そこにある花   作:待兼山

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長老は向日葵のような笑顔を思い出す。

出会ったころは、澄んだ瞳は誰も、何も映し出さないままだった。

それは人形のようで、量産されたおままごと人形。

それでも、澄んでいた。

だから、全てを教え、道を譲ろうとした。

感情がないからこそ、最強の闇の支配者になれると。

(客観的に、他人の感情を写し、心の中に入り込む。その才能を見出したのは、この私だ。表で、生きる人間にほだされやがって。)

そう長老は未だ、健在さを宿した姿勢を更に伸ばし目的に向かう。

その為に、祐麒をコマのように扱おうが何も感じない。

 

 

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祐巳は周りが変わっていくことを実感していた。

生まれた頃から、ずっと、存在に厚みがなかった。

中学生の時に、祐麒に出会いそして、小林に出会った。

二人は求めてきた。でも、心が凍結していた祐巳には何も感じなかった。

長老は感情を教えてくれた。

何故、そう感じるのか。客観的に、知った。

他にも色々教えてくれた。

正に、育ての親だった。

暗い、暗い。深い、深い闇。

薄闇すら、ならない闇は居場所だった。

それが、変わりつつあった。

気が付けば蓉子の顔を思い出し、連絡があれば少しだけ求める感情を出そうとしている。

おざなりになりつつある自身の連絡頻度からみれば、それくらいのサービスをしてもいいではないかと。

それが恋や愛なのか判断はつかないし、つけなければならないとも考えなかった。

蓉子がただ、純粋に伝えてくる言葉は、祐巳を優しく包み温かくする。

誰も、祐巳に与えてくれなかったソレは、祐巳には大きすぎて歪みが生まれてきて連鎖的に倒壊しかねなかった。

 

 

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「じゃあ、皆さんは同じ高校の生徒会役員だったんですね。」

祐巳は会話したがっていた蓉子により、関係の説明を聞き、言う。

「今流行らない世襲制度だけれどね。祐巳ちゃんは高校の友達と集まったりしないの?」

聖が自分もと会話に身を入れる。

「うーん。ないですね。」

祐巳は苦笑いを出して答える。

「祐巳さんはどこの高校なの?」

由乃が積極的に聞く。

「私、高校は定時制なんです。」

気にした素振りも見せずに祐巳は更に、聞かれる事を先回りして言う。

「母子家庭で、ちょうど母親が過労から体調を崩してたから定時制にしたんです」

母親がジャンキーになれ果てた事実はいつも、過労と体調不良に置き換えてきた。

「そうなんだ...なんだか、言いにくいこと聞いてごめんなさい」

由乃はしおらしく言う。

祐巳はいつも、そんな態度を取られると首を傾げたくなる。

「いえ、気にしてませんから。でも、卒業後も仲良しっていいですよね」

本当に気にもしていない態度が逆に、祥子・令に、志摩子には引っ掛かりを覚える。

由乃を含めた四人はいつも、アンテナを張って生きてきた、あの日から。

「そうね。腐れ縁、かしら」

江利子が楽しそうに、含み笑いをし、見渡す。

「同感だね。」

聖が祥子、令、自身の妹志摩子の変化に気づきながら言う。

聖は蓉子に視線を送る。

「何か、頼む?」

蓉子がそれとなく聞く。

「私、温かいもの飲みたいです」

志摩子はふんわり言う。

「私は、デザートがいい」

由乃は令に、メニューを催促するように言う。

祥子は祐巳を見つめながら、

「私、化粧室に行きたいんだけれど」

その言葉に、蓉子・聖・江利子はため息や肩を竦めて見せる。

 

 

「祐巳さん、あなた。お姉さま、蓉子さまのこと、どう思っていて?」

祥子は前を歩く祐巳に二人になり、聞きたいことを祐巳に訊ねる。

「どう、ですか?」

祐巳は、祥子の質問に笑顔で聞き返す。

「ええ。お姉さまはあなたのことが恋愛感情として好いてらっしゃるわ。吃驚したけれど、お姉さまが選ばれたならそれを尊重したいわ」

祥子はトイレでも化粧直しでもないからと言うように、立ち止まり言う。

「だけれど、私が本気でなかったり傷をつける存在なら容赦しないと。」

祐巳も立ち止まり、答える。

「話が早くて助かるわ。で、どうなの。本心を言って欲しいわ」

祥子は有無を言わせない口調で問う。

姉を想う気持ち、あの時も率先してくれたからこそ、私たちはここに立っていられる。

そんな気持ちが祥子は溢れてくる。

「わかりません。」

それを壊すように、祐巳は表しのない顔で答えた。

「は?」

祥子は何を言われたのか分からない顔をする。

「分からないんです。水野さんの気持ちも、私自身の気持ちも。いえ、気持ちの存在自体分からないんです。」

祥子はそれにからかわれたのかと思い、手を上げる。

蓉子を想う六人の気持ちを馬鹿にされた。

その激情に身を任せて。

 

 

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蓉子は何となく祥子の表情が気になり、電話の振りして席を立った。

何事もなければ、本当に着ている電話の留守録確認やメールをチェックすればいいだけ。そう考えて。

祐巳の声が蓉子の耳を捉えた。

その後、破裂音のような乾いた音。

「馬鹿にしないでっ!」

祥子の感情任せの声。足は衝動的に二人のところへ。

「祥子っ!何しているの!謝りなさい。祐巳ちゃん、大丈夫?」

蓉子は祐巳を気遣うように、赤くなった祐巳の頬に触れる。

「いえ、私が悪いんです。感情がわからないって答えたから。」

顔は感情が読み取れなく、瞳は澄み切っている祐巳に蓉子は

「ゆっくり整理していけばいいのよ。段階を踏まなかった私が悪いんだから...」

少し、寂しそうに笑う。

祥子は、自身の行為や蓉子の気持ちが伝わる言葉や表情に居たたまれなくなる。蓉子の言うように謝ろう、そう感じた瞬間、

「そうではなくて、私には感情がないんです。客観的に、身に着けましたが、何かを思う気持ちや心に主観性がないんです」

更に祐巳の瞳が澄み切り、

「失礼します。お飲物、お持ちしますね」

向日葵のような笑顔を残して祐巳は立ち去る。

 

 

 




かなり急展開すぎますよね、本当。
なるべく、感情を入れない第三者視点で、たんたんとしたくて...
いろいろ排除しまくりの、誤字脱字が目立ちます。すみません
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