日が南中して春にもかかわらず、ギラギラとした太陽が容赦なく照りつけてくる放課後。
闘技場には1~3年生まで多くの生徒達が集まっていた。
「なぁ、聞いたか?あのフレイア様に1年の首席が勝負を挑んだらしいぜ!」
「マジで!?王族に勝とうとか有り得ねぇっつーの!」
誰もが王族であるフレイアが勝つと思っている。対戦自体を見に来たと言うより、2,3年生はフレイアの実力を見に来たと言っても過言ではない。
しかし、中には二人の対戦を待ち望むもの達もいた…
~闘技場の特別席では~
「ねぇ、君達は誰が勝つと思う?」
突然、赤い髪が印象的な少年は周りの人達に問い掛ける。それに反応したのかガタイの良い男が当然の様に答える。
「リク、幾ら何でも当たり前過ぎないか?どう考えたって王族の方だろ!」
ガタイの良い男が答えると、リクと呼ばれた少年は「だよねぇ~」と納得している。
「まだ、分からないんじゃないかしら、テッド?」
「お?アリサ、久々に乗り気だねぇ~首席の方に気があるの?」
アリサの肩を組む黒髪の少女は意外そうな顔をして問いただす。アリサは少年の腕を振りほどいて言う。
「違うわよ、アカリ!ただ、見た目や家柄だけで判断しない方がいいんじゃないかしら。」
「そうだな。あくまで相手は1学年の首席だ。」
アリサの意見に賛成をする爽やか少年は闘技場の中央を観ながら呟いた。
すると、リクは腕を頭の後ろに組ながら面白そうな顔をしている。
「あの会長と副会長が言ってるんだもんな。これは楽しみだ…」
学園トップクラスの実力を持つ生徒会もこの戦いを大いに注目していた。
~一般応援席にて~
「始まっちゃうよ、セシル!はーーやーーくーー!!」
「待ってください!リンちゃん!」
応援席の階段をかけ上がって大きく手を振る少女は、ハジメと同じ仕事を共にしている少女『セシル・クライアント』と共に見に来ている。
「ほら、早く座る座る!!じゃないとセシルのいとしの王子様が観れないよ~」
「//もぅ、あんまりその事は言わないでくださいよ!!」
セシルはほんのり頬を赤く染めるて、リンをポカポカ殴る。(勿論ダメージはない)
セシルは同い年のハジメと警備隊の仕事を共にしているとその姿に惚れてしまったらしい。ちなみに、これを知っているのは彼女の幼馴染みであるリンだけである。
「ほらほら、王子様が出てきたよ!」
「え!?何処?」
リンの言葉に闘技場を見渡すセシル。闘技場の中央にはハジメとフレイアが既に出場している。
「(ハジメさん、頑張って……)」
セシルは心の中でそっと呟いた。
舞台は闘技場に戻り、ハジメは闘技場の中央でフレイアと向かい合っている。
「あら、良く怖じけずにここまで来ましたわね。そこは褒めてさしあげまてよ?」
「その言葉、そのままそっくり返すよ。」
「……な!平民の分際でいい気にならないでくださる!!早く始めましょう!」
フレイアは言葉と共に杖を構える。恐らく、こちらも杖を構えた瞬間に決闘が始まるだろう。
俺は大きく深呼吸した。
ルールは相手が降参と言うか、先頭不能にするまで戦い続けると言うシンプルなもの。そのシンプルさが逆に個人の戦略や技術が要求される。
兎に角、今は頭の中を真っ白にするんだ。何も考えず決闘直後に全ての“計算”を行うんだ。
ハジメはそっと目を開いて、杖を構えた。そして、審判の先生が腕を挙げて声を出す。
「始め!」
その瞬間、二人は同時に距離を取る。
片方が杖を挙げる。
最初の一手はフレイアだ。
「『ファイア』!」
フレイアが叫ぶと、複数の火の玉が出現する。初級魔法の『ファイア』だが、フレイアの威力は明らかに初級魔法のレベルを越えていた。
流石は王族のお嬢様と言ったところか……
ハジメは『ファイア』を素早くかわす。
確かに、『シールド』を使うことも出来るが、フレイアの魔法の威力だと何の役にもたたないだろう、と判断した。
「…な!?当たらない!?」
フレイアは驚いた様子でハジメを見ていた。自分の魔法を初見でかわされるとは思っていなかったんだろう。
「こんなものか……」
ハジメの言葉にイラッと来たのか、フレイアはもう一度杖をかざす。
「『フレア』!」
フレイアは中級魔法の『フレア』を大量に発動する。2,3年生でも中級以上をこれ程の量出現させるには苦労するだろう。
まさに集中砲火を浴びせる様に魔法をハジメに放った。業火の様な火の玉が流星群の様にくれば避けられない、と確信していたのだろう。
しかし、彼女は大きなミスをしていた。
それは相手がハジメであったことである。
ハジメは業火の流星群を目の前に笑みを浮かべた。ハジメはこの学園で自分の実力が何処まで通じるのか試して見たかった。そして、目の前には自分の実力を遥かに越える魔法を使う相手。もう楽しみでしょうがなかった。
ハジメはその思いを胸に呟いた。
「アビリティ発動!」
ハジメの脳内で様々な計算が行われる。
目で全ての業火の距離感覚を把握し、そこから避けられるルートを検索。そして、ありとあらゆる事態を想定して魔法を組み立てる。
これらを一秒、経つか経たないかの所でやってのけた。
これがハジメの特殊アビリティ『超感覚』
10分しか使う事が出来ないが中枢神経と末梢神経などの神経系が異常発達を起こし、規格外の動きをすることが出来る。
『フレア』が全て闘技場に降り注ぎ、最早地面は水平な部分などほとんどない。
観客は息を飲み、フレイアは勝利を確信した。
砂煙が舞い、観客達が中央の状態を見ようと闘技場を見つめる。
しかし……
「いやぁ…流石にあれはヤバかった。本当に死ぬかも知れなかったよ…」
そこに現れたのは無傷の少年の姿……
フレイアは開いた口が塞がらなかった。
「な…何で!?あり得ないわ!!!私の全力の魔法を無傷で!?」
ハジメは軽くジャンプするとグッと伸びをしながら話した。
「んじゃ、反撃と行きますか!」
反撃……その言葉は今までただ遊んでいた様にも感じとれる。
フレイアは息を飲みつつも、杖を構え直し相手の反撃に備えようとした。
しかし、そこには既にハジメの姿はない。
「どこ見てるのかなぁ?」
フレイアは心臓が止まりそうになった。声が聴こえたとは真後ろ…
さっきの一瞬で動けるものでもないし、動いたとしたら直ぐに気付く筈だ。
実力も、技術も、経験も、全てがケタ違い過ぎる………………………
フレイアは小さくため息を吐くと小さく呟いた。
「降参…私の負けだわ………」
観客も、生徒会も、先生もあまりの実力に言葉の一つも出ない。
本来あるはずの歓喜等なく決闘は幕を閉じた。
決闘が終わると、生徒会のメンバーは先程の決闘について話し合っていた。
「で、最後のあれはどうやってやったんだ?」
テッドが疑問を投げ掛けるとリクとアカリは首をかしげる。
「さぁ?」
「全く……アリサはわかった?」
アリサは考える仕草をしながら不安そうな様子で言う。
「大方の予想は……でも、あんなことって…」
「何々?早く言ってよ~」
リクは駄々っ子の様にじたばたしていると代わりに爽やか少年こと副会長の『スエール・マッカトニ』が答えた。
「あれは多分。『シールド』と『クイック』を組み合わせたんだと思うよ。」
アカリは「なるほど~」とひらめいたポーズをしている。しかし、アリサはじと目でアカリを見る。
「アカリ、理解してるの?」
「も、もちろん!つまりはあれでしょ!……え~と…つまり……どゆこと?」
「やっぱり…
つまり、浮かせて発動させた『シールド』を壁の代わりにして『クイック』を使って、その壁を蹴りあげて素早く移動。移動先にも『シールド』を出現させておけば音もなく、尚且つ素早く移動が可能よ。」
その話を聞いて、3人は「あぁ、なるほど!」とポンっと手を叩いた。しかし、そこでテッドが新たな疑問を提示する。
「でもそれじゃあ、あの『フレア』を避けたときの説明はどうするんだ?それに、さっきのだって本当に出来るのか?あんなの一瞬で出来る事じゃない。」
そう、一番の問題はそれだ。あんなひょろひょろした少年が咄嗟に出来るものなのだろうか。
そこで、スエールはまた答える。
「ここからは想像の範囲だが、あの少年は特殊アビリティが使えるのかもしれない。」
「「特殊アビリティ!?」」
皆は一斉に驚いた。
確かにそう説明すれば合点がいくが、特殊アビリティとはそう易々と出てくるものではない。
しかも、いくら千樹学園とはいえ、完全にコントロールするやつ等手で数えられる位しかいない。
リクは嬉しそうな表情をして言った。
「なら、直接聴いてみれば?」
「まあ、それが手っ取り早いわね!」
「その前に今日は解散!その件は明日行う事にするわよ。」
アリサが手を叩いて言うと、皆は直ぐ準備を終わらせた。そして、気づけば一人になっている。
日は暗くなり、綺麗な夕焼けの空が見える。
アリサも一人で帰ろうと荷物をまとめ廊下を出る。すると……
「きゃあ!」
「うわぁ!」
突然、誰かと凄い勢いでぶつかり、倒れてしまった。アリサが恐る恐る目を開けるとそこには…
「痛たた……すみません。って生徒会長!?やっば…ごめんなさい!」
先程まで話題になっていたハジメ・スフィルクだった。
さぁ!やって参りました!みんな楽しみ『登場人物紹介コ~ナ~!』
今回はぁ~~~~~こちら!
千樹王国のお嬢様!プライドと努力はピカいち!
フレイア・シャインさんです!!
フレイア「全く…さっさと見なさい!」
『フレイア・シャイン』
・能力
攻撃:3
防御:5
魔力:7
瞬発力:4
速さ:3
技術:6
頭脳:8
・性格:努力家、プライドが高い
特殊アビリティ:バースト(火)・・・全身を炎で身を纏うことで加速や火属性魔法が上昇する。
では、また次回まで!