幻次元ゲイム ネプテューヌ 白の国の不思議な魔導書 -Grimoire of Lowee-   作:橘 雪華

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今更の追加になっちゃいましたが、ちょっと今後の展開で現主人公とあるキャラがすさまじく相性悪かったので…アンチ・ヘイトタグ追加しました。
初めっから付けとけって話でしたね……申し訳ないです。


#07 囚われ女神の救出

『うああああああっ!?』

『はあ、はあっ……ざ、ざっとこんなものよ! ざまあないわね、ルウィーの女神!』

『流石はブランと言ったとこね……三人がかりで、ここまで追い詰められるなんて……』

『あ〜ぁ、汗びっちょりぃ……もぉ、手こずらせてくれちゃってぇ……焦らしてくれた分はぁ、たぁ〜っぷりお返しさせてもらわなきゃ……!』

 

『決着ぅーっ! みんな! バッチリ見てくれたわよねっ!?』

 

 ルウィー城に近い場所にある、電子掲示板の前にて。

 ホワイトハート対ブラックハート、パープルハート、アイリスハートの戦いは、三人の女神の勝利で幕を降ろした。

 

「ああー、ホワイトハートさん、負けちゃったー」

「一人で三人をあそこまで消耗させた事自体は凄いけど、流石に無理があったみたいね」

 

 シェアも負けてて、数もフェアじゃないのに。逆にすごいと言いたいところだけど……

 

『負けたのはルウィーの女神! ルウィーの女神の完全敗北でーっす☆』

『負け、た……? わたしが、わたしが……』

「はぁ……やっぱり、そういう意図なのね」

「ほぇ? どーいうこと?」

 

 ルウィーの女神が負けたという事をわざとらしいくらいに強調するアブネスを見て、ため息が零れる。

 

「この戦いは、全世界に放送してるって言ってたでしょ? つまり、あれだけ啖呵切ってたホワイトハートが無様に負ける姿が大勢の人間に見られたって事」

「うんうん。……えっと、そうなると、どうなるの?」

「周りを見れば分かるわ」

 

 女神のシェアとかの事情をあまりよく知らないイオンにそう促してやる。

 イオンは「周り?」とわたしに言われた通りに、今の放送を見ていた人間を見回し始める。

 

『ほーら、見て見て! 長いことえっらそーにみんなの上でふんぞり返ってた女神のなっさけない姿を!』

「なんだよ。ホワイトハート様、負けたのかよ」

「三対一って言ってもまだ出てきたばっかりの奴らに、しかもあれだけ偉そうな大口叩いて置いて……」

「情けなさすぎだろ。っていうか相手の女神、強いしカッコいいな!」

「それに美人だし、胸もあるし……」

 

「……えっ?」

 

 周りの反応を見たイオンが戸惑いの声を漏らし、困惑したようにわたしを見つめてくる。

 

「あの人達、ルウィー(ここ)に住んでる人達だよね? ホワイトハートさんを信仰してたんじゃないの……?」

「ええ、そうよ。でもね、信仰って言うのは、離れていく時はこうも簡単に離れていくの」

 

 イオンの手を引いて、移動しながら話を続ける。

 このままここにいると、取り返しのつかない事をしそうになるから。

 

「今、ホワイトハートは世界中の人に負けた姿を見られた。信仰心を生み出す人間はそれだけでも……ただ一度負けた姿を、弱い姿を見せただけで、簡単に手の平を返す。そうなれば──」

『あ……あ……力が……信仰が……なくなってく……』

「──女神は、力を失うだけ」

「そ、そんな……」

 

 移動しながら別の場所に映ってる映像の向こうで、ホワイトハートの変身が解けていた。

 つまり、変身出来るだけの信仰すら、この放送で失われたということ。

──そう、人間はどこでも自分勝手。だからわたしはもう、人間なんて嫌い、大嫌い。

「……ふーちゃんは女神の事悪く言うし、ボクも女神の事わかんないけど……こんなの、ひどいよ……」

「女神なんてのは、こんなものよ。人間の守護をする存在で、けれど人間に媚びなければ、こうも簡単に力を失う」

 

 ひどいかもしれないけど、それが人間だから。仕方のない事。

──嫌いだから、わたしはもう女神としては落第。女神の力を使う、偽りの女神なんだよね! 

「……そ、それはそうと、どこに行くの?」

「ルウィー城。わざわざこんな事しでかしたってことは、多分この国、乗っ取られるわ」

「ええっ!? ……あ、七賢人!」

「断定は出来ないけど、そういうこと。そうなったらあそこにいた女神達はどうなると思う?」

「え、えっと、んーと…………捕まる!」

「今ふーちゃんに教えてもらったでしょ」

 

 わたしの問いかけに少し悩んでからハッキリ答えるイオンに思わずそう聞き返すと、目を逸らして口笛を吹くイオン。

 まぁ教わった答えでも当たりは当たりだからいいや。

 

 そのままイオンの手を引きながら、わたし達はルウィー城目指して人目のつかないように進んでいった。

 

 

 


 

 

 

 警備兵を魔法で眠らせながら、わたしとイオンはルウィー城の中を進んでいく。

 途中で警備の一人から元女神と女神達が牢屋に送られたとの情報を聞き出して、わたし達は牢屋を目指して進んでいた。

 

「ねぇエストちゃん、さっきのおじさん何で眠らせるのに魔法じゃなくてあんな思いっきり引っぱたいたの……?」

「……気分よ」

 

 別に既にお姉ちゃんの事を元女神呼ばわりしてた事に怒ったとかそんな事はない。ない。

 ……そういえば牢屋だと鍵が必要になるかな。最悪ぶち破ればいっか。

 

 なんて考えていると、見慣れない服装をした誰かが前にいる事に気がついた。

 どう見ても警備兵には見えない……っていうか、あれは……

 

「……あら? 貴女達は……ここの警備では無さそうですわね?」

 

 一瞬敵意が飛んできたけど、警備兵じゃないとわかると少しだけ弱くなる。

 そこにいたのは、見たことのない緑の衣装に金髪で大人な雰囲気の女性……ベールさんだった。

 

「ふぉお! エストちゃん見てよ、デカ乳! デカ乳のお姉さんがいる!」

「で、デカ乳……」

「イオン、声抑えて。あと言い方。初対面でそれは失礼でしょ」

 

 イオン的にはベールさんのグラマスな体形は珍しいのか、何故かハイテンション。

 流石の胸強調しがちなベールさんもデカ乳呼ばわりには微妙な顔をしていた。

 じゃなくて、ええと……

 

「……見たところ、ここのヒトじゃなさそう……ですが」

「ええ、まあ。ちょっとした顔見知りがピンチなようなので、少しだけお節介を焼こうと思っていたのですわ」

 

 わたしの問いかけにベールさんは手に槍を持って警戒は解かないまま、もう片方の手に持った鍵をちらりと見せながら答える。

 あれは、もしかして? 

 

「牢屋の鍵?」

「あら、その反応……貴女達もそこに用事が?」

「まぁ……はい。知り合いがテレビに映っていたのと、捕まったと聞いたので」

「あらあら。それにしては随分とお早い到着に思えますわね?」

 

 正直、こんなところでベールさんと遭遇するとは思っていなかったから適切な答えが用意できてない。

 ベールさんに突っ込まれた通り苦しい理由だけど……

 

「……ふふ、お互いに話せない事情がありそうですし、ここで深く追求するのは止しておきますわ」

「……そう? こっちとしては助かるからいいんですけど」

「ええ。ついでに、こちらは貴女達に差し上げますわね」

 

 と思ったけど、あっちは深く突っ込んでくるつもりはないみたい。

 ……ま、リーンボックスの話題が上がってないのにそこの女神(仮定)がいるってことはなんか企んでるんだろうし、ここはこっちも何も聞かないで置くべきかしらね。

 なんて思っていたら、ベールさんが何か……というか、鍵をこっちに投げ渡してきた。

 

「……どういうつもり?」

「わたくしの目的は既に終えてますの。ただ、先ほども言った通りお節介焼きのつもりでこれを拝借して向かうところだったのだけれど、貴女達も向うというのでしたらその役目はお譲りして、わたくしはお暇させて頂こうかと」

「そう、ですか。そういうことなら、素直に貰っておきます」

「素直なのは良い事ですわ」

 

 余り信用はできないけど、もう敵意は感じられないし、ここは大人しく受け取って置くことにした。

 

「では、わたくしはこの辺で。陰ながら応援していますわね」

「……どうも」

「お姉さん、バイバーイ!」

 

 念のために後ろから襲われないように警戒しつつ、先へと進む。

 根っこは悪人じゃないとはいえ、用心するに越したことは……

 

「お姉さん……良い響きですわッ!!」

 

 ……あー、うん。いつものベールさんぽいや。

 え、えっと、とにかくお姉ちゃん達の所に急ごう。

 

「……ねぇ、エストちゃん」

「ん、何? 何か気になることでもあった?」

 

 ベールさんと別れて警備兵を眠らせながら進んでいると、不意にイオンが声をかけてきた。

 何かあったのかと聞いてみるものの、なんだか要領を得ないというか……言いにくそうにしていた。

 

「あ、ええと……ボクの気のせいかもしれないんだけど……なんかエストちゃん、怒ってる?」

「え? まぁ、おね……ブランさんをハメた七賢人はぶっ飛ばしたいなーとは思ってるけど」

「そうじゃなくって……ううん? やっぱり気のせいだったみたい」

 

 えへへ、と笑って誤魔化すイオンを不思議に思いながらも、それ以上は話そうとしない。

 怒ってる、と言われても……

 確かにあるいみ怒ってはいるけど、どういうことだろ? 

確かにこんなことした連中は全員斬り刻んでやりたいけど! 

「もう、変なこと言ってないで行くわよ?」

「はぁーい」

 

 いまいちなんでそんなことを聞いて来たのかわからないまま、今は良いやと気にしないことにして先を急ぐ。

 七賢人の連中がこの国でなんかやり始める前に、お姉ちゃん達を助けて止めないとね。

戦い甲斐のある奴でもいたらいいのになぁー、あはははは! 

 

 …………。

「……やっぱり、何か……変な感じがする」

 

 

 


 

 

 

 警備兵を眠らせまくりながら進み続けて、ようやくルウィー城の牢屋までたどり着いた。

 後はお姉ちゃん達がいる牢屋を探すだけだけど……

 

「んじゃさ、全員で変身したら壊せたりしないかな?」

「もっかい変身するの~?」

「それも無理でしょ。私達が女神だって分かった上でここに入れたんだから」

「それじゃどーしたらいいのさ!?」

「知らないわよ! 文句があるならルウィーの女神に言いなさいよね!」

「う……」

 

 一つの牢屋から大声出して話してる声が聞こえてくる、案外あっさり見つかったわね。

 聞き覚えのある声の聞こえた牢屋の方へと向かい、その牢の中に声をかける。

 

「そこ、うるさいわよー! 牢屋の中では静かにしなさいよねー! なんてね」

「あっ、ごめんなさー……って、その声は! 生きていたのか、エストちゃん!?」

「勝手に殺さないでよ!!」

 

 折角助けに来てあげたってのにこれよ、やっぱり助けるのやめてやろーかしら。

 

「やっほー。ホワイトハートは数日振り、プルルートさんはネプテューヌちゃん共々久しぶりね」

「ちょっと、何さらっと私だけハブいてるのよ!」

「えぇ? 何よアンタ……誰? ……じょーだんよ、じょーだん。だからそんな怖い顔しなくってもいいでしょ。遺跡で会ったのが最後だから……数年振りの黒い人!」

「ノワールよ! ……いや、ネプテューヌから話に聞いてたけど名乗ったのは初めてだったわね……」

 

 ちょっとした私怨交じりにノワールさん弄りをしつつ、ひらひらと手を振って挨拶をする。お姉ちゃんだけめっちゃくちゃテンション低くて落ち込んでる様子だったけど。

 

「っていうかあなた、前見たときより随分と成長してるみたいだけど……ネプテューヌの話じゃあなたも女神なんじゃないの?」

「女神よ、一応。これは身体を成長させる魔法でこういう姿になってるだけ」

「ほぇ~、すごいねぇ~。でもどうして~?」

「普段の姿だと、子供扱いされてやり辛いのよ。クエストとか……」

「あー、確かに。元のエストちゃんブランよりもちっちゃいもんねー」

 

 ネプテューヌちゃんはわたしのこの魔法使ったときの姿知ってるからわかってもらえたけど、他の人は知らないしそういう反応になるのも仕方ないわよね。

 まぁこれでもネプギア辺りが基準だからギリギリな気もするけど。

 

「……それで、どうしてあなたがこんなところにいるのよ」

「折角助けに来てあげたのにトゲトゲしいー。何でここにいるかって? テレビ見てたらなんか妙なことになってたから、あのあからさまな陥れの流れだとこうなってるかなーって思って」

 

 こっちだとお姉ちゃん以上に交流が少ない(っていうかそもそも遺跡の時は半ば敵対気味だったし)せいか、疑り深い目でわたしを見つめてくるノワールさんに理由を答えながら、左手でベールさんに貰った鍵束をくるくる回して見せてやる。

 

「え……? あなたの持ってるそれ、ここの鍵……?」

「すご~い。どぉして持ってるの~?」

「ここに来る途中、警備の人をボコってた金髪のお姉さんに貰ったのよ」

「金髪のお姉さん……あ、ベール! そういえばいつの間にかいない!」

 

 ネプテューヌちゃん達もベールさんとは出会ってたらしく、何か騒いでいる。

 えーっとこの牢屋の鍵はー……と。ん、これね。

 

「はい、開いたわよ」

「おー! ありがとーエストちゃん!」

「ボクもいるよ!」

「あ、イオンちゃんも久しぶりー。でもってありがとね!」

 

 鉄格子の鍵を開けると、ネプテューヌちゃん達が牢屋から出てくる。

 で、大人しくしてたイオンがネプテューヌちゃんと話し始めたけど……イオンはここに来るまで特に何もしてないのはつっこまないでおこう。

 

「わ~い、おそとだぁ~」

「自由の身になったからにはこっちのもんだね! あのおっさんに、たっぷり仕返ししてやんないと!」

「おっさんー?」

「そういえばテレビだとホワイトハートの変身が解けちゃった所で終わったからわかんないんだけど、結局どうして捕まってたのよ?」

「そういえば途中でカメラ切ってたね。えーっと……」

 

 テレビ放送が終わった後の出来事をネプテューヌちゃんから説明してもらう。

 

「ふんふん。つまりホワイトハート……ブランおねーさんの力があの放送で無くなったのも、この国を乗っ取るために潜り込んでたそのおっさんの仕業ってことね」

「そういうこと!」

「こと~。ほらほら、ブランちゃん~、行こぉ~?」

「わ、引っ張らないで……」

「よーしイオンちゃん、手伝ってくれる?」

「うん! ボクも一緒にそのおっさんをやっつけるよ!」

 

 大体の出来事をネプテューヌちゃんに説明してもらうと、プルルートさんがお姉ちゃんの手を引いてとことこと先へ行ってしまう。

 っていうかお姉ちゃんなんか大人しいっていうかしおらしいっていうか……どうしちゃったのかしら、あれ。

 

「……二人で見張りを全員倒してきたの?」

「ん? ううん、倒してはいないわ。ただ魔法でぱぱっと眠らせながら来たのよ」

ま、ほんとはぜーんぶ斬ってあげたかったけどー

 わたしはともかく、イオンのバトルスタイルだと音でどんどん別の警備が来ちゃうしね。

 

「ふぅん。ネプテューヌの話だったから半信半疑だったけど、なかなかやるのね」

「ふっふーん、まーね。って、呑気に話してたら置いてかれるわ!」

「へ? ちょっ、待ちなさーい! 置いてくんじゃないわよー!」

「ノワールさん、声!」

「ご、ごめんなさい……」

 

 わたしとノワールさんを置いてどんどん進んでいくみんなを、ノワールさんと二人で追いかける。

 七賢人の大臣か……何かディールちゃんに繋がる情報があったらいいんだけど。

 

 …………ついでに強い奴だったら、いいなぁ。

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