岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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はい。という訳でタイトル通りの彼が登場します。



【引き篭もり吸血鬼は女装趣味】

 ミカエルさんから色々と貰った翌日。いきなり腕が生えたのに学園でも近所でも誰も気にしていなかった。

 

 リアス先輩に聞いたらやはり例のピカーという暗示が行われたんだとか……いい加減脳に影響が出るんじゃないか?

 

 そして放課後に一度全員がオカルト研究部に集まり、今は旧校舎にある『開かずの間』と呼ばれる部屋の前にやって来ていた。

 

 扉に張られていた札を小猫ちゃんと木場が剥がし、朱乃が扉の前で魔方陣を展開すると、扉にも魔方陣が浮かび、朱乃が自分の前に展開した魔方陣を指で弄りながら詠唱を始める。

 

 その間に封印されている眷属について何も知らない一誠と自分とアーシアがリアス先輩に色々と尋ねる。

 

「ここに封印されているんですか?」

 

「ええ。彼は元々は吸血鬼と人間のハーフだったの。人間の部分がある為に神器を宿し、更に日中でも動けるデイウォーカという吸血鬼でも希少な種で、本人には魔術の才能もある。純粋な能力値で言えば朱乃以上かもしれないわ」

 

「たしか封印されたのは力が制御できないからと朱乃から聞きましたが、具体的にどういった能力なんですか?」

 

 軟禁されるほどだ。余程強力で危険な神器なのは想像に難くない。

 

「神器の名前は『停止世界の邪眼(フォービトウン・バロール・ビュー)』能力は視界に映るモノの時間を停止させるといった厄介なものよ」

 

「じ、時間停止って、反則級の能力ですね」

 

「いや、お前の倍化能力だって似たようなものだろ」

 

 一誠が驚いているが彼の能力だって似たようなものなので一応ツッコミを入れておく。

 

「あなたの『王の証』だって十分破格よ。なんせ道具を収得すればその能力を使えるのだから」

 

 リアス先輩がそう言って苦笑して説明を再開する。

 

「問題はその神器を彼が制御できずに無意識に能力を発動させてしまっていること。しかも彼の場合はなまじ才能があったのか神器の力が自然と成長してしまっている。このまま行けば禁手にまで至ると言われているわ」

 

「……なるほど。時間停止なんて能力が、しかも禁手で暴走したら、いったいどんな被害が起こるか判らない。だからこその封印って事ですね?」

 

「ええ。ただフェニックス戦での一誠、そして先の事件での祐斗、二人の眷属が禁手を使って無事でいる事も評価されたことで彼の封印が解除される事になった訳よ」

 

 禁手。自分はまだ至っていないが、二人の力を見るにかなり危険な領域の力だ。

 

 ――大丈夫なのか?

 

 神器は意志によって扱う力だ。意思が、心が弱っていてはちゃんと成長しないし制御できない代物だろう。なのにいきなり外に出すのは些か性急な気もする。

 

「彼はずっとこの部屋で暮らしていたんですか?」

 

「ええ。本当は深夜なら旧校舎を自由に歩けるのだけど、彼は自分の意思で部屋から出ようとしなかった。それと彼はわたし達グレモリーの仕事では一番の稼ぎ頭よ」

 

「引き篭もりなのに?」

 

「面と向かって会いたくないって人も多くてね。そういう類の相手には別の形で依頼と交渉を行うの。彼はそれをパソコンで行っていて、パソコンを介した依頼達成量では悪魔界でも上位に入るわ」

 

 ジナコがいたら『ひゃほう! ジナコさんマジの勝ち組に入れる~』なんて言ってすぐにでも悪魔に転生して引き篭もりそうだ。

 

 というか、これから会う相手がそんなタイプだったらどうしよう。キャラの濃いグレモリー眷属だ。その可能性も考慮して心の準備をしておこう。

 

「……部長、解除しましたわ」

 

 心の中で失礼な決意を固めていると、朱乃の解除が完了したのか扉の前の大きな魔方陣が光となって消えて行く。

 

「ありがとう。さて、それじゃあ小猫、祐斗、開けて頂戴」

 

 リアス先輩がそう指示を出すと、二人は左右から扉を開く――その瞬間、絹を裂いたような悲鳴が響き渡った。

 

「イヤァァァァアアアア!!」

 

 部屋の中で何かが動きバタバタと音が響き渡る。

 

 その様子にリアス先輩と朱乃が溜息を吐きつつ部屋へと進入する。

 

「入るわよギャスパー」

 

「お久しぶりねギャスパー君」

 

「ヒィィ!? なな、なんですか!?」

 

 んん? 相手の声が中世的過ぎないか? 男と聞いていたんだが?

 

「とりあえず俺達も入るか?」

 

「そうだな」

 

 一誠の言葉に賛成し、アーシアも居れて三人で部屋へと入る。

 

 ……ずいぶんとカワイイ感じの部屋だ。本当に男が住んでいるのか?

 

 閉められたカーテンはレースのピンク。壁際には可愛いらしいぬいぐるみが棚に飾られ、服が入っているだろうクローゼットが幾つかある。その脇に西洋の棺桶らしき物が置かれていた。そこにはマーブル柄の枕と小さなぬいぐるみが置いてあった……まさか寝床か?

 

「うおおぉぉおお! 凄い美少女が!」

 

「ヒィィイイッ。なななんですかぁぁ!?」

 

 自分が部屋を見回している間に一誠が目的の人物を見付けたのか、物凄く興奮した様子で叫んだ。

 

 彼の視線の先を見ると、そこには朱乃とリアス先輩に無理矢理引っ張られている小猫ちゃんと同じくらいの小柄な身長で、金髪を耳元辺りで切り揃えたボブカットの少女がいた。

 

 なぜ少女と判断したかと言えば女子の制服を着ていたからだ。外見も少女にしか見えない。

 

「……あの朱乃。肝心の僧侶は?」 

 

「この子ですわ。名前はギャスパー・ヴラディ。これでもれっきとした男の子ですわ」

 

「「……はい?」」

 

 三人で首を傾げる。

 

 え? だって、ええぇ?

 

 セイバーであるネロが男装した女性だと知った時以上の衝撃だった。

 

 不意に隣から何かが落ちる音が聞こえてそちらへ振り返ると、一誠が蹲っていた。

 

「――詐欺じゃねぇえええかぁあああ!」

 

 そして心の底から、腹の底からの叫びが放たれた。

 

「なんで引き篭もりなのに女装なんだよ! 誰得だよ! 普通女装って見せたり見られたりする為にするんじゃねえのかよ!!」

 

「ヒィィイイッだだ、だって女の子の服の方が可愛いんだもん!」

 

「だもんとか言うな! しかも似合っているのが余計に腹立つ! チクショオオオ! 一瞬夢見た俺のアーシアと並んだ金髪美少女セットの夢を返よぉぉおおおお!!」

 

 仕舞いにはまさかの号泣である。

 

 いや、気持ちは分かるが……そこまでか一誠よ。

 

 そんな一誠に小猫ちゃんが『人の夢と書いて儚い』なんて言って止めを刺していた。

 

 ……もう放って置こう。

 

「ああ、あの。この人達は誰なんですかぁ?」

 

 ギャスパーちゃん……じゃなかったキャスパー君がリアス先輩の背後から恐る恐ると言った感じにこちらを覗き込んで来る。

 

「あなたがここにいる間に増えた仲間と、事情を知っている人間の友人よ。そっちで落ち込んでいるのが『兵士』の兵藤一誠。そっちの金髪の女の子があなたと同じ『僧侶』のアーシア・アルジェント。そして最後が我々の信頼する友人、神器を持つ人間の月野白野よ」

 

「ううう……よろしくな」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「よろしく」

 

「ヒイイィィ! 人がいっぱいで怖いぃぃ」

 

 えぇぇ……。

 

 自己紹介した瞬間に軽い悲鳴を上げられた。おいおいジナコ以上に大変そうな子じゃないか。

 

「ギャスパー、お願いだから一度外に出ましょう。ね? せっかく封印が解かれて軟禁が解除されたのだから」

 

 子供に言い聞かせるように優しく諭すリアス先輩。しかしギャスパーは首を振って拒絶する。

 

「無理ですうぅぅ! 僕が外の世界で暮らすなんて無理です! 怖い! お外怖いぃぃ!」

 

 隣を見ると一誠の表情が険しくなっていた。うん、まあ気持ちは分かる。ちょっと卑屈過ぎないかなこの子?

 

「どうぜ僕なんかが外の世界に出ても、周りに迷惑をかけるだけなんですぅぅ!!」

 

 ……どうしよう。若干イラっと来たけどギャスパー君の事情が事情だけに怒っていいか迷う。

 

「だああもう、うだうだと! とりあえず部長が出ろって言ってるんだから一回出ようぜ!」

 

 一誠が我慢の限界に来たのか、ずかずかと進んで行ってギャスパーの腕を掴もうとしたその時――ギャスパーが悲鳴を上げる。

 

「ヒイイイィィィ!」

 

 瞬間、おかしな気配を感じて咄嗟に聖剣を取り出して二つの能力を発動した。

 




原作よりも可愛い物好きの男の娘成分多めになっております(どうせだからそっちにはっちゃけてみた)

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