……ですよね、申し訳ありません。
何といっても『忙しい』の一言です。単に筆が進まなかったというのもありますが、ここまで
かかるとは思っていませんでした。アナログではもう2~3ヶ月前には書き終えていたの
ですが……
長くなるのもあれなので真面目に。残酷描写は軽くですがあります。血がブシャーとかでは
ありませんので大丈夫かと思います。『ページをめくったら指が切れた』ぐらいの表現です。
約半年ぶりですね……本編どうぞ。
警報が鳴り始め、艦内が騒がしくなっていく。
一方で、よそ者の自分たちがいる部屋で騒がしくなっているのはごくわずかだ。
「静かにせぇ、寝れんじゃろが!」
「いえ、私に言われましても……」
「あわわ、敵さんなのです!?」
「大丈夫よ電、私がいるじゃない!」
「うぅ……あぅ……」
「長女が泣かないでくれ。 司令官たちに示しがつかないだろう」
落ち着きはともかく、怒りと驚きと恐怖が入り混じる、少し収拾のつきそうにない部屋になって
しまった。
警報がけたたましく鳴り動揺するのはわかるが、現れたというだけでまだ襲撃はされていない。
落ち着くように言おうと口を開くが、突然の揺れに閉じざるを得なくなった。
一発、腹に砲弾か何かを受けたようだ。
「奇襲か」
「そうね~」
天龍姉妹がそう言っている間に、今度は逆、それも下の方から揺れが伝わってきた。
揺れから推測するに、両舷から挟撃されているのだろう。
続けて何度か揺れ、船体が少し傾いた気がした。
ここまで攻撃を許すということは、かなり大きな隙を突かれたか、潜水艦の処理に手間取って
いるかのどちらか。
挟撃されていることもあり、立て直すには時間がかかりそうだ。
「なあ、俺らが行った方がいいんじゃねえの? 襲われまくってんぞ」
「これだけ大きければ格好の的ですからね。 ……少し掛け合ってみます」
再び内線の受話器を手に取り、0を押して出るのを待つ。
流石にすぐには出られないようで、5回目のコールの途中でようやく声が聞こえてきた。
『はい、どのようなご用件でしょうか』
声の主は落ち着いているようだが、その向こう側からは慌ただしい音が漏れている。
「現在の状況が芳しくないかと思いまして。 こちらから軽巡洋艦二隻を援護に向かわせようかと
思うのですが」
『……折り返し連絡いたしますので少しお待ちください』
そう口早に言われ、返事をする間もなく通話を切られた。
自分が受話器を置くのを見て、天龍が立ち上がり近寄ってきた。
「で?」
「少し待て、と。 折り返しの電話が来ますよ」
そう答えると、天龍は非常に面倒くさそうな顔をして壁に背を預けた。
戦闘狂っぽいところがあるため、戦いたいという気持ちが心の中で渦巻いているのだろう。
以前にも必要ないのにもかかわらず勝手に追撃して勝手に大破して帰ってきたことがあった。
それでも笑顔で『全部片付けてきたぜ!』とガッツポーズを決められたときは苦笑いで迎えた
ものだ。
非常時にも関わらずのんびりと昔を思い出していると、言葉通りすぐに電話が鳴り始めた。
「はい」
『艦長の米沢です。 そちらの艦娘に協力していただけるとお聞きしましたが、よろしいの
ですか?』
やけに渋い、とても貫禄のある声が聞こえてきた。
こうしたかなり年上に敬語を使われるのは今でも違和感を覚えるが、輸送艦の船長といえど提督
の方が見習いであっても立場が上であるため気にすることではない。
それでももやもやはするのだが、そんな感情を隅に置き頭を切り替えて話を始める。
「ええ。 それで、敵艦隊の構成は?」
『現在把握しているのは、右舷側に潜水艦1もしくは2、重巡1、左舷側に戦艦1、軽空母2
です。 どちらもこのままでは……』
「空母ですか……少し失礼します。 天龍さん、持ってきた装備は?」
「15.2が1基、三連装酸素魚雷1基、爆雷8個。 龍田も一緒だ」
確認のために聞いてみるが、やはり空母相手には少々分が悪い装備だ。
この二人だけであればこれらでも十分だが、船を護衛するとなると追加でいくつか必要になる。
「こちらの装備が不足しています。 機銃をいくつか貸し与えていただければ助かるのですが」
『構いません、あるものであれば好きなように使ってください。 他には何か?』
「大丈夫です。 ではすぐに向かわせます」
『船尾にハッチがあります。 よろしくお願いします』
ガチャッ、と焦るように通話が終了した。
つられるように自分も受話器を下ろしつつ、二人に指示を出す。
「右舷に潜水艦1・2重巡1、左舷に戦艦1軽空母2。 右は龍田、左は天龍があたれ。 船尾
ハッチにて対空装備を受け取り装備したのち出撃。 護衛艦隊の指揮下に入れ」
「「了解」」
早口で指示すると、即答した後すぐに部屋を出て行った。
これで何とかなるかと一息つくが、後ろから意外な声が聞こえてくる。
「私たちも行った方がいいんじゃないかい?」
振り返ってみると、響が立ち上がって今にも行こうとしているところだった。
「駄目だ。 みんな一気に行くと命令が通らない。 それに服も手もない状態で行かせることは
できない」
片手で抑えつつ言うと、響は視線を着ている浴衣に落とし、続いて肩も落とした。
艦娘の制服は特殊なもので、ただの衣類とは非常に異なる。
どれだけ高い威力の砲弾を喰らおうと、一度だけダメージをほぼ完全に防ぐ防護服のような
ものだ。
強大な攻撃を受けた後は服としての機能すら果たさなくなるが、不意打ちを防ぐために、それが
無ければ安易に戦わせるわけにはいかない。
「そうか……」と呟き座る響に続くように自分も腰を掛ける。
ごんごんと衝撃が伝わるたびにびくびくと暁の肩が揺れ、耐えきれなくなったように口が
開かれた。
「ねぇ、司令官……沈んだりしないの……?」
「昔じゃないんだ。 そう簡単に沈みはしないよ」
「ということは、昔は簡単に沈んだね?」
横から割り込むように響が問いかけてきた。
暁とは対照的に、おびえた様子は一切見えない。
黙り込んでしまうよりはいいかと思い、少しだけ話してみることにする。
「そう。 特に2010年代は既存の船をそのまま使ってたからな。 今でこそ新世代の強化
セラミックやら対深海棲艦用の衝撃吸収材なんかをふんだんに使っているが、昔の船は奴らに
とっては紙同然だよ」
「今でもそうじゃないのかい? 現代兵器で対抗できないから私たちがいる訳だろう?」
「今は直接当たらなければ損傷の少ない。 当たっても本物の砲よりごく小さなものだし、魚雷の
爆発も威力はあっても大きさはそこまでじゃない。 ……動力部に当たってしまったら別
だけどな。 一発でアウトだ」
「……脆いんだね」
「人も物もそんなもんだ。 それに、その脆さを守るために響たちがいる」
「……そうだね」
なんだか予想しない方へ話が転がり、先程とは違った暗めの空気になってしまった。
原因である自分が何とかしなければとも思うが、まだ会ってあまり時間の経っていないみんなと
どう話せばいいかわからない。
真顔で考え込んでも何も思い付かず、段々と居心地が悪くなる。
そのとき、扉が2回ノックされ、少し肩の荷が下りた。
「はい」
『資材等をお持ちしました』
席を立ち扉を開けると、まだ若い青年が立っていた。
若いといっても、どう見ても18の自分より上であることに間違いはなさそうだが。
青年が差し出してきた2つのバケツの中には、燃料と鋼材、それと水が別になって入っていた。
量も十分だと確認し2つ共を受けとると、海軍に入ったばかりなのか少し堅い敬礼をし、「失礼
します」と言って足早に青年は駆けていった。
艦娘を除くとこの艦で自分が一番若いだろうなと思いつつ、足で扉を閉め再び席に着く。
水の入ったバケツに燃料と鋼材をある程度混ぜ、響の右側に置いて話しかける。
「30分かそこらで治ると思う。 足りなくなったら自分で足してくれ」
「悪いね。 Спасибо」
ついでに足元の方に資材を入れたバケツを置いて、なんとなく響が右手を浸けるのを眺める。
「…………」
ふと、延長線上にいる島風と目が合った。
今まで向けられたことの無い視線に、不思議な感覚が全身を包む。
何をするでもない、興味の無い、関心の無い目をしている。
本当にたまたま見ている方向に自分がいるような、その自分すら風景の一部であるかのような
変な感じだ。
そして、なんの前触れもなくそっぽを向き、やっと自分も目を離せた。
見れば見るほど不思議な娘だ、と今後のことを考えると頭を抱えてしまいそうになっていると、
連装砲ちゃんが足元へやってきていた。
ウィンウィン。
…………。
困惑しながら抱き抱えてひざへ置くと、腕のようなもので体に抱きついてくる。
嬉しそうに砲身を振っているため、しばらく置いておこう。
それにしても……
無機質な体を撫でつつ、別のことへ思考を向ける。
天龍たちは大丈夫だろうか。
何度も船団護衛をさせてはいるが、他の艦娘たちと即座に密な連携がとれるだろうか。
他の鎮守府の軽巡に比べればはるかに練度は高いが、戦艦相手は流石に厳しい。
撃退まではいってほしい所だが、はたして――
「オラオラ! そっち行くんじゃねぇ!」
缶に艤装した機銃で、輸送船に近付こうとした爆撃機を二機まとめて墜とす。
『天龍さん、だっけ? 戦艦の砲撃が激しすぎて対空どころじゃないんだけど!』
インカムから護衛艦隊旗艦の川内の泣きが聞こえてきた。
後部ハッチで機銃を受け取りながら状況報告を聞いてわかったのは、護衛艦隊の練度が軒並み
低いことだった。
本来なら司令官の指示通りに具申して指揮下に置いてもらうところだが、着任したてで旗艦の
経験がなくどうすればいいのかわからないらしい。
一応形として何をすればいいのか聞いてはみたが、「何がしたいか」と馬鹿げた言葉を返して
きたので、一時的に指揮を預かることになった。
ハッチに向かっている間に戦況が一気に変わったのか、右舷側が潜水艦相手に壊滅寸前になって
いた。
龍田は対潜が得意なため心配はなく、そちらが片付くまで耐えようと思っていたのだが。
練度低すぎてそれどころじゃないぞクソが!
護衛艦隊は皆、川内と同じレベルで練度が軒並み低かった。
大方、新人の実地訓練といったところか。
「俺が全部押さえる! お前ら空母沈むまで鳥墜としとけ! 一機も当てさせるなよ!」
『えっ、そんな無ち――』
返事を待たずに缶の出力をあげ、すまし顔で砲撃を続ける戦艦へ突っ込んでいく。
軽巡駆逐だらけで練度の低い護衛艦隊に対空と回避の両立は難しいだろうし、空母の艦載機切れ
を待っていたのではこちらの誰かが沈みかねない。
一番脅威なのは戦艦だが、対抗できるのは自分しかいない。
正直一人で相手をするのは文字通りに骨が折れそうだが、龍田が来るまで持ちこたえて見せる
自信はある。
まずは戦艦の気を引くところからだ。
機銃で顔を狙い、視界を奪いつつ突進する。
真正面から突っ込んでいく自分に対し副砲で撃ってくるが、狙いは甘い。
一切蛇行することなく10mまで近づき、主機の出力を一気に全開にし――跳ぶ。
同時に機銃を止め、空中で艤装である刀を振りかぶる。
海水の動きか気配かで空中にいることがばれてしまい身構えられてしまった。
だが、撃つには少し遅い。
「ッ――ラァッ!」
刀をちからにものを言わせて振り回し、ガギィンと鈍い音をたて、右手に持っているタワー
シールドに砲が付いたような主砲に当たる。
大してダメージがあるわけでもなく、落下の勢いで膝まで海に沈んだ自分にもう左手の砲が向け
られた。
しかしそれを認知する前に海中から主機を吹かせながら足払いをかけ、重い主砲を撃たせること
なく海面へ転がす。
仕上げに倒れた体を踏み台にして、軽空母がいる方向へクラウチングスタート。
これで、戦艦はこちらに注意を向けざるを得ないだろう。
缶の両脇についている主砲を、進路上の軽空母の艦載機を発着艦させている口へ向けて撃つ。
すでに体の両側につけている副砲を向けていたが、見事に初撃が命中して体制が崩れ、撃って
くる雰囲気が消えた。
当たるとは思っていなかったが、この好機を逃さず全速力で突っ込み、頭と胴体を二分する。
まずは一隻。
『天龍さん後ろ!』
「よそ見すんな!」
まだなよなよしい声をしている川内を叱咤すると同時に回避行動をとる。
一度海中に沈めたとはいえ殺したわけではなく、後ろから浮上した戦艦が狙ってくるのは予想
済みだ。
そして予想通り、先までいた場所へ狂いなく大型の砲弾が降り、水しぶきを浴びせられた。
横目で見るともう一隻の軽空母は自分へ砲を向けており、近くを飛んでいる艦載機は全て自分を
狙っていた。
――上等!
こんなものハンデでもなんでもない。
むしろこれが狙いであり、1人でこんなに相手できて嬉しい限りだ。
戦艦の砲を常に気にかけながら、周りに群がってきた敵機を機銃で墜としていく。
フィギュアスケートのステップのように不規則な動きで翻弄しながら海の藻屑にしていくが、
戦艦の第二射が近くに着弾し、少々不安定だった足を取られた。
「うおっ……!」
回避行動はとりつつ体勢を建て直すが、その頃には爆撃機は直上、雷撃はかなりの密度で5射線
は向かってきていた。
「あぁくそ!」
急降下爆撃をすれすれで後ろにかわしつつ、設定震度を水面ギリギリにして爆雷を3個ほど魚雷
に向けて投げる。
魚雷のすぐ手前に落ちた爆雷はすぐに起爆し、真ん中の3本を誘爆させた。
その隙間をすぐに抜けたいのは山々ではあるが、戦艦を忘れるわけにはいかない。
行くと見せかけてフェイントをかけてやると、戦艦は正直に偏差射撃をしてくれる。
それをしっかり確認したあと、水柱に突っ込み海水をばっしゃり浴びながら、今度こそ魚雷の網
を抜ける。
戦闘機がちまちま12.7mmだか20mmだかの機関砲の雨を降らせてくるが、目に入らない
限りどうということはない。
数で攻める気になったのか、戦艦の砲撃間隔が短くなり、今まで輸送船を襲っていた残りの
艦載機共もこちらに向かい始めた。
こうなると少し厳しい。
せめてあと1人はこちらに欲しいところだ。
『天龍ちゃん、そっちはどう?』
緊張の糸が切れそうになる緩い声が聞こえてきた。
強張った顎を無理矢理動かし、唯一無二の相棒に話しかける。
「ふっ……砲弾と、爆弾と、魚雷に囲まれてるが、どうした?」
『だいぶ息が上がってるじゃない。 めずらしいこともあるのね~』
「戦艦と、空母相手に1人で、してみろよ!」
『じゃあ今から天龍ちゃんと2人でしようかしら。 待っててね~』
勝手にかけて勝手に切った龍田の言葉に、少しだけ顔がほぐれた。
1人でするのも乙なものだが、やっぱり龍田がいないとしっくりこない。
2人だけで暴れるなんて、何年ぶりだろうか。
「おい川内!」
『な、なんですか……?』
「もうちょいしたら、怖ぇ姉ちゃんが、こっち来るからよ! そしたら、お前ら何もせず
見とけ!」
『でも、その人も軽巡じゃ……』
「いいから、黙って――」
言葉の途中で、視界の端にいた戦艦の頭から黒煙が上がった。
龍田が来た。
「俺たちの技盗んどけ! いくぞ龍田!」
『は~い』
戦艦を気にする必要がなくなり、一切の躊躇なく軽空母に突進していく。
驚いたように艦載機が編隊を崩しながらも爆弾や魚雷を手当たり次第に落としてくるが、そんな
状態で放ったものが当たるわけがない。
体当たりをしてくる2~3機を主砲と機銃で叩き落とし、渾身の居合い切りを喰らわせる。
「おっ――しゃあ!」
格納庫ごと頭を横に真っ二つにし、勢いのまま戦艦の背後へ回り込むように航路を取る。
撃破時に爆風を受けたが、装甲化のお陰で目が乾く以外に支障はない。
回り込みつつ、この戦闘で初めての魚雷を放つ。
三射線が広がることなく太い一射線となり、龍田が足止めしている戦艦へ向かう。
背後から迫る魚雷に気づく様子もなく、龍田に翻弄されるばかりだ。
近づいて、近づいて。
「龍田!」
叫ぶと同時に戦艦へ真っ直ぐ両舷一杯で突っ込む。
龍田は自分でいう刀にあたる長刀を強く戦艦の足へ叩きつけて動きを止めて離れた。
何かに気がついたらしい戦艦は、周りを見て自分の放った魚雷に気づくが、回避が間に合う距離
ではない。
ドゴン、と空気が揺れ、3本分の巨大な水柱が現れた。
幾分かダメージは入っただろうが、戦艦を沈めるにはまだ足りない。
刀を右腰に当て、重心を低くして構える。
水柱が消えると、戦艦は左半身がほとんど吹き飛んでいた。
『やあ!』
離れていた龍田が再び距離を詰めてわざとらしく声を出し、右腕と残りの主砲を盾に使わせた。
どうやら、とどめはゆずってくれるらしい。
激しく水しぶきを立てながら近づく自分に、鋭い眼光を向けてくる。
恨みや憎しみがこもったその目を何回見てきただろうか。
その目をそらさず見つめる。
自分もこいつも、元は船の魂だ。
成った形が違えば仲間だったかもしれない。
だから、最大の敬意を込めて殺す。
じゃあな――
一撃で、痛みを与えないよう首をはねた。
海に落ちる目は、いつもより輝き、遠くを見ていた。
「おつかれさまでした」
部屋に戻ってきた天龍と龍田は、どこも怪我をしていないようだった。
「あー、かったりぃったらありゃしねぇ」
「戦艦相手によく無事でしたね」
「空母のせいで危なかったよ。 制空権取れてねぇってきついわ」
「でもかっこよかったわよ~。 私、ちゃ~んと見てたから」
早速自分のとなりに腰掛け、頭を肩に乗せながら呟いた。
髪が海水でべとべとに濡れているが、今ぐらいはしたいようにさせてあげよう。
「見てたってお前、潜水艦はどうしたんだよ」
「そんなの1分で終わったわよ。 弱くて拍子抜けしちゃったわ」
「なら早く来いよ。 あれでもギリギリだったんだぞ」
「天龍ちゃんが詰みかけるなんて珍しかったから……つい」
「この……司令官、なんか言ってやってくれよ」
天龍があきれたように自分へ話を振ってくる。
いつも同じようなパターンで天龍がしてやられるため、姉としての自覚を持てと言いたいところ
だが、ぐっと堪えるしかない。
工廠長と真正面から言い合うところをみてもわかる通り、龍田とは口で勝てたことは滅多に
ない。
少なくとも、日常会話では全敗している。
「天龍さんが詰む……見てみたかったかもしれませんね」
「おい!」
だからいつも龍田に乗っかり天龍に恨みを買われてしまうのだ。
いつもの二人との流れに、暁たちがぽかんと見つめている。
「……龍田さんとはあまり口喧嘩しない方がいい」
「そうね~」
自分の忠告の後、見ていた四つの頭が同時に二回頷く。
どこか真剣さが混じっていたように見えたのは、たぶん水も滴る怖い女が隣にいたからだろう。
本人には自白剤を飲まされても絶対に言えないが。
肩にかかる重みがずれ、膝の上へ乾きかけの髪が乗ってきた。
急いで膝の上から退けようとする連装砲ちゃんを抱き抱え、自分を見ることなく呟く。
「ちょっと貸してくださいね。 眠くなっちゃった……」
そう言うとこちらが何も言う暇もなくすぐに目を伏せてしまった。
こうしてまじまじと見る機会が無かったからか、よく見ると龍田の目元には薄く隈ができて
いる。
「まったく、自分勝手だよなぁ……俺も寝るわ」
「はい」
つられるように天龍もそういい、そのまま壁に頭をもたれさせて寝始める。
もしかしてと思って見てみると、天龍も龍田と同程度の不自然な影ができていた。
嬉しさを感じる反面、何をやっているんだかとも思ってしまう。
守るべきものは自分ではなく国民なのに、と善意を踏みにじるように感じるのは自分がひねくれ
ているからか。
「……何かあったら起こしてくれ」
隣の響にそういい、二人の後を追うように自分も目を閉じる。
今は何も考えずに寝ていたい、そんな気分だったからだ。
少し張り切って戦闘を書いてみましたがいかがでしたでしょうか。こういうアクティブな場面は
どうしても漫画の方が味が出てしまうよね……
2~3ヶ月前に書いた代物を推敲するのは辛いです。どんな状況なのか、頭からだるま落としの
ように抜けていっているような状態なので。しかし、ほのぼの日常パート書きたい、でも戦闘
も……うごご……その前に更新ぺースも上げなきゃ、あばばばばば(ry
ゲームの話も少々。忙しすぎて出撃できてません。辛うじてルーティン化している演習と遠征は
こなしていますが、資材は四つとも自然回復量を超えています。もったいないと思いつつも時間が
なく消費すらできないこの状況、誰か救ってくれ……
これからは去年のような1ヶ月投稿とかいう厳しい(どう見てもゆるゆる)ペースではなく
もっと遅れます。たぶん2ヶ月は空きますね……もっと余裕のある生活がしたいものです。
ではそろそろ。これから徐々に暑くなってきます。熱中症で倒れないように気を付けながら、
健康的に、そして余裕をもって過ごしていきましょう。次回が投稿されるように願っていただけ
たらと思います。