2015・0216にお読みになられてない方はご覧くださいませ。
お手数掛けます。
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祐巳は暗い部屋でモニタに映し出された、画質の粗い映像を眺めてた。
映像は、幼女とも言える少女が男たちに嬲りものにされていた。
表情があるのに、感情はしんでいるかのような。瞳は澄み切っているのに、子どもらしさを感じさせない。
誰もそんな祐巳に気にかけなかった。
中学生になれば、裏ポルノではなく身体を売らされた。
それでも何も感じなかった。
ただ、生きていた。
人形やアンドロイドのように、活動源があるから。
母親が麻薬に溺れだした時、認知をしなかった父親に会いに行かされた時。
関係を強要されても。ただ、頷いた。
そんな祐巳に祐麒は惹かれてしまい、また、今現在、祐巳の傍に居る男も。
男、小林は苦々しい顔をし、
「またそんなもん...傷を抉るのか」
ウィスキーのロックを祐巳は口にし、
「...私の傷をどう触ろうが関係ないでしょ。」
無表情に、小林や祐麒にだけ見せるモノクロの顔。
「店で話した件、どうなった」
祐巳自身の傷は誰とも共有はしない、お前たちは傍観者なのだと祐巳は言い放つような態度を表す。
小林は分かっていながらも、傷つきながら
「あぁ...上手くライトの当たらないようにされてる。ただ、同時期に宿無し野郎が一人消えてる」
小林はストレートを飲み干した。
「関係ありそうかな。」
いつもなら、弱みにし、裏で名を轟かせている『闇の女王』らしく犬にするようなことなのに止まっている。
小林は眉を寄せ、
「どうした?流石に、小笠原のスールは手が出せないか?」
自身の祐巳に呼び出された日に思った、気付きが頭を支配した。
「いや、美人すぎるなぁって。」
まるで、子どものように要領を得ない物言い。
「俺と福沢が一年の頃、リリアンの生徒会長で人気は凄かったな。」
小林は少し思い出し笑いをしながら祐巳に話す。
「ふーん。洋風和風クール、確かに憧れられるだろうね。」
この日初めて祐巳は笑った。
小林は呆気にとられ、
「じゃあね、若頭補佐。また連絡する。」
祐巳がドアを閉めてしまうまで気付かなかった。
一人残された小林はまだ、流れる映像を乱暴に切り、タバコに火を点ける。
(やっぱり祐巳はあの三人のどれかに...どいつだ?くそっ、福沢にだけは知られないようにしないと。とち狂うぞ)
ドアを乱暴に開け、普段温厚なだけに部下をビビらせた。
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祐巳はいつも気が付くと口にしている童謡を共に歩いていた。
学生が陽気に居酒屋から出て来、近くではカップルが痴話喧嘩。
一瞥くれると、
「愛すべき、カオスの森。御嬢さん、お逃げなさいってか。」
蓉子の顔が祐巳の脳裏に浮かぶ。
優しい、厳しさも持ち合わせてながら抱え込みやすい、誤解されそうな苦労性。
祐巳は初対面より、蓉子の認識は変わってなかったが、こうも何かの瞬間に思い起こされるのが不思議だった。
そして、隠さないといけない傷があるなら...
そう思いかけて止めた。
(ふん。ついに頭がいかれたか、私は。)