駆逐艦しかいない鎮守府   作:鼠返し

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 ひ、比叡さん三人目が出た……っと、どうも、最近やっと2-4をクリアした鼠返しです。

 いろいろな海域を彷徨っているうちに、比叡さん三人目がやってきました。

 使いどころにすごく悩む……あ、もう金剛四姉妹全員揃ってます。

 なんか、期間限定海域挑みまくってたら一日で揃ったのです……ほんとびっくりです。

 今は戦艦の比叡さんより、正規空母の加賀さんが欲しいです。

 後もう少しで赤城さんと加賀さんの一航戦コンビができるというのに……

 あぁ、こんなことしてるから前書きが長く……そ、それでは、第5話です! どうぞ!


第5話 妖精さんはお爺さん

 しばらく、巨大な工廠の内部を眺めていた。

 

 近くに積んである大量の木箱、それからはみだすほど押し込まれているペンギン人形、

動くかどうかも怪しい錆び付いた艦積機の数々。

 

 天井にへばりつくように設置されているクレーンに、そこから垂れ下がっている

どう見ても人間が乗るような巨大な飛行機の翼のようなもの。

 

「……どういう、鎮守府だったんだ……?」

 

 自然と口から感想が出てきたが、それを無視するかのように響が歩き始める。

 

「とりあえず、妖精さんが居るかどうか。 それが重要」

 

 そういえばそうだ、と頭の中を切り替える。

 

 艤装と呼ばれる艦娘にしか扱えない武器は、現在では妖精さんとよばれる二等身ほどの

小さな生物、または特別な工作艦や十分な知識を得ている艦娘にしか修理・改修などはできない。

 

 だが、今まで鎮守府内を歩いてきて分かったが、人間一人どころか妖精さん一人すらいない。

 

 妖精さんがいてくれることを願いながら、自然と全員がバラバラになって散策を始める。

 

 雷と電が入口付近、暁と響と自分が奥の方だ。

 

 奥の方へ進むにつれて、ペンギン人形やさび付いている艦載機から、段々と新しい

普通に動くような艦載機へと変わっていく。

 

「しっかし、艦載機が多いな……烈風に瑞雲、おまけに流星や震電改まであるな……」

 

 そう、先ほどまで目に入ってくるものは艦載機の類のものばかりで、12㎝単装砲やら

12.7㎝連装砲などの主砲が見当たらない。

 

 本当は形だけの鎮守府で運営はしてなかったのでは、と思わされる有様だ。

 

 そんなことを考えていると、どこからか異質な声が聞こえてきた。

 

「ぐが~……ぐが~……」

 

 強引ないびきのように聞こえ、不思議に思って聞こえてきたほうへ途中で合流した

暁と響と共に向かう。

 

 しばらく進むと、何やら小さなものが転がっているのを発見する。

 

「ぐが~……ぐるむむむむ……」

 

 何ともおっさんがしそうないびきをかきながら寝ている、片手にレンチを持って寝ている

妖精さんだった。

 

「……一応、妖精さんはいたな」

 

「でも、この妖精さんは頼りなさそう」

 

「確かにね。 レディーの私とは正反対だわ」

 

 響と暁のコメントに苦笑いしながらも、とりあえず寝ている妖精さんを起こしてみる。

 

「妖精さん、起きてください」

 

 右手で体を揺らしながら、少し大きめの声で呼びかけた。

 

「……んむ? 誰かいの、騒々しい……」

 

 その結果として、頑固なお爺さんを思わせるような声を出しながら体を起こす。

 

 その姿は、今まで見てきた妖精さんと全く変わらない、至って普通の姿だった。

 

 だが、レンチを使って頭をポリポリ搔いていたりだるそうに頭を傾げている姿は

自分の知っている妖精さんとは違う印象を持たせていた。

 

「お前さん、誰かいの? 10年ぶりの客さん、というわけでもあるまい」

 

「あ、はい。 私は……ちょっと遭難してこの島に流れ着いたものでして。

 そこで今いる両隣の娘とあともう二人の臨時司令官となりまして、

 この工廠の中を見て回っていたらあなたを見つけたのです」

 

 少々改まった言葉遣いをしながら説明する。

 

 妖精さんとは、人間では不可能な『物理的な艦娘の強化』ができる唯一の存在だ。

 

 そのために、人間の中でも妖精さんに対して敬意をもって接する人も多く、

自分もその人たちの中に入っている。

 

「そりゃあまた詳しい説明をどうも。 ワシは、この鎮守府の元工廠長じゃ。

 10年前にここの提督が異動しちまって、妖精はワシ一人だけが残っとる。

 ま、一人でも有意義な時間を過ごしとったがな。 がっはっは!」

 

 膝をレンチで叩きながら豪快に笑う、今まで見たことのない妖精さんがそこにいた。

 

 中年のおっさん、という言葉がしっくりくる、そんな感じだった。

 

「……本当に妖精さん?」

 

「私、妖精さんがこんなのだったなんて知らなかったわ……」

 

 響と暁がごもっともな反応をしていると、後ろからコツコツと音を出しながら

小走りで他の二人が駆け寄ってきた。

 

「さっきの笑い声は何なの?」

 

「あぁ、雷と電か。 こちら、この鎮守府の元工廠長さんだ」

 

「おぉ。 こんな老いぼれじゃが、よろしく頼むわい」

 

 仕草は片腕を突き上げて子供らしく、しかし声はお爺さんという違和感全開な妖精さんを見て

二人共が困ったような表情を浮かべる。

 

「妖精さん、なのです……?」

 

「それにしても、お爺さんみたいな妖精さんね……」

 

 二人の反応に、暁と響と自分は苦笑し、妖精さんは再び大きな声で笑い始めた。

 

「お爺さんか! かわいらしい表現もあったもんじゃのう!

 昔は『頑固じじい』とか言われとったわい! がっはっは!」

 

 非常にマイペースに話し始めるお爺さん妖精は、再び笑いながら膝を叩き始めた。

 

 レンチで膝をガツンガツンと殴っているが、痛くないのだろうかと心配になる。

 

「あの、ちょっとご相談が……」

 

 少し控えめに話しかけると、笑い声を抑えて返事を返してくる。

 

「おう、そうか。 なんじゃ若造、言ってみい。

 できる範囲なら何でも手伝っちゃるぞ!」

 

「私たち全員、単冠湾泊地鎮守府に向かいたいのですが、資材や装備等も不足していまして。

 そこで、妖精であるあなたの力をお借りしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「なんじゃ、そんなことか。 いいぞいいぞ、ワシにできることなら何でもしちゃる。

 装備の開発から艦載機の搭乗、おまけに入渠の手伝いもできるぞ」

 

「ほ、ほぼ全部ですか!?」

 

 妖精さんからでてきた言葉は、自分を非常に驚かせた。

 

 いくら妖精さんが人間に不可能なことができるとはいえ、それは大体が一つに限られている。

 

 例えば、建造なら建造しかできない妖精さん、開発なら開発、艦載機の搭乗もそれに準じ、

二つ以上こなす妖精さんは非常に稀とされる。

 

 それを全部一人だけでこなすとは、性格と同じでいろんなところがかなりずば抜けている。

 

「……この妖精さん、只者じゃない」

 

「そうだな。 まぁとりあえずは元工廠長がいるから大丈夫だな」

 

「そうじゃろ! 伊達に10年遊んでおらんわ!

 おぉそうじゃ、ワシの事は気楽に工廠長とでも呼んでくれ!」

 

 片手で器用にレンチをくるくると回しながら得意げに言い放つ。

 

 その言動は、普段ならあり得ないはずなのに安心感をもたらしてくれる。

 

「ところで皆、燃料とかの補給ってまだだよな?」

 

「もちろん。 この島に着いてからはまだ何も」

 

 響の答えを聞き、そのままの流れで工廠長にも問いかける。

 

「すみません、燃料とかの資材保管庫みたいなのってありますか?」

 

「ん? あぁ、資材か、資材のぉ……」

 

 今まで威勢が良かった工廠長だが、何故か声の調子を落として口ごもってしまう。

 

「あの、どうかしましたか?」

 

「あぁ、いや、別に……ただ、の?」

 

 そして一言おいて、とても軽そうに、だが物凄い重みをもった言葉を聞く。

 

「資材は……ワシが全部使い果たしてしもうたんじゃ……いやはや、面目ない……」

 

「ぜ、全部って、燃料とか弾薬とか鋼材とかボーキサイトとかですか!?」

 

「う、うむ……全部、じゃ……確か一つ残らず艦載機の開発に、のぉ……?」

 

  そうか……それで、か……

 

 入口に置いてあったペンギン人形は今までの開発の失敗作、さび付いていたのは

この鎮守府で10年前に使われていた艦載機。

 

 新しいのは、全部目の前にいる工廠長が資材を『無駄遣いして』作った、いわば趣味の産物。

 

 確かに、10年間一人で生きてきたら趣味に突っ走ってしまうのも分からなくはない。

 

 だが――

 

「この状況で全部かよぉ…………どうすりゃいいんだよもう……」

 

「いやぁ、すまんのぉ……」

 

 広い工廠の中に、悲嘆と申し訳なさが混じった声が、静かに響き渡った。

 




 最初、妖精さんをどうするかすんごい悩みました。

 ですが、最終的にお爺さんキャラがしっくりきてしまって、そのまま採用しました。

 お爺さんキャラ、一度書いてみたかったんです。

 タグに『しゃべる妖精さん』って入れときました。

 あ、そういえば、単冠湾って『ひとかっぷわん』と読むそうです。

 今まで『たんかんわん』とかって読んでた自分が恥ずかしいです……

 難しいですね、北方の漢字の読みというのは。

 長くなりましたが、次回楽しんでいただけたらと思います!
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