駆逐艦しかいない鎮守府   作:鼠返し

6 / 37
 読者のみなさん、お久しぶりです。 鼠返しです。

 平日に頑張って書いてみましたが、予想以上に遅れてしまいました。

 本当は2日前に投稿する予定だったのですが、二日連続で強烈な腹痛に襲われ、
「もうだめだ……(お腹の調子が)おしまいだぁ……」とか言ってました。

 お腹が痛くなると、キーボードを叩く元気もvitaをつつく元気もなくなる。

 ……なぜでしょうね。 当の本人の私にもよくわかりません……

 いろいろ(私に)ありましたが第6話です、どうぞ! 


第6話 犠牲と共に補給完了

「……はぁ~、そういう事だったんですね……」

 

「まぁ、10年も一人でおったもんじゃから……」

 

 最大級に落ち込んだ後、情報交換として工廠長から話を聞き終えた。

 

 元々艦娘の建造と装備の開発をこなしていた工廠長は、他の妖精さんが異動していった提督に

付いていく中で、愛着あるこの工廠から離れられずに一人だけ残った。

 

 その後、残された膨大な量の建築資材などを使い、様々な艦載機を作っては憧れていた

艦載機の搭乗を何度も何度も繰り返していた。

 

 最近になって建築資材も燃料なども少なくなったので最後に一つ大きなものを作ろうと、

残りを全部つぎ込んで誰も作ったことの無い人間でも乗れる巨大な艦載機を開発し始めた。

 

 開発を始めて10日後が今に至る、というのが工廠長の語った全てだった。

 

 天井のクレーンにぶら下がっている翼は、どうやら開発途中の機体の右翼らしい。

 

「え~……とりあえず、使わないやつだけでいいので何かを解体して資材に戻せませんか?

 いずれにしろ、暁たちの補給が出来ないと困りますし……」

 

 このままでは一人の補給もできないので、何かを解体して資材にしようとお願いしたのだが、

工廠長はあからさまではないものの困ったような顔をして答える。

 

「あ、いや……全部、ワシが今まで乗ってきたものばかり……宝物なんじゃ……」

 

「すみません……でも、補給ができないとこちらとしても……」

 

 二人して黙り込んでしまう。

 

 補給ができなければ、深海棲艦の撃退どころか海上の移動すらままならない。

 

 現在の資材は一つもないため、必然的に何か装備を解体して手に入れる必要がある。

 

 工廠長の手放したくないという気持ちはよくわかるが、こればかりは了承してもらう他ない。

 

「何とか、お願いできませんか……?」

 

「……ならば、一つ約束してくれんかの?」

 

 工廠長の言葉に、下げていた頭を上げて続きを聞く。

 

「ワシを、お前さんの下で働かせてくれんか? 見ての通り、10年間人っ子一人おらんかった

 この鎮守府で一人、ずっと暮らしてきた。 暇だったんじゃ、とてものぉ……」

 

 それからは言葉を発することなく、ただ工廠長は沈黙を続ける。

 

 周りにいるであろう四人からも、こちらに判断を委ねるようでずっと黙っている。

 

 少し緊迫した時間が過ぎたが、とっくに答えは決まっていた。

 

「……いいですよ、工廠長さん。 むしろ、こちらから頼みたいと思っていたところです」

 

 工廠長は、驚いたような表情を浮かべて聞き返してくる。

 

「こ、こんな老いぼれでもいいのか……?」

 

「もちろんです。 願ったり叶ったりですよ」

 

 当たり前のように返答すると、工廠長は大きなため息を吐いて体の力を抜いた。

 

「そうかそうか。 てっきり断られるとばかり……良かったわい……」

 

「……それで、資材の事なんですが……」

 

 話を本題に戻すと、工廠長は真面目な顔をして考え始める。

 

「う~む……おぉそうじゃ! まだ余っとる戦艦用の主砲があったはずじゃ!」

 

「では、それをお願いできますか?」

 

「おぉ、任せてくれ! 行くぞ、お嬢さんら……?」

 

 元気よく返事をして歩き始めようとした工廠長だが、途端に声の調子を落とし

首を傾げて考え始める。

 

「いち、に、さん……四人目はどこに行ったんじゃ?」

 

「四人目、ですか……?」

 

 不思議に思い、後ろを振り返って人数を確認する。

 

 暁と響と雷はいるが、電がどこにもいない。

 

「雷、電はどこにいるかわかるか?」

 

「電はここに……ってあれ? さっきまで一緒にいたのに……」

 

 雷は周囲を見渡して探すが、電がいないとわかると声を出し始める。

 

「電~! どこにいるの~!」

 

「電はここにいるのです!」

 

 声のした方を向くと、満面の笑みを浮かべて電が立っていた。

 

 何故か、ボーキサイトを両手に限界まで抱えて。

 

「電、その手に抱えてるものはどうした?」

 

「司令官さん! ちょっと我慢できなくて、先に補給してきたのです!」

 

「補給? どこにそんな資材が……?」

 

 独り言のように呟くと、律儀に電は答えてきた。

 

「入り口に置いてあった艦載機を解体してきたのです!

 ボーキサイトが出てきたり燃料や弾薬も補給できて、一石二鳥なのです!」

 

 意気揚々と話す電だったが、場の空気が少し違うことに気づいたようで

戸惑いながらも言葉を続ける。

 

「あ、あの~、どうしたのです?」

 

 電の問いに自分が答えようとしたが、それより早く工廠長が口を開く。

 

「お嬢さん……あんた、何を解体したんじゃ……?」

 

「いや、その……こ、これと同じものを、なのです」

 

 そういって電が床へ大量のボーキサイトを置き、いつの間にか持ってきていた荷台の上から

何かを持って全員に見せた。

 

「……零式水上偵察機?」

 

 それは入り口付近に置いてあった、さび付いていた艦載機だった。

 

 無意識に機体の名前を判別して口に出したが、直後に金属質な何かが床に落ちる音が聞こえた。

 

「ワ、ワシの……ワシの宝物が……」

 

 振り返ると、手に持っていたレンチを床に落として両手をつき、ぽつぽつと涙を落としている

工廠長の姿があった。

 

 小走りで駆け寄り、しゃがんで肩をつかんで話しかける。

 

「しっかりしてください。 まだ全部解体された訳じゃありませんよ」

 

「でも、ワシの……ワシの零式水上偵察機が……」

 

 こちらの慰めは意味がなかったらしく、さらに床に落とす涙の量が増えただけだった。

 

「資材が支給されたら、開発用にちゃんとあげますから」

 

 その言葉を言い終わった途端、工廠長はガバッ!と顔を上げて自分を見つめてくる。

 

「お前さん、それは本当か!?」

 

「え?……あ、はい」

 

「ワシに資材、くれるんじゃな!?」

 

「え、えぇ。 支給されたら、ですけど……」

 

 少しの驚愕と共に質問に答えると、工厰長は床へ両膝立ちで天井に向かって

ガッツポーズを決める。

 

「これで、これでまた開発ができるぞぉ!」

 

 何となく仕草が子供らしいのに声は相変わらずお爺さん全開な工廠長に苦笑し、

とりあえず皆に声をかけてみる。

 

「他にも解体するものがあるから、そっちの方で補給を――」

 

「できたのです! しっかり補給してほしいのです!」

 

 話しかけている途中で、電が言葉を上書きしてきた。

 

「補給……?」

 

 疑問に感じ、全員の様子を見る。

 

 電だけでなく、他の三人とも先ほどより元気そうな顔をして色の黒い何かを手に持っており、

それを口へと運んでガリゴリと硬質な音を立てながら咀嚼を始めた。

 

「なぁ……何食べてるんだ……?」

 

 唖然としたまま半ば無意識に問いかけると、暁は咀嚼のスピードを上げて何かを噛み砕き、

勢いよく嚥下してから口を開く。

 

「何って、弾薬に決まってるじゃない。 ちゃんとした補給はレディーの嗜みよ」

 

「その弾薬はどうやって……?」

 

 更なる問いかけに、可愛らしく喉を鳴らして何かを飲み込んだ響が答える。

 

「電が解体して渡してくれた。 おかげで補給ができた」

 

「ちなみに聞くが電、何を解体した?」

 

「入り口付近にあった、さび付いていた艦載機なのです」

 

 それを聞き終えるとまた同時に、床へドサッ、と何かが倒れこむ音がした。

 

「ワシの……宝、が…………」

 

 再度振り返ると、床へうつぶせに倒れこんで意気消沈とした工廠長の姿が見えた。

 

「……工廠長さん……気持ちはわかりますが、元気出してくださいよ……

 資材、いつかあげますから……」

 

「ワシの、ぐすっ……ワシのだがらが……」

 

 男として、工廠長にとっての宝を失うという辛い気持ちは痛いほどわかった。

 

 その気持ちに共感しながら、肩に手を置いて、工廠長が泣き止むまで静かに励まし続けた。




 工廠長、実は結構な豆腐メンタルの持ち主、って設定です。

 補給が完了した、第6話でした。

 いっつも疑問に思うんですが、艦娘たちの補給ってどうしてるんでしょうか?

 私のイメージでは、燃料飲んだり弾薬やボーキサイト噛み砕いたり……

 リアルに想像すると、とってもシュールです。

 どんな味がするんでしょうか……苦いのか、それとも意外に渋いのか……

 私が艦娘だったら、燃料には砂糖混ぜて(私は甘党です)、弾薬にはポン酢をかけて
(私はドレッシングにはポン酢派)食べたいですね。 マヨネーズもありかと。

 なんて事を書いていてあれなのですが、あくまで味のお話です。

 本当に燃料に砂糖混ぜたら、車だったらいろいろ大変なことが起きて一切エンジンが
動かなくなる、とどこかで見た覚えがあります。

 弾薬は……どうなるんでしょう? 私にはさっぱりです。

 今まででもっとも長い後書きでしたが、これで今回は終わりです。

 次回……明日か明後日です。 楽しみに待っていただけたら幸いです!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。