これから語るのは、実際に私が高校時代に体験したものです。ネタや釣り、創作などでは一切ありません。



 修学旅行中に迷い込んでしまった山の中の廃村で、私達五人は一日過ごし、山から脱出するヒントを集めていました。しかし、まさかあんな事になるなんて――――。




 皆さんも山に行く時は十分に注意してくださいね。

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 ホラー脱出ゲームによくある様な話、設定をいきあたりばったりでくっつけ作った名ばかりのホラー短編小説。
 最初と最後の主人公の語り以外は全て登場人物の台詞のみでで構成されています。その為かなりの長文です。それらが苦手という方は、今のうちにブラウザバックをおすすめします。


或いはこれは世迷い羊達の夢物語

 これから私……仙崎鈴子が語ることは、ネタや釣り、創作などではありません。信じられないかもしれませんが、全て本当のことです。ですが、いきなり『こんな体験をした』と言われてもピンとこないでしょう。ですので、例え話から入ることにします。

 

 

 

 例えばの話。

 修学旅行の班行動中、見知らぬ場所に辿り着いてしまったとしたら、皆さんならどういった行動を取りますか?

 

 

 例えば電車に乗っていて、降りる駅を間違えてしまった時。

 例えばお店をショーケースを見ていて、皆を見失ってしまった時。

 例えば集合時間を間違えて、一人になってしまった時。

 

 

 皆さんなら、どうしますか?

 

 

 携帯で連絡を取りますか?

 交番で道を尋ねますか?

 修学旅行のしおりを見て、場所を確認しますか?

 

 

 では、それらの方法が全て不可能な場所なら?

 

 

 それは、何処かの深い山の中だったり。

 それは、深い海の底の沈没船の中だったり。

 或いは、地図にも載らない無人島だったり。

 

 

 これは、私達――――仙崎鈴子、臼井真、笹木美香、久山楓、綾野優の五人が青森のとある山の中で体験した、()()()()()()物語です。

 

 

 

 

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――――6/27.PM.1:58

 

 

 

真「ねー美香ー。電波届いたー?」

 

美香「あー、全ッ然ダメだわ、コレ。ったく、マジでいい加減にしろよ、どこだよここ」

 

優「電波は通じないか……こんな山の中じゃ当たり前かな……」

 

美香「うっせんだよメガネ!そもそもアンタが『あっち行ってみよう』とか言うからこんなトコに来ちまったんだろーが!」

 

優「な、そっちだって『面白そうだ』って言って乗ってきたじゃない!」

 

鈴子「ちょ、やめようよ、こんなことしてる場合じゃないよ!」

 

美香「仙崎は黙ってろよ、殺すぞ!」

 

真「美香やっちゃえー!」

 

優「皆落ち着いて!兎に角道を探さないと……!」

 

美香「ああ?アンタのせいでこうなったんだから一人で探せよメガネ!」

 

優「そんなこと言ってる場合じゃ……」

 

楓「…………下らない」

 

美香「……あ?アンタ今なんつった?」

 

楓「下らない、って言ったの。日本語がわからないの?」

 

鈴子「ちょ、久山さん……!」

 

美香「ナメたこと言ってんじゃねぇぞ根暗!」

 

真「チョーシ乗んな!」

 

楓「調子に乗ってるのはそっちでしょう?こんなことを続けていたら一生ここから出られないわよ、貴方達」

 

美香「うっせーんだよ、死ね根暗!」

 

鈴子「皆待って!今は道を探そう?笹木さんと臼井さんは向こう、優は私達と一緒に!」

 

美香「チッ……覚えてろよ根暗」

 

優「……行っちゃった」

 

鈴子「は〜……」

 

優「でも、あの二人だけにしてよかったのかしら」

 

楓「逆に二人だけにした方がいいと思うけれど」

 

鈴子「あ、久山さん、どこ行くの?」

 

楓「少し辺りを調べてくるわ」

 

鈴子「一人じゃ危ないよ!……って、待ってよ〜!」

 

優「私はここら辺を調べておくから、一時間後にここ集合ね!」

 

鈴子「わかったー!」

 

 

 

――――6/27.PM.2:16

 

 

 

鈴子「ねえ久山さん」

 

楓「何?」

 

鈴子「さっきから木に何か掘ってるけど……何してるの?」

 

楓「印を付ければ一度通った道がわかるでしょう?」

 

鈴子「あ……なるほど」

 

楓「……さっきは、正直助かったわ」

 

鈴子「え?」

 

楓「笹木さん達との口論。貴方が止めてくれなければ、何時まで続いていたかわからなかったわ」

 

鈴子「え?ああ、いいよ別に。今は協力し合わないと……」

 

楓「そうね。……一先ずこれくらいでいいわ。一度戻りましょう」

 

鈴子「え?あ、うん」

 

 

 

――――6/27.PM.3:26

 

 

 

優「あ、二人共!遅いわよ!」

 

鈴子「ごめんごめん……」

 

優「何かあった?」

 

楓「いいえ、向こうは特に何もなかったわ」

 

鈴子「笹木さん達はどこだろ?」

 

楓「さあ、昼寝じゃないかしら?……綾野さんは何か見つけた?」

 

優「それが、この奥に村みたいなものがあって……」

 

楓「村?……廃村かしら?」

 

優「そうみたい。で、何か分かるかもしれないし、皆で行ってみない?」

 

鈴子「ええ〜、ヤだよ、危ないかもしれないじゃん!」

 

楓「でも、ここで日が暮れるのを待つよりはいいかもしれないわね。地図があるかもしれないし」

 

優「それで、笹木さん達も来た方がいいと思うんだけど……久山さん、いい?」

 

楓「私は別に構わないわ」

 

鈴子「逆に優の方が心配だけど……」

 

優「今はそんな場合じゃないから……じゃ、呼んでくるわね」

 

 

 

――――6/27.PM.3:49

 

 

 

美香「へぇ?こんなトコに村があるとか、アタシらついてんじゃん?」

 

真「でもなんか不気味……」

 

美香「こんなん、ただの廃墟の塊だっての」

 

鈴子「あれ、この石……何か書いてある」

 

優「何々?……『鬼鳴村(おになきむら)』?」

 

真「なんか怖いんだけど……」

 

楓「そんなことより、手分けして手がかりを探しましょう。決して一人にならない様に、二手に別れて」

 

優「じゃあ、私は笹木さん達と行くわね。二人共の気を付けてね」

 

鈴子「優も気を付けてね」

 

 

 

――――6/27.PM.4:23

 

 

 

鈴子「うわ……この家も崩れかけだね」

 

楓「ええ、気を付けて進みましょう」

 

鈴子「それにしても、森の中だけど割と大きいね、この村」

 

楓「ええ、でも、少なくとも修学旅行の地図にはこんな村はなかったわ」

 

鈴子「うーん……あ、ねえ久山さん」

 

楓「何かしら?」

 

鈴子「これ、日記……かな?見つけたんだけど」

 

楓「古いわね……崩れそうで危ないから、この家からは出ましょうか」

 

鈴子「うん……優達は何か見つけたかな?」

 

楓「さて、どうかしらね……かなり奥の方に行ったみたいだけれど」

 

鈴子「探しに行く?」

 

楓「行き違いになると面倒だわ。ここで待っていましょう」

 

鈴子「じゃあ、その間にこの日記を読んじゃおっかな」

 

楓「ええ、そうね」

 

鈴子「えっと……うわ、ところどころ虫に食われてる」

 

楓「破れてるところもあるようね」

 

鈴子「うん。……あ、ここは読めそうだよ。えっと……『鬼神(おにがみ)様がお怒りになられた。急いで供物を捧げなければならない。鬼神様に依代を』……ここから先は破れて無くなってるね」

 

楓「ここから出るヒントは無さそうね」

 

鈴子「『鬼神様』ってなんだろうね」

 

楓「さあ。……あら、綾野さん達が来たみたいね」

 

優「おまたせ〜。何かあった?」

 

楓「日記が一つ。……でもヒントにはならないと思うわ」

 

鈴子「そっちは?何かあった?」

 

真「村の奥になんかの祠?があったけど」

 

鈴子「祠?なんのだろ?」

 

楓「鬼神様でも祀っているんでしょう」

 

美香「そんなことよりお腹空いたんだけど。あと疲れた」

 

優「笹木さん、疲れてるのはみんな同じでしょう!?少しは我慢したら?」

 

楓「暗くなってきたし、これ以上外にいるのは危険だわ。どこか安全な建物の中に入って休みましょう」

 

美香「根暗もたまにはいいことゆーじゃん!」

 

真「ウチも疲れたー」

 

優「……休むなら向こうに良さそうな家があったわ」

 

鈴子「じゃあ、そこに行こうよ」

 

 

 

――――6/27.PM.5:32

 

 

 

鈴子「へー、結構広いね」

 

楓「壁も柱も屋根も崩れていないわね」

 

美香「アタシが見つけたんだからな、感謝しろよ!」

 

真「でも、これからどうすんの?」

 

楓「今日のところはもう外に出ず、この家の中でこの森から出る方法を考えましょう」

 

美香「ほっときゃその内救助隊がくんじゃない?」

 

真「それまでゴロゴロ休んでたいなー」

 

楓「いえ、救助隊が来るとは限らないわ」

 

優「そうね。あれから四時間は経つのに一度もヘリとか見てないし」

 

鈴子「この家の中に何かないかな?」

 

楓「手分けして探しましょう。幸い大きな家じゃないから、探せば何かあるかもしれないわ」

 

優「皆、家の外に出ないように」

 

真「えー、めんどー」

 

美香「クソ、修学旅行なんてくんじゃなかったな」

 

 

 

――――6/27.PM.6:49

 

 

 

真「美香ー、なんかあったー?」

 

美香「ゴミなら見つけた」

 

真「ウチもー」

 

優「中々使えそうな物が無いわね……」

 

鈴子「あれ、なんだろ……押入れの上に入れそう」

 

楓「屋根裏かしら?……はい、懐中電灯」

 

鈴子「ありがと……うわ、埃っぽいなぁ」

 

優「鈴子、何かあった?」

 

鈴子「うーん……あ、なんだろ。なんか……ん、あとちょっと……うわ!」

 

優「鈴子、大丈夫!?」

 

美香「ハハ、仙崎ダッサ!」

 

楓「押入れの天井が抜けたみたいね。……仙崎さん、それは?」

 

真「何これ?水晶玉?」

 

鈴子「これを取ろうとして落っこちちゃったみたい」

 

優「うーん、何かに使え……なさそうね」

 

楓「はぁ……今日はもう寝て、また明日探しましょう」

 

美香「賛成ー」

 

真「ウチ大賛成ー」

 

優「はぁ、先が思いやられるわね……」

 

 

 

――――6/28.AM.6:26

 

 

 

鈴子「久山さん、おはよー」

 

楓「あら、早いわね」

 

鈴子「まあね、寝てる場合じゃないし」

 

楓「あそこにそんな事など微塵も思っていないのが二名ほどいるけれど」

 

鈴子「あのさ、久山さ……」

 

楓「楓でいいわ。私も名前で呼ぶから」

 

鈴子「え?あ、うん。楓はさ、……その、怖くないの?」

 

楓「もちろん怖いわよ。でも今はそんな場合じゃないでしょう?」

 

鈴子「あはは、確かにね……」

 

楓「今日は私達も村の奥に行ってみましょう」

 

鈴子「何かあるといいけど……」

 

 

 

 

――――6/28.AM.8:11

 

 

 

美香「うわっ、きたね!」

 

真「行きたくないー!」

 

優「はいはい、いいから入る!」

 

鈴子「ここは……学校?」

 

楓「小さいけど、そうみたいね」

 

鈴子「でも学校なら何かあるよね」

 

楓「だといいのだけど」

 

美香「アタシらはこっち探すかぁ」

 

優「何か見つけたら呼んでね鈴子、久山さん」

 

楓「ええ、わかっているわ」

 

鈴子「また後でね」

 

 

 

 

――――6/28.AM.8:50

 

 

 

 

鈴子「ねえ、楓」

 

楓「何?」

 

鈴子「これ、昨日の日記の切れ端みたいなんだけど……」

 

楓「日記の切れ端?学校(こんなところ)に?」

 

鈴子「うん」

 

楓「何が書いてあるの?」

 

鈴子「えっと……『用意しなければ。早く……。――■月■日。とうとうこの村に残っているのは我が家だけになってしまった。依代を与えてはだめだ。早くこれを』……ここで終わってるね」

 

楓「最後が無いのが気になるわね」

 

優「鈴子!久山さん!」

 

鈴子「ゆ、優?どうし……」

 

優「笹木さんと臼井さんがいないの!」

 

鈴子「え……」

 

楓「ちゃんと探したの?」

 

優「探したわよ、でもいないの!」

 

鈴子「もう一回探してみよう!」

 

 

 

 

――――6/28.AM.9:22

 

 

 

 

楓「鈴子、綾野さん」

 

鈴子「楓!何かわかった?」

 

楓「理科室らしき場所の机の上に、この紙があったわ」

 

優「『祠にいってくる』……?あれほど離れないでって言ったのに!」

 

鈴子「と、兎に角その祠に行ってみよう!」

 

楓「そうね。綾野さん、祠の場所は?」

 

優「こ、こっちよ!」

 

 

 

 

――――6/28.AM.9:02

 

 

 

 

真「美嘉ー、ホントによかったのー?」

 

美香「何が?」

 

真「学校から出ちゃって」

 

美香「いーじゃん。学校より祠の方がなんかありそうじゃん?」

 

真「確かにそうかも知んないけどさー」

 

美香「いいから探せよ。根暗に吠え面かかせてやろうよ」

 

真「そ、そーだね」

 

美香「お?なんだこれ」

 

真「どうしたの?」

 

美香「いや、この木の扉……中々開かなくて……っんの!」

 

真「ちょ、バキっていったよ!?」

 

美香「開いたからいーじゃん」

 

真「いいけど……な、なにこれ…………」

 

美香「お、御札?何でこんなに沢山……」

 

真「気持ち悪いよ、戻ろうよ美香……。美香?」

 

美香「あ、ああ、ああああああああああああ」

 

真「み、美香?どうしたの、大丈夫!?」

 

美香「ああ、あああ、わらわらわれののののあああああああ……………」

 

真「美香!?美香!?」

 

美香「い、ぁ、ひ、ひぁ、いひゃひゃひゃひゃひゃひゃ………………」

 

真「み……かっ?ぐぁ、みが、ゃ、め…………!」

 

 

 

 

――――6/28.AM.9:36

 

 

 

 

優「あそこを曲がれば祠よ!」

 

鈴子「怪我とかしてないといいんだけ……ど?」

 

楓「……あれは、怪我どころじゃないわね」

 

優「笹木さん……な、何をしてるの?」

 

鈴子「臼井さん……」

 

美香「ぎ?あ、ひゃ……あひゃひゃひゃひゃひゃ」

 

優「笹木さん、貴方臼井さんに何を……!」

 

楓「!待って綾野さん!笹木さんの様子が……」

 

優「さ……さ、きさ、……ん?」

 

鈴子「ゆ……優……?」

 

優「あ、い、痛…………ああああああ!?」

 

鈴子「優!!」

 

優「りん……かヒュ」

 

美香「は、ひゃあひ、へえふぃひゃひぇ……ひぇひぇひぇひゃひゃ」

 

楓「来て!逃げるわよ鈴子!」

 

鈴子「ダメ……優の、お、なか、が……のどが……」

 

楓「逃げないと貴方もああなるわよ!」

 

鈴子「いや……いやああああああ!!」

 

 

 

 

――――6/28.AM.9:50

 

 

 

 

鈴子「なん、で……笹木さ、んが」

 

楓「……鬼神様」

 

鈴子「え…………」

 

楓「あの日記に書いてあったでしょう?鬼神様の怒りを買ったって」

 

鈴子「に、日記と、さ、笹木さんになん、の関係……が」

 

楓「恐らく、祠を開けて……鬼神様の依代になったのでしょう」

 

鈴子「より、し、ろ……?」

 

楓「日記に『早く依代を用意しなければ』と書いてあったでしょう。……そしてその後、『依代ではだめだ』みたいな事も。笹木さんは祠を開けてしまい、中にいた鬼神様に憑かれてしまった……と、思うわ」

 

鈴子「で、でも、証拠が……」

 

楓「そうだという証拠は無いわ。違うという証拠もね。だったら、『ありえない』という気持ちを無くして、今起きている事を考えましょう」

 

鈴子「そ、遭難しておかしくなっちゃったとか」

 

楓「確かに、普通ならそれが一番確率が高いでしょう。でも笹木さんは一時間前まで普通だったわ。こんなに急にくるものかしら?」

 

鈴子「で、でも、鬼神様とか……そんなの……」

 

楓「……思い出したわ」

 

鈴子「え?」

 

楓「鬼鳴村。……六十三年前まで青森の山の中にあった村よ。……あるとき、3日ほどで村人全員が死んでしまったと聞いたことがあるわ」

 

鈴子「そ、それがこの村?」

 

楓「……恐らく、ね。その事件が鬼神様によるものなら……何か、怒りを沈める方法があるはず……」

 

鈴子「ね、ねえ、もう逃げようよ……この村を出れば追ってこないよ」

 

楓「どうかしらね。それに、村を出る前に殺されるかもしれないわ」

 

鈴子「じゃあ……じゃあ、どうするの?このままずっとここに隠れてるの?」

 

楓「いえ、その内見つかるわ。その前に、なんとか…………あ、そうか、そうかもしれないわ」

 

鈴子「な、何?」

 

楓「鈴子……あの水晶玉はどこ?」

 

鈴子「水晶玉……まだあの家にあると思うけど……」

 

楓「あれを祠に戻せばいいかもしれないわ」

 

鈴子「ちょ……だ、ダメだよ、楓まで殺されちゃうよ!今すぐ逃げようよ!それに戻らないかもしれないし……!」

 

楓「いえ、鬼鳴村の鬼の話……何百年も前、この村に来た鬼が子供と仲良くなって、やがて棲みついたと聞いたことがあるわ。子供と鬼は玉当てをして遊んでいた……でも、大人達は鬼が子供を食べようとしてると言って、鬼を殺そうとする。それを庇った子供が……」

 

鈴子「死んじゃった……?」

 

楓「ええ。そして怒った鬼はその大人達を殺して眠りについたらしいわ。それから祠を作り水晶玉を祀り、年に一度……子供を供物として捧げている、と」

 

鈴子「その子供が依代……?」

 

楓「正確には、その前の年に捧げられた子供が依代らしいわ」

 

鈴子「じ、じゃあ、なんで笹木さんに……?」

 

楓「推測なのだけれど、今言ったのは全て『祠が閉まっている場合』ではないかしら。祠を開けると……開けた子供にに憑く。大人だったなら、子供を探して、子供に憑く」

 

鈴子「それを……戻すには……」

 

楓「恐らく、水晶玉を戻さなければならない。あの日記の主は恐らく、祠を開けて水晶玉を持ち出したのでしょう。そして、村は全滅した」

 

鈴子「水晶玉を戻せば……死なずにすむの?」

 

楓「生きて祠に辿り着ければ、或いは」

 

鈴子「この村から……出れる?」

 

楓「わからないわ」

 

鈴子「わ……私も、行く」

 

楓「…………」

 

 

 

 

――――6/28.AM.10:16

 

 

 

 

楓「なんとか辿り着いたわね」

 

鈴子「あとはこの水晶玉を祠に戻せば……」

 

楓「もしかしたら、帰れるかもしれないわ」

 

鈴子「じゃあ、……行こっか」

 

楓「鈴子は……この村の入り口で待っていて」

 

鈴子「え……嫌だよ、楓一人で行くなんて!」

 

楓「二人友死ぬなんて馬鹿馬鹿しいわ。私が祠にこれを戻せれば、もしかしたら二人で山を抜けれるかもしれない。失敗して、私が死んでも……鈴子だけなら、戻れるかもしれない」

 

鈴子「絶対ダメだよ、私も行くから!」

 

楓「お願い鈴子……絶対に帰ってくるから、村の入り口で待ってて」

 

鈴子「嫌だ……絶対に……私も、行く」

 

楓「もう時間がないから……お願い。鈴子が死んだら、私は立ち直れないわ」

 

鈴子「そんなの……私だって……!」

 

楓「大丈夫……絶対戻って来るから……ね?」

 

 

 

 

――――6/28.AM.10:39

 

 

 

 

楓「三十分経っても私が来ない場合は……一人で逃げなさい」

 

鈴子「そんなこと言うなら、私も行く」

 

楓「大丈夫よ。心配しなくていいわ。……じゃあね」

 

 

 

 

――――6/28.AM.10:51

 

 

 

 

楓(くっ……あと少し……あの角を曲がって水晶玉を戻せれば……!)

 

鬼「きひやあひゃひゃひゃ!」

 

楓「この……!」

 

鬼「ぎゃひゃ!?……あぎああああ!!」

 

楓(見えた!早く……水晶玉を……)

 

鬼「ぐぎゃあ!」

 

楓「しまっ……!」

 

鬼「ひ、あ?きあ、ぼぼぼと、あああそ、あそあしあそあそ、あぁそおぉば?」

 

楓(もう少しで……祠に届く……)

 

鬼「あひゃ♪」

 

 

 

 

 

――――6/28.AM.11:12

 

 

 

 

 

鈴子(楓……早く戻ってきてよ…………。もう佐経っちゃったよ)

 

『三十分経っても私が来ない場合は、一人で逃げなさい』

 

鈴子(嫌だよ…………楓…………)

 

 

 次の瞬間、森の奥から悲鳴が聞こえた。私は森の入り口と反対方向にひたすら走った――――

 

 

 

 

 

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 私が道に出たのは四日後のことです。いくつも山を越え、ただひたすらに走っているうちに、林道に出ました。あれ以降私は、山に全く山に行かなくなりました。もう二度とあんな体験はしたくありません。「大したことない」と思うかもしれません。ですが、あの村にいた僅か一日と山の中を走っていた四日間は、間違いなく私の心にトラウマというものを植え付け、それと同時に絶望感も与えたのです。

 何度も言いますが、ネタや釣り、創作などではありません。高校時代、私が……()()()実際に体験した事です。

 あの日、鬼鳴村から逃げた時に聞いた悲鳴は久山楓のものではなかった様に思えます。楓は必ず帰ってくると、私は信じています。

 

 

 

 もしどこかで、黒いロングヘアーの身長156センチ程で、力強い眼差しと堂々とした態度の女性を……久山楓を見かけたら、ご連絡をお願いします。

 

 

 私の昔話に付き合っていただき、本当に有り難うございました。皆さんも山に行く時はきちんとした準備をして、十分に注意して行って下さいね。




 読みにくいかと思いましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。質問などあれば言ってください。なるべく早く対応します

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