そこにある花   作:待兼山

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誰がため
出会い


ざくっ

ざくっ

車のライトのなか、三人の女性が穴を掘っている。

深く、深く...

何も、互いに言葉を発せずに。

 

もう一台、車のライトが近寄ってくる。

三人は、はっと顔を上げ、すぐに安堵する。

 

「令。怯えすぎよ...交代するわ。志摩子も祥子も」

車から降りながら、江利子が声をかける。続いて、蓉子と聖も降りる。

「令、由乃ちゃんに付き添ってあげて。後ろに、真ん中の席にウェットティシューがあるから。使いなさい」

蓉子がそう声をかける。

続けて、

「祥子、トランクから出すからさ。悪いんだけれど、懐中電灯で照らしてくんない?」

聖がそう言う。

車に行きかていた、令が

「私がやります!祥子、車で休んでて」

「令、由乃ちゃんに付いててあげなさい」

祥子はらしくもなく、弱弱しく発する。

「そうよ、令。今のあなたは由乃ちゃんに付いててあげなきゃならないの。そして、令、あなた自身も由乃ちゃんに付いてて

もらわなきゃいけないの。」

江利子が令を諭す。普段の態度とは違い、令は俯く。

「皆も、これから先私たちはお互いが、光と陰よ。近づいてもいけない、遠くなりすぎてもいけないの。わかったわね?」

蓉子が、厳しい口調で今後のことを話す。

それだけで理解し、頷く六人。

「早く終わらそう。皆、今日は進路で疲れて眠ってたんだからね」

聖が普段どうりの口調で声をかける。

微かに、手は震えている。

 

 

令と志摩子が車中に入ると、

由乃は、ただ、ただ、

「皆、ごめんなさい...浅はかだったわ...ごめんなさい...」

そう嗚咽交じりに発する。

「由乃さん...大丈夫よ。何もかも、私たちは知らないのよ。由乃さんも」

志摩子がそう断言する。

令は、その言葉に強みを出そうと

「そう、そうなんだ、由乃。これはね、ちょっと嫌な結末の物語を聞いた、読んだ日の悪夢だよ」

二人の話を聞き、由乃は

「ありがとう....本当に...ありがとう...ごめんね」

 

 

 

 

/

冬の暖かい日に、蓉子は急ぎ足で待ち合わせの場所へと向かっていた。

途中、運動を怠りつつある身体、特に、足は微かな悲鳴をあげる。

そう、約束の時間より既に、5分遅れている。

らしくない。そう、ごちる。

本当は余裕で間に合っていた。途中、部下や関わった事件の所轄刑事からの連絡で電車を遅らせたりと時間を食う羽目になった。

連絡は入れた、メールだがそれでも約束の10分前に。

江利子も聖も、こんな時にメールを返さない。

自分たちはうるさく催促のメールをするのに。

 

「あー蓉子!遅いよー」

聖の言葉に江利子が

「ほんと、真面目堅物蓉子が珍しい」

ふふ、と笑う。

「なによ、連絡いれたじゃない...こんなときに返さないで、まったく」

蓉子は疲れた顔を隠そうともせずに抗議する。

「ま、いいじゃない。今日は聖さんが穴場を発見いたしましたのでご招待致します」

そう子供のように、はしゃぎながら大き目の声を出す聖に、

「聖、あなたご自分の容姿を分かってらしゃっる?」

珍しくもため息交じりの口調で江利子が諭す。

「あんだよ?この...」

「あんた達、やめて頂戴。私は早く座りたいし、ギャラリーを集めたくないのよ」

聖と江利子の口論を遮り、蓉子は言い放つ。

「はーい、ママ」

声を揃えて、二人は言う。まるで姉妹のように。

「誰がママよ!」

 

 

ビジネス街の一角の雑居ビル半地下一階。

カフェ・バー、『ブルームーン』はそこにある。

昼は、ビジネス街向けのランチやコーヒー類を、夜は隠れ家的な使いを目的に営業をされてる。

 

最近、聖がある企業に訪問をした帰りに見つけた。

聖は、父親が経営していた貿易部門だけを手伝っていた。

父親が急死したときに経営権などを巡って争いになりかけたとき、その部門だけでいい。社長などの器なんか要らない。と言い切り、

契約書まで作った。

蓉子には呆れられ、志摩子にはお姉さまらしいと苦笑いされた。

「ここ、かなり落ち着くんだよね~」

部門長、実質の経営責任者でもある、聖が呑気に学生のように、二人に自慢する。

「ほんとね~、今流行りも抑えつつ、下品でもない。いいわ」

どこかの評論家チックな言葉を発しながらも、嫌味やぶりさも感じさせない。

江利子は、実際新世代のアーティストを発掘する会社のトップである。

だから、嫌味にも聞こえないようにも出来る。興味があれば何でも、手を出す。昔から変わらない、江利子の一貫した点であり、

欠点にも美点にもなる。

傍から見れば彫の深い欧米系の顔立ちの聖と和風美人で気だるげな雰囲気を纏う江利子は絵になる。

今日の服装も、聖は皮のバイカージャケットにUネックシャツとシックであり、崩した感じのカーディガンに黒のジーンズ。

江利子は、淡いベージュのフレアスカートに、黄色の花を散りばめたデザインのトップスで黒のジャケットにピンヒール。

二人とも、対になる。まるでハイブランドのモデル。

蓉子は、若干のコンプレックスを抱きながら席に着く。

「あなた達二人が気に入る場に同席出来て嬉しいわ」

一緒にため息も漏れる。コンプレックスからか、二人のやり取りからなのか。

「蓉子は堅いな~」

「それにしても、今日はちょっと可愛らしい恰好よね」

「私たちに会えるから?ねえ、ねぇ」

自身の恰好を決める時、親友二人を思い浮かべたのは確かだ。

ただ、外部の人間に会う予定や煩わしい会議がなく、事務処理メインだからで決めた。

ストライプの黒スーツに、薄いピンクのシャツ。ハイヒール。

遊び心は出せてもこれくらい。ロッカーにはいつでも、チェンジ出来る一式を常備している。

それでも仕事が仕事なだけに、元々の性格も相まってこれが仕事帰りに遊ぶための恰好だ。

「たまたまよ。煩わしいスケジュールがなかったし、暖かったしで」

両脇に腰を落ち着かせている二人が、顔を見合わせて

「蓉子はさ、そんな遊び心をもっといれたら?」

「そうね、小うるさい化石どもを手玉に取りなさいよ」

満面の笑顔で言う二人の親友に、ため息をつきつつ、変化球の褒め言葉に感謝する。

 

「お話し中、失礼します。おしぼり、どうぞ」

向日葵のような笑顔の女性が三人に労りと元気を配る。

「いや~。祐巳ちゃん、今日も可愛いね」

からからと聖が声をかける。

「いやいや、佐藤さん。どこの酔っ払いオヤジですか。」

聖から、蓉子側に距離を離しつつ、突っ込む。

「あれ~なんで逃げるの?」

「呆れた...あなた、いつも口説いてるの?訴えられてもしらないわよ」

祐巳と言われた子のために場所を確保してやりつつ、蓉子が今日何度目かのため息を吐く。

「確かに、可愛いわ。お名前は、祐巳ちゃんだっけ?」

江利子は好奇心丸出しで加わる。

「はい、祐巳です。ヘルプ、なんですけど...佐藤さんと遭遇する率高くて」

苦笑いしながら、蓉子と江利子の方に場所を変える。

「もう、運命の導きだから仕方ないよね。祐巳ちゃん、観念しなさい」

冗談臭さを前面に押し出しながら、聖は祐巳を自分側に来させようとする。

「あら、聖。嫌われてるのね」

おかしそうに江利子が笑う。

「私は、鳥居江利子。祐巳ちゃんを守ったのが、水野蓉子。よろしく」

二人分の紹介を祐巳にする。

「祐巳ちゃん、よろしく。このバタ臭い佐藤さんはビール代金だけで私たちにはシャンディガフを」

蓉子が締めるように言う。

「え~。蓉子も江利子も純生じゃないの~」

拗ねたように聖が言う。

「誰かさんみたいに体型に出ないとか、そんな都合の良い年齢じゃないの」

蓉子がうんざりしたように言う。

「そうね、唯一聖が羨ましいのはその体質よね」

江利子が同調する。

「いつでも佐藤さんはビールですもんね。少々お待ちくださいませ」

苦笑い混じりの笑みを残して祐巳がドリンクカウンターに消える。

 

 




初投稿、初文章起こしです。
待兼山です、よろしくお願い致します。
どこまで想像(妄想)を文章に起こせるか分かりません。
かなり無理な設定かつ、性格違いや背景の薄さがありますが...
マリみてが好きなんだ!で投稿させて頂きます。すみません!

2015・0212
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