どっちつかずの彼女(かれ)は行く   作:d.c.2隊長

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お待たせしました。今回は前回に比べれば短いです。前回に比べれば……それでもメイン作品の倍はあるんですが(白目


俺では不満かも知れんがな

 それは、遠いような近いような……でも確かに起きた記憶。暗闇の中にテレビの画面の様なモノに映る記憶の中で、自分は艦娘に向かって砲を撃ち、次々に沈めていく。駆逐艦、軽巡、重巡、戦艦、空母……艦種に関係なく、次々と。そうしていく己の姿は……愉しくて仕方ないと言わんばかりの笑顔だった。艦娘達によって自らが沈められるまで、ずっと嘲笑(わら)っていた。そこまで見た後、場面が変わる。

 

 次に見えたのは、艦娘達と食事をしたり模擬戦をしたり、共に深海棲艦と戦って勝ち、仲間と共に提督に勝利を報告する自分。そうして日々を過ごす己は、楽しくて仕方ないと笑っていた。本当に楽しそうに……仲間と共に、笑っていた。

 

 深海棲艦として艦娘を沈める自分と、艦娘として深海棲艦を沈める自分の2つの記憶。はっきりと覚えていて、今も続くその記憶は確かに自分に起きたことで、今過ごしている日々である。だが、いつからかその2つの記憶が己を蝕んでいた。

 

 仲間と共に深海棲艦を沈める……達成感から来る喜びを仲間と分かち合いながら、なぜか罪悪感と仲間に対して憎しみを抱くようになった。模擬戦で仲間相手に勝利した……健闘を讃え合って笑い合いながら、どうして模擬戦では沈められないのかと内心で舌を打った。演習で仲好くなった他の鎮守府の艦娘が沈んだ……悲しくて悲しくて涙が止まらなかったのと同時に、嬉しくて嬉しくて笑いを殺すのに必死だった。

 

 極めつけが、サーモン海域最深部への総力戦の参加の記憶。連合艦隊であるが故の味方の艦娘の数と、どこからともなく湧いて出る敵の深海棲艦……敵味方が入り混じる戦場で“偶然”にも己の放った砲撃が味方に当たり、よろめいた味方に“偶々”敵の砲撃が当たってしまい……沈んだ。自分以外誰も気付いていないのは分かっていた……仲間の身を気にしている場合ではなかったから。それほどの激戦であったから。当たった本人さえも気付いていないだろう。だが、当ててしまった自分は気付いている。とんでもないことをしてしまったと、死にたくなる程の罪悪感を感じた。だが同時に……飛び上がりそうになる程の歓喜もあった。そんな自分がどうしようもなく恐くなり……。

 

 (私は逃げ出した。あの戦いの途中でどさくさに紛れて……あのままいたら、偶然じゃなくて故意になりそうだったから……だから、逃げ出した)

 

 その後の戦いのことは知らない。自分がどのような扱いになっているのかも分からない。行方不明となっているのか、撃沈したと思われているのか、それとも敵前逃亡か……実はフレンドリーファイアの目撃者がいて自分を血眼になって探しているのか……全くもって検討が付かない。ただ、きっともう自分はあの所属鎮守府には戻れないと思っている。大好きな姉妹艦達とも、頼りないが一生懸命な提督とも、その他の仲間達とも会えず、会ってもその時は敵なのだと思っている。

 

 その思いが夢に反映されたのか、テレビの画面の様なモノが消えた後の暗闇の中に姉妹艦達が、提督が、仲間達が次々と現れては自分に背を向けて去っていく。己の身体はピクリとも動かず、その背を追うことは出来ない……否、追おうとする気力もなかった。

 

 (だって……そんな資格、ないもん)

 

 本当は泣きそうな程に悲しい。だが、艦娘と提督の姿が消えたことが嬉しい。どこまでも付きまとう二律背反……そんな自分にどうしようもない程の怒りを感じる。そんな自分の手を、誰かに引かれた。

 

 (……誰?)

 

 瞬間、暗闇だった世界に光が差す。手を引く誰かの顔は、残念ながらその光による逆光のせいで知れない。分かるのは、自分の服装とよく似た服装をしていて、沢山の艤装らしき軍刀を腰に付けていて……口元が優しく笑っていること。そこまで理解したところで、世界は溢れんばかりの光で覆い尽くされた。

 

 

 

 

 

 

 「う、ん……?」

 

 艦娘が眩しさを感じながら目を開けたら、知らない天井が映った……少なくとも、自分の知る鎮守府の自室ではないと分かる。自分の部屋はここまで汚くはないと。体を起こして周りを確認してみると、どうやらここはどこかの家屋の部屋らしい。室内は埃まみれで誰かが住んでいる形跡はない。生活感の欠片もないのだから。尚、自分が寝ていたのはベッドの上だった……なぜかこのベッドは埃1つなく新品同然だった。

 

 (なんで私はここに?)

 

 疑問なのは、なぜ自分がここにいるかだ。先の戦いから逃げ、宛もなくさ迷っていたことは覚えている。そうしている内に夜になり、どこからか戦闘音を聞き、気になって確かめに行ってみればいきなりドパァンッ!! という音と共に上がった水飛沫を勢いそのままに頭からひっかぶり……そこからの記憶がないということはそこで気絶でもしたのだろうと考えた。

 

 そのままどこかへ流れ着いたのか、それとも海を漂流していたのかは定かではないが、誰かに拾われた結果ここにいるのだろう……そう結論付けた艦娘は、起き上がって窓の近くに寄ってみた。どうやらこの部屋は1階にあるようで地面が近い。窓の外には木々が生い茂り、豊かな自然がある。更には木々の向こう……この建築物からほんの数mの距離には光を反射してキラキラとしている綺麗な湖もあった。

 

 「綺麗だなぁ……」

 

 夢や悩みのことなど忘れて心から呟く程に、艦娘にはその湖が美しく見えた。しばしそうしてうっとりと眺めていた……が、不意にその湖に人影があることに気付く。もしや自分をこの場所に運んでくれた人物だろうか……そう思った艦娘は、割れた窓を開けてそこから部屋から出て直接湖に向かった。

 

 1歩2歩と近付く度に、人影の輪郭がはっきりしていく。艦娘は何となく足音を立てないように近付き……湖まで2mという距離になった時にはっきりと見えた人影に、艦娘は言葉を失った。人影は女性であった。水浴びをしているのか髪を洗っている彼女は一糸纏わぬ姿……その裸体に、艦娘は同性でありながら見惚れてしまう。

 

 青白いと言える程の白い肌と長い白髪に光が反射し、まるで光を纏っているかのよう。胸も記憶にある戦艦娘ほどに大きく、ウエストも細く綺麗なくびれを描いている……腰から下が湖に浸かっているせいで見えないのがなぜか悔しさを感じさせた。

 

 不意に、女性が髪を洗うことを止めて艦娘の方へと顔を向けた。そして、女性の鈍色の瞳と艦娘の目が合い……今更ながら自分が同性とはいえ覗きをしていたことを恥ずかしく思い、艦娘は顔を赤くしながら弁解しようと湖ギリギリまで近付き……。

 

 「目が覚めたんだな……良かった」

 

 ふっ、と笑みを浮かべて艦娘に近付く女性の言葉に、顔を更に赤くして何も言えなくなった。さっきまで艦娘から見て横向きだった女性の身体が艦娘の方に向いた為にその肢体を直視してしまい、心臓がバクバクと跳ねる。しかも、なぜか浮かんでいる小さな笑みから目を離せないでいた。

 

 「ん? ああ……こんな格好ですまない。昨日は1日中海にいたんでね……君が起きる前に水浴びを、と思ったんだが……こんなに早く起きるとは、嬉しい誤算だな」

 

 (そんなことは聞いてないから前隠して!?)

 

 内心でそうツッコミながらも実際に口から出るのはあうあう……という情けない声。しかも目の前の女性の裸体をガン見しながら、だ。そんな艦娘の様子に首を傾げていた女性は、湖から出て近くの木の枝に引っ掛けていた何かの布で体の水気を取る。そうして同じように引っ掛けていた服を手に取り、着替えていく……尚、上の下着はなかった。

 

 女性が服を着たことでようやく落ち着いた艦娘は、改めて女性の姿を見る。自分が着ているものとよく似た制服は姉妹艦かと思わせる程だが、生憎と目の前にいる女性のような姿の姉妹は見たことがない。更に、先ほどまではよく分かっていなかったが……感じる気配も艦娘と深海棲艦を半々に感じさせている。どちらなのかはっきりと判別することは出来なかった。本来ならば、艦娘は相手が艦娘(みかた)にしろ深海棲艦(てき)にしろ二律背反の感情が湧き上がる。それは人間に対してもだ。だが、女性に対してはそれらがまるで湧かない。まるで人間でも艦娘でも深海棲艦でもないかのように、憎しみや殺意が浮かんでこないのだ。

 

 「待たせてすまない。身体はもういいのか?」

 

 「え、う、あ、は……はい。大丈夫……っぽい。あなたが私を助けてくれた……んだよね?」

 

 「偶然、ね。まさか夜の海をぷかぷか浮かんでいる艦娘がいるとは思わなかったよ」

 

 くすくすと笑う女性の言葉に、自分は一体どのような醜態を晒していたのかと艦娘の顔が再び羞恥で赤く染まる。今まで生きてきてこれほど恥ずかしい思いをしたことはあっただろうかと過去の記憶を探るが、深海棲艦だった頃の記憶まで遡ったところで止めた。結論として、今回のが艦生で1番恥ずかしい出来事だった。

 

 「助けてくれて、ありがとう。えっと……あなたは……?」

 

 「イブキだ。艦娘か深海棲艦かは、悪いが答えられんよ。俺自身、自分がどちらか知らないんでね」

 

 「イブキ……さん。私、夕立よ」

 

 艦娘……夕立は女性が名乗ったイブキという名前を記憶し、自分もまた自己紹介をする。イブキが艦娘か深海棲艦かは、もう夕立にはどうでも良かった。いつもいつも頭を悩ませていた二律背反の感情が、今はまるでない。深海棲艦だった過去も、艦娘としての現在も、イブキの前では平等だった。永い苦しみから解放されたかのような清々しい気分が心地良い。

 

 「よろしくね!」

 

 夕立は、夕立として生まれ変わってから初めて笑った気がした。

 

 

 

 

 

 

 外から向かい合うように見た建物は、赤レンガで出来た2階建ての大きな屋敷だった。イブキが夕立が眠っている間に中を調べたところ、どうやらこの屋敷は放置されてかなり長い時間が経っているらしい。屋敷内は埃だらけで一部の窓も割れてしまってはいるが、幸いにも内部自体はそれ程傷んではないらしく、きちんと掃除して窓ガラスさえ変えれば雨風を凌げるどころではなくなる。ただし水道もガスも一切機能しないし電気も通っていない。

 

 「食べ物や飲み物は?」

 

 「食べ物は海で魚貝類を採るか、森に入って何か探すしかないだろう。飲み水は湖の水を使えばいい。いーちゃん……妖精達曰わく、問題はないそうだからな」

 

 つまりはサバイバル生活な訳だ。本来ならば、艦娘は燃料や弾薬といった資材さえあれば食事をする必要はない。しかし、燃料に限り食事を取ることである程度補充することが出来るのだ。資材などありそうにないこの島では燃料を補充する唯一の方法である。更に艦娘といえども身体は人間に近い為、空腹感や喉の渇きを感じるのだ。娯楽の少ない鎮守府生活では食事は数少ない楽しみでもあり、不必要だから食べない艦娘など皆無だろう。無論、夕立も例に漏れない。

 

 「ねぇ、私の艤装は?」

 

 「夕立のいた部屋だ。ベッドの隣に置いてあったハズだが?」

 

 「起きてすぐに窓際に行ったから気付かなかったっぽい……」

 

 「……君は、海水をひっかぶったんだったな。それが原因なのか、艤装の砲の動作が芳しくないと妖精達が言っていた。動くことは出来るだろうが、とてもじゃないが戦闘は出来ないらしい」

 

 「うぇ……どうしよう」

 

 尚、夕立はサーモン海域の戦いから逃げ出した為に一切の補給が出来ていない上に逃げ出した時点で燃料も弾薬も殆どない状態だった。もしも戦闘音の方向へ行かなければ途中で燃料が切れて立ち往生し、如何なる理由でか沈んでいたかもしれない。運がいいのか悪いのか……夕立は運がいいと断じた。イブキと湖で出会った瞬間のことを幸運と呼ばずになんと呼ぶのかと。

 

 「ひとまずは屋敷の掃除だ。幸いにも掃除道具や食器といった家庭用品は棚や物置に放置されたままだったからな……身体が問題ないようなら、夕立にも手伝ってもらうぞ」

 

 「勿論! 私頑張っちゃうよ!」

 

 

 

 掃除は各々の艤装に宿る妖精達の力を借りても半日を費やした。本来なら食事休憩を挟むべきなのだが……肝心の食べ物がない為に断念。妖精達から大丈夫と御墨付きを貰っている湖の水を飲むことで空腹を僅かに紛らわせながら勤しむことになってしまった。無論、時間をかけた甲斐あってか大きな屋敷の内部はかなり綺麗になったと言える。

 

 「1階だけ、だがな」

 

 「この屋敷は1日で掃除し切るには広すぎるっぽい……」

 

 ピカピカと輝いているかのように見える1階の広間にある4つある内の1つのソファに座って休憩しているイブキと、その膝の上に頭を乗せて横になり脱力している夕立。イブキはまだまだ余裕がありそうだが、夕立は疲れきっている。空腹なこともあり、1歩も動けないと言わんばかりだ。4つのソファで囲むようにあるテーブルの上には、妖精達がグデッとしている。体が小さい妖精達にとって、この屋敷は2人以上に広すぎた。

 

 「さて、何か食べ物を探して採ってくるとしようか。夕立はここで休憩していてくれ」

 

 「あ、わ、私も……あぅ」

 

 イブキの言葉を聞いて体を起こす夕立の腹からきゅるる……と空腹を知らせる音が鳴り、夕立が恥ずかしさのあまりに顔を俯かせる。そんな彼女の様子がおかしかったのかイブキがくくっと笑い、夕立の頭に手を置いた。

 

 「なら、夕立には森で何か探してもらおう。食べ物が見つかれば、先に摘んでもいいぞ」

 

 「私そこまで食いしん坊じゃないもん。イブキさんの意地悪」

 

 「それは済まなかった。じゃあ、また後でな」

 

 「わふっ」

 

 ぷぅと頬を膨らませながらぷいと拗ねたようにそっぽ向く夕立の頭をポンポンと軽く叩いた後にイブキは立ち上がり、違うソファに置いていた軍刀が取り付けられたベルトという形の艤装を腰に巻き、もう1つの紐付き鞘に収まっている軍刀を右肩から左腰へとかけ、後ろを向くことなく手を振った後に屋敷から出て行く。その後ろ姿を見た後、夕立は自分の頭……軽く叩かれた部分に手を置き……嬉しそうににへっと笑った。

 

 「私、もっと頑張っちゃうっぽい♪」

 

 意気揚々と立ち上がり、クリーム色の髪を揺らしながらイブキを追うように屋敷を出る。その姿を見た妖精達は皆、同時に飼い主を追い掛けるワンコを幻視したという。尚、この後の結果として夕立は木の実と野草(食べられるかどうかは妖精が判断)を少々、イブキは魚を数匹とお互いと妖精達の空腹を満たすことが出来た。

 

 

 

 あれから体感時間で1週間の時が流れた。朝起きて水浴びをし、朝食と昼食を我慢しつつ屋敷を掃除し、それを終えたのは3日目の昼のこと。それまでに夕立は森の中の食べ物がある、もしくはありそうな場所を妖精達と探すことに慣れてイブキも必ず数匹以上の魚貝類を穫ってくる為、掃除が終わった日から3食しっかり取れるようになった。問題になりそうだった火は、イブキが軍刀を抜く時に鞘と刃が擦れることで起きる摩擦熱による火花を使って強引に着けた。たまに夕立の艤装を動かすことで煙突部から出る煙で魚を燻したりして味を変えたり、海水から塩を作ってかけたりして食事に関してはさほど問題はなくなった。イブキが水浴びしている時に夕立が裸で突っ込んでいったり……恥じらいを持てと怒られた……イブキが寝ているベッドに夕立が潜り込んだり……部屋に入った時点で気付かれるが割と容認してくれた……といったこともあったが、夕立は間違いなく鎮守府に居たときよりも充実した日々を送れていると感じていた。そんな平和な1日が今日も始まる……と夕立が思っていた朝、水浴びをしているであろうイブキの元へ行く為に屋敷から出た夕立が正面の海に何かの影を見つけた。

 

 「あれは……?」

 

 影は屋敷に向かってくる訳ではなく、島の外周に沿うように移動しているようだった。距離がある為に艦娘か深海棲艦かはたまた魚か何かなのかは分からないが、夕立はふと気になり……急いで部屋に戻って艤装を背負い、影を追うことにした。

 

 燃料はしっかりと食事を出来ていることで7割程補充出来ている為、追い掛ける分には何の問題もない。相変わらず砲は撃てないが、偵察するだけなら問題ないと夕立は判断する。つかず離れずを意識しながら影を追う途中、影の正体が深海棲艦の駆逐艦であることが分かった。

 

 (なんでこんなところに……)

 

 そう疑問に思いつつも、島から離れることなく進み続ける駆逐深海棲艦を夕立は追跡する。進んでいくごとに島から砂浜が消えて岩肌になっていき、やがて辿り着いた場所は、島の屋敷がある場所と正反対の場所。そこにあったのは、高い崖の岩肌をくり抜かれてできたかのような洞窟。どうやらこの島は、屋敷側になる程低く洞窟側になる程高いという、まるで滑り台のような形をしているらしい。洞窟のある崖の正確な高さは夕立には分からないが、夕立の2倍ある洞窟の入り口が縦に10個並んでも少し余裕がある位には高そうだ。こんなものがあったことも驚きだが、なぜ深海棲艦がここに入っていったのかも気になる。

 

 しかし、今の夕立は攻撃手段を持っていない。もしも好奇心に負けて追いかけ、その先で戦闘になってしまえば逃げるしかない。夕立とて少女の姿をしているとは言っても命懸けの戦いを幾つも乗り越えた艦娘であり、深海棲艦だった記憶もある為に経験はそこらの艦娘よりもあるつもりだ。その経験から言うなら、ここは素直に引いてイブキに伝える方が堅実だろう。そう結論付けた夕立は反転し、元来た道を通って屋敷へと向かおうとする。

 

 

 

 瞬間、夕立の中で何かがざわついた。

 

 

 

 「あ……」

 

 夕立が反転して“それ”を視界に入れた瞬間、彼女の口から小さな声が漏れる。対する“それ”もまた、夕立の姿を見て大きく目を見開いていた。

 

 「夕立……?」

 

 「……時雨」

 

 “それ”……時雨は信じられないモノを見たと言わんばかりの表情をしており……次の瞬間にはぼろぼろと涙を零し始める。更にそのまま夕立に突っ込んできた……泣き始めた時点でぎょっ、と驚いていた夕立に避けることは出来ず、突っ込んできた時雨に力いっぱい抱き締められる。

 

 「生きてた……今までどこに行ってたんだよ! あの戦いが終わってから夕立の姿が無くて、皆心配してたんだよ!? 探しても見つからないから沈んだんじゃないかって、ずっと!」

 

 「ご、ごめんなさいっぽい……」

 

 時雨の言葉を聞いた夕立が最初に感じたのは安堵だった。どうやら誰も自分のフレンドリーファイアには気付いていないらしい。更には急にいなくなった自分を1週間経った今でも心配し、探してくれているという。

 

 「時雨は、なんでここに?」

 

 「ぐすっ……この辺りに、軍刀を使う謎の深海棲艦の目撃情報があったんだ」

 

 ピクリと、夕立の肩が一瞬震える。深海棲艦かどうかは分からないが、軍刀を使う存在に心当たりがあったからだ……とは言ってもイブキな訳だが。

 

 「僕はその情報が正しいかどうかを調べるように言われて来たんだけど……目撃情報のあった海域にどこかへ向かっている駆逐深海棲艦がいて、追いかけていたら……夕立を見つけた」

 

 ぎゅっと、更に強く抱き締められる。もう離さないと言わんばかりのそれは、夕立の心に仲間としての愛しさを感じさせる……同時に、強い殺意も感じさせた。この1週間で忘れかけていた二律背反の感情……それを思い出させたのが、鎮守府で誰よりも一緒に長く共にいた時雨であることに、夕立は苦笑を浮かべずにはいられない。

 

 「……深海棲艦なら、あの洞窟に入ったっぽい」

 

 「本当?」

 

 「うん。どうする? 時雨」

 

 ここで聞いたどうするとは、時雨が自分の任務を続けるのか、夕立を連れて引き返すのかだ。因みに、夕立は鎮守府に帰るつもりなどこれっぽっちもない。ようやく出会えた自分を二律背反の感情から解放してくれた存在から離れることなどしたくなかったし、今の生活にも慣れ始めたところだ、それを手放したくはなかった。

 

 「僕は……夕立を連れて帰る。この場所はもうわかったし、洞窟の中に踏み込むのはしっかりと艦隊を編成してからじゃないと……」

 

 「……そっか」

 

 時雨はこの洞窟の場所を……島の場所を覚えた。覚えてしまった。それはつまり、いずれは屋敷に踏み込まれるかもしれないという可能性が出来たということに他ならない。もし踏み込まれたらどうなるだろうか? イブキは艦娘と深海棲艦の気配を両方感じさせ、そしてその気配は艦娘と深海棲艦であるなら感じられる。つまり、イブキの異常性は出会った瞬間に悟られてしまう。時雨達が……艦娘側がイブキを好意的に受け入れられるだろうか? はっきり言ってしまえば、初見ではほぼ確実に警戒……行き過ぎれば敵対、攻撃される。夕立が何を言おうとも、だ。

 

 「さ、帰ろう夕立。皆待ってるよ」

 

 夕立から離れて手を差し出す時雨。まだ僅かに涙を目尻に残すその笑顔は、夕立が手を取ることを疑ってはいない。いや、イブキにさえ出会わなければ手を取った。例え再び二律背反の感情に苛まれることが分かっていても。しかし、夕立は出会ってしまった……その感情が湧き上がらない唯一無二の存在に。

 

 だから仕方ない。こんなにも愛おしい仲間の手を溢れんばかりの殺意で弾こうと自分の手が動くのは……仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 ― イブキノ……匂イガスル ―

 

 

 

 

 

 

 「夕立!!」

 

 「え……?」

 

 時雨が夕立を押しのける。思わずバランスを崩して海面に尻餅を付くことになったが、艤装がある限り濡れはしても沈みはしない。一体何を……そう疑問に思った直後に響いた砲撃音と目の前で上がる巨大な水柱。反射的に夕立は両腕で顔を覆い、ゆっくりと手を下ろせば……そこにあったのは、ボロボロの状態で力無く倒れ伏している、今にも沈みそうな大破した時雨の姿……そして。

 

 「……キヒヒッ♪」

 

 洞窟の入口のところで尻尾の先端の顔のような部分から突き出ている砲身から煙を漂わせながら不気味に笑う、紅い双眼の戦艦レ級の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 水浴びをしている最中にどこからか砲撃音を聞いた俺は、すぐに着替えてその砲撃音の聞こえた方角に向かって全力疾走をしていた。その間に、俺は共に暮らしている同居人(艦?)……夕立との出逢いを思い返す。

 

 

 

 日向達との戦いを終え、助けた戦艦棲姫の仲間から攻撃を受けてしばらく移動している途中で島と一緒にぷかぷかと浮いている艦娘を発見した俺は今にも沈みそうな彼女を抱き上げる。俺とよく似た服装にクリーム色の長い髪……少ない記憶の中にある情報が正しいなら、夕立という艦娘だったハズ。図らずとも日向の言った“同じ存在が沢山いる”という言葉が証明されてしまった……夕立という艦娘に会うのは、雷を探していた長門の艦隊の中にいた夕立(そちらは改二だったが)を含めて2回目だからだ。なぜ彼女がこんなところに……と思わなくはないが、気絶しているのかピクリともしない。沈んではいなかったから死んでいる訳ではないようだが。

 

 (ひとまずは……島に行ってみるか)

 

 夕立の身体の感触にどぎまぎとしながらも島に向かうと赤レンガの大きな2階建ての屋敷が目に入る。陸地に上がって近付いてみれば、なかなかの年代物なのか窓ガラスが割れていたり蔓が伸びていたり壁が少し崩れていたりしている。誰かの別荘で、深海棲艦が現れてから来るに来れなくなった……と言ったところだろうか。

 

 「入ってみるか」

 

 「大きなお屋敷ですー」

 

 「ボロボロですー」

 

 「絶対埃っぽいですー」

 

 「お化けとか出そうですー。がおー」

 

 「こっち来ないで下さいー。えーん、イブキさーん」

 

 「泣かないでくれごーちゃん。しーちゃんもやめなさい」

 

 夕立を抱き上げている為に泣いたごーちゃんを言葉だけで慰めつつ、いーちゃんに扉を開けてもらって屋敷の中に足を踏み入れる。最初に目についたのは、幅が広く大きなT字型の階段だ。視線を右に向けると、1つのテーブルを囲むように置かれた多人数用1つと1人用3つ、計4つのソファがある。左を見ると枯れた観葉植物しかないが。床は案の定埃っぽく、何年も掃除していないことが分かる。人が来なくなってから俺達が来るまでにどれだけの年月が経ったのか見当もつかないな。

 

 「そういえば、鍵は掛かっていなかったのか?」

 

 「技術者である私達妖精にこの程度の施錠は無意味ですー」

 

 「指紋網膜声紋認証14桁ランダムパスワードくらいじゃないとダメダメですー」

 

 「私達妖精の科学力は世界一ですー。どやぁー」

 

 「イブキさんの為なら世界中の核ミサイルをハッキング制御もやって見せますー」

 

 「えーっとえーっと……何も思い付かないですー。えーん」

 

 「泣かないでくれごーちゃん。後、絶対にするなよしーちゃん」

 

 俺の妖精ズが危ない発言ばかりしていて何を言っているのか理解したくない件。それはともかく、夕立がゆっくりと眠れる部屋を探すとしようか。この屋敷は玄関が屋敷の真ん中にあり、俺達が今いる大広間を中心に左右に別れた形をしている。とりあえず、1階からベッドか何か置いてある部屋を探してみようか……と歩いて左側の通路に向かうと、通路の左右に扉がある。縦にも横にも広いらしい……後ろを振り返り、右側の通路を見ても同じような作りのようだった。恐らくは2階も同様だろう。屋敷の主はさぞかし裕福だったんだろう……俺としてはこれほど大きな屋敷だと不便じゃないのかと思うが。元一般人の感性的にはこの屋敷は住みたいとは思わん……利用させてはもらうがな。

 

 そんなことを思いつつ最初に入った部屋は、洋風の部屋だった。鏡台やベッドも置いてあり、内装も鮮やかでいい……窓ガラスが割れていて中が埃っぽいことに目を瞑れば、だが。ひとまずはこの部屋に夕立を寝かせることにし、妖精ズにベッドを簡単に掃除してもらうことにしよう。とまあ掃除を頼んだところで掃除用具がないことに気付き、どうしようかと悩んだ直後。

 

 「ベッドのお掃除了解しましたー」

 

 「ぱぱっと終わらせちゃいますー」

 

 「イブキさんは部屋の外でお待ちくださいー」

 

 「絶対に部屋の中を覗かないでくださいねー」

 

 「鶴の恩返しですー。こけこっこー」

 

 「「「「それはニワトリですー」」」」

 

 「が……頑張って、くれ?」

 

 という感じで妖精ズに部屋から締め出され、扉を閉め切った直後に聞こえる激しい音。俺が耳にした音を擬音で表すなら……ポフポフ、パンパン、ドンドン、ギュイーン、グチャグチャ、やめるですー、ドカーン、その他諸々といったところか……。

 

 「……聞かなかったことにしよう」

 

 妖精ズから入室許可を得たのはそれから大体10分後。その間にもおおよそ掃除では出ないような音……時々ごーちゃんの悲鳴……が聞こえていたが華麗にスルーし、いざ部屋の中に入れば綺麗になったベッド……他は元の埃っぽいままなのが怖い。ごーちゃんも無傷なのが怖い。

 

 【お掃除完了ですー】

 

 「……ああ、うん。ご苦労様」

 

 何とかそう返せた俺を、誰か誉めてくれ。

 

 

 

 綺麗になったベッドに艤装を取り外した夕立を寝かせて近くに艤装を置いた後、俺は妖精ズを連れて屋敷の中を探索していた。そうすることで分かったのは、この屋敷が左右対象に造られ、片方に10部屋(廊下を正面に見た場合、部屋は片方に5部屋ずつ)あるということ。1階の夕立が寝ている部屋側は全て客室であり、反対側は3部屋分の広さという大きな食堂、調理室、替えのシーツやタオルが置いてあるリネン室、男女で別れている風呂場とトイレ、物置。2階では5部屋ぶち抜いた書庫が3つにこれまた5部屋ぶち抜いた屋敷の主の書斎……2階は完全に要らないだろうとげんなりした。屋敷の主が誰なのか、いつ建てられたのかなどの情報は一切見受けられなかった。更に、書庫とは言ったが実際にあるのは空っぽの本棚だけで本は1冊たりとも入っていなかった。それは書斎についても同じだ。調理室には食器や調理器具はあったが食材……というか食べ物飲み物の類は一切ない。水道から水も出ないし、ガスも使えない為に火もどうにか自分達で着けるしかない。電気もダメ。物置には掃除用具やスコップ、鍬(くわ)、金槌のような作業道具くらいしか入っていない。そこまで分かったところで探索を終わり、再び夕立のいる部屋へと入ると何やら夕立が魘されていた。

 

 「う……うぅ……」

 

 「……ふむ」

 

 苦しんでいるような声を出しながら強く目を瞑っているのに、口元には僅かに笑みを浮かべているように見える。どんな夢を見ているんだと気にはなるが、生憎と夢に干渉できるような力は俺にはない。俺に出来ることは……数多いる二次元の主人公の如く手を握ることくらい。

 

 「……俺では不満かも知れんがな」

 

 俺はそう呟いた後にベルトで固定されている後ろ腰の軍刀を取り外して足元に置き、右肩から左腰に掛けていた軍刀も外して同じように置き、夕立の手を握りながら横になる。その後はなにを言うでもするでもなく、俺はこの世界に来て初めてゆっくりと休むことが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 目覚めれば朝。この身体は寝起きがいいようで眠気は全くない。顔だけを横に向けると、まだ眠っている夕立の姿……ナチュラルに一緒に眠っていたな、俺。繋がれていた手を離して上半身だけを起こして窓に視線を向けると、太陽光を反射してキラキラと光る湖が目に入った。そういえば、昨日は1日中海上にいたんだったか……中身が男だから気にはならないが今となってはこの身は女、昨日を生き残った感謝も込めて水浴びの1つでもやって身体を清めるべきだろう。

 

 そういった考えの下、念の為にと艤装を手に持ってリネン室によって2枚ほどタオルを手にして埃を払い、屋敷から出て湖へと向かう。辿り着いた湖は部屋から見た時と変わらず綺麗で水底が見える程に透き通っている。中には魚が泳いでいる姿も見える為、水そのものが非常に綺麗なようだ。妖精ズに聞いてみたところ、飲み水として使っても問題ないらしい。これで飲み物は大丈夫だな……さて、当初の予定通り水浴びをしようか。

 

 ぱぱっと脱いでいくと分かったことだが、この身体はブラを着けていなかった。上を脱いだ瞬間にぶるんっと揺れた割と大きい胸が視界に入るが、特に欲情したり羞恥を感じたりすることもない……いや、自分の身体な訳だからそういった感情を覚えるのは問題だから問題ないと言えば問題ないんだが……男だった身としては枯れたんじゃないかと心配になるな。因みに、下の下着はちゃんと履いていた……スパッツも下着じゃなかったか? つまり、下着の上から下着を着用しているということに……まあいいか。

 

 

 「イブキさん、お背中お流ししますー」

 

 「イブキさんの水浴びのお手伝いですー」

 

 「イブキさんのおっぱいはあはあ」

 

 「イブキさんの裸はあはあ」

 

 「えーっとえーっと……見ちゃダメですー」

 

 「「目潰しっ」」

 

 「……頼む、いーちゃんふーちゃん」

 

 みーちゃんとしーちゃんの顔にズドムッ!! と両手ストレートをぶち込むごーちゃんから目を逸らし、いーちゃんふーちゃんの2人に湖に入った後、2枚あるタオルのうちの1つを濡らして背中をごしごしと拭いてもらう。少し力が弱いような気もするが、体格差を考えれば当たり前かもしれない。

 

 こんなにもゆっくりとした時間を過ごすのはどれくらいぶりになるのか……と考えたが、よくよく考えれば俺がこの世界に来てからまだ1日しか経っていない。開幕にレ級と接触して雷を助け、その雷の仲間である長門達と出会って雷を返し、球磨達から攻撃を受け、思い出すのも不愉快な男共から摩耶様を助け、山城だった過去を持つ戦艦棲姫を助けつつ日向達を撃退し、次は夕立を助けたというか拾ったというかして、その後は屋敷の掃除……ハードってレベルじゃないな。そしてそれは俺と一緒にいた妖精ズも同じ……俺の今の身体同様にちゃんと労ってあげないといけないな。この妖精ズとの触れ合いは、夕立が起きてくるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 夕立が起きて湖で合流した後、俺達は屋敷の掃除を行ったんだが……妖精ズ(夕立の艤装に宿る妖精含む)半日かけて1階しか終わらなかった。思ったよりも屋敷が広い……雑巾がけもなかなか疲れるな。実際は言うほど疲れてはいないが……身体がタフ過ぎる。夕立も妖精ズも肩で息をしていたり綺麗になったソファやテーブルの上にグデッとしていたりしている。可愛い。半日費やしたとだけあり、日も沈み始めている。俺は腹は殆ど減ってはいないが、夕立達はその限りじゃない。という訳で夕食の確保に向かう為に海へ。夕立には森に探しに行ってもらうことにした。

 

 島の近海は海面から下が見えないくらいの透明度で、魚やら何やらを肉眼で見ることは出来ない。さて、どうしたものかと考えたところ、妖精ズが電探やらソナーを使って見つけ出すという。そんなことが出来るのか?

 

 「感ありですー。半径50mに魚影、数は数百ほどですー」

 

 「でもどうやって穫りますかー?」

 

 「貝とかなら私達妖精の出番ですー。潜って直接穫りますー。ぶくぶくー」

 

 「お魚さんなら私の軍刀の出番ですー。しゃきーん」

 

 「私、泳げないし潜れないですー」

 

 「「「「役立たずですー」」」」

 

 「えーん、イブキさーん」

 

 「泣かないでくれごーちゃん。皆もそういうこと言わないの」

 

 妖精ズの心強い言葉を受け、俺はまた泣いてしまったごーちゃんの頭を撫でながら苦笑いを浮かべる。この妖精ズは仲がいいのか悪いのか分からないなぁ……そんなことを思いながら、俺はしーちゃんが宿る軍刀を引き抜き……まあその日の結果は、少なくとも腹を満たすことが出来たくらいには上々だった。

 

 そんな日から1週間……俺がこの世界に来て8日目。その間に起きたことと言えば、朝は水浴びをするようになり(夜は冷え込むので湖には浸かれず、ドラム缶風呂や五右衛門風呂になりそうなモノはない上に風呂場に湖の水を運ぶのも手間がかかる為、身体を拭く程度)、屋敷の掃除をして夕食を取りに行って帰って焼くなどの簡単な調理をして食べて眠るくらい。屋敷の掃除が終わったらそのサイクルに朝食と昼食が加わった。サバイバルではあるが、この世界で普通の暮らしが出来ている事実は……驚きもあり、嬉しくもあり、かな。夕立みたいな可愛い子も一緒だし……一緒に水浴びをしようとしてくるのは何とか回避しているが、裸は何度も見てしまった。眼福なのは事実だが、恥じらいを持ちなさいと注意はしておく……それでも毎回突撃してくるが。全裸で。ぽいぬと呼ばれているだけあってスキンシップが激しいんだよなぁこの子……自分の身体には一切劣情を催さないくせに雷やレ級や摩耶様や戦艦棲姫や夕立には性欲を感じるとは節操なしというかなんというか……寝床に潜り込んでくる夕立の柔らかさが堪らんですハイ。部屋に入ってくる前に気がついても、あの柔らかさと可愛い子と寝るという誘惑には勝てんのさ。

 

 とまぁこんな日々が続き、今日もまた日課である朝早くからの水浴びをしながら夕立が突貫してくるんだろうか……と思っていたんだが、中々来る気配がない。今日は来ないんだろうか……と少し残念に思いつつしばらく水浴びをしていると砲撃音がし、何があったんだと急いで身体を拭いて着替え、俺はその音がした方に走り出した。

 

 

 

 とまあ自分の現状まで回想が終わったところで、俺は走ることに意識を向ける。行動範囲が屋敷の周辺と正面の海くらいだった俺は島の広さを把握していない上に木々等の障害物が邪魔でスピードが出せない。いっそのこと全部切ってしまおうか……と思ったところで、ようやく木々を抜けて崖らしき場所に辿り着いた。そこで俺が目にしたのは……。

 

 今にも沈みそうな艦娘らしき影とレ級……そしてその艦娘の前に立ち、レ級に両腕を掴まれて動けないでいる夕立の姿だった。




夕立が二回目の登場。但し戦艦棲姫山城との逆パターンである深海棲艦→艦娘という記憶保持者で色々複雑。レ級も再登場(しかもエリ艦になってる)。

どうにも説明が長くなってしまいます。もう少し説明を簡略化したいところです(艤装の軍刀とかレ級の尻尾のアレとか)。



今回のおさらい

魚を捕る時はしーちゃん軍刀の出番らしい。ごーちゃんは意外にバイオレンス。夕立はぽいぬっぽい。イブキの胸の大きさは少なくとも戦艦娘クラスらしい(夕立視点)。軍刀を抜く時の摩擦熱を使えば火を起こせる(実際はどうかは知りません)。

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