音ノ木坂学院ラブライ部!   作:れみんとぅ

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真姫「曲作り」僕「グランドピアノ…だと…?」

【放課後】

 

授業が終わるなり高坂さんに屋上に来るよう言われ、行ってみればいつもの3人が固まって座っていた。

途中でエリーとすれ違ったのだが、不機嫌そうに顔を背けられた。僕が何をしたというんだ。

待て、考えてみたらしまくったわ。HAHAHA。

 

「先輩!早く早く!こっちだよ!」

 

「そんなにはしゃいでどうしたんだよ」

 

相変わらず元気ハツラツな彼女に急かされながら3人の側に行くと、視線の先にはパソコンが。

 

「今朝、穂乃果の家にCDが届いていたんです。μ’sと書かれていたので、恐らく私達の曲なんですよ」

 

園田さんも声が少し弾んでいる。まあ、当然と言えば当然か。南さんもすごいニコニコしてるし。あれ、いつもか?

 

「それじゃ、かけるよ!ポチッとな!」

 

エンターキーを『ッターン!』と音を立てて叩く高坂さん。

気持ちはわかる。すごくやってて心地いいけど、それキーを傷めるからやめてあげて。

 

〜♪…〜♪……♪〜♪〜♪〜…

 

綺麗なピアノの音が流れ始めた。

こ、この響きはグランドピアノかな…家でグランドピアノって…もしかして西木野さんお嬢様…?

 

I say…Hey, hey, hey, START:DASH!!

 

歌ってるよ西木野さん…絶対ノリノリだなこれは。

チラッと3人の顔を見てみると、皆一様に顔を輝かせ、動画でもないのに画面に見入り、そして聴き入っていた。

 

いや、3人だけじゃない。

僕だってきっと同じ顔だ。頼んでよかったよ。

 

「…よし、んじゃこれを…」

 

パソコンを操作し、バックアップを取ってからCDを取り出す。

当然再生も止まる。3人の不満げな顔。特に高坂さん。そんなに頬を膨らますでない。

 

「なんで止めちゃったんですか!最後まで聴きたかったのに!」

 

「時間がないの!新入生歓迎会までもう1ヶ月ないんだから急ピッチで進めないといけないの!」

 

「むぅ〜」

 

なおも不満げだ。だから頬を膨らますでない。

園田さんと南さんも一瞬同じような顔をしたものの、すぐに高坂さんをなだめる。

 

「穂乃果、時間がないのは事実なのですから、我慢してください」

 

「そうだよ穂乃果ちゃん。振り付けだって練習しないといけないんだから」

 

「むぅ〜…わかったよ〜」

 

どうやら納得してくれたらしい。

あ、そういえば僕バックアップ取ってあるじゃん。

また手を伸ばしてパソコンを操作しながら言った。

 

「パソコンの中にデータはもう取り込んであるから、ここを開けばいつでも聴けるぞ」

 

再び流れ出す西木野さんの歌声。途端に高坂さんの顔が輝き、画面にかじりつくように聴き始める。

 

「なんだ〜!なんでそれを早く言わないんですかもう!」

 

「一応、目の前で操作したんだけども…」

 

まあ、パソコンの機能をよく知らない人だっているし、最初に説明しておけばよかったな。

 

「とにかく、今日を入れて3日で仕上げてくるよ。その間に歌の方は練習しておいてくれ」

 

作業期間に驚いたのか、園田さんが聞き返す。ピアノ音源があるし、あとは色々ひっつけるだけだから、そんなに時間はかからない。

 

「3日でできるんですか?」

 

「なに、3徹すれば余裕さ」

 

「なっ、ちゃんと寝てください!体に悪いですよ!」

 

お前はオカンかよ…。言ったら怒りそうだし、言わないけど。

 

「大丈夫大丈夫。授業中に寝られるから」

 

「授業中は起きてないとダメじゃないですか!夜に寝ればいいんです!」

 

オカンだな〜。他の2人にもこんな感じなんだろうか。

特に高坂さんとか僕の独断と偏見から言うと授業中しょっちゅう寝てそうだし。

 

「お前らのライブのためだ、このくらいはするさ」

 

「でも…」

 

心配そうに僕を見る。彼女がとても優しい人間だということがひしひしと伝わってくる。

 

「大丈夫だ。僕の最高記録は5徹だから」

 

「胸張って言うことですか…」

 

ちなみに、何も言ってこない2人はずっと園田さんを見ている。なにニヤニヤしてんだ。

 

「んじゃ、今日はお暇するよ。また明日」

 

学校から出ると、前方約20mほど先にエリーの後ろ姿を確認。すぐに角を曲がり気付かれるのを回避。

こういう時に気付かれると、帰る方向が同じなもんだから気まずいのなんの。

主に僕のせいでこうなってるわけだけど。

 

なんだかウズウズしてきた。

決めた。走って帰ろう。ダッシュで。

 

そう思った時にはもう、僕の脚は駆け出していた。

 

 

【夕食】

 

今日の当番は僕だ。

献立は肉じゃが、肉野菜炒めにご飯と味噌汁。肉づくしだ。その他漬物数種と姉さんの好きな辛子明太子。

 

姉さんは帰ってくるなり食卓を見て「うっ…」と苦々しい顔をした。

 

「…お肉ばっかり…」

 

「うん。好きだろ、肉じゃが」

 

「好きだよ?好きだけど…最近体重が…」

 

なるほど、それであの表情ね。

何を気にする必要がある。姉さんは全く太ってなどいない。

言っても信じないだろうけど。

 

「あのな姉さん、肉を食っても言うてそこまで太らないから。太る主な要素は炭水化物、つまり米やパンだよ。肉の脂質はあんまり気にしなくても大丈夫だ」

 

「本当!?なら食べる!!」

 

洗面所に走っていった。そんなに嬉しかったのか。

ただ、運動しないとやっぱり太るけど、まあ姉さんは筋トレとかやってるし大丈夫だろ。

 

「いただきます!!」

 

戻ってくるなり即座に手を合わせ箸を肉じゃがに伸ばす。

こらこらがっつくな。肉じゃがは別に逃げないよ。

 

「まだご飯も味噌汁も盛ってな…ああこら箸で掴んでそのまま行くなよ。お茶碗持ってくるから我慢しなって」

 

「Hurry up!!(早く‼︎)」

 

「OK, but just a minutes.(はいはい。ちょっと待ってて)」

 

英語って、姉さんアンタ日本人でしょ。それに答える僕も当然日本人だけど。

 

「美味しい!ご飯ちょうだい!」

 

「はいはい」

 

ご飯を茶碗によそって渡す。

幸せそうに口に運び、しばらく動きを止めると再び箸を肉じゃがへ。

 

「それはよかった…って肉じゃがの肉がもうほとんど無いじゃねえか!姉さん僕の分取っておくとかそういう優しさないわけ!?」

 

「肉野菜炒めがあるじゃないの」

 

「肉じゃがだって食べたいの!わかって!」

 

「It's first come!!(早い者勝ちだもん‼︎)」

 

「Holy Shit!!(チクショー‼︎)」

 

わいわいと騒ぎながら、楽しく夕食を取った荻野姉弟だった。

 

食後、2人並んでデザートのアイス(月に1度、姉さんはハー○ンダ○ツを2人分買って帰ってくる。密かな贅沢というやつだ)を食べつつ、テレビを見る。

 

見ている番組はバラエティではなく車番組だ。姉弟揃ってメカ好き、そして車好きなので全く問題はない。

 

「へぇ〜…フルモデルチェンジするんだ…」

 

「でも変わる前の方がいいと思うわ」

 

2人してかなり真面目に観ている。

あ、そういえば、姉さんには言っておかないと。

 

「そうそう、今日から地下室使うから」

 

「…また徹夜?体に悪いわよ」

 

「大丈夫、2、3日寝なくても死にゃしないって。それに、授業中に眠れるし」

 

「いや授業中は起きてなさいよ…」

 

アイスを食べ終え、風呂に入るために着替えを取りに向かう。

普段は姉さんが先に入るが、地下室を使う時だけは僕が先に入る。作業時間を増やすためだ。

 

風呂に入り終えると、早速地下へ。歯は風呂の中で磨くのが習慣になっている。

姉さんにおやすみと言うと、心配そうな顔をしながら「うん」とだけ帰ってきた。

 

大丈夫だ。死ぬわけじゃないし、そんな顔をするなよ。

僕は苦笑いしつつ、姉さんの優しさになんだか胸が暖かくなった。

 

 

【夜の学校】

 

失敗した。思った以上に苦労してしまった。

パソコンを使っての作業もあって、かなり時間がかかっちゃった。

 

外はもうすっかり暗い。

暖かくなってきたとはいえ、まだ日はあまり長くない。そんなに遅い時間ではないけれど、暗いと…やっぱり…。

 

「あれ、エリーじゃん」

 

「うっひぃぇぅぁっ!!??」

 

いいいいきなり声をかけないでよ!!びっくりするじゃないの!!

 

「ゆ、ユウ…」

 

「ちょっと生徒会室に忘れ物してな。鍵貸してくれ」

 

まだ震える手で鍵を差し出す。受け取ると彼は生徒会室に入り、姿を消す。

 

え、あ、ちょっと、ひとりには…。

でも、すぐに出てきたので密かにホッとした。

 

「んじゃ、行くか」

 

「え、ええ」

 

2人で歩き出す。

1人じゃなければ大丈夫。大丈夫…。大丈夫よ絵里。ここは普通の学校なんだから。

 

「…エリー?」

 

「なに?」

 

「袖、離してくれない?」

 

…うるさい。知ってるくせに。

私は暗いところが苦手だ。それは小さい頃の出来事がトラウマだからだけど、ユウと希以外には話していない。

 

「肉を摘むのをやめてほしい。普通に痛い」

 

「あ、ごめんなさい」

 

かなり強く掴んでいたらしい。ユウの制服の裾が一ヶ所だけ皺になっていた。

 

「……」

 

2人になって安心したからかある事を思い出して立ち止まる。

 

「どした?」

 

「…トイレ行きたい」

 

「ちょうどあるし行ってこいよ。電気も付くだろ」

 

そうね。トイレなら電気がつくはず。だから大丈夫。そう言い聞かせながら、トイレの電気のスイッチを押す。

 

…あれ?付かない?嘘でしょ?

なんど押しても明かりが灯ることはない。

どうしよう…ついユウの方を見る。

 

「…いや、そんな助けを求める目をされても…」

 

でしょうね。まさかトイレの中まで付いてきてもらうわけにもいかないし。

 

「さすがにトイレの中までついていくわけ…にも…」

 

私が考えたのと同じことを言おうとする。でも、尻すぼみに声が消えていき、彼は後ろを振り返る。

 

「な、なに?どうしたのよユウ」

 

「静かに…エリー、聞こえないか?足音」

 

…は?そんなもの聞こえるわけ…

 

 

…コツ…コツ…

 

 

「…う、嘘でしょ…?」

 

思わずユウのそばに駆け寄り腕を掴む。彼は何も言わずにただ廊下の先、曲がり角の辺りを見据えている。

 

足音は少しずつ近付いてくる。もう音がはっきりと聞き取れるくらい。

 

2人とも息を呑んで足音の正体を待つ。

現れたのは…

 

「…あれ?えりちにゆうちゃんやん」

 

…希だった。

 

「の…のぞみ…よかった…」

 

足に力が入らなくなって、よろよろとユウに寄りかかる。彼は苦笑いしながらも支えてくれた。

 

「東條お前、僕たちがいるのに気が付いてわざとゆっくり歩いてきたろ」

 

「バレてた?えりちの叫び声は聞こえてたからね」

 

悪戯っぽく希は笑う。やめてよそういうの…私が苦手なの知ってるくせに…

 

「ちょうどよかった。エリーについて行ってやってくれないか」

 

言いながらユウはトイレを指す。そうだった。なんのためにここにいたのか怖くて忘れていたわ。

 

「ええよ〜。ほな行こかえりち」

 

「あ、ありがとう」

 

その後は何事もなく学校から出られた。その帰り道の事。

 

「…エリー」

 

「どうしたの?そんな険しい顔して」

 

「言おうかどうか迷ったんだがな」

 

言葉の通り、ユウはなんだか言いにくそうにしている。

何よ。そんなに勿体ぶったら気になるじゃないの。

 

 

 

「…あいつ、東條じゃなかった」

 

 

 

………。

 

……は?

 




地の文の書き方を工夫してみています。少しは読みやすくなったのではないかと…

学校の課題が終わらずヒィヒィ言いながらパワプロをやってます。大丈夫、ワンチャンアルッショ。

ダイヤのA青道高校の選手を強化して、アレンジチームのカンザスシティ・ロイヤルズに着々と組み込んでいます。

皆「メジャーならこんな感じかな」というところまで強化しているので、沢村の球速が155キロだったり降谷がオールAだったりしますがそこは気にしないようにしています。
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