そこにある花   作:待兼山

9 / 21
カクシンを修正しました。
2015・0216にお読みになられてない方はご覧くださいませ。
お手数掛けます。


カクシン2

/

祐巳は暗い部屋でモニタに映し出された、画質の粗い映像を眺めてた。

映像は、幼女とも言える少女が男たちに嬲りものにされていた。

表情があるのに、感情はしんでいるかのような。瞳は澄み切っているのに、子どもらしさを感じさせない。

誰もそんな祐巳に気にかけなかった。

中学生になれば、裏ポルノではなく身体を売らされた。

それでも何も感じなかった。

ただ、生きていた。

人形やアンドロイドのように、活動源があるから。

母親が麻薬に溺れだした時、認知をしなかった父親に会いに行かされた時。

関係を強要されても。ただ、頷いた。

そんな祐巳に祐麒は惹かれてしまい、また、今現在、祐巳の傍に居る男も。

 

男、小林は苦々しい顔をし、

「またそんなもん...傷を抉るのか」

ウィスキーのロックを祐巳は口にし、

「...私の傷をどう触ろうが関係ないでしょ。」

無表情に、小林や祐麒にだけ見せるモノクロの顔。

「店で話した件、どうなった」

祐巳自身の傷は誰とも共有はしない、お前たちは傍観者なのだと祐巳は言い放つような態度を表す。

小林は分かっていながらも、傷つきながら

「あぁ...上手くライトの当たらないようにされてる。ただ、同時期に宿無し野郎が一人消えてる」

小林はストレートを飲み干した。

「関係ありそうかな。」

いつもなら、弱みにし、裏で名を轟かせている『闇の女王』らしく犬にするようなことなのに止まっている。

小林は眉を寄せ、

「どうした?流石に、小笠原のスールは手が出せないか?」

自身の祐巳に呼び出された日に思った、気付きが頭を支配した。

「いや、美人すぎるなぁって。」

まるで、子どものように要領を得ない物言い。

「俺と福沢が一年の頃、リリアンの生徒会長で人気は凄かったな。」

小林は少し思い出し笑いをしながら祐巳に話す。

「ふーん。洋風和風クール、確かに憧れられるだろうね。」

この日初めて祐巳は笑った。

小林は呆気にとられ、

「じゃあね、若頭補佐。また連絡する。」

祐巳がドアを閉めてしまうまで気付かなかった。

 

一人残された小林はまだ、流れる映像を乱暴に切り、タバコに火を点ける。

(やっぱり祐巳はあの三人のどれかに...どいつだ?くそっ、福沢にだけは知られないようにしないと。とち狂うぞ)

ドアを乱暴に開け、普段温厚なだけに部下をビビらせた。

 

 

/

祐巳はいつも気が付くと口にしている童謡を共に歩いていた。

学生が陽気に居酒屋から出て来、近くではカップルが痴話喧嘩。

一瞥くれると、

「愛すべき、カオスの森。御嬢さん、お逃げなさいってか。」

蓉子の顔が祐巳の脳裏に浮かぶ。

優しい、厳しさも持ち合わせてながら抱え込みやすい、誤解されそうな苦労性。

祐巳は初対面より、蓉子の認識は変わってなかったが、こうも何かの瞬間に思い起こされるのが不思議だった。

そして、隠さないといけない傷があるなら...

そう思いかけて止めた。

(ふん。ついに頭がいかれたか、私は。)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。