そこにある花   作:待兼山

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蓉子と祥子、令は待ち合わせをして『ブルームーン』に向かってた。

令と合流した時に、令が江利子に聞いた最近の蓉子のことを話題にした。

祥子はそれから拗ねだした。

蓉子はため息を吐き、

(祥子があの二人に甘えん坊のままって言わてるって知ってるのかしら。私には可愛い妹のままだけれど...)

蓉子の思いは、令によって中断される。

「祥子は、いつまでも蓉子さまに甘えてるね。また、聖さまとお姉さまにからかわれるよ」

からからと、笑い方も変わった令は火に油をさらに注ぐ。

令は空気をあえて読まなくなり、適当にしか人と付き合えなくなった。だからって、これはないだろう、と蓉子は疲れが一気にでてきた。

「令、それはどういう意味かしら?」

祥子が微かに赤くなりながら令に問う。

「え?そのまんまだけど。」

令のおとぼけた顔がさらに祥子の気に障る。祥子が、喋る前に蓉子が

「令、祥子、止めなさい。着いたわよ」

有無を言わせない言葉の強弱に二人は、黙り込んだ。

 

 

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小林は自身の運の悪さを実感していた。

入院していた、叔父貴が退院。その祝いが昨日からあった。兄貴分が鬱になってから、気にかけてくれインテリやくざでも武闘派の組内の立場

を助けてくれた。無下にしたら、終わり。

祐巳の周りに漂う、変化。小林の親友を狂わせ兼ねない、あの変化。

一度だけ、親団体の裏カジノで、祐巳と一緒に来た『長老』も動いてそうな気がする。あの時、叔父貴はやくざが口出せない場所の管理者だ、

と言ってた。祐巳に聞いたら、

『うん。私は長老の後を継ぐみたい。』

小林は、それを聞いて自身がこんな世の中でも祐巳が生きれるようにと、また、数学にしか頭が回らなかった自身が上に行くには最短距離のこの

方法だったことが壊された気分だった。

でも、愛した女を守りたい気持ちは変わらず、祐巳をサポートしてきた。

祐巳は親友の闇だとしても。

だから、誰もが絶望の底に沈まないように、焦る。

 

 

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七人の集まった席に、それぞれがアラカルトで注文している料理が少しずつ並んでいく。

お金の高い安いよりも、質を求める場所に生きる人間たち。だからこそ祐巳は、血の気が多いが腕の良い『ブルームーン』の店長にいろんな料理の

難易度の高い、本から特別メニューを作らせた。

「そういえば、今日のメニュー。いつもと違うね」

聖が、祐巳が運んできたタイミングで言う。

「はい、店長が張り切ってましたから。」

由乃と志摩子が頼んだ料理を、取りやすい場所に置き答える。

「気を遣わせてしまったかしら?」

江利子が会話を続かせる。

「ここの店長、アラカルトとかが好きなんですよ。だから、ランチのときはコンロ場以外動かない動きたくないってぼやいてるから。楽しんでますよ」

祐巳が向日葵のような笑顔で、店の秘密ですけど。と茶目っ気に付け加える。

つられて蓉子も笑うが、祥子は面白くなさげに

「祐巳さんは、普段からここにいらっしゃるのかしら?」

聖と江利子は、ほらきた。と楽しげに笑う。

志摩子は困り笑い、由乃はどうするのかと祐巳を見やる。

「いえ、普段は皆さんが行かれることのないバーに勤務してます。ここにはヘルプです」

少しだけ、苦笑い気味に。そうした方が良いと判断して。

「あら、どんなとこかしら?」

祥子は更に、問う。

蓉子はため息を吐き、

「祥子、何が不満か知らないけれど...」

その続きを言う前に、祐巳に遮られる。

「そうですね、若い子が羽目を外すようなところです。」

それで分かってください。と向日葵のような笑顔をいっぱいにして。

祥子はなんだか自身が子ども染みてきて黙る。

令は、料理に気が付いたことを空気も読まずに、祐巳に言う。それに答える祐巳。

それを横目で見、江利子と聖は

「さすが、祐巳ちゃん。やるわね」

「うんうん、蓉子と祥子のやり取りは長くなるからね」

と言い合う。

「あのね、あんた達の会話聞こえてるんだけれど?」

蓉子は二人に声をかける。少し、面白くなさそうに。

「あら、本当のことじゃない。姉離れ、妹離れしなさいよ」

江利子は少し、真剣に。

「心配な気持ちは分かるけどね。私たちも似たようなもんだし」

聖は、祐巳もスタッフも近くに居ないからこそ、より真剣に。

「そうね...」

蓉子は親友二人の言わんとする事がわかり、目を伏せ答える。

テーブルに、重い空気が漂いはじめる。

呑気さを出しながら、令が

「こんな日に、場所で、こんな空気は良くありませんよ」

ほら、これ、ソースがこだわってますよ。と独特な言い方で窘める。

「令ちゃんのばか...」

由乃は感謝しながら、それに乗る。

志摩子は安堵し、蓉子・聖・江利子はきかっけを作ってしまった為にバツ悪げにした。

「私は、お姉さまの幸せを願ってます。ただ、吃驚してるだけですわ」

祥子は、自身の気持ちを正直に話した。

そこに、祐巳がお代わりの確認にきた。

 

 

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