幻次元ゲイム ネプテューヌ 白の国の不思議な魔導書 -Grimoire of Lowee- 作:橘 雪華
以下注意点
・時系列は「神次元ゲイム ネプテューヌ 楽園の奏者は悲哀を奏でる -Desire of Eden-」の後、つまり神次元シナリオ後となります。未完ですが重大なネタバレは恐らく無いハズ…?
・上記理由につき、後々一部変更箇所が出たり出なかったりする可能性があります
勿論、コラボシナリオの後日談なので、気になった方はぜひコラボシナリオも読んでみてくださいね。
それでは短いですがどうぞです。
「──という訳でね、わたし達的には結構な冒険だったのよ」
「ほぇ~」
グリモからの頼みで向かったあの小規模次元での出来事を終えて、色々あったもののこうして自分達の
「認識が狂わされてたから、わたし達としては長い時間を過ごしたって感じてるけど……」
「そこまで長い期間の任務ではなかったと判断しましたです。レムが長期調整を始めて頂いてから終了するまでですので」
「グリモが連絡が取れないって言ってたから、心配はしたけどね。でも別の次元のお友達かぁ……」
ディーちゃんの言葉にそう答えるレム。
長期と言ってもどこか壊れてるとかじゃないものだし、本当に大して経ってないんだなと改めて認識させられた。
「ま、おねーさん達とは腐れ縁みたいなので繋がってるし、いつか会う機会もあるんじゃない?」
羨ましがるイオンに、もう何度も交流のあるおねーさんのことを思い浮かべながらそう言うと、何となく想像の中のおねーさんが「腐れ縁!? もっといい感じの言い方ないの!?」なんてツッコんで来たように思えた。
「レムとしては、姉様方には念を入れてしっかりとメディカルチェックを受けてもらいたいと思うです……」
「一応、そういうのは
「むむむ……それなら良いのですけど……」
「時間の認識がおかしくなってた? だっけ? ……よくわかんないけど、でも爆発するスイカとかすごく滑るバナナとか、ボクも見てみたかったな!」
「あれはー……まぁ、横で見てる分には面白いかもだけど、結構厄介だったな……」
「果汁全部掛かるからベッタベタになるのよね…」
レムに心配されつつ、ユニークだったあれこれに思いを馳せる。
結局あのスイカの爆発条件、なんだったのかしら……運ゲー?
「そういえば、データによるとあちらで錬金術に触れたとありましたですね」
「あぁ、パン窯「錬金窯!!!」……錬金窯でやったよ。初めて触れる技術だったから、中々新鮮だったかも」
「ねー。本格的に始めてもいいかも? なんてねー」
あっちでディーちゃんと触れた錬金術。
面白かったから冗談半分にそう言ったけど、錬金術にも色々あるのよね。
身近だったがすとが使ってた……なんだっけ、古式錬金術? なんかは大釜に特殊な液を入れて素材を入れてぐるこーんってやったりするものだけど、あれって難易度の高いものになると余裕で数日間時間取られるらしいし。
後使い手のがすとはいつだったか「広報の仕事があるですの」とか言って出払っているし。多分だけどどこか遠い所に行ってるんじゃないかしら。
ともかく、本格的に始めるなら生半可な覚悟じゃダメそうって事だ。それでもあの経験は無駄にはならないだろうけどね。
「ボクも会いに行ってみたいなぁ」
「会いに行ったって言っても、今回のはたまたま調査に向かった先で出くわしたみたいな感じだけど。でもまぁ、そのうち会えるでしょ」
「根拠があるのですか?」
羨ましがるイオンにそう言うと、レムが不思議そうに聞いてくる。
「根拠っていうか、おねーさん達とは妙に縁があるからね、特にディーちゃんが」
「わ、わたし? まぁそうかもだけど……」
主な理由であるディーちゃんを引き合いに出すと、ディーちゃんも強くは否定しなかった。
ディーちゃんとおねーさんの付き合いは大分長いみたいだしね。
「そっか! じゃあその時を楽しみにしてるね!」
「レムも姉様方がお世話になってる別次元のご友人は気になるのです」
「うん……(レムちゃん会わせて大丈夫かなぁ。ツッコミ疲れしそう)」
「(イオンはどちらかと言えば振り回す側になりそうよね、かなり純粋だし)」
期待するように笑顔を浮かべる二人を見ながら、ディーちゃんとこそこそ会話。
ま、どっちにしても悪いことにはならないでしょうけどね。
「と、そろそろお時間なのです。本日の業務を再開するのです」
「はーい」「うん」
「ボクも手伝うよ!」
思い出話もそこそこに、レムに言われて解散に。
と、そこでディーちゃんが「そういえば…」と何かを思い出したように呟いた。
「色々終わった後、信次元に行った時の"アレ"って結局なんだったんだろ?」
「んー? あー、"アレ"ね……」
ディーちゃんのその言葉に、思わず微妙な顔になってしまう。
だって、ねぇ。
「エスちゃんは何かわかったの?」
「よくよく考えたらね。多分だけど
「……そういえば、前々から気になってる風ではあったっけ、言われてみたら確かにそうかも……」
全部が終わってこっちに帰ってくる前、オディセフィアでおねーさん達が面白そうな事してたからディーちゃんと一緒に飛び入り参加したシミュレーション世界での事。
おねーさんが言うにはあの時の設定では仮想空間での記憶はそのままのハズなのに、なぜかわたし達二人は何も覚えていなかったっていうアレ。
その時はみんなして原因がよくわからないままだったけど……戻ってきて冷静に考えてみれば何てことはない、恐らく原因になった存在は文字通り
「そういえばずっと言わないままだったけど、おねーさん達がこの事知ったらどう思うのかなー」
「それはわからないけど……イリゼさん達はそれくらいで嫌ってきたりはしないよ」
「……それもそうね」
勝手をされた事には思う所はあるけれど、おねーさん達なら知られても関係が変わることはないんだろうな、なんて思うのだった。
その夜、皆が寝静まった時間帯。
ルウィー近郊にある小さな森。
いつからか、小さい森であるにも関わらず迷子になりかけたり、不気味な気配を感じる等の報告があり、一般の立ち入りが禁じられているその場所に、彼女は居た。
「んー。やっぱりここが一番落ち着くのだわ」
森の中の少し開けた場所。月明かりが差し込む広間で月を見上げながら独り言ちる。
いつからだったか、夜中の眠ってる時間にこっそりと身体を借りて、何となく訪れた森にあれこれ手を加え、今ではワタシのちょっとした隠れ家のような場所になっている。
……別に、悪巧みをしている訳では無いのだわ。ただ、女神の住まう場所は真逆の性質を持つワタシには少し居心地が悪くて。それで気まぐれでこんな場所を用意してしまったと言うだけで。その結果いつの間にか守護女神様に立ち入り禁止区域に指定されていたのだけれど。
時々やってきた人間を少し脅かして(立ち入り禁止でも勝手に入ってくるおバカさんはどうしても居るのだわ)、少しばかり恐怖の感情を頂いたりはしているけれどもね。
「大したものがある訳では無いのに、立ち入り禁止と言うだけでそれを破ろうとする……人間は不思議なのよ」
風と、木々の騒めく音をBGMにぼんやりと月を見上げる。
…………そうして、近付いてくる気配に溜め息を吐き、手を翳した。
「フーリちゃーん! あーそびーま、しょッ!!」
静かな森の中でもよく通る声が聞こえて来て、夜闇の影を操り壁のようにすると、木々の合間から飛び出してきたそれの攻撃を受け止める。
「一人でいる時間くらい、放っておいてくれないかしら?」
「あはっ♪ だってぇ〜、この間はそっちに邪魔されて不完全燃焼になっちゃったんだもーん」
ぴょんと飛び退いて地に降り立ち、左手の剣をくるくると回しながら悪びれもなく宣うのは、ある意味ワタシのお仲間とも言える存在のミューだった。
勿論、彼女もワタシと同様身体を借りて来ているのだろう。
「だからお姉ちゃんには責任を取ってもらわなくっちゃ、ねぇッ!!」
「だからワタシはアナタの姉になった覚えは無いのだわ。それに……あれはワタシもとても酷い目に遭ったのよ……」
正面から、回り込んで背後から、頭上から、
残像を残し、瞬間移動かと見紛う速度での三次元的な攻めを影でいなしながら、あの時のことを思い返して……思わず身震いした。
物凄い勢いで何度も頭から岩に叩き付けられて、もしかして既にバレていて殺しに掛かられているのかと思うくらいだったのだわ……。
「ううーん回想してこっち見てないのに守りが崩せない! そーれーなーらー……えいっ!」
「あら」
ある意味あれも恐怖を誘発させる事だったな、なんて考え込んでいると、ふわりと浮遊感。
どうやら重力魔法か何かで空中に浮かされたらしい。
「あはっ! もーらいッ!」
空中なら影の魔法での防御も出来ないと踏んでなのか、すかさずふわふわと浮かぶワタシ目掛けて超速の刺突撃を放ってくるミュー。
これ、普通に受けたら大問題になると思うのだけれど……まぁ、良いのだわ。
「はい」
「え、うわ、わっ!?」
突き出された剣を右手に出現させた双刃剣の刀身で受け、流し、くるくるりと武器を回して巻き上げる。
余った勢いでバランスを崩しつつあるミューの背中を、回転そのままの勢いで、剣の腹でスパァン!「いたぁ!!?」と引っぱたいておいた。
目にも止まらない速度だからと言って、それをワタシが目で追えない、追いつけないなんて道理はないのだわ。
「うぅぅ〜! そんな適当にあしらわないで! ちゃんと相手してよー!」
「嫌よ、アナタの全力に付き合うなんて。無駄に疲れるだけなのだわ」
「あのセイツって女神は遊んでくれたのに!」
「よそはよそうちはうち、なのだわ」
重力魔法が途切れ、危なげなく着地すると背中を擦りながらむぅ〜! と不満をあらわにしながらミューが戻ってくる。
「ていうか何、流行ってるの? 犯罪神剣」
「流行りがなんの事かは知らないけれど、ワタシのはただの名残よ。パッとイメージしやすいのがこれというだけ」
「ふーん、扱い難そうなのによくやるよねー」
「今みたいな猪突猛進相手にも便利なのだわ」
そう言ってやればぐぬぬとでも言いたげな顔に……いや、ぐぬぬと口にしているわね。
言った通り、本当に特にこだわり等は無く、すっと自然に出せるものの一つがこれと言うだけで。
「でも、何だかんだで楽しめたのかしら?」
「んー? まぁねー。ああいう未知の強敵と
「やれやれ、戦闘狂なのだわ」
「やだなー、ワタシは戦うのが好きなんじゃなくって、勝つのが好きなだけだしー」
「かといって負けたり引き分けてもそれはそれで伸びしろになるって? 前向きというべきかなんというか」
まぁ別にワタシだって欲望博士ではないのだから正しいあり方なんて知らないし、本人が楽しそうだしこれでいいのでしょう。きっと。
「お姉ちゃんはお姉ちゃんで、あんなしっぺ返し食らっても懲りて無さそうだよね」
「確かに酷い目には遭ったけれどそれはそれ、なのだわ。あそこまで素敵な反応をしてもらえると仕掛けがいもあるし、楽しいのだわ!」
「うーん。ま、暴力とかでふはは怖かろーとかするよりは平和的だしそーゆーアプローチもアリ……なのかな? きっと「無しだけど!?!?」って切実に叫びそうだけど」
「ふふ、ふふふ。また会う機会があるといいのだけれど」
「あはっ、あの
ミューが何か言ってるけど、まぁいいでしょう。
それよりも今度機会が巡ってきたら、どうやって驚かせようかしら?
ふふふふ、楽しみなのだわ……ねぇ? イリゼさん…♪
「──さて、今回のお話はこんなところですかねー」
ある一冊の本を読みながらそう呟くのは、魔本・グリモワール。
ディール、エストの二人と契約を交わしている、魔導書タイプの人工生命体。
彼女が読んでいる本には何のタイトルも記されていない。
「最悪を見越して念の為の用意はありましたがー、必要無かったみたいですー。流石、各次元の勇士達ですねぇ」
ふふ、と笑いながら、読み終わったのか本をパタンと閉じるグリモワール。
すると、何も書かれていなかった表紙に、ひとりでに文字が浮かび上がっていく。
「いやー、やはり
くるくる、ふわふわと浮かばせた本を見つめて楽しそうに笑う。
本を通して、別次元の出来事を観測する──それがグリモワールの趣味の一つだった。
「色々ありましたが、しかし、
ふむむ、と最後の方で読んだ内容について思案するグリモワールは、しかしすぐに首を横に振る。
「別にお金に困っている訳でもないですしー、そこまでしてシェアを獲得しないといけない理由もありませんしー、こっちでは特に取り組まなくとも良いでしょうかねー」
勝手に使うのもあれですし、もしかしたらその内勝手に始めるかもですしねー。と呟いて、すると今度は別の事について思案を始めた。
「しかし、何かの参考になりそうなものもありましたしー、面白いものも見れたのでー……」
そして何か思う事があったのか、ペンと紙を取り出して何かを書き始めた。
「ふんふんー……『ちょっとした粗品です。能力の取り扱いにはご注意くださいねー』と」
どうやら何処かへ宛てた手紙の様で、さらさらと書き綴ると適当な便箋を出し、そこへ手紙と何やらUSBメモリを封入すると、空間に開けた裂け目に手紙を投入する。
──その能力を、しょうもない事に行使するのを厭わない──グリモワールは割とそういう性格だった。
「んふふー、次はどんな物語が
そしてグリモワールは手にしていた本──「再び歩みは繋がり重なる」と書かれたタイトルの本を何処かへと仕舞い、部屋を後にしたのだった。
・ディール
今回の騒動に巻き込まれた その1 姉の方
別次元組としてはイリゼと一番付き合いが長いと思ってるのでそこだけちょっと得意げ
錬金術に関してはエスちゃんが乗り気ならやってみたいと思っている
アフターシナリオの出来事に関しては少し後に原因を察した
・エスト
今回の騒動に巻き込まれた その2 妹の方
イリゼ達と出会うと基本厄介ごとに巻き込まれる気がしてるが、それも含めて楽しんでいる
錬金術には割と乗り気。もっと色々してみたい
アフターシナリオの出来事に関しては少し後に大体誰の仕業か確信してる
・イオン
今回の騒動に巻き込まれなかった その1 幽霊とお友達系少女
騒動には巻き込まれなかったが次元間の時間の流れの違いで、特に置いてけぼりにされた実感もなくいつの間にか始まって終わってた
二人が楽しそうに話すので信次元が気になっている
ただ幽霊と常に一緒にいるため一部の相手と相性が悪そう…?
・レム
今回の騒動に巻き込まれなかった その2 サポート系魔導人形
整備に出されてる間に始まって終わっていたので心配する間もなかった
信次元のデータはインプット済なので機会があれば自分で行ってみたいとは思っている
・フーリ
今回の騒動を静観してた その1 恐怖の感情が力になる不思議不気味系なディールのデザイアソウル
騒動の最中では他の女神も多数いた為、表に出たら面倒そうだなとずっと静観していた
シミュレーターという環境を利用してイリゼに接触。大層気に入った様子
興味の対象や気に入った相手の事だと不敵にニコニコ笑ったり楽し気だけどそれ以外には冷めた態度になりがちなタイプ
・ミュー
今回の騒動を静観してた その2 顕示の感情が力になる目立ちたがり系なエストのデザイアソウル
騒動にはすごく、すごく混ざりたかったけど自身の性質を考えて渋々断念、ものすごく残念に思っていた
シミュレーターという環境を利用してセイツに接触。それはもう意気揚々に襲い掛かった
セイツの指摘を受けて攻撃時強化魔法をもっと自然に負担無くするなり戦術の改良を始めた
他の強者とも戦いたいな~とか思ってる
・グリモワール
ディールとエストを送り出した後、今回の騒動を物語として観測していた。
イストワール程普段の使用リソースが大きくない為、暇になるとしょっちゅう別次元の
"誰か"に送ったUSBの中には、どうやって録音したのか二人のASMRデータが入っていた。変な所に力を入れすぎである。
"誰か"の能力を何かの参考にする予定なのか、そのお礼として送ったらしい。
一応もしもの為に何か対策を取っていたらしいが、きっと要らないだろうとは思っており実際自分達の力で切り抜けたのを見てとても満足そうにしていた。