ど、どうも、鼠返しです!
今回は、慣れない短い話に挑戦してみました。
高速でキーボード打ってたら、指の震えが止まりません。
単に部屋の中で白い息が吐けるほど寒いせいかもしれませんが。
本編と全く関係のない前書きでしたが、第3話は響と一緒にお風呂に入るお話です。
一緒に入る『だけ』ですので、安心してください。
長くなってしまいましたが、第3話です! どうぞ!
一緒に風呂とかないだろ普通……
そんなことを思いつつ、服を脱いではカゴの中へ押し込んでいく新米提督。
実は、艦娘と一緒に風呂に入るのは初めてではなく、これが3回目だ。
1回目が12歳の時に金剛と、2回目が15歳の時に金剛と比叡とだ。
折角久しぶりにのんびりできる休みだと思っていたら金剛がいきなりやってきて、
「提督のstudent、一緒にお風呂に入るデース!」と言われて一緒に入ってしまった。
しばらく内緒にしていたがその事が比叡にバレてしまい、
「お姉さまと私が一緒に入ったら反応が面白そう!」という理由で入ってしまったのが二回目だ。
未だに隠し通しているが、榛名や霧島にこの事がバレたら、その記憶が劣化するまで
説教タイム突入待ったなしだろう。
金剛と比叡には、こちらの心情をもっと考えてほしいものだ。
榛名と霧島には自分の姉が何をしているのかをしっかりと把握してもらい、
叱るべき相手を見極めてほしい。
そんな事を考えながら服を全て脱ぎ、少し薄いバスタオルを腰に巻いてカゴを持つ。
シャツがあまりにも潮の独特な匂いを放出しているので、ついでに洗うためだ。
駆逐艦の大破時の入渠時間は大体長くても25分、短くて20分くらいだと記憶している。
そのくらいの時間があれば、薄いシャツ一枚ぐらい乾くだろう。
それにしても、なんでこんなことに……
今更な疑問にため息をつきながら、浴場へ繋がる扉をノックする。
「……響、入るぞ?」
『わかった。 いつでもいい』
響からの返答を聞き、十分な心構えをしてから扉を開いて中へ入る。
響は、先に湯船に浸かっているようだ。
「司令官、そのカゴは?」
「汚れたシャツを洗おうと。 薄いから、上がる頃には乾くだろうって思って」
そう言いながら、そばにあるシャワーを使おうと蛇口を捻る。
そして真上から、暖かいお湯――ではなく冷水が降ってきた。
「キーショッホー!?」
今まで上げたことのない珍妙な悲鳴を響かせながら、急いで蛇口を閉める。
「司令官、シャワーは冷たい水しか出ないから気をつけて」
「響、それをもっと先に言ってくれ……」
「言う前に蛇口を捻ったのは司令官」
「そうだった、ごめん……」
響にさりげなく叱られながらも、今度はシャワーを手に取ってから蛇口を捻る。
冷水が前方に放射状に噴出されるので、シャツにそれを当てながら揉んで汚れを落とす。
一旦水を止めてからシャツを振って余分な水を飛ばし、持って入ったハンガーにかけて
入り口へ引っ掻けておいて再度シャワーの水を出す。
体の汚れを落とすため、歯を食い縛って思いっきり冷水の雨を浴びる。
「ッ~~~!!!」
もはや『冷たい』ではなく『痛い』だったが、汚れを落とすために我慢する。
一通り流しカゴから出したタオルに冷水を染み込ませて体を擦り、
もう一度全身に冷水を浴びる。
今度は慣れてきたためか、そこまで冷たくは感じなかった。
「響、話ってなんだ?」
「その前に、司令官もお湯に浸かったほうがいい」
「響が入ってるところにしかお湯はない。
というより、響のところの湯は冷たくなさそうだな。 湯気出てるし」
シャワーは水風呂やプールでもないのに冷水しか出てこないが、響が浸かっている
個人用の浴槽からはしっかりと湯気が出ている。
「なぜかわからないけど、暖かい……一緒に浸かろう、司令官」
「恋仲でも夫婦でもないのに、そんなことはできないよ」
そう口では断ってみるも、体が寒さに耐えかねて本能的に暖かい湯を欲しているのがわかる。
「ここまで入ってきたら、一緒の湯船に浸かっても一緒な気がする」
「…………」
響の発言に、頭の中に「正論だ」という言葉が浮かび上がってしまう。
普段ならきっぱりと断っているところだが、寒さに耐えられず体が勝手にフラフラと響のいる
浴槽の方へ動いてしまう。
「は、入るぞ……?」
一応断りを入れてから、まず足先を湯につける。
燃料や鋼材が溶けていてドロドロとしているが温度はちょうど良く、浸かれないというより
むしろ浸かりたいという欲求が出てくる。
その欲求に抗わず、ゆっくりとだが肩まで全身を湯に浸からせる。
個人用といっても、大人が二人ぐらい入れそうなほどスペースはあるので、
窮屈ということは全くない。
艦娘たちの使う燃料というのは、どういうわけか油臭さというのはほとんどない。
おかげで泥風呂のような感じになった湯を顔以外の全身で堪能しつつ、響の方を見ながら
先ほど聞きそびれた話の本題を聞き出す。
「……それで、話ってなんだ?」
「……私たちのことについて、知ってもらいたいんだ」
独り言をつぶやくように話し始めるので、聞いているという雰囲気を作って話の続きを促す。
「私たちは、他の人との付き合いが苦手なんだ。 単冠湾にいた時だって、ほとんどずっと
四人だけで過ごしてきた。 そのせいで、他人に渋々といった反応や返事をされると、
怖くなってさっきの雷みたいに怯えることしかできなくなるんだ……」
艦娘は、兵器であるが故に人間と関わることはあまりない。
仲間同士でも馬が合わなかったりして士気が落ちることもあり、大抵の鎮守府では
艦娘専用のカウンセラー室などを設けている。
しかし、いくら人との付き合いが苦手でも、雷の怯え方は尋常ではなかった。
何かもっと別の理由が……?
内心でそう考えている内も、響の話は続いていく。
「私は堅い言い方してるけど、誰よりも……電よりも弱虫なんだ。 暁みたいにレディー
気取ってたり、雷みたいに無理矢理にでも前向きに気を強く持ってる方が立派だよ……」
「レディー気取ってる、なんて言ったら暁が怒るんじゃないか?」
いきなりこちらが口を挟んだことに少し驚いたのか、唖然として固まる。
だがそれも一瞬で、すぐに響は自嘲的な笑みを浮かべて話を続ける。
「……そうだね。 暁、自分が一番お姉ちゃんだから、って一人前のレディー目指してるんだ。
おかげで、レディーかどうかわからないけど、今でも私たち全員を守ってくれてる。
それに比べて、私は暁の次にお姉ちゃんなのに、守れるのは自分が精一杯。
……雷にも劣ってる駄目なお姉ちゃんだよ、私は……」
「……でも、私には響が一番お姉さんに見えるけどな」
素直な意見を口から出すと、響が少し驚いたような表情をして聞き返してくる。
「私が、お姉ちゃんに見える……?」
「四人の中でも一番落ち着きがあって、自覚してないかもだけど、ちゃんと皆を引っ張ってる。
とても立派なお姉さんだよ」
「あ……私が、立派な…………」
照れてしまったのか、顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。
そして数秒後、響にそっぽを向かれたまま話しかけられる。
「…………
「ん? なんだ?」
「……ありがとう、って意味。 覚えておいてほしい……」
「わかった。 覚えておこう」
それから、無言の時間が訪れた。
こちらから話しかけることもなく、向こうから話しかけられることもなく、一つの湯船の中で
お互いの存在を感じ取っているかのような不思議な感覚とともに時間が過ぎていく。
何分経ったかわからなくなりそろそろ上がろうかと思い始めた頃、湯の中で響に
右手を握られる。
「響?」
「……こんな私たちだけど改めてよろしく頼むよ、司令官」
「……もちろん。 こちらこそよろしく」
少しだけ手を握ると、向こうも弱いがしっかりと握り返してくれる。
湯の中で上下に振ってから手を離し、下半身をなるべく見られないようにしながら立ち上がる。
「後どのくらいで治りそうか?」
「もう少ししたら」
「そうか。 私は先に上がっておくよ」
傍に置いたかごを片手に体からぽたぽたと水滴を落としながら出口まで歩き、
かけておいたシャツを取ってカゴの中に入れる。
次は工廠に行こうかな……
今後の予定を立てながら、カゴの中からタオルを取り出して体を拭き始めた。
いやはや、一日でこの量は疲れますね。
地の文を考えるのに時間を取られ、なかなか進まない悲劇……
毎日投稿してる方が羨ましいです。
そして授かりたいものです、話を短く切る力とか切る力とか切る力とか。
次回、出来上がり次第投稿します。
なるべく早く載せれるよう頑張ります!