リリカルなのはCrossBLEACH~魔法少女と死神代行~ 作:颯真
これからは週に一・二回は更新できるようにします。
こんな作者ですが、これからもお付き合いしてもらえると嬉しいです。
あなたが月となるのなら
私は、あなたを輝かせるための
夜になりたい
「……う、ううん…あ?」
徐々に意識を取り戻しながらゆっくりと一護は目を開ける。顔を横に向けるとそこには自分の手が見えた。どうやら自分は大の字になって倒れているようだ。顔を正面に戻してみると濃い霧に覆われた空が見えた。
「……ここ…どこだ?」
一護は頭を手で押さえながらゆっくりと起き上がる。視界が少しぼやけるため手の甲で両目を擦り、辺りを見回す。周りは濃霧に覆われておりどんな場所なのか判別できない。
「なんだここ?俺はどうして?……ッ!そうだ!俺はヴァルトリアの奴と戦って!」
そう、確かに自分は尸魂界でヴァストローデの虚、ヴァルトリアと戦い互いの最大攻撃を撃ち合った。そしてぶつかり合った霊圧の膨張に巻き込まれたはずだ。それが何故このような場所にいるのか一護は分けが分からず頭を抱えてしまう。
「とりあえず、どこなんだここ?現世じゃねぇみてぇだし、でも尸魂界ともなんか違う感じが……ってあれ?俺いつの間に卍解解いたんだ?」
一護は立ち上がり、今の自分の姿に気付く。自分の姿が始解の状態に戻っていることに。ヴァルトリアと戦ったとき、確かに卍解していたはずなのに。一護に卍解を解いた覚えはない。一体どういうことなのか。
「…まあ、別にいいか。体には特に異常はなさそうだし」
ここで四の五の考えていても答えが出るはずもないので、一護は一先ず思考を止めすぐ側に落ちていた自分の相棒・斬月を拾い背中に差す。
「つーか、ホントにここどこだよ?こう霧が濃くちゃなんも見えねえなクソ」
視界の悪さに悪態をつく一護。だがここでじっとしていてもどうにもならないので、とりあえず人を探しに歩き出すことにした。
「おーい、だれかいねぇかー。ルキア―、井上ー、チャド―、石田―、恋次―」
周りに向かって大声で呼びかける一護。仲間たちの名前も言ってみるが、やはり返事は帰ってこない。いくら呼んでも声は濃霧に吸い込まれていくだけだった。
「やっぱダメかー。しっかしホントにすげぇ霧だな。これじゃあどっちに進みゃあ良いんだか………ん?」
あまりの霧の深さに一護は一旦立ち止まって辺りを見回す。すると視界の端に何かが入り込む。そちらに目を凝らすと、それは人影だった。それも倒れている。そうだと知ると一護は慌ててその人影に駆け寄る。
「おいあんた、大丈夫か!?」
倒れている人影のすぐ近くまできてその人影の姿を確認した。倒れていたのは女だった。一護はその場にしゃがんでその女性をよく目に映す。
腰の辺りまで届く長い銀色の髪、歳の頃は恐らく十代後半、一護と同じか一つ上ぐらいだろう。黒を基調とした見慣れない服を着ていた。
顔立ちはとても整っており、間違いなく美人に分類されるだろう。一護の周りにも織姫や乱菊など顔立ちの整った女性は多いのだが、彼女のはどこか穏やかな雰囲気を感じさせる。少なくとも一護には初めて見るタイプだ。
「怪我はなさそうだな。起こしてみるか」
目立った外傷も見られないので一護は、銀髪の女性を軽く抱き起して体を揺すってみる。
「おいあんた、しっかりしろ。おい」
「…う、うう……」
すると僅かに反応があった。一護は今度は少し強めに揺する。
「…うう……うん」
やがて女性はうっすらと目を開け始めた。瞼の隙間から赤い瞳が一護を見つめる。
「ここは…?あなたは?」
女性は一護の手を借り、ゆっくりと起き上がる。
「大丈夫か?どっか怪我とかしてねぇか?」
女性の体調を気遣う一護。女性は自分の両手を見ながら信じられないといった表情をしていた。
「私は…どうしてまだ存在しているのだ?私は……消えたはずでは…なかったのか?」
まるで自分が生きているのが信じられないというような言葉。一護はそれを不可解に思ったが今は女性の状態が第一である。
「えーっと…大丈夫……なのか?」
再度訊ねると、女性はそれに反応して一護のほうを向いた。
「あ、ああ。大丈夫だ。すまない」
女性がそう答えると一護も安心し、笑みを浮かべた。
「ところで、ここは一体どこなのだ?随分霧が深いようだが」
辺りを見回して一護に訊ねる女性。その質問に一護はボリボリと頭を掻いて言いづらそうに話す。
「あ~、悪い。俺もここがどこだかわからねぇんだ。目が覚めたらこの場所にいてよ。何が何だかさっぱりだぜ」
「そうだったのか」
「…ああ。悪いな。あんま役に立てなくて」
一護はすまなそうな顔をしたが、女性は笑って顔を横に振る。
「そんなことはない。あなたはこうして私を見つけてくれた。もしあなたがいなければ、私はこの濃霧の中を一人で当てどなく彷徨うところだった。感謝している」
「…お…おう」
柔らかな笑みを向けられて、一護は思わず顔を逸らしてしまう。照れくさいのとルキアや織姫等以外の女性に笑顔で礼を言われたことの少ないために一護はどう答えれば良いのかわからなかった。
「そ、そういや、まだ名前訊いてなかったな。俺は黒崎一護だ」
話題を変えて自己紹介をする一護。女性の方も自分の名を名乗ろうと口を開く。
「私は闇の……」
彼女は自分のかつての名を名乗ろうとしたが、思いとどまった。自分にはもうその名前は必要ないのだ。今の自分には新しい名前がある。あの強く優しい最高の主である少女から送られた祝福の輝きを宿した名前が。
「私は…リィンフォース。私の名は………リィンフォースだ」
ここに世界を変えた死神代行と長き闇の呪縛より解き放たれた祝福の風が邂逅を果たした。
相変わらずの駄文ですが、読んでくださると嬉しいです。
それでは次回をお楽しみに