再開できて現在は絶好調です。
詳しいことはいつもの後書きに書いておきますので、早速前書きといきましょう。
待たせてしまって申し訳ないと思っていますが、今回は結構短いです。短いせいでサブタイトル
でかなり悩んで挙句適当な感じになってしまいましたが、見逃していただければと思います。
また、視点は新米提督の方に戻しました。最近書きたいと思っているのは暁達の視点なんです
が、それは次回以降にします。
それ以外では、少し流血表現があります。ご飯を食べながら読もうと思っている方や苦手だ
という方はご注意ください。
さて、前書きはこれぐらいにしておきましょうか。それでは本文です、どうぞ!
『負けない! 私は、もう負けるわけにはいかない!』
電を抱えて暁と雷の元へ駆けていると、後ろから響の力強い声が聞こえてきた。
最初は戦意が一欠片も無かったが、今の響になら安心して任せられる。
頑張ってくれよ……!
最後に心の中で励まし、意識を電の方へ向ける。
背部艤装の熱による背中の火傷もそうだが、口から垂れ落ちている血のほうが心配だ。
口から血が出るというのは、口内や喉、肺などが傷ついている証拠であり、もし肺が傷ついて
いた場合、程度にもよるが艦娘でも死ぬ可能性がある。
「電!? ねぇ、大丈夫なの!?」
「心配するのは後だ! 暁を連れて離れるぞ!」
流れ弾に襲われたりこちらが狙われるのを避けるため、駆け寄ってきた雷を言葉で制す。
一瞬訳がわからなかいような顔をしたが、自分の考えがわかったのかすぐに頷き、暁を抱えて
一緒に森の中へとはいる。
斜面を振動が電の体に響かないように登っていくが、約10歩ごとに血を吐き出し、軍服の左側
を赤く濡らしていく。
そうして一分が経とうとしていた時、電が腕の中で身じろぐ感覚がした。
「電、大丈夫か?」
「し、れ……っ!?」
言葉を切って口に手を当てたかと思うと、血が溢れてぼたぼたと地面へ落ちる。
「うぐっ!? ぐっ、げぼっ!」
「我慢するな、全部吐け!」
すぐに電を地面に降ろし、耳に届くように話しかける。
血を吐くときは嘔吐とは違うため、背中をさすらずに自然と収まるのを待つ。
口から出てくるのは多少胃液も混じっているがほとんどが血で、落ちたところは鮮やかな赤へと
変わっていく。
横で暁と雷が心配そうに見つめる中10秒ほどが経ち、何とか電は落ち着いた。
「電、大丈夫?」
「いか、ずち……ちゃん……?」
雷の声に反応して顔を上げ、周りを見渡し始める。
血で塗れて分かりにくかったが、訳が分からないといった表情をしていることに気付いた。
「自分がどうなったか覚えてるか?」
「しれ、か――ぐぶっ!?」
自分に向かって話そうとして口を開いたようだが、すぐに口を押さえてまた吐血してしまう。
「うぶっ! ぶぐっ! はぁ、はぁ……」
「無理して話そうとするな。 身振り手振りで教えてくれればいい」
吐血が治まったところで出来るだけ優しく話しかけると、言われた通りに電は頷いて返事を
返した。
「どこが痛いか教えてくれるか?」
「……こ、こが……」
集中しないと聞き取れないほどの声を出しながら、電は右手で右胸を押さえるようにして
言葉を続ける。
「おく、が……いたい、ので……す……」
くそっ、やっぱり肺か……!
予想が的中してしまい心の中で悪態をつくが、他の重要なことに気づき更に問いかける。
「左胸やのどは大丈夫か?」
その問いに電はゆっくりと頷き、少しだけ安堵する。
片方でも肺が動けばすぐに死ぬことはないが、それでも危険な状態であることに変わりは
ない。
改めて命の危機を感じて焦りそうになるが、それを心に押し込めて雷へ話しかける。
「雷、さっきの倉庫の場所は分かるか?」
「えっと……なんとか」
「なら、戻って燃料と鋼材をありったけ持って鎮守府まで戻ってくれ。 私は電を運んで戻る」
「ちょ、ちょっと待って!」
頭ごなしの指示を出しながら電を抱えようとしたが、寸前で雷に呼び止められた。
「暁はどうすればいいの? 背負ったままだと、多分入渠に必要な量が持てないかも……」
「…………」
雷の言葉に、口を閉じざるを得ない。
足をくじいてから時間は経っているが、一人で歩くにはまだつらいはずだ。
ここで待ってもらう手もあるにはあるが、この寒い気候の中で待たせてしまうのも忍びなく、
流れ弾が飛んでくる可能性も低いとはいえ0ではない。
くそ、どうする、どうする……!
電の体を考えるとあまり悩んでいる余裕はなく、そのせいで自分を更に黙らせる。
「……私も、雷と一緒に運ぶわ」
頭を高速回転させて策を考えていると、暁からそんな言葉が聞こえてきた。
「足は大丈夫なのか?」
「ゆっくりだったら山ぐらい歩けるわ。 それに……私のせいで、電が死ぬなんて嫌だから」
言い終わる前にもがき始め、雷は背負っていた暁を足から降ろす。
大丈夫というだけはあったのか、暁は少しもふらつかずに自分の力だけで立つ。
それを見て少しだけ安堵し、時間短縮のため電をゆっくりと背負いながら二人に任せる
ことにする。
「必要な量が分からないから、出来るだけ多めに持ってきてくれ。 頼んだぞ」
「分かったわ……電、頑張るのよ!」
前に抱きかかえた電が頷き、暁と雷は倉庫の方へと向かい始める。
それと同時に自分は鎮守府があるであろう方へ向き、腕の中で苦しそうに縮こまっている電へ
話しかける。
「これから少し走るから、血は我慢せずに吐いてくれ。 いいか?」
「はい……なのです……」
電のかすれた声を聞き、山の斜面を登り始める。
遠くで聞こえる砲撃音を聞きながら、しっかりと土を踏んで登る。
ここに来るまでにかなり時間を使ってしまったため、鎮守府に戻るまでに電の症状が悪化
しないか心配だが、そこは本人の気力と生命力に頼るしかない。
大方収まっているが電の吐血は続いており、軍服が真紅に染まって血の生暖かさが伝わって
くる。
せめて吐血だけでも収まればとできるだけ振動を抑えながら、足の回転速度を上げる。
今の時点でかなり血を失っているため、出血性ショックなどを起こしてしまっては、食料や
医療器具の無いこの状況では治療が困難だ。
早く入渠させなければ、と思いつめながら駆けていると、土で埋まっていた視界が一気に広く
なる。
どうやら、この島で一番高い場所に着いたようだ。
少し荒くなった息を整えながら、自分が向かっている方向が正しいのか確認する。
何処を見ても山の緑と海の青しかないが、海岸線沿いに建造物を見つけた。
念のためと思って他の場所も見てもあの倉庫しかないため、あれが鎮守府だと断定する。
「……よし!」
呼吸が落ち着いたところで自分に気合を入れ、鎮守府に向かって山を下る。
2~3分ほどで降りきり5分ほどかけてもう一度登ると、鎮守府のすぐ近くに出た。
「もう少しだからな、頑張れよ……!」
腕の中でまだ苦しんでいる電を、頭を撫でながら励まして鎮守府へ向かって最後の下り坂を駆け
下りる。
主発前に自分たちがつけた砂浜の足跡をもみ消すように強く踏みしめ、横須賀鎮守府とは違う
扉を乱暴に開き、船渠に向かって全力で走る。
たてつけの悪い入口を開いて中には入り、ゆっくりと電を脱衣所の床へ横にする。
「はぁ、はぁ、はぁ……っはぁ……」
約10分間の全力疾走のせいで息が荒れてしまい、それを10秒ほどかけて深呼吸で整える。
息を整えられたところで、次は雷が戻るまでの間で電の体の様子を調べていく。
「電、少し触るぞ」
とりあえず患部を直接見なければ何もできないため、服を脱がせようと縦になっている体を
背中を床につけるように倒す。
「――っ!」
それと同時に、言葉にし難い声を上げてうつぶせになってしまう。
無理やり体を押さえようかと腕に力を入れようとするが、電の背中を見た瞬間に驚愕する。
「くそっ……
肩甲骨の間から脇腹にかけて、服はボロボロとこぼれ落ち、肉は表面が完全に炭化していた。
抱き抱えている時は腰と首に腕を回していたため、全く気が付けなかった。
入渠すれば治るどうこうの話ではなく、今すぐにでも治療しなければ後遺症が残り、最悪の場合
死も考えなければならない。
通常は背部艤装の熱で火傷した場合、脚部艤装の排水機能を使い、直接海水を当てて艤装の熱を
抑えつつ皮膚を冷やしていく。
だが、あの状況では被弾した瞬間に気絶してしまったと考えられる。
気を抜いたときに被弾したのだろうが、今は叱ることより治療が優先だ。
艤装の火傷を無視して吐血ばかりに気を取られてしまったことを、後で謝っておかなければと
考えながら上の軍服を脱衣所に脱ぎ捨て、電の体を抱えて風呂場へと入る。
服を脱がせてしまうとくっついた皮膚が剥がれてしまうため、あえて脱がさずに冷たくなった
浴槽に自分が先に入り、電を少しずつ入れていく。
足をつけた瞬間に少し震えたが、抵抗せず自分にされるがままにして段々沈んでいく。
腰まで浸かった所で一旦止め、腕に力を入れ心の準備をして再度沈めていく。
力を入れた理由と心の準備をした理由は――激痛で暴れるのを押さえるためだ。
「――あぁぁあ! あぁぁあああ!」
炭化した所に水が触れた瞬間、苦痛による叫びを上げながら暴れだした。
それと同時に電の口から血があふれ出し、落ちた大量の血が袖の無くなったシャツと浴槽内を
染めていく。
振り回されている手足が体に当たるが、燃料を流してなければどうということはない。
脇を持って支えていた両手を、無事だった場所を掴んで自分の体に引き寄せて抱きしめる。
「電……電、耐えろ……!」
頭も手で押さえながら、あばれる体を浴槽へ浸けていく。
半分ほど浸けると、電は自分の体に手を回し、痛みに耐えるように抱きついてくる。
「あぁ、っあぁぁあ……!」
「痛いよな、痛いよな……大丈夫、耐えたら治るからな。 もう少しだけ頑張れ」
涙を流しながら痛みを訴えてくる電を、頭を撫でつつ励ます。
何回か撫でると落ち着いてきたので、静かな船渠に響き渡る電の悲痛な声を聞きながら少しずつ
体を沈めていく。
何分かかけてなんとか肩まで浸からせ、浴槽内に電を座らせる。
「頑張った、よく頑張ったな……」
電の頭を撫でながら、ねぎらいの言葉をかける。
「……し、れいか……さ……」
だが、出血量が多いのか痛みが強かったのか、電の意識は朦朧としていた。
聞こえたがどうかわからないため、もう一度抱きしめながら頭を撫でる。
撫でつつ炭化した背中を見ると、時間が経っていたたためか出血はしていなかった。
吐血の方もほとんど収まっているため、後は雷たちが早く資材を持ってくるのを待つだけだ。
意識が朦朧としている電が溺れないように体を支えながら、資材が届くのを待ち続けた。
最近、最後の締め方が雑になってきているような気がする、そんな頃。
というわけで、第17話でした。一つだけ分かってほしいことは、別に電を傷つけたいとか全く
思っておりません。むしろ愛でたいです。今回の話を読んで勘違いしないでほしいと思います。
では、これ以降は本文に関係ない話をしていきます。暇や興味がない方は最後までスクロール
推奨です。
今回かなり間が空いてしまったのは、ぶっちゃけ部活動が忙しかったからです。文芸部に入っておりまして、前回の投稿から7月までに小説を一作品、7月からまさかの一週間以内で小説と詩を一作品ずつ書く、というハードスケジュールでした。
しかも、ばっちり考査期間中でしてね。勉強そっちのけで書いてやりましたよ。おかげで平均点60で……思いっきり親に怒られました。もちろん、反省はしましたが後悔はしませんでした。
そんな中ちまちまと艦これやってたんですが……私、『Верный』とケッコンカッコカリできました。課金する予定は全然ないので、実質最初にして最後の嫁です。今まで以上に活躍してもらいたいです。
今回はこれぐらいでしょうか。後書きを真面目に読んでくださった方、もしいれば私の自己満足に付き合っていただいてありがとうございます。飛ばした方も、本編を読んでいただけたなら感謝いたします。
次回、部活がなければ今月中です。それでは、次回の前書きと後書きでお会いしましょう!