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『ブルームーン』で祐巳は七人の為にセッティングをしていた。
肌を重ねた日から、蓉子には会ってなかった。むしろ、出勤自体久しぶりだった。
長老に委託された仕事や本当にインフルに罹ってた、『レッドナイト』の店長の代わりをこなしていたから。
連絡のやり取りはしていた。
お互いの生活パターンが会えば、蓉子は祐巳を訪ねる勢い程度の。
だが、祐巳は蓉子に感情を伝えなかった。いや、伝えられなかった。
祐巳が生きて、経験したことがなかった感情を伝える。それは、取り繕えない感情だから。
その不明の感情の中で、準備をする。
どこかで、楽しく思いながら。
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蓉子はその日、浮き足だっていた。
祐巳の、店とは違う澄んでいるくせに、窺いの知れない瞳と共に会いたくなる。それが今日会える。
何か、私たち七人は何か、変われる。蓉子はそう思っていた。
(決別でも苦しみでもない。再生、でもないわね...傷のなめ合いから癒しにシフトしていくのかしら。甘いことを言えるようなことを
したわけじゃないけれど...)
過去に、蓉子は暗い過去に戻りかけたが、重要な会議と今後の裁判スケジュールの確認をこなさないとに追いやられていった。
どこか、人に誤解されかねない印象は薄れていた。
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聖、江利子、由乃、志摩子の四人が『ブルームーン』に着いた。
祐巳が前回、遅れる旨を伝えた男性スタッフが案内をした。
奥まり、半個室に近い気分を味わえる席。
「ねえ、まさか祐巳ちゃんまたしても遅れるとか?」
江利子はからかい気味にそのスタッフに聞いた。
「お邪魔でしたか?キッチンで最終確認してたから、動いたまでです。」
笑顔を見せながら、感情の読み取れない顔で退室していく。
聖と江利子は微妙な顔をしたが、祐巳が来てそれが忘れ去られる。
「すみません、ご案内にも出れずに...」
申し訳ない顔をして、ドリンクメニューをそれぞれの手元に置いていく。
初めて見る、由乃と志摩子に向日葵のような笑顔を向けて。
「志摩子、由乃ちゃん。祐巳ちゃん、だぁよ。祐巳ちゃん、眼鏡の子が由乃ちゃん。私の横に居る、ふわふわ毛が志摩子。」
聖がおどけて紹介する。
「どうぞ、ゆっくりなさってくださいね?」
祐巳は二人に解す言葉をかける。
「後、ここの席、電波は入るんですけど、通話されるんであれば席を立った方がいいので...」
言いにくそうに、半地下故に出てしまいがちな欠点を伝える。
「だから、普段あんまりここって開かれてないんだ。今日まで知らなかった~」
聖が場を和ましにかかる。
「私は今日、部下に是非とも楽しんできてくださいっって言われて来たから大丈夫よ」
江利子も由乃と志摩子の反応が気になり、軽く言う。
「私も、急ぎの仕事は先週まででしたし。」
志摩子が、ふんわりと笑う。
由乃も軽く同意する。
「それにしても、美人揃いなんですね。なんだか一生分の美人を目にしてしまった気分です」
祐巳はずれたことを言い、由乃と志摩子を唖然とさす。
そして、聖が笑い江利子、由乃、志摩子と笑う。
「いやいや、笑いすぎですよ。」
そう祐巳が言い、
「お飲物、先にお持ちしましょうか?」
さりげなく、他人が混じるよりもと気遣う。
「うん、三人はもうちょいかかるだろうし。江利子は?」
聖がスマホを確認しながら、江利子に聞く。
「そうね、喉が渇いたし」
江利子が同意し、志摩子と由乃もそれに倣う。
ドリンクがきてから、祐巳を交えたりして会話を楽しむ。
由乃と志摩子は化粧室に立ち、江利子と聖の二人になった。
「それにしても、ぎこちないけれど。馴染んでくれたみたいね。」
江利子が聖に言う。
「うん、なかなか二人は頑なだけどね」
聖も二人の心中を思い、苦笑いし答える。
「蓉子のおひーさまは、蓉子と過ごした日を微塵も見せない。なんだか、拗ねた蓉子が見れそうかしら」
江利子は楽しそうに、今後を浮かべながら笑う。
「祐巳ちゃんは強者だね。祥子は蓉子のそんな態度で気づくね、ありゃ」
聖も楽しげに返す。
「ふふ。修羅場になる前に、おひーさまが場を和ましそうね。今日は、蓉子としっかり過ごしてもらわないと」
二人は親友の、見せない顔を見れるかもしれない期待に満ちていた。
そして、プライベートで会う七人とこれから、加わる祐巳という存在にも。