リリカルなのはCrossBLEACH~魔法少女と死神代行~ 作:颯真
そろそろ、こっちの方も進めようと思って更新しました。
よければ、見て下さい。
それと突然ですが、私が書いているもう一つの小説の『龍剣使いの魔帝』を削除しようと思います。
詳しいことは活動報告に書いてありますので、読んでみて下さい。
では、どうぞ。
この手に力が欲しかった
護るために、抗うために
刃という名の力が
リィンフォースと闇の書の悲しみと苦しみの過去を聞いた一護は、リィンフォースに自分の過去を知ってもらおうと思い、重く塞がりそうになる口を開けて語り出した。
一護の少年時代。そして一護を見守り続けた一護にとって決して忘れられぬ母・黒崎真咲のことを。
「俺んちは、なんつーかな…お袋を中心に回ってたんだ」
「あなたの、お母上を中心に?」
一護の言った言葉が理解しづらかったのか目を白黒させるリィンフォース。
「ああ。うちの連中は皆、親父も妹たちも、お袋のことが大好きだった。俺もガキの頃はお袋にべったりでな。しょっちゅうひっついてたよ」
幼いころを思い出し苦笑いを浮かべる一護。思い起こされる幼少期。そのどれもに母の笑顔が焼き付いている。
「俺はお袋の笑ってる顔が好きだった。優しくて暖かくって、太陽みたいな笑顔だった。俺はお袋が怒ったりしてるところをあんまり見たことがなかったんだ」
そう。一護は母の怒った顔をあまり見たことがなかった。思い出される記憶の中にある母の顔はどれも笑顔ばかり。
あの頃はその笑顔をずっと見続けれるのだと思っていた。そう信じていた。
「俺の『一護』って名前はな、何か一つのものを護れるようにってお袋がつけてくれた名前なんだ」
それを聞いたリィンフォースは唐突に一護に親近感を覚えた。大切な人から大切な名前を貰ったのは自分もまた同じであったからかもしれない。
「…そうか、素敵な人だな。あなたのお母上は」
母に手放しの賛辞を送ってくれる彼女に一護は「ありがとな」と短く礼を口にする。
「それを聞いたとき思ったんだ。だったら俺は、お袋を護ろうって。お袋の笑顔を護ろうって…そう思った。……でも、あの日…」
「あの日?」
急に表情を暗くする一護に戸惑うリィンフォース。何か只ならぬ空気を感じて一護をじっと見つめる。
「あの日、お袋は…殺されたんだ……虚に」
「―――ッ!!」
一護の口から話された衝撃の事実にリィンフォースは息を呑んだ。それから一護はポツリポツリと母が死んだときの出来事を話し出した。
ある雨の日。自分と母は一緒に家路についていた。他愛無い話をしながら母と一緒に歩く時間は雨の中であっても決して苦ではなかった。
そんな時、ふと一人の少女が一護の目に留まった。まだ幼かった一護はその頃生きている者と霊の区別が出来ていなかった。故に一護はその少女を助けようとした。しかしそれは、ある虚が一護を食らうために仕掛けた罠だった。
真咲は一護を庇い虚の凶刃を受け、命を落とした。
目を瞑れば何度でも鮮明に思い出せる。自分を庇うように抱き締めながら倒れている背中から血を流した母の姿。当時は何が原因だったのか分からなかったが、後に母の命日にグランドフィッシャーという虚に遭遇し、そいつの仕業だと判明した。母の仇を討とうとした一護だったが、深手を負わせたところで逃げられてしまった。
あの雨の日の出来事は今でも自分の心に焼き付いている。いや、恐らく一生消えることはないだろう。消してはならないのだ。この記憶は自分が背負っていかねばならないモノなのだから。
「一護…あなたが戦うのは……復讐のためなのか?」
一護の母の死の真相を聞いてリィンフォースは一護に訊いた。訊かずにはいられなかった。自分から愛しい存在を奪った怪物。憎まずにはいられないと思う。憎んでも仕方がないと思う。だがそれでもリィンフォースは信じたくなかった。このかつて自分を救ってくれた主である少女と同じ優しさを持つ死神の少年がそんな悲しい理由で戦っているなど。
しかし、問い掛けられた一護は目をキョトンとさせたあと苦笑を浮かべた。
「…っはは、別にそんなんじゃねーよ」
実にあっけらかんとした口調で一護は答えた。あまりに率直な返答に今度はリィンフォースがキョトンとする。
「…確かに、お袋を殺した虚に思うところがないわけじゃねぇ。それが理由かと訊かれたらそれもあると思う。…でもな、それ以上に俺は俺の同類を作りたくねぇんだ」
「あなたの…同類を?」
「ああ」
何も気負うことなくただ自然と、ただ滔々と、一護は言葉にしていく。自分の信念を。自分がが戦う理由を。
「お袋が死んで、俺の家族は皆辛い思いをした。俺も親父も妹たちも。そんなのはさ、もういらねえって思うんだ。誰かの悲しむ顔なんて、俺はもう見たくねぇ」
長い間自分が家族から母を奪ってしまったという自責の念に駆られていた一護だったが、真咲の残留思念が残した言葉と父・一心にかけられた言葉で葛藤を振り切り新たな決意を固めた。
「俺はスーパーマンじゃねえから、世界中の人を護るなんてでけぇことは言えねぇ。けど、両手で抱えられるだけの人を護れればそれでいいなんて言えるほど、控えめな人間でもねぇ。俺は……山ほどの人を護りてぇんだ」
それが一護の戦う理由。あの母の命日での戦いを越えて得た覚悟だった。
そんな一護の言葉を聞いてリィンフォースは改めてこの死神の青年を見た。自分の戦う理由を口にする彼の目はとても澄んでいた。迷いはなく、どこまでも自分の信念を貫くという確固たる意志を秘めた目だった。
聞きようによっては子供の絵空事のようにも聞こえるかもしれない理由。でもそんな理由をこれほどに迷いなく純粋に口にできる者がそうそうにいるだろうか?
いや、きっと彼ぐらいのものだろう。『護る』。その言葉をここまで真っ直ぐに口にできる者など。
やがて一護の横顔を見つめている内に自分の胸が強く脈打っていることにリィンフォースは気づいた。
「ッ!?」
その鼓動に気付いたリィンフォースはさっと自分の胸を手で押さえた。これは一体何なのだろう?数千年を生きてきた自分に初めて芽生えた感情にリィンフォースは戸惑っていた。
一護の顔から目が逸らせない。彼の顔を見ていると段々と動悸が早まり次には自分の顔が熱を帯びていくのを覚えた。
「?リィンフォース、如何した?…顔、真っ赤だぞ?」
一護に指摘されて、ようやくリィンは自分の現状を理解した。
「ふぇっ!?い、いや、なんでもない!なんでもないんだ。本当に!!」
あわあわと手を振りながら必死に誤魔化そうとするリィン。普段のクールな雰囲気を醸し出す表情は今や完全に崩れてしまっていた。
「?そ、そうか?」
明らかになんでもありそうな様子だが、本人がそういうのならそういうことなのだろうと納得する一護。
「…ありがとう一護」
幾分か落ち着いてきたリィンは唐突に一護にお礼を口にした。
「何だよ、いきなり?」
突然の礼に戸惑う一護。そんな彼にリィンは穏やかな微笑を向ける。
「あなたの過去を話してくれて、嬉しかった。おかげで、あなたのことをもっとよく知ることが出来た。だから、ありがとう」
「…お、おう。そうか?」
真正面からの謝辞と微笑に照れ臭くなった一護は赤面した顔を横に向け頬をポリポリと掻いた。
「そ、そんじゃあ、そろそろ移動すっか?いつまでもここにいても仕方ねぇしよ」
照れ臭いのを誤魔化すように提案する一護にリィンは笑顔で賛成する。
「そうだな。行くとしよう」
そして二人はまた並んで歩き出すのだが、
「ちと待ってはくれぬか。死神代行と祝福の風よ」
突然、二人の耳に届いた第三者の声。それはここに来るまで一度も聞かなかった声だ。
「―――ッ!?誰だ!!」
「何者だ!!」
二人は瞬時に構えを取った。一護は背の斬月を掴み、リィンは自分の足元にベルカ式の魔方陣を発動させた。そして、声の聞こえてきた方―――湖を鋭く睥睨する。
「おお、すまんすまん。驚かせてしまったようじゃの。そう構えんでくれ。儂はお主たちの敵ではない」
低くしわがれた老人の声。確かに敵意は感じられないが、油断はできない。一護は湖から目を離さずに声の主に向かって叫ぶ。
「どこに居やがる?姿を見せやがれ!」
すると、湖の水面から何かが浮かび上がってきた。いや、浮かび上がるというよりはまるで水面を通過するかのようだった。
水面から現れたのは白い着物を着た杖を持った豊かな白髭を蓄えた老人だった。
「…誰だ、あんた?」
一護の簡潔な問いかけに白い老人は口を開く。
「お初にお目にかかる。死神代行・黒崎一護。そして祝福の風・リィンフォース。儂の名は
白い老人―――白道仙人は緩やかな微笑みを浮かべて二人に告げた。
というわけでオリキャラの登場です。いかがでしたでしょうか?
一護の物語が本格的に幕を上げてきました。
ここまで結構な時間が掛かってしまい、ほんとうに済みません。
ところで前書きでもお知らせしましたが、『龍剣使いの魔帝』を削除することにしましたので詳しいことは活動報告をご覧ください。
それでは、次回をお楽しみに。