どっちつかずの彼女(かれ)は行く   作:d.c.2隊長

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お待たせしました、ようやく更新でございます。

先日、とある有志(?)の方LINEにて本作品の紹介文、拡散文としてイブキのアカウントを作って下さいました!
http://line.me/ti/p/%40eak1024g

イラストやこういったアカウントを作って下さる方がいる程本作品を気に入って下さっている方々がいて嬉しい限りです。今後も本作を宜しくお願いしますヾ(´∀`ヾ)


方針は決まった

 深海棲艦の拠点はその殆どが海中洞窟と呼べる場所であり、その入口は海中に存在する。入るには潜るしかない。しかし、深海棲艦はともかく艦娘は潜水艦くらいしか潜ることなど出来ない。それは軍艦としての用途と、意識の違いだ。

 

 潜水艦以外の艦娘にとって、水中……海の中という景色は、己が沈んだ時に見る最期の景色に近い。そこは冷たく、暗く、1度見れば2度と他の景色を見ることが出来ない。それが風呂場やプールのような場所ならともかく、海で頭まで潜ることなど出来ないだろう。

 

 しかし、戦艦棲姫山城は言った。拠点はこの下……海中にあると。入るには潜るしかない。どれだけ怖くても、どれだけ恐ろしくても……必死に耐えて潜るしかない。

 

 「……時雨さん、そこから出てきたんでしょ? 怖くなかったの?」

 

 「実はね、全力で目を瞑って耳を塞いでタ級に抱き抱えられながら浮上したんだよ。怖くて怖くて仕方なかったからね」

 

 少し青ざめた顔の雷は時雨に問い掛け、時雨もまた顔を青ざめさせながら答える。それほどまでに、海中というのは艦娘にとって恐怖の場所なのだ。雷も時雨も、その恐怖心を持っている。

 

 しかし、彼女達以外のメンバーを見てみると……だ。山城と戦艦水鬼扶桑は艦娘としての記憶を持ってはいるが、深海棲艦である為に忌避感はない。夕立も北方棲姫と港湾棲姫の拠点から出てきた上に元々チ級の記憶もあり、今では半分艦娘半分深海棲艦のようなもの。忌避感はほぼない。レコンも半分金剛半分レ級、しかもレ級の生まれは深海なのだ、忌避感を覚えるどころかホームグラウンドと言っても過言ではない。タ級も深海棲艦なので忌避感なし。イブキはよくわからないが、見ていて忌避感を感じているようには見えない。

 

 耐えるべきは2人。雷は目の前の潜る気満々の面子を見た後に時雨を見る。時雨も同じように雷を見て、目で語りかけた。

 

 

 

 “覚悟は出来た? 僕は出来てる……あ、ごめん。やっぱり怖い”

 

 

 

 涙目になっている時雨を見て、雷も泣きそうになった。が、そんなことをしている間に周りは潜る準備が出来ている。2人が出来ることは、恐怖を押し殺して誰かに必死にしがみつくことだけだった。

 

 

 

 

 

 

 「ようこそ、私の拠点へ」

 

 海中へと潜り、海中洞窟の入口を通った一行が海から顔を出して見たものは、鉄の床がある岩肌の空間。先行していた山城は両手を拡げ、そう歓迎の言葉を発した。

 

 潜ったせいでずぶ濡れになってしまった一行だが乾かせるもの……ごーちゃん軍刀は最悪崩落するので却下……も拭くものもない為、そのまま拠点の中を山城とタ級の案内の元に歩くこととなった。入口と同じように通路も鉄製……少なくとも自然に出来たものではない。しかも時々見える扉は木製であり、明らかに人の手が入っている。

 

 「ねえ、深海棲艦の拠点ってみんなこんな感じなの?」

 

 気付けば、雷はそんな疑問を口にしていた。その疑問は当然のことだろう。乱雑に置かれているならまだしも、今歩いている鉄製の床は均等に敷き詰められている。木製の扉は嵌め込んでいるだけではなく、しっかりと扉として機能している。初めて訪れた深海棲艦の拠点がこうなのだ、他の場所も同様なのかは雷でなくとも気になるところだろう。

 

 「私が知ってるところと似たような感じっぽい」

 

 「南方棲戦姫のところも同じようなものね。私達も全ての拠点の場所と内装を把握出来ている訳ではないのだけれど……内装はあまり変わらないと思うわ」

 

 雷の疑問に答えたのは、夕立と扶桑だった。そして、2人とも別の拠点ではあるが内装は変わらないという。海軍の鎮守府があまり内装に差がないように、深海棲艦の拠点も基本的なものは変わらないらしい。

 

 そんな話を聞いていた時雨は声に出さずに不思議に思った。その疑問は“どうやって”、或いは“どのように作られたのか”ということだ。何せ深海棲艦の拠点は一目で分かる程に何者かの手が入っている。しかし、この海中洞窟にやってこれるのは深海棲艦か潜水艦娘。人間が深海棲艦が住み着く前に拠点として使用するべく手を加えていた可能性も無きにあらずだが、深海棲艦が蔓延る今の世界でそんな自殺行為をすることもないだろう。

 

 深海棲艦が自分達で作り上げた……完全に否定することはできないだろうが、可能性としては限りなくゼロに近い。船である深海棲艦達がそんな技術を持っているとは考えにくいからだ。では誰が、どのように、何のために拠点を作ったのか。

 

 (1番高い可能性は、やっぱり……)

 

 実のところ、時雨はその誰かの正体をほぼ確信している。だが、それを口にすることは憚られた。何しろ時雨の考えでは、そのまま口にすると世界の常識がまた1つ覆ることになるのだから。

 

 しかし、時雨の頭の中では次々とピースが当てはまっていっていく。謎が少しずつ紐解けていく。だが、何かが足りない。完成には届かない。故に、時雨は口に出せない。もしも間違っていれば、いらぬ不安を与えるかも知れない。奇異の目で見られるかもしれない。混乱を招くかもしれない。そんな考えが頭を過り……時雨は、本当の本当に確信が持てるまで己の心に留めておくことを決めた。

 

 「『誰もいないデスネ。引キコモッテンノカナ?』」

 

 「仕方ないわ。数百に及んだ部下達は以前の戦いで20程にまで減ってしまったし、その部下達は私達と同じように南方棲戦姫の所でお世話になっているもの。今は恩返しの為に資材を集めている頃でしょうね」

 

 「……他の深海棲艦が、空いた拠点に住み着いたりはしないのか?」

 

 「どうなのかしら? 少なくとも、私はそういった話は聞いたことないけれど……」

 

 山城が言うには、深海棲艦は本来決まった拠点や住み処を持たない。しかし、鬼や姫のような理性的で統率の取れる存在が拠点を持つことでそれ等よりも力の弱い者達はその下につき、統率され、海域を制圧していくのだという。つまり、鬼や姫がいなければ拠点は使われない。深海棲艦が住み着くことはない。この拠点に誰もいないのは、そういった理由もあるのだろう。

 

 そんな会話をしながら拠点を歩き回り、おおよその構造と部屋を把握した一行は執務室のような部屋に入った。中には空っぽの本棚に大きな机、それと椅子。如何にも執務室ですと言わんばかりの内装だった。それ自体は、特に不思議ではない……いや、海中に机だの椅子だのは可笑しい気がするが、在ること自体は特に問題ではない。

 

 (……同じだ)

 

 時雨は内心で呟いた。似ているどころの話ではない。時雨が見た南方棲戦姫の執務室と今いるこの執務室。場所は違い、主も違う……なのに、その内装は全く同じなのだ。勿論、記憶違いや実際は差異があるのかもしれないが……少なくとも、時雨は同じだと感じていた。

 

 内装が同じというのは、別段珍しくもないかも知れない。時雨達の鎮守府とて他の鎮守府とそう変わらない内装をしているだろうし、それほど大きな違いはないだろう。だが、深海棲艦の拠点とは基本的に“海中に存在する洞窟”……つまりは自然に出来た物な訳だが、海流や潮の満ち引き等の差異がある中で内装まで同じというのはほぼ有り得ない。例えそれが明らかに何者かの手が入っているとしても、部屋の大きさまでもがほぼ同じというのは可笑しい。

 

 (つまり、深海棲艦の拠点は自然に出来た洞窟を改造したんじゃなくて……初めから人工的に造られた? もしくは……深海棲艦の“為に”用意された空間……?)

 

 そうして時雨が考えている間に、イブキ達は今後について話し合っていた。連合艦隊を退けた以上、イブキ達は海軍に目の敵にされるだろう。沈んだと予測されていかもしれないが、生存を考慮して再び連合艦隊が差し向けられる可能性も無くはない。それらを踏まえた上で彼女達が出した方針は、一言で言うなら“隠密”。ほとぼりが冷めるまで目立つ行動を控え、自分達は那智の言っていた爆弾で沈んだように見せ掛ける……例え望み薄くとも、いずれ雷と時雨を元の鎮守府に帰してあげられるその日まで。

 

 しかし、そんな生活は長くは続かないことを誰もが理解していた。資材を集める為には海に出る必要がある。どれだけ身を潜めながら行動したとしても、いずれはバレる。その後、海軍がどんな行動を取るのか……誰も分からない。

 

 「……とりあえず、方針は決まった。後はやるべきことを明確にしないといけないな」

 

 「ええ。と言っても、大体決まっているけれどね。補給や修復する為に必要な資材集めは早急にやらないといけないし、雷ちゃんと時雨ちゃん用の入口も作らないといけない。資材集めにはイブキ姉様達を行かせる訳にはいかないから、私達とタ級達部下にさせるしかない……問題は、拠点のリフォームね。ノウハウがない私達では難題も難題だわ……」

 

 「いや、リフォームならその子達に任せばいいだろう?」

 

 【……?】

 

 不意に、山城の言葉を聞いたイブキが虚空を指差した。イブキを除く全員がその指の先を見やるが、その先には壁や天井があるだけであり、イブキが言う“その子達”と呼ばれる者達の姿はない。全員がきょとんとして不思議そうな表情を浮かべると、イブキは全員の顔を見た後に納得したように頷いた。

 

 「……なるほど、俺以外には見えていないのか」

 

 「見えないって、何が?」

 

 「妖精だ。何故かは分からないが、俺しか見えていないようだな」

 

 イブキの言葉に時雨がやはり……と思う中、2人除いた者達は驚愕の表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 日本海軍大本営……その中にある自室に、不知火の姿があった。その部屋には、畳まれた布団や不知火の体格に合わせられた勉強机、大量の資料が入った本棚がある。その内装は実用重視で無駄な装飾などない、良く言えばシンプル、悪く言えば殺風景なモノだ。それこそが元帥第一艦隊の1隻である不知火の個人部屋である。

 

 (やるべきことは決めました。後は……時期、ですね)

 

 大規模作戦から1日経ち、不知火は自分が取るべき行動を見定めていた。帰る途中に出逢い、沈めた駆逐棲姫……彼女の遺した言葉は、不知火の耳に未だに残っている。その言葉を切っ掛けとして、不知火は元帥……渡辺 善蔵の言葉に盲目に従うことを止めた。

 

 しかし、だからと言ってすぐに行動には移せない。今までの命令のことを聞こうとしても相手は海軍総司令……簡単に言えば多忙な人物だ。長年の付き合いであり、第一艦隊のメンバーである不知火であっても、質問する為だけに執務室を訪れる等許されない。何らかの理由で執務室を訪れる必要があり、その際に質問するのが理想的だ。

 

 だが、今の不知火は特に仕事を割り振られていない。書類関係は大淀が一手に担っているので割り込む隙がない。遠征や演習のメンバーにも選ばれていない。食事時に呼びに行く……昼食はさっき終わってしまった。質問の内容が内容なので艦娘が大勢いる食堂で聞くわけにはいかなかった為、昼食は普通に食べている。

 

 (……あまり後回しにするのは好きではないのですが……仕方ないですね)

 

 不知火は善蔵に聞きに行くことを一旦後回しにし、部屋から出てとある場所へと向かう。自室からそう遠くない所にあるその場所は、善蔵と第一艦隊のメンバーしか持っていない鍵でしか開かない部屋……重要物保管庫とプレートに書かれた部屋だった。

 

 文字通り、海軍が持つ重要物……大淀が持ち帰った駆逐棲姫の艤装の破片のような、姫を沈めた証となる戦利品や退役、戦死した海軍関係者の名前が書かれた書類やネームプレート、海軍で起きた事件、解決した事件の詳細が書かれた原本(資料室等にあるのは全てコピー)等が置かれている。

 

 不知火は鍵を開けて中に入り、目当ての物……駆逐棲姫の艤装の破片を探す。保管庫は然程拾い訳ではなかった為、それはすぐに見つかった。

 

 (……春雨、さん)

 

 不知火の小さな両手で包み込める程度の大きさのクリアケースの中に入れられた、駆逐棲姫の艤装の破片。こんな小さな、予め知っていなければただの鉄屑にしか見えないようなそれが、駆逐棲姫がこの世界に居たという唯一無二の証。不知火はクリアケースから破片を取りだし、駆逐棲姫のかつての名を思いながら抱き締める。

 

 白露型駆逐艦“春雨”……この名は、不知火にとって苦い思い出だ。何せ、不知火を“不知火ちゃん”と呼んで仲の良い友人のような関係だったにも関わらず、彼女は沈んだ。そして、沈めたのは……善蔵の命令を受けたけど不知火だったのだから。

 

 不知火は今でも思い出せる。友人だと、仲間だと思っていた不知火が主砲を己に向けた時に春雨が浮かべた驚愕と悲しみの表情を。疑問に満ちた“どうして?”の言葉を。その問い掛けに何も答えず、ただ黙って沈み逝く姿を見ていた己を。

 

 「……ごめんなさい、春雨さん」

 

 それは過去の春雨へと向けられたモノか、それとも深海棲艦となって甦った駆逐棲姫へと向けられたモノか。例えどちらに向けられたモノであっても、発した言葉は短くとも、そこに込められた想いは大きい。不知火は、無表情の顔を俯かせ……独り、雫を溢した。

 

 

 

 しばらくして保管庫から出た不知火は、特にやることもない為に自主トレをするべく射撃場へと向かっていた。普段なら、善蔵の命を受けて偵察なり暗殺なり第一艦隊として演習なり出撃なり行くのだが……那智を失ったことで空いた穴が大きいのか、第一艦隊として動くことはしばらくないと善蔵から言われている。命令も受けていない。仕事ばかりしていた人間が急に休暇を言い渡されて何をすればいいのか分からない……不知火はそういう心境だった。

 

 「……あら? 不知火さんじゃないですか」

 

 「……翔鶴さん」

 

 そうして射撃場に行く途中、不知火は翔鶴と出会った。翔鶴は不知火の姿を見るとにっこりと笑みを浮かべ、会釈をする。不知火もそれに習い、同じようにペコリと頭を下げた。

 

 この翔鶴は、先日の大規模作戦にも参加していた第二艦隊所属の艦娘だ。第一艦隊の席こそ不知火と同じく最古参の空母娘である雲龍に奪われているが、空母娘としての実力は善蔵の艦娘の中でも1、2を争う程の実力者である。少々不運に見舞われることもあるが、笑顔を絶やさず、人当たりも良い。掃除炊事洗濯だってお手の物である。

 

 (……やはり、この人は苦手です)

 

 そんな翔鶴が、不知火は苦手だった。否、不知火は翔鶴だけでなく、第二艦隊の面々が苦手だった。翔鶴の口は弧を描き、その容姿に見合う笑みを浮かべている。だが、その目は淀み……不知火を射抜くように見詰めている。その瞳が苦手……否。顔には出なくとも、不知火は恐怖を抱いていた。

 

 第二艦隊の艦娘達は皆、第一艦隊の面々程ではないが充分に古参と呼ぶことができる。ただ、同じ共通点を持っていた。それがこの淀んだ瞳……第一艦隊の面々にのみ向けられる“嫉妬”の感情だった。

 

 第二艦隊の者達は、全員が他の鎮守府から異動してきた艦娘である。その理由は様々ではあるが……共通しているのは、元の鎮守府では厄介者として扱われていた、或いは疎ましく思われていたということ。それは些細な思い違いや擦れ違い、勘違い、性格や感性の不一致など本当に様々な理由で……だが、彼女達が提督不信、人間不信となるのも仕方のないことだった。

 

 そんな彼女達を受け入れたのが、海軍総司令である善蔵。異動する原因となった事柄を全て受け止め、受け入れた。人間不信が善蔵にのみ和らぎ、四季が一周する頃には不信が信用になり、信用が信頼に変わり、信頼の中に敬愛が生まれ……。

 

 「不知火さん。少し聞きたいことがあるんですけれど……」

 

 「……なんですか?」

 

 

 

 「那智さんが居なくなったことで空いた第一艦隊の席……誰が入るか決まりましたか?」

 

 

 

 敬愛が、いつからか狂愛へと変わっていた。表面上は変わっていないように見える。だが、第一艦隊の面々は気付いている……その瞳に宿る狂おしい程の嫉妬を。不知火達がいるから、第一艦隊という最も善蔵に近く、最も善蔵が信頼している席に座れない故の憎悪を。善蔵さえ居れば他には何も要らないという狂愛を。善蔵のやること成すこと全てが正しいという狂信を。

 

 こうして那智が沈んだことによって空いた第一艦隊に誰が加わるのかというのを聞いてきたのも、もしかしたら自分が入ることが出来るのかもしれないという希望からだろう。不知火としては、第二艦隊の者達の中から誰かが来るのは、彼女達の実力的には妥当だと考えている。だが……本音ではごめん被りたいと考えている。いつフレンドリーファイアが起きるかも分からないのだから。

 

 「すみませんが、私には分かりかねま……ぐっ!?」

 

 「……本当、かしら? 嘘をついてない? ねえ? 不知火さん」

 

 とは言え、大規模作戦が終わってから不知火が善蔵と会った時間は僅かなモノで、まともに話をする時間などなかった。翔鶴の知りたい情報を持っている訳がない。苦手ではあるが嘘をつく程嫌いという訳ではないため、それを正直に言い……言い切る前に翔鶴に胸ぐらを捕まれ、壁に背中から押し付けられた。

 

 翔鶴の外見は、綺麗な銀髪に色白の肌に華奢な体をしていて美人寄りの顔立ちをしている……決して、小さな体躯とは言え不知火を片手で持ち上げて壁に押し付けられるようには見えないだろう。彼女が艦娘だからこそ出来る芸当だと言える。

 

 「不知火さん……第一艦隊に新しく入るのは誰なの? まさか、またあの余所者みたいに他の鎮守府から来た人を入れるというの? 私達ではダメなの? 私ではダメなの? なんで? 雲龍がいるから? 元は私達も余所者だから? 私が余所者だから? 嫌、そんなの嫌。提督のお側に居たいの。司令官の信頼が欲しいの。元帥の命令を聞きたいの。善蔵さんに必要とされたいの。どうして邪魔するの? どうして意地悪するの? そんなに私達が嫌い? そんなに私が嫌い? ねえ、不知火さん」

 

 「っ……っ……!」

 

 ギリギリと翔鶴の込める力が強くなっていく。不知火は喉を圧迫されて声が出せない為に彼女の言葉に返すことが出来ず、先程までの笑顔などなかったかのように無表情で淡々と言葉を紡いでいく翔鶴の姿に怯える。それでも表情そのものが変わらないのは、流石は第一艦隊と言うべきだろうか。

 

 その無表情が、翔鶴は気に入らない。まるで自分を見下しているかのように見える……というのもあるが、一番の理由は善蔵が第一艦隊の面々“のみ”にそう在るようにと望んだからだ。そう在るようにと命令したからだ。

 

 表情に出るというのは、その存在の心の内を知るヒントを相手に与えることになる。そこから手の内を読まれることもあろう。だが、無表情なら本当に心が読める者でもない限りはそうならない。善蔵の第一艦隊が海軍最強の称号を手にしているのは、純粋な実力と経験に加え、その手の内を読まれないというのが大きい。

 

 だが、翔鶴にとってそんな効果は付属物、おまけに過ぎない。善蔵が指示した。善蔵が望んだ。自分達第二艦隊にはそんなモノは望まなかったのに、自分には望まなかったのに。第一艦隊に“のみ”……それが翔鶴にとっては許せない。何よりも、その第一艦隊に所属している“余所者”……その存在そのものが最も許せなかった。

 

 「止めなさい!」

 

 「っ!? 矢矧ぃ……っ!」

 

 「ごほっ! ごほっ……」

 

 そして今、その余所者によって手を叩かれ、不知火が解放された。翔鶴は自分の手を叩いた余所者……矢矧を怨みの籠った目で睨み付け、その顔を憤怒に染め上げる。不知火はその場に喉を押さえて座り込み、自分を助けた矢矧を見上げた。そんな彼女は今、不知火と同じく無表情で翔鶴を見据えている。

 

 先程から翔鶴が矢矧のことを余所者と呼んでいる理由……それは、矢矧もまた翔鶴達と同じように他の鎮守府から異動してきた艦娘だからだ。自分達と同じ立場でありながら第一艦隊の席にいる矢矧……翔鶴を含めた第二艦隊の面々が最も目の敵にしているのが彼女であった。そして彼女もまた、不知火達と同じように善蔵から無表情であるようにと望まれた存在……憎くない筈がなかった。

 

 「翔鶴……貴女は今、何をしていたんですか?」

 

 「私はただ、不知火さんに質問をしていただけですよ」

 

 何を白々しい……とは、不知火は思わない。翔鶴の質問をしていたという言葉に嘘はないのだから。

 

 だが、矢矧はその言葉をそのまま鵜呑みにはしなかった。何しろ不知火は壁に力任せに押し付けられていた……そこには暴力があったのだから。喧嘩なんて言葉で済むような雰囲気でもなかった。故に矢矧は、不知火を守るように自分の体を2人の間に置いた。

 

 「どいてくれないかしら? まだ不知火さんに質問の答えを貰っては……」

 

 「第一艦隊への補充艦はまだ決まっていない……少なくとも、私達は聞かされていない。どうしても知りたければ、自分が入りたければ、直接総司令にどうぞ」

 

 矢矧と翔鶴の目線が絡み合い、その場の空気が重くなる。不知火には翔鶴の顔しか見えていないが、彼女の矢矧を見る目にはあからさまな敵意が込められている。もし艤装を手にしていれば、使っていてもおかしくないと思える程に。矢矧もまた、普段の無表情こそ崩してはいないもののその瞳には怒りの感情を浮かべ、翔鶴を睨み付けている。

 

 やがて、翔鶴は視線を外してその場から立ち去った。その後ろ姿が見えなくなったところで矢矧は1度息を吐き、後ろに振り返って不知火に手を差し出した。

 

 「立てますか?」

 

 「……はい。ありがとう、ございます」

 

 不知火は差し出された手を握り、引っ張ってもらいながら立ち上がる。そして矢矧と不知火はお互いを見つめ……特に会話をすることもなく別れた。不知火としては、お礼を言う以外の言葉を思い付かなかったし、目当ての場所に向かいたかったら。矢矧としては、そもそも不知火を“図りかねていた”から。

 

 矢矧は不知火の背中を消えるまで見つめ……消えてから口を開く。その時の顔は無表情などではなく……少し、悲しげな表情で。

 

 「貴女は“私達”の敵か味方、どちらになるんでしょうね……」

 

 そう、呟いた。

 

 

 

 

 

 

 仲間達と話し合い、(俺以外の)激しい口論と戦い(じゃんけん)の末に決まった部屋の中に、俺はいた。俺はその部屋になぜか存在したふかふかのベッドの上に座り、目の前にいる存在……先程皆にも知らせた妖精達を見る。

 

 「じゃあ皆……頼む」

 

 【はーい】

 

 俺の言葉を聞いてコクリと頷き、きゃあきゃあ言いながら散らばっていく妖精達。それぞれが似通った姿をしている為にまるて見分けがつかない……だがまあぶつかって転けたり、助けようとして転けたり、ぎゅうぎゅうと積み重なって動けなくなっていたりする姿は見ていて和む。そんな姿を見ながら、俺は今までの事を思い返す。

 

 

 

 

 

 

 海に潜り、無事に山城達の拠点の出入口を抜けて拠点へと辿り着いた俺達。岩肌に機械が埋め込まれているかのような初めて見る空間に少し感動を覚えていた俺だったんだが……。

 

 「雷、時雨……大丈夫か?」

 

 「「……なんとか」」

 

 潜っている間ずっと俺にしがみついていた雷と時雨の2人のグロッキーになっている姿を見てそう聞くが、2人は今にも死にそうな顔で返す。予め潜水艦娘以外の艦娘にとっては海に顔をつけることすら死を覚悟するレベルの恐怖を感じると聞いていたが、ここまでのものだとは知らなかった。因みに、俺は特に何とも思わなかった。

 

 少しして2人が回復したのを切っ掛けに、俺達は体を乾かすこともなく山城と扶桑、タ級の案内を受けながら拠点の中を歩いた。入渠場だと言う場所が銭湯のような拾い風呂場、その横に透き通るような緑色の液体が入った大きなカプセルが幾つか置いてある部屋、食料倉庫と書かれた広さの割に弾薬と燃料の入ったドラム缶が幾つかしか置いてない広大な部屋……なぜ資材ではなく食料なのかと心の中でツッコんだ。

 

 (食料か……少し、心配ではあるな)

 

 食料倉庫から出た後、案内を聞く片隅で俺はそんな事を考えていた。何せ俺は、この世界に来てから弾薬や燃料、ボーキサイトのような艦隊これくしょんの資材を目にしたのは今回が初めてで、補給したことがない。いや、そもそも艤装など軍刀しかないというのに、どうやって燃料だ弾薬だボーキサイトだを補給するというのか……。

 

 そしてこれは夕立から聞いた話だが、艦娘も喉の乾きや空腹を感じると言う。俺も当然それらを感じる。が、見たところ飲めそうな水や食べ物はなかった……どうにか対策を考えなければならないだろうな。

 

 道中、皆が気になる話をしていた。今いる拠点の構造が、他の深海棲艦の拠点の構造と似通っているらしい……そんな事が有り得るのだろうか、と考えてしまったが、某大総統の兄弟が言っていた。“有り得ないなんてことは有り得ない”と。となれば、理由や経緯はともかくとして“同じ構造の海中の洞窟に作られた拠点が複数存在する”と言うのも、決して有り得ない訳ではない。何しろ俺のような存在も居るのだ、理解出来ないモノや信じがたい事でありながら起こり得ていることなど幾らでもあるだろう。というか、艦娘だ深海棲艦だ妖精だと言っている世界で有り得ないことなんて本当にないだろう。

 

 しかし、有り得ない訳ではないならば必ず理由や原因があるハズ。拠点が同じ構造をしていることが自然には起きないなら、人為的になら起きる。何せこの世界には謎の技術を使う妖精が居るのだし。

 

 (……妖精か)

 

 ちらり、と俺達が歩いている通路の上を見る。なぜか先程から皆はスルーしているが、そこにはふわふわ浮いていたりぽてぽて歩いていたりする妖精をちらほらと見かける。妖精はいーちゃん達を除いて海軍……人類の味方なのかと考えていたが、そうでもないんだろうか?

 

 

 「『誰もいないデスネ。引キコモッテンノカナ?』」

 

 「仕方ないわ。数百に及んだ部下達は以前の戦いで20程にまで減ってしまったし、その部下達は私達と同じように南方棲戦姫の所でお世話になっているもの。今は恩返しの為に資材を集めている頃でしょうね」

 

 一瞬妖精のことかと思ったが、レコンが聞いたのは深海棲艦のことだったらしい。確かに、この拠点に来てから1度も深海棲艦の姿を見ていない。例え山城の部下の数が減り、今はその南方棲戦姫とやらの場所に居るとしても、こんな立派な拠点なんだから他の深海棲艦が住み着いていてもおかしくないと思うんだが。

 

 そう山城に聞いたところ、そんな話は聞いたこともないという……深海棲艦は拠点や住み処を持たないのか? なら、そういった深海棲艦達は補給はどうしているんだろうか……そう考えていた時、もっと根本的なことに疑問を持った。

 

 

 

 (そもそも、深海棲艦は“どうやって”産まれるんだ?)

 

 

 

 原作でも一切語られていない、深海棲艦の発生した理由……産まれた原因。負の感情の塊や沈んだ艦の怨念、異世界からの侵略者、沈んだ艦娘の成れの果て……様々な理由が考察されているが、確たるモノはない。艦娘は妖精が資材を使って作ったり、レコン……金剛や夕立のように深海棲艦から生まれ変わったりするらしい。逆に、山城のように艦娘から深海棲艦になった者もいる。

 

 艦娘と同じように資材を使って産まれる? なら、誰が生み出す? それが出来る存在は存在する。だが、人類の味方であるという妖精がそうだという可能性は……。

 

 (……いや、待てよ? 本当に“全ての妖精”が人間の味方をしているのか?)

 

 ふと浮かんだ疑問。妖精がどれだけ居るのかはわからないが、仮に1億……人? 体? 匹? ひとまず人としておくか。1億人いたとして、その100%が人間の味方であると言い切れるだろうか? 皆が皆同じ性格をしている訳ではないだろう。真面目な子もいれば、怠け者の子だっているかもしれない。現に、いーちゃん達はそれぞれ個性がある。そう考えれば、この拠点に妖精がいることは何もおかしくない。人類の味方をしている妖精がいるように“深海棲艦の味方”をしている妖精がいる、というだけの話なのだから。

 

 そうであるなら、この誰もいない拠点に妖精がいても不思議は……いや、不思議は不思議だが、まあ理解は出来る。違うなら……分からない。実は元々は妖精が住んでいた……なんてこともあるのかも知れない。とまあ案内されている最中にこんな考察をしていた俺だったが、この案内の終着点らしき部屋に入ったことで彼女達に意識を向ける。話し合うことは、沢山あるのだから。

 

 まず行ったのは現状の再確認と行動方針の決定。俺達は恐らく、海軍では沈んだと思われている。俺としては、夕立達が沈む危険性がある以上は彼女達に戦ったりしてほしくはない。そういった考えも交えて山城達と話し合い、行動方針はこそこそと動き、なるべく海軍との接触を避けることになった。いずれは、時雨と雷を元の仲間の所に返してあげられればいいんだが……望みは薄いだろう。

 

 「……とりあえず、方針は決まった。後はやるべきことを明確にしないといけないな」

 

 「ええ。と言っても、大体決まっているけれどね。補給や修復する為に必要な資材集めは早急にやらないといけないし、雷ちゃんと時雨ちゃん用の入口も作らないといけない。資材集めにはイブキ姉様達を行かせる訳にはいかないから、私達とタ級達部下にさせるしかない……問題は、拠点のリフォームね。ノウハウがない私達では難題も難題だわ……」

 

 「いや、リフォームならその子達に任せばいいだろう?」

 

 【……?】

 

 俺は先程から部屋にある机の上にいる妖精達を指差す。ここまで来る途中で見かけた妖精達は、少なくとも二桁には届く数だった。艦娘の建造を10分台、最長でも数時間で終わらせる妖精なら、勝手こそ違うだろうが俺達がやるよりも早く終わらせることができるかも知れない。そう思っての発言だったんだが、肯定の声も否定の声も上がらず、皆は首を傾げるだけ。ついでに指差した妖精達も“私?”という感じに首を傾げている。皆可愛いなぁ……それはさておき、ここで俺は皆は妖精をスルーしていたのではなく、そもそも気付いていなかったということに気付いた。

 

 「……なるほど、俺以外には見えていないのか」

 

 「見えないって、何が?」

 

 「妖精だ。何故かは分からないが、俺しか見えていないようだな」

 

 俺がそう言って、皆が驚愕の声を上げるまで……後2秒。

 

 

 

 

 

 

 あの後、皆が何かを考える仕草を取って空気がどこかおかしくなったのを感じた俺は、その空気を何とかしようと各自の部屋を決めようと提案し、なぜか殺伐とした空気に変わってえらく真剣な表情でじゃんけんを始めたので何事かと思った……何が彼女達を駆り立てたんだろうか。因みに、部屋は扶桑と山城、夕立とレコン、雷と時雨がそれぞれ相部屋となり、俺は1人部屋となった……嫌われている訳じゃないと思いたい。尚、タ級も今は同じく1人部屋だが、山城の部下達が戻ってくると大広間のような部屋で相部屋とするらしい。

 

 (……風呂にでも行こうか)

 

 さて、と気分を変え、俺は部屋から出て先程案内された入渠場……風呂へと向かう。海水で濡れたままだし、流石に体が冷えてきているしな。それに、今なら誰もいないだろう……男寄りの精神をしている俺には、彼女達の裸体は非っ常に目に毒なのだ。1人で入る方が心休まる。

 

 そんな考えの元に風呂に入り、後に同じ考えだったのか全員が風呂に入ってきて俺が必死に目を逸らし続けることになるまで……後5分。

 

 

 

 

 

 

 「マダ足リナイ……アイツヲ殺スニハ……マダマダ足リナイ」

 

 それは、世界のどこかにある場所。その場所は岩肌に機械があることから深海棲艦の拠点であることが分かる。その拠点の最奥の部屋に、その声の主はいた。その声の主は呟く。足りない、まだ足りない、まだまだ足りないと。

 

 「戦力モ、力モ……全然足リナイ。モット集メナキャ。モット強クナラナキャ。“世界ノ理”ヲ打チ砕ケル程ニ……アイツニ勝テル程ニ」

 

 声の主は手を伸ばす。何かを掴むように、何かを欲するように。声の主はまた呟く。戦力が足りないと、己の力が足りないと。その瞳に殺意を浮かべ、声の主は伸ばした手を握りしめる。何かを掴み取るように、何かを握り潰すかのように。

 

 

 

 「待ッテイナサイ……“善蔵”……ッ!!」

 

 

 

 そして、時は3ヶ月後へと進む。




という訳で、新たな拠点到着と妖精という存在に触れたお話でした。ヤンデレってこんな感じですかねえ……あまり書いたことがないもので←

前回のあとがきで書いたイブキの台詞が思いの外好評でしたので、今回は時報台詞をば。次回はイベント限定や季節限定台詞でも書きましょうかね……未確認台詞は、希望者が多ければw


1時:午前1時……マルヒトマルマル、だったか。 提督は寝なくていいのか?

2時:午前2時……マルフタマルマル、だ。提督、そろそろ寝ないと起きられないぞ。

3時:午前3時……マルサンマルマル。もしかして……眠れないのか?

4時:午前4時……マルヨンマルマル。ここまできたら、寝ない方がいいかも知れないな。

5時:午前5時……マルゴーマルマルか。せめて、仕事中には寝ないでくれよ。

6時:おはよう、提督。今は午前6時、マルロクマルマルだ。

7時:午前7時、マルナナマルマルだ。朝食を取ってこようか……それとも、食堂がいいか?

8時:仕事を始めようか。今は午前8時、マルハチマルマル。動くには丁度良いだろう?

9時:マルキューマルマル……午前9時だ。提督、俺は何をすればいい?

10時:ヒトマルマルマルは午前10時、だったな。やれやれ、秘書艦だから素振りにも行けないな。

11時:ヒトヒトマルマル……午前11時、か。昼食に出す魚でも刺して来ようか?

12時:さて、ヒトフタマルマル……午後12時だ。昼食には魚の串焼きのみだ……冗談だよ。

13時:ヒトサンマルマル、午後1時だな。少し休んだら、また動かないとな。

14時:すぅ……ぁ……すまない、少しうとうとと……今は午後2時、ヒトヨンマルマルだ。

15時:ヒトゴーマルマル、おやつ時の午後3時だ。提督は大人だから、おやつは不要だろう? ……俺のを半分あげるから、そう悲しそうにするな。

16時:ヒトロクマルマル、午後4時だ。夕暮れ時、という奴かな。

17時:ヒトナナマルマル……午後5時か。ごごごじ、って言いにくいな。

18時:午後6時、ヒトハチマルマルだ。提督、そろそろ出撃した皆が帰ってくるんじゃないか?

19時:さて、ヒトキューマルマル、もう午後7時だ。疲れただろう? 今日はもう終わりにしよう。

20時:フタマルマルマル、午後8時だ。夕食を持ってきたぞ。一緒に食べよう。

21時:フタヒトマルマル、午後9時だ。何人かの駆逐艦は、もう眠っているらしいぞ。

22時:フタフタマルマル……もう午後10時か。先に風呂を貰ってもいいだろうか? それとも、一緒に入るか? ……冗談だ。

23時:午後11時……フタサンマルマル、だな。提督、今日も1日お疲れ様……おやすみ。

0時:マルマルマルマル……午前0時。なんだ、まだ起きているのか?



今回のまとめ

イブキ達、戦艦棲姫山城の拠点に到着。ずぶ濡れに。時雨、拠点の謎を考える。彼女の常識は既に……。元帥第二艦隊所属、翔鶴登場。その目は濁っている。謎の深海棲艦、登場。その殺意は、善蔵に向けられている。



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