音ノ木坂学院ラブライ部!   作:れみんとぅ

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穂乃果「初ライブ!」僕「さて、どうなることやら…」

【昼休み】

 

基本的に、人の一生は穏やかに進む。

ゆっくりと、しかしいつの間にか年を取っていく。

 

何事もない毎日に隠れて、少しずつ何かが変わっていき

ある日突然、大きな転機が訪れる

 

例えば、

 

「私達の曲を作ってもらえませんか!!」

 

「…はい?」

 

こんな風に。

 

事の発端は昨日。

あまりに昼休みがヒマなので(ミツキと飯は食うものの、互いに食うことに集中して会話がないのだ)、昼飯を食べ終えた後屋上へ行き、持ってきていたアルトサックス(何故持ってきていたか、それはヒマだったからだ)をプピーやら吹いていたら、下から拍手が聞こえた。

 

何事かと周りを見渡すと、顔を輝かせる1人の女子生徒が。

名前は高坂(こうさか) 穂乃果(ほのか)と名乗り、どこかで聞いた名前だなと思っていたら、ミツキから聞いた「スクールアイドル」とやらをやるらしい女の子だった。

 

「曲を作ったりもするんですか?」

 

「まあ、一応趣味としては」

 

この一言が最大の要因だろう。というかこれがなければ今日彼女達が僕のもとへ来ることはなかったはずだ。回想終わり。

 

「…で、何故曲を?」

 

「それは、1ヶ月後の新入生歓迎会の後、講堂で初ライブをやることになりまして」

 

3人の中で最も真面目そうな、まさに大和撫子といった印象の女の子。

名前は園田(そのだ) 海未(うみ)さん。弓道部に所属しているらしい。

 

「他のアイドルの曲をやるのも考えたのですが、やはりオリジナル曲を作るべきだと思ったのです」

 

「なるほどねぇ…」

 

確かに、コピーばっかりやっていても有名にはならんからな。いずれはオリジナル曲を作る必要が出る。

 

「でも、私たちだと作曲はできなくて…誰かに頼めないかなって時に、穂乃果ちゃんが先輩を見つけて」

 

なんか既視感がある子だなとずっと思っていたんだが、自己紹介されてピンときた。理事長にそっくりだ。

(みなみ) ことりさん。予想通り、理事長の娘さんだった。

 

「それで、お願いできないかなって!」

 

そして言い出しっぺらしい高坂さん。元気だな。いつも疲れた顔をしてるどこぞの美人生徒会長に元気の秘訣を教えてあげてほしい。

 

「…んまあ、作曲するのは構わんけども」

 

「「「本当ですかっ!?」」」

 

見事にハモった。息ピッタシだなこいつら。

 

「作詞はそっちでやってくれるんだろ?」

 

「はい!作詞なら私たちでもできますから!」

 

それなら負担はそんなにないか。僕にとって一番難しいのが作詞だから、そこをクリアすればあとは楽だ。

 

「じゃあ、歌詞ができたら持ってきてくれ。多分取り掛かれば4日くらいでできるから」

 

「ありがとうございます!荻野先輩!」

 

「ユウでいいよ。これからよろしく頼む」

 

「「「こちらこそ!」」」

 

喜んでもらえてよかった。俺の拙い趣味も、人の役に立つことがあるんだな。

協力者のアテもあるし、頼んでみよう。きっといい曲が作れるはずだ。

 

飯が半分くらいしか食えなかったのは、仕方ないか。

 

 

【音楽室】

 

私はいつも、放課後は音楽室でピアノを弾く。

つい楽しくなってきて歌いだしちゃったりするけど、ついこの前先輩に見られたので最近は控えてる。

 

「…誰もいないわよね…」

 

少しくらいなら、いいかな?

指を乗せて、優しく鍵盤を叩いていく。心地のいい音が耳に届いて、やっぱり歌い出してしまう。

 

「愛してるばんざーい ここでよかった」

 

一度始めると、どうしても夢中になって周りが見えなくなる。

 

「愛してるばんざーい 始まったばかり」

 

もしまた見られたら、もう恥ずかしくて音楽室に来られないかも。

 

「明日もよろしくね まだゴールじゃな…あぁぁぁぁ!!」

 

いた。人が。

ああ、こっち見てる。ニヤニヤしてる。

もうだめ、死んじゃいそう。

 

「い、いいいいつから…」

 

「ん?えっと、『愛してるばんざーい ここでよかった』あたりから」

 

初めからいたんじゃない!なんで言わないのよ!

ダメ。堪えるのよ、真姫。相手はこんなでも先輩なのよ。

 

「…先輩、性格悪いって言われませんか?」

 

「失敬な。『人が悪い』としか言われたことはないぞ」

 

同じよ!むしろもっと悪いわよ!なに胸張ってんのよ!

ギリギリ耐えた。言いたいことは山ほどあるけど、抑えないと。

 

「いやはや、綺麗な歌声ですな。思わず聴き入ってしまいました」

 

「誰ですかそのキャラ」

 

無いのにアゴヒゲをなでるような仕草をしてる。私には何の真似をしてるのかさっぱり。

 

「ああ、そういや西木野さんに用事があって来たんだった」

 

「用事?」

 

面倒そうな予感がする。いや、そういう予感しかしない。

この流れでいったら当然よね。

 

「西木野さん。一緒に作曲をしてみn」

 

「お断りします」

 

「食い気味に断らなくてもいいじゃないか…」

 

がっくり肩を落とす先輩。だから何のキャラよ。アニメじゃないんだから。

 

「アニメだよ!」

 

「いきなり何を言いだすんですか!」

 

意味がわからない事を言い出した。断ったのがそんなにショックだった?

 

「あのスクールアイドルやるって子たちに作曲頼まれたんだけども、ひとつ問題があってさ」

 

「知りませんよ」

 

「僕、まともにピアノが弾けんのよ」

 

無視しないで。本当にどうでもいい。私には全く関わりないことじゃない。

 

「で、西木野さんを思い出したわけでして」

 

「理由はどうあれお断りします。興味ないですから」

 

「うすっ、嘘だ!」

 

そこで噛みますか、先輩。どうやって噛んだんですか。

 

「興味ない奴が毎日音楽室に籠ってオリジナル曲作ってぼっちになってまでノリノリで歌ってるわけないだろ!」

 

「なっ、聞き捨てならないこと言いましたね今!」

 

なんなのよこの人。いきなり来てなんか言い出したと思ったらぼっちとか言って。私はぼっちじゃないわよ。

 

「言ってない!」

 

「言いましたよ!そこを否定しますか!」

 

なんだかこの人のリズムに引きずり込まれてる気がする。

早く切り上げないと。

 

「ところで一緒に曲作ろうぜ!」

 

「お断りします!」

 

「何故OKが出ない!」

 

「出るわけないでしょ!説得する気あるんですか!」

 

「ない!」

 

「ないの!?」

 

頭が痛くなってきた…。じゃあ何のために来たのよ、この人。

 

「間違えた、あるよ!」

 

「…間違え方がおかしいでしょ…もうついていけない…」

 

よくこのテンション維持できるわね…。背中に燃料タンクでも背負ってるのかしら…。

 

「僕が今まで作った曲を聴いてみて欲しいんだ。ここに音楽プレーヤーもあるし」

 

ほれほれ、と言いながら、イヤホンを片方差し出してくる。受け取って耳にかけると、

 

〜♪………

 

ピアノの旋律が鼓膜を揺らす。なんだ、弾けるんじゃない。

強調するところ、弱く弾くところ、しっかりと区別して弾き分けられてる。少なくとも、下手じゃない。でも…

 

「小手先だけ、だろ?」

 

「……」

 

そう、小手先だけ。

これじゃあ本当に上手いとは言えない。ピアノを弾く人間としてこれは認められない。

 

「だから西木野さんに頼もうと思った。いくらいい旋律を思いついても、僕が弾くんじゃダメなんだ」

 

さっきまでとは真逆。真剣そのものの口調で先輩が話す。

 

「僕と違って、君のピアノは上手いと思わせるだけの、『聴かせる力』が備わってる。君が考えて、君が弾いた曲は、人が立ち止まって聴き入る魅力がある」

 

面と向かってこんなに褒められると、正直困っちゃう。

でも、悪い気はしない。自分の何かが認めてもらえるのは、素直に嬉しいと思う。

 

「西木野さん、一緒に曲を作ってみないか?」

 

私の目をまっすぐ見て、先輩は言う。

少しだけ、気持ちが揺らいだ。

 

 

【セカンド昼休み】

 

「ダメだったー…」

 

「まず間違いなく、真面目に頼む前の会話が原因でしょうね」

 

「ですよねー…」

 

「わかってたならなんでやったんですか…」

 

また昼休み。かの3人組と中庭にて昼食である。園田さんの呆れた声に更に気分が沈んでいく。いや、自業自得だけども。

 

「僕のアイデンティティかと」

 

「そんなアイデンティティは捨ててください」

 

歌詞ができたとのことで呼ばれ、「そういえば、前に話していた協力者の方は見つかったのですか?」という彼女の言葉で音楽室での話をして今に至る。

 

「僕だけでやるしかないかぁ…」

 

「出来るならいいと思うんですけど…」

 

南さんがいい苦笑で言う。

まあいいんだけど、自分の実力を知っているだけにどうもね。

 

「じゃあ私がもう一度行ってくるよ!」

 

意気込んで立ち上がる高坂さん。

それは頼もしい限りだが、果たして上手くいくだろうか。

 

「難しいでしょうね。主にユウ先輩のせいで」

 

「ごめんなさい…」

 

厳しいな、園田さんは。

ともかく、高坂さんの手腕に期待しよう。信じてるぜ。

 

 

【放課後】

 

授業も終わり、今日は特に仕事もないので帰ろう。全力で。

と思って昇降口に行ったら、なんと金髪碧眼の美人が僕の前に立った。

 

そうだよ、エリーだよ。

うわぁ、ものすごく不機嫌な顔をしてる。

 

「どうかされましたか、生徒会長。今日は仕事はお申し付けでないので、帰宅しようとしていたところなのですが」

 

「どういうつもりなのよ」

 

うわぁ、なんか怒ってる。長い付き合いだから、この程度は慣れてはいるけど…やめろよ、はたから見たらめちゃくちゃ怖い顔してるんだぞ、お前。

 

「なんのことでしょうか」

 

「とぼけないで」

 

短い言葉しか返ってこない。あくまで僕から話せということですか。

 

「…初ライブくらいやってみりゃいいじゃないか。それでダメならあの3人も考えるだろ」

 

「やってみてダメでしたじゃ済まないの。そんなに軽いものじゃないのはわかってるはずよ」

 

「その理屈でいくと、学院存続のために新しいことをやるのは不可能になるな」

 

一瞬間が入る。怯んだようだが、それでも彼女は言い返してきた。

 

「今までやってきたことがあるじゃないの。スクールアイドル以外にも、この学院でアピールできることはあるわ」

 

「その『スクールアイドル以外』で今まで勝負してきてこのザマなわけだが」

 

「っ…」

 

今度は完全に言葉に詰まった。事実ゆえに、言い返せないんだろう。

 

「エリーも本当はわかってるんじゃないのか?このままじゃどうしようもないって」

 

「ふざけないで。まだ終わってない。こんなところで諦めるわけないじゃない」

 

その心意気は評価に値するけどよ。実際厳しいと思うぞ、一介の高校生がひとつの学院の廃校を阻止するって。

 

「私はスクールアイドルなんて認められない。思いつきで他校の真似をしても、結果が出るはずないわ」

 

「そんなもん、やってみないことにはわからないだろ」

 

「大体想像はできる。どうせろくに見に来る人もいない中でやる羽目になるわよ」

 

「どうせ、とか言って決め付けてるだけじゃねえか」

 

「そんなことない」

 

どこかあの3人を、スクールアイドルを見下してるような口調だな。そりゃ、エリーからしてみればあいつらは下手の横好きかもしれないけど。

 

「…エリー、ちょっとそこでバレエのステップしてみ」

 

「…なんでよ」

 

「いいからやれって。忘れたわけじゃないだろ?」

 

渋々といった様子で滑らかに踊り出す。さすが、小さい頃にやってただけあって綺麗だ。でもな。

 

「ほい、じゃ曲流すぞ〜。踊ったまま全部歌えよ〜」

 

「な、ちょっといきなりなんなのよ!」

 

「安心しろ絶対知ってる曲にしてやるから」

 

音楽プレーヤーの中から適当に選んで、スピーカーを彼女の方へ向けて流す。

 

ーーーッ♪……

 

「テンポもお前の動きと合ったやつにしてやったから、まあ頑張れや」

 

「…いいわ、やってやるわよ!」

 

 

 

結論からいくと、無理だった。

当然だ。だってバレエは歌わないから。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「おいおい、まだ1番も終わってねえのにリタイアかよ」

 

「…うるさい…」

 

悔しそうだな。まあ、悔しいだろうよ。

でもま、これで俺が何を言いたいか伝わったかな。

 

「気分はどうだい?」

 

「…わかってるくせに」

 

「頭ごなしに否定するのがどれだけアホな事か、ちゃんとわかったかな?」

 

「うるさいわよさっきから…喧嘩売ってるの?」

 

「喧嘩腰だったのはそっちですぅ〜」

 

おおう、すげえ睨んでる。

これ以上やるとマジでキレそうだからやめとこ。

 

「もう一度言うが、初ライブくらいはやらせてやろうぜ。それで現実突きつけられりゃなんかあんだろ」

 

「…わかったわよ」

 

「ほい。んじゃ、これ置いとくぞ」

 

一応飲み物を置いて昇降口を出る。悔しそうな顔を見てつい楽しくなってしまった。僕はSだな。

 

「…随分と怒ってたみたいやね?」

 

正門から出ると、真後ろから声がかかる。どうやら隠れて聞いていたらしい。

 

「怒る?なんにだよ」

 

「えりちによ。3年間学院にいて、初めて見たよ?ゆうちゃんが怒ってるとこ」

 

「まず怒ってないんだけど…あとゆうちゃんはやめえや」

 

本当に怒ってるわけじゃない。ただあいつの言動が気に入らなかっただけであって、決してキレてはいない。

 

「かなり肩入れしてるんやね。あの3人に」

 

「そんなでもねぇよ。肩入れって言うなら東條だろ」

 

知ってるぞ、ユニット名書いて募集箱に入れてたの。見られてないと思ったら大間違いだからな。

 

「覗きは感心しないなぁ。ワシワシしちゃうで?」

 

「触るいうことは、触られる覚悟があるんやな?」

 

「触れるならいいよ?」

 

「画的にマズイからやめとくわ」

 

やったらまず間違いなく警察沙汰になる。

 

「用事はそれだけか?帰りたいんだけど」

 

「それじゃ、あとひとつだけいい?」

 

そう言ってまた笑う東條。どこかミステリアスで、つかみどころのない奴。なんというか、聖母マリアみたいな雰囲気を持ってる。絵の聖母マリアの雰囲気しか知らんけど。

 

「聖母マリアは言い過ぎやと思うよ?」

 

「話が逸れるから心読むのヤメテ」

 

スルーしたけどさっきも心読んでたよな、お前。

 

「ゆうちゃん、学校は楽しい?」

 

優しく笑いながら、彼女は僕に聞いてくる。

なんだ、そんなもの決まってるじゃないか。

 

「楽しいわけないだろ。金払って勉強するって、どんな苦行だよ。まあでも…」

 

学校はつまらない。退屈だし、朝早いし、そのせいで眠いし。

 

だけど、今はちょっと違う。

 

 

「楽しみではあるな。あの3人が、どんな景色を見せてくれるのか」




完全に息抜き作というか、思いついたことをドゥンドゥン書いていくので支離滅裂になりますね。

じゃあ1作目が真面目かと言われれば別段そういうわけでもなく、なんか意味わからんことになっていますが、まあ死んでないので大丈夫です。

では、次回もよろしくお願いします。
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