるで蜃気楼の様に歪んでいた。そして朱乃さんの魔法も、一度は凍結させるが、すぐにライザーに触れた箇所から溶けて行く。

 

 ライザーのあの様子、まるで熱を持った鉄板のようだが……っ!?

 

 瞬間、ライザーの狙いに気付いて足を止めて慌てて二人に向かって叫ぶ。

 

「二人共離れろぉぉおお!! ライザーは自爆するつもりだ!!」

 

「「!?」」

 

 二人が驚きに目を見開いた瞬間にライザーの口が釣り上がった。

 

「気付くのが遅かったなぁああ!!」

 

 ライザーの体が閃光のような強烈な光を放つと同時に爆発する。瞬間、奴の溜め込んでいた高熱の炎が爆発の勢いと共に自分達目掛けて放たれる。

 

 くそ、やられた。不死なのだから自爆を利用するのは当たり前だ。どうして気付けなかった!

 

 己の浅慮さを恨みながら、もはや周りに見られていることなど気にしている暇はないと、《code・gain_mgi(D)》を唱えて魔力耐性を強化し、全身をオーラで覆って炎の波の前に立つ。

 

「無茶だ白野!?」

 

「退く訳にも行かない! 一誠、受け取れ!!」

 

 一誠の制止を無視して、ポケットの飴をポーチに仕舞って残りの菓子共々一誠に投げ渡す。

 

「ポーチには悪魔対策にアーシアに教わって作った自作の聖水と十字架も入っている! 足止め程度の役には立つはずだ!!」

 

 視線を一誠から炎に戻す。あれも魔力で出来た炎である事に変わりは無い。ならば触れさえすれば防げるはずだ。

 

 朱乃さんと祐斗は自分達の方に放たれた炎に対してそれぞれ剣と魔法を展開して防ごうとしていた。正直二人を助けたいとも思うがこちらに向かう波を自分がなんとかしないとリアス先輩と一誠に力を使わせることになる。

 

「うおおおおおお!!」

 

 迫る炎が手に触れる。予測通り炎に触れた瞬間衝撃はあったがなんとか炎を受け止め、収束させる――が、その収束は途中で止まり、次に自分の視界に移ったのは目の前の切り裂かれた炎の波と――宙を舞う自分の肘から下の左腕だった。

 

「悪いが二度同じ手は食わん。お前から排除させて貰うぞ」

 

「――っ!?」

 

 切り裂かれた炎の波の向こう側には、炎を収束させて作り上げたであろう燃える剣を持ったライザーが立っていた。

 

 自分の腕は宙で燃え、地面に落ちるころには黒い墨と化していた。そしてそこまで見送って初めて左腕から激痛を感じ、顔を顰める。

 

「――っがあぁっ!?」

 

 痛い! 痛い!!

 

 痛みに顔を歪ませ地面をのた打ち回りたくなる。

 

 だがそんな恐怖と痛みに屈しそうになっているというのに、自分はライザーが目の前にいるという事実を確認し、思ってしまう。

 

 ――チャンスだ。っと。

 

 手が届く距離で無防備に立つ相手。

 

 しかもどうやら既にこちらに興味を失ったのか、追撃する様子すら無い。

 

 攻撃するなら今しかない!

 

 涙が溢れるのを、膝を付きたいのを我慢して目を見開き、自分が持てるエネルギーを全て右手に収束させる。

 

「おおおお!!」

 

 前のめりに倒れるくらいの勢いで思いっきりライザー目掛けて踏み込む。

 

「《code:shock(C)》!!」

 

 こちらの行動に驚いた表情を浮かべるライザーを睨みながら、右手のオーラの一部を使って魔術を行使し、残りを全て光力に変えてライザーの鳩尾に叩きつける。

 

「がっあああ!?」

 

 ライザーがその場に膝を付き、もがき苦しむ。当然の結果だろう。なんせ仙術で光力を体内に透したのだから。今のアイツは内側を光力で焼かれているようなものだ。

 

 熟練の者なら今の一撃でライザーの魔力の流れすら絶てるのだろうが、自分にはまだ無理だ。生前出会ったアサシンならやれると思う。というかむしろ元祖かあの人?

 

 なんて馬鹿な事を考えている内に意識が朦朧とし、足に力が入らなくて身体が崩れ落ちて行く。

 

 一応保険として肉体を麻痺させる魔術も使用してやったが、あまりオーラを込められなかったから効果は低いだろうなぁ。

 

 ま、無いよりましか。少なくともほんの僅かな間は通常通りには動けないだろう。ライザーは肉体を鍛えているようには見えないしな。

 

「何、をした!? 人間ごときがぁぁああ!!」

 

 怒りの形相で地べたを這いずるライザーを尻目に、左腕の激痛とオーラが底を付いた事による疲労でについに肉体が耐え切れなくなって身体が横に傾き、そのまま地面へと向かって行く。

 

『リアス・グレモリーの『騎士』一名、『女王』一名、『助っ人』一名、戦闘不能』

 

 ああ、祐斗達もダメだったが。

 

 視界を転移光が覆い、無情なアナウンスを耳にしながら、今度こそ意識を失った。

 




と言うわけで白野は退場しました。彼がライザーをボコにするのを期待した人は許してください。代わりに次回、彼がボコボコにしてくれますからフフフ。


【原作の技・装備解説】
『注意:効果の名称が略称で正式名が分からない物もあるのでルビは振っていません。申し訳ない』


装備名:『純銀のピアス』『純銀のアンクレット』
効果:『gain_mgi サーヴァントの魔力を強化・大幅強化』
解説:『マスターの魔力をサーヴァントに送る不思議なピアスとアンクレット』

そのままサーヴァントの魔力を強化するスキル。アンクレットの方が効果が高い。


装備名:『破邪刀』
効果:『shock 敵にダメージ+スタン』
解説:『かつて鬼を斬ったといわれる伝説の刀』

相手にダメージとショック(麻痺)という状態異常を与えるスキル(絶対ではない)
それと麻痺するのは原作では六回攻撃中に一回だけ(だった筈……)
地味に主人公のレベルの8倍近いダメージを与える最高威力の攻撃スキルでもある。

作品中では数秒の麻痺効果として表現しています。相手次第では未発動の場合もあり得る(今回はライザーが油断してたので発動した)

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