最近学校が忙しくて、家に帰るのも7時半を過ぎることもしばしばあります。何故か小テスト
とかがあるおかげで先生の目を盗んで艦これを書く暇g……ゲフンゲフン、なんでもないです。
さてどうでもよい私の話は置いて、真面目に前書きをしていきます。
今回は最初が少しだけほのぼので、それ以外はほとんどシリアスです。サブタイトルの付け方がパターン化してる気がしますが、これ以外に思い付かなかっただけです。
新米提督は最後に少しだけしか出番がありませんが、その分最初から最後まで響の出番が
ありますのでご安心を。
さてそろそろ本編に入りましょうか。 それでは16話です、どうぞ!
「ふわぁ~……わふっ」
電が、女である自分から見ても可愛らしい仕草と声であくびをした。
哨戒を始めてから30分、何事もない現状に欠伸が出てくるのは仕方がないとは思うが、
こうして気を抜いた時に限って敵はやってくる。
「電、油断は禁物だよ」
「わかってるのです。 でも……」
電は途中で言葉を切って周りを見渡し始め、脚部艤装を操作して島を背にして同じように
見渡してみる。
空は雲一つない快晴、海は穏やかな波を立てるのみで、敵の襲撃などあるはずがないような
雰囲気が辺りに漂っている。
だが先程自分でも思ったとおり、こういうときに限って襲撃してくるのが深海棲艦で、一瞬でも
気を抜こうものなら襲われる可能性が高まる。
「言いたいことはわかるよ。 だけど、さぼったり油断するのは良くない」
「もちろんわかってるのです。 でも日差しが気持ちよくて……ふわぁ~……」
またしてもあくびをする電に苦笑いし、再び意識を哨戒任務へと戻す。
鎮守府近くにはなかったのだが、いつの間にか敵艦が1~2隻隠れるには十分なほどの岩陰が
見えてきており、そのため移動して裏側まで確認しなければならない。
更には隠れていた時の事も考慮して距離を置きながら偵察する必要があるが、岩の数が多く
撃沈の可能性も考えるとまともに偵察する度胸はない。
相手がたとえ駆逐艦であろうと、目の前まで接近されれば戦艦も駆逐艦も関係なく、燃料を
流し込んだ皮膚を砲弾は貫いてくるからだ。
こういう時に軽巡や重巡が装備できる水上偵察機が羨ましくなるが、無いものをねだっても
仕方がないので断念する。
そんなことを考えながら目に見える範囲で耳も使いながら警戒しつつ、島を半周したところで
砂浜が見えてくる。
今まで島中が無数の気で覆いつくされていたために、少し意外だった。
「響ちゃん、待ってなのです……」
後ろから声が聞こえて振り返ると、電が少し息を切らせながら追ってきていた。
「どうしたんだい?」
「ちょっと疲れて休憩してたのです」
「呼び止めてくれれば一緒に休んだのに。 これじゃあ二人で哨戒してる意味がないよ」
「でも、いくら呼んでも聞いてくれなかったのです……響ちゃんの悪い癖なのです!」
電に少しきつく言われ、何も言い返せずに口ごもる。
集中力は姉妹の中で一番あると自負しているが、逆に集中しすぎて周りが一切見えなくなる
ことがあり、直そうとしても直せないでいる。
「……なんとか直してみるよ。 それより、砂浜があるけど休んでいくかい?」
まだ哨戒を始めて1時間も経っていないが、電に休憩をするかどうかを聞いてみる。
艦娘は脚部艤装、すなわち主機があるおかげで海上に立っていられるが、逆にそれなしでは
浮くことすらままならない。
それ故に海上にいる時はずっとバランスを取りながら立たなければならず、どうしても足に
負担がかかって疲れがたまる。
それが原因で注意が散漫になったり士気の低下につながるため、大体1時間に5分ほど
岩などに身を隠して休憩するのが常とされる。
現に注意不足による被弾率が高いのは、岩も何もない広い海域だったりする。
「お言葉に甘えて、少し休ませてもらうのです」
自分の問いかけに答えた電は、砂浜へと体を向けてゆっくりと進み始める。
そろそろ足も疲れてきた頃だったので、電と同様に休もうと自分も砂浜へと向かう。
特別急ぐこともなく休めるということもあり、体の力を抜いて徐行する。
またすることもないため、自分の体の様子を確認しながら航行していく。
哨戒中は別に脚部艤装の出力を上げるようなことはなかったために燃料はあまり消費して
おらず、弾薬にいたっては一発も放っていないので補給する必要もない。
使用不能と思っていた暁の艤装も、やはり工廠長の腕がよかったのか新品同然に動いており、
脚部艤装にいたっては自分の使い慣れたものよりも使いやすい。
気になって右肩付近にある主砲の砲角を変えてみる。
とりあえず海面に向かって下げてみると、見る見るうちに主砲は揺れる海面を捉え、ついには
海面とほぼ垂直になるまで下がりきった。
自分の主砲も電の主砲も、体をかがめてもここまで下がったりはしない。
そのことに少々驚きつつも、今度は角度を上げてみる。
主砲は機銃ほどではないが対空砲火のためにも設計されており、戦艦でも駆逐艦でもほぼ
真上まで跳ね上がる。
この艤装なら直角までいける、と思ったのだが。
「え!? う、うそ……」
予想を裏切り――砲口は真後ろを通り越して背後の海面へほぼ垂直に向いた。
これには隣で見ていた電も驚いたようで、いつの間にか興味深々と言った様子で主砲を
見ていた。
「これは……もう主砲じゃない気がするのです……」
「工廠長……なんというか……」
あまりの出来事に言葉がつなげず、二人して口をパクパクとさせ続ける。
二人して呆気にとられているとどこからか鉄を力任せに叩き割ったような音がし、
その音がした方向を向く。
続いてベキ! とかバキ! などの少々物騒な音が聞こえ、最後に金属特有の歪んだ音を
響かせてうるさかった音が止まる。
「一体何が……?」
「多分雷がなにかしてるんじゃないかな。 ほら、雷って活発だから」
「……ありえるかも、なのです」
お互いに見合って苦笑しつつ、いつの間にか前進をやめていた艤装を動かして砂浜を目指す。
つま先立ちのようにかかとを浮かせて推進力を後方へ逃がして進むが、この姿勢は見かけよりも
足に負担がかかる。
そのためか、つい先ほどまであまり感じられなかった足首の痛みやふくらはぎなどの疲れが
強くなる。
早く休みたいな、という思いが強くなり、艤装の推進力を少し上げて電より前に出る。
電も自分と同じように推進力を上げたのか、ぴたりと後ろについてきてそのまま砂浜へと
向かう。
少しの間進み、砂浜へ上がるために艤装の推進力を弱めて徐行する――と同時に、甲高い
金属音が聞こえてきた。
「っ!? 電、一体何……が……!?」
問いかけようと電のほうへ振り返るが、言葉を詰まらせざるを得なくなってしまう。
いきなり自分へともたれかかってきて――
「いな……ずま……」
背部艤装は黒煙を大量に吐き出していて――
「うそ……だって、そんな……」
口からは血が出て、自分の服を赤く染めていた。
そう意識した瞬間に、黒煙が昔の記憶に一部と結びつく。
自分がまだ船だった頃、間近で今のような光景を見たことがあった。
乗員を救出している傍らで、煙を吹き上げながら二つに折れて沈んでいく妹――電の姿を。
二度と見たくないと思っていた光景が、目の前にある。
それだけで手は震え、足から力が抜け、頭の中が真っ白になる。
守って欲しいといわれたのに、守ると誓ったばかりなのに。
そんな言葉が頭の中で反響し、目からは熱い液体が零れてくる。
「嫌だ、嫌だよ、電……」
姉妹の中でただ一人生き残った自分、一人取り残された自分が勝手に口を動かす。
「嫌だ、もう一人は嫌なんだ……」
電の体を揺するが、ただただ口からは溜まった血が流れ出るだけ。
また、目の前で失ってしまうのか――
「起きて、起きてよ……起きてよ電……!」
何度揺すろうと、全く反応がない。
「死なないで、死なないで……一人にしないで……」
海に涙を落としつつ、動かない電の体を揺すり続ける。
一人になる苦しみは知っている、一人になるのは嫌だ――
「起きてよ、なんで……起きてよ、電ぁ!」
いくら揺すってもいくら呼びかけても、動く気配はない。
今起こさなければ、今呼びかけなければ、二度と会えないかもしれない。
「電、起きてよ! 起きてよ! 起きて――」
言葉を途中で遮られ、肩を無理やり引っ張られて。
それと同時に、パチン! という音が響き、左頬に痛みが走った。
「響!」
たった一言だけだが、はっきりと聞こえた。
この声……司令、官……?
ここにいるはずのない人の声がして、声がした方を見てみる。
白い見慣れた軍服を着て、右腕は何故か振り切っていて、左腕には電を抱えていた。
いつの間にか電の艤装は外されており、口から血を流しながら司令官の腕の中でぐったりと
している。
何がどうなっているのか分からず辺りを見渡そうとするが、すぐ近くで轟音が発生して両耳を
押さえる。
「何、何……!?」
慌てながらも、水平線をなぞるようにしてやりかけたことを再開する。
そして、岩礁の近くに深海棲艦を見つけた。
少し遠くにいるためによく分からないが、シルエットから駆逐ロ級だと推測し、空っぽになった
頭で司令官へと向き直る。
「響! 戦闘中だ、しっかりしろ! 電はまだ生きてる!」
「戦、闘……生きてる……?」
ぼんやりとした頭で、司令官の言った言葉を理解していく。
電は口を下にするように抱えられて血を垂らしているが、よく見れば小さくだが息をしている。
電が死んでいないことに安堵しながらも、周りの状況を確かめていく。
水柱が立つなら砲撃があり、この状況なら必ず敵がいる。
そして、その敵は……
振り返り、つい先ほど見た『敵』をもう一度捉える。
口らしき器官を開け、覗かせている砲身から小さいながらも死を運ぶ弾を何発も撃ち、自分の
周りに着弾する。
小さいシルエットだったが、時間が経つにつれて段々と大きくなってくる。
そうか……いま、戦闘中なんだ……
考えがあまり定まらないが、これだけは考えられた。
電が被弾したからといって、取り乱してしまった自分が情けなく思ってしまう。
「響、避けろ!」
考えをまとめていると、ついに自分をしっかりと捉えた弾が向かって飛んでくる。
だが、もうあわてたりはしない。
司令官に避けるように言われたが、ここで避けてしまうわけにはいかない。
ここで避けてしまえば、近くにいる司令官が着弾の余波を受けて無事で済む保証はなく、傷を
負っている電の体に響いてしまうのは避けられない。
二人を助ける最善の手は――自分が防ぐこと。
瞬間的に感じ、背部艤装の下へ手を伸ばし錨を掴んで一気に引き抜く。
繋がっている鎖がじゃらじゃらと音を立てるが、意識する暇もなく弾は迫ってくる。
錨を持つ手に力を込め、少し腰を落として構える。
本当に電を助けたいなら――
「
――
左手に持った錨を、横から弾へ全力で叩きつける。
錨を握っている左手に衝撃と激痛が走るが、気合で押さえつけてさらに力を入れる。
一瞬の出来事のはずだが、主観では何秒にも感じられた。
弾とぶつかった瞬間に火花が散り、じわじわと増していく痛みに耐えつつ力を加えて弾の軌道を変えていく。
そして軌道を変えた弾は、右斜め後ろへと抜けて着弾して波を起こす。
「はぁ、はぁ……」
感情に任せてこんなことをしてしまったが、錨で敵弾を弾くというのは初めてだった。
燃料はたった数秒にしてはあり得ないほど減り、体の力も抜けそうで何とか立ち続けて荒い呼吸を繰り返す。
だが、いつまでもこうしているわけにもいかず、不思議と砲撃を止めているロ級を見ながら
司令官へ話しかける。
「ここはっ……私が何とかするから、電と逃げて……!」
「……響、戦えるか?」
「……
司令官からの問いかけに、自分の気持ちも固めるように力強く返事を返す。
「その様子だと大丈夫そうだな。 頼んだぞ、響!」
ロシア語が分からないことを忘れていたが、自分の意思は伝わったのか司令官はそんな言葉を
自分に返して水を切りつつ遠ざかっていくのが音で分かる。
電の安全は司令官が保証してくれるし、自分はほとんど傷ついていない。
海にいるのは自分と敵、一対一だ。
勝つ……勝って、皆を守るんだ……!
「負けない! 私は、もう負けるわけにはいかない!」
相手にではなく、自分を奮い立たせるために叫ぶ。
その声に反応したのか、先程まで止めていた砲撃を再開してきた。
回避行動を取りつつ、自分の全てを戦闘状態へ切り替えて応戦を始めた。
書いてて思いました。私もこの響みたいに強くあれたらな、と。
はい、中途半端感が否めない16話でした。多分この作品の中で一番シリアスな場面だと
思いますが、うまく書けてるか不安です。誰かアドバイスしてくれないかな……
忘れてましたが、少し前の更新で暁改二が実装されましたね。それを知ったとたんに喜びの舞を踊り、若干足りなかったレベルを破竹の勢いで上げて改二にしました。この調子で雷と電にも
改二が来てほしいですね。
さて、今回はこれぐらいにしましょうか。次回は出来れば今月中に仕上げて投稿したいです。
それではまたお会いしましょう!