駆逐艦しかいない鎮守府   作:鼠返し

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 どうもみなさん、鼠返しです。

 艦これやってたら、金剛さんと榛名さん二人目がやってきました。

 ……戦艦じゃない、正規空母が欲しいんだ。

 そんなことを呟きながらプレイしてます。

 大型建造に手をだそうかな……

 いつものことながらグダグダな前書きでしたが、本編へどうぞ!


第8話 就寝場所は司令室

  ……疲れた……

 

 かなり遠い出入り口へ歩いている最中、無意識に口から放たれた。

 

 空腹のせいで足には少しずつ力が入らなくなっているのがわかり、早く休ませろと

体全体から訴えられている。

 

 工廠の出口はもうすでに見えており、あと少しで休めることに心の中で安堵する。

 

「あの……司令官、さん……」

 

「ん……?」

 

 呼びかけられたので後ろを振り返ると、電がまだ目元を赤くしたままの顔で

話しかけてきていた。

 

 足を止め、怖がらせないよう態度に気を付けながら話しかける。

 

「どうした?」

 

「……さっきは、ありがとうなのです……」

 

「私は何もしてないよ。 お礼なら響に言ったらどうだ?」

 

「響、ちゃんに……?」

 

 電が横にいる響を見つめると、かぶっている帽子を深くかぶりながら小さく言い返してくる。

 

「……私だって何もしてない。 あの場を収めたのは司令官」

 

「でも、電が泣き止むまで頭を撫でてたじゃないか」

 

「……それは、そうだけど……」

 

 口ごもる響に、暁と雷が自分に続くように話しかける。

 

「電を慰めたのは、他でもない響じゃない」

 

「そうそう。 間違いなく、一番電の為にしてあげられたのは響よ」

 

「…………」

 

 二人の言葉を聞いて響は黙ってしまうが、それを意に介さない様子で電が近づく。

 

「……ありがとうなのです、響ちゃん。 優しいお姉ちゃん、なのです!」

 

 横からでもしっかりと分かる笑顔を浮かべ、響が横にたらしていた左手を握りながら言った。

 

 お姉ちゃん、と言われた瞬間に少しだけ顔が赤くなったようだが、すぐにいつもの表情に戻り

電の手を握り返しながら口を開く。

 

「……не за что(ネザシュト)(どういたしまして)」

 

「こちらこそ、なのです!」

 

 相変わらず響の言葉が分からないが、会話の流れからして話が一段落ついたことがわかり、

会話が長引かないうちに話しかける。

 

「ここに立ってても仕方ないし、そろそろ行こうか」

 

 全員が一様にして頷いたので、体の向きを変えてもう見えている出口まで歩き始める。

 

 そして数分もしないうちに工廠を抜け、工廠長に言われた宿舎へ向かう階段の前まで来た。

 

「それじゃ、今日はここで解散だな。 何か寝る前にしておきたいことはあるか?」

 

「……特にないわ」

 

「暁と同じ」

 

 暁と響の言葉に他の二人も頷く。

 

「そうか。 私は工廠長が言ってた司令室で寝るから、用があったら来てくれ」

 

「わかったわ」

 

 暁がそういうと全員階段を上っていくので、自分は司令室へ向かうことにした。

 

 先ほどまでの記憶をたどって船渠前の廊下までたどり着く。

 

  まっすぐだったよな……

 

 言われたことを思い出しながら歩いて一分ぐらいすると、工廠に行くときに見た『←工廠』の

文字より薄く『司令室』と書かれている部屋が見えてきた。

 

 ドアノブへ手を掛け、ガチャリと音を立てながら部屋に入り後ろ手に閉める。

 

  なんだ、さっきの部屋か……

 

 入った部屋は、自分が目覚めた部屋だった。

 

 部屋の奥の方にある窓から、少し眩しいくらいに月からの光が入り込んでいる。

 

 窓の前に立ち、外の風景を眺める。

 

 正面と右側には海が見え左側にはこの島の緑が見えるのだが、日が沈んでいることもあって

ほとんど海しか見えない。

 

『海の向こうには、陸に住む全ての敵が潜んでいる』

 

 物心ついて初めて覚えたのが、教官のその一言だった。

 

 人類はもちろん動植物を含めたすべての敵、それが深海棲艦。

 

 そう教わってきたが、果たして本当にそうかと思い続けている。

 

 そう思い始めたのは、敵の情報を手に入れるために、人語を話せると言われていた空母ヲ級を

鹵獲して尋問した時の事。

 

 こういうこともあると教官より立場が上の上司に言われ、尋問の一部始終を見学した。

 

 そしてそれは、思わず目を押さえたくなる様な、『残虐』の一言では表せない光景だった。

 

 赤くなるまで熱くなった鉄の棒を押し当てられ、電流を流され、何人もの大人に刃物を

突き立てたりされ、ヲ級は悲鳴を上げていた。

 

 結局ヲ級から得られた情報は何もなく、書類には最後に残された一言だけが綴られた。

 

「キエタクナイ……シニタクナイ……!」

 

 その言葉は当時12歳だった自分の耳にもしっかりと届き、忘れられない記憶となっている。

 

 あの言葉に交じっていた悲しみは、自分たち人間となんら変わるものはなかった。

 

 尋問が終わってヲ級の死骸を焼却処分した後、教官に「本当に深海棲艦は自分たちの敵なのか」

と悲しみで流した涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら問いただした。

 

 返ってきた答えは「わからない」だった。

 

 だが、その後にこうも付け加えた。

 

 奴らは見境無く襲ってくる我々の敵だ、たとえ人間のような感情があろうと人類の平和を脅かす

究極的な敵だと、何度も何度も繰り返して。

 

 横顔に、一筋の涙を流しながら。

 

「教官……奴らは、敵なんでしょうか……」

 

 無意識に呟いてみるが、当然返ってくる答えはない。

 

  ……敵、だよな。

 

 教官も言った通り、深海棲艦は自分たちを襲ってくる。

 

 それを迎え撃ち陸に住む全てを守る、それが自分たち提督の使命だ。

 

 そのために今まで必死に教官からいろんなことを学び、今あるものを守ろうと決心した。

 

 今さら悩んでも仕方が無いことだ。

 

  そろそろ、寝ようかな……

 

 何分考えていたか分からない時間の後にそう思い、自分がかけていた少しぼろぼろな布を

床から拾い上げて寝る場所を探す。

 

 提督の机の椅子では寝にくいと思うし、部屋にあるのはいかにも堅そうな木でできた長椅子も

体が痛くなりそうで、床で寝るのは論外だ。

 

 早速寝る場所に困って部屋をうろうろとしていると、コンコンと音が部屋に響いた。

 

『司令官、入ってもいいかしら?』

 

「暁か。 いいぞ」

 

 答えて数秒後、ガチャリという音と共に他の三人も連れて全員が入ってくる。

 

「どうした? みんな宿舎の方に行ったんじゃ……」

 

「扉が歪んでて開かなかったのよ。 壊して入るのもどうかと思って……

 司令官、この部屋で寝かせてもらえないかしら?」

 

「まぁ、別にいいんだが……」

 

 言葉に詰まりながら先ほどと同じように部屋を見渡すが、見えたのはお世辞にも寝やすい

とは言えない椅子や床のみだ。

 

「……この部屋、寝るところがあんまりないぞ?」

 

「別に、寝られればそれでいい」

 

「そうか。 なら……」

 

 響の一言を聞き、手に持っている布と自分の着ている軍服の上着を脱いで机の上に置く。

 

「寒いだろうから、嫌じゃなかったらこれらを使ってくれ。

 私は、部屋の隅で寝るとするよ」

 

 そう言って暁たちから一番遠い部屋の隅へ行き、壁に背を預けて座る。

 

 薄いシャツ一枚しかないため壁から物凄い冷たさが襲い、部屋の冷気もむき出しの腕の肌から

着実に体温を奪っていく。

 

 だが、この状態で寝て風邪を引くほど、教官に鍛えられたこの体は弱くない。

 

 冷たさに身を震わせながら目を閉じようとすると、暁から声がかかる。

 

「……ねぇ、司令官」

 

「どうした、寝ないのか? ……やっぱり私の上着は嫌だったかな」

 

「いや、そうじゃなくて……えっと……」

 

 暁が言葉に詰まっておろおろとしていると、響が言葉を繋げてくる。

 

「なんで、私たちにここまで優しくするんだい?」

 

「なんで、って言われてもなぁ……」

 

「私たちは、いくら人間に似ていても兵器は兵器。 寒くても私たちは風邪を引かないし、

 司令官が使う方が明らかに合理的。 ……どうして、私たちにここまで優しくするんだい?」

 

 響の問いかけにおかしく感じ、苦笑しながら答える。

 

「私はな、教官から教わったんだ。 艦娘は人間と同等に扱え、って。 それだけじゃなくて、

 教官の下で人間と同じかそれ以上に生き生きとしている艦娘たちを見てきた。

 とても、物と同じようには扱えないし扱いたくない……というのが私の考えだ」

 

 口から出るのに任せて話し終わると、暁たちはお互いの顔を見合わせていた。

 

 その中で響一人が抜け出して布と上着を手にとってこちらに歩みより、自分ごとかけて

自分と同じようにして左に座り込んで密着してきた。

 

「ひ、響……!?」

 

「……知ってるかい、司令官? お互いは、離れるより密着してるほうがより暖かくなるんだ」

 

「ま、まぁ、それはそうだが……」

 

 響に言われたことで暖かさを意識してしまい、続く言葉が出ずに固まってしまう。

 

 知らずのうちに緊張している自分をよそに、響は静かに他の三人へ話しかける。

 

「私たちはどうやら、司令官のことを間違えて認識していたみたいだね。

 暁、これでも信用できないかい?」

 

「……そうね。 私が間違ってたわ」

 

 言い終わると同時にこちらに歩みより、暁も響と同様に右側へ腰を降ろす。

 

「あ、暁まで……」

 

「……私、司令官のことを誤解してたわ。 今日は、こうさせて……」

 

 誤解してたから何故密着なんだとか何を誤解してたのかなど疑問に思うが、それを口に出す前に

響が残りの二人へ話し始める。

 

「ほら、二人も早く」

 

「……わかったわ」

 

「……なのです」

 

 響が同じようにしろと手招きするのに二人は従って布と上着へ潜り込み、雷は右側、

電は左側へ覆い被さるようにしてきた。

 

 自分がどう反応していいかわからずあたふたとしていると、響が二人へ問いかける。

 

「どうだい、二人とも」

 

「……悪く、ないわね……」

 

「暖かいのです……」

 

 問いかけに答えた二人を見て一つ頷いた響は、頭をこちらの左肩に乗せてくる。

 

「……明日は早いよ、司令官」

 

「……わかってるよ」

 

 響の質問に答えた時には、響を除く全員が寝息をたて始めていた。

 

「……おやすみ、司令官……」

 

「…………おやすみ、響」

 

 少しの沈黙の後に答え終わった頃には、響も皆と同じように寝始めていた。

 

  この状態で寝るのか……

 

 布と軍服の上着は五人全員を被せるのには小さく、現に自分の両足首までがはみ出ている。

 

 しかし、周りで寝ている四人のおかげで全く寒くない。

 

 久しぶりに感じる他人の体温を感じながら、自分は背後の壁に頭を預けて目を閉じた。




 ……やっちゃいましたね、はい。

 私、友人から「ロリコン」って言われてるんですが、はっきり否定してます。

 ロリが好きな訳じゃない。 ロリ『も』好きなんだ、と。

 今回の8話、なかなか進まずに苦労しましたが、こうして投稿できて良かったです。

 それではまた、平日のどこかでお会いしましょう。 

 次回、楽しみにしていてください!
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