え~……用事が重なって投稿できず、申し訳ありませんでした!
春頃というのはどうしてこんなにも用事があるのでしょうか。
一応今月は用事があまりない(ただし急用が入る可能性もある)ので、
投稿ペースを少しでも上げられたらなぁ~、とか考えてます。
さて、今回は……なぜでしょう、全部シリアスです。
しかも、前半に『残酷な描写あり』です
内容的に書きにくかった、というのも投稿が遅れた理由の一つです。
残酷な描写が苦手だという方は、少しばかり心の準備をしてからお読みください。
それでは第9話です、どうぞ。
……ここは、どこだ……?
気が付くと、自分はどこかに立っていた。
周りを見渡すと、どこかの広い倉庫のようなところにいるのが分かる。
そして、白や黒の服を着た様々な人が立っており、どこか一点を見つめている。
『それではこれより、空母ヲ級への尋問を開始する』
水中で聞いたような変な声が聞こえ、その場にいた自分以外の全員が敬礼をする。
一体どうなっているのかわからず、人の間を抜けて全員が見ているものを目の当たりにする。
「……あの時の、ヲ級……?」
体全体を鎖で何重にも巻かれ、艦載機を出すであろう部分は原型を留めておらず、人間なら
確実に死んでいるであろう傷を負った姿が見える。
それは紛れもなく、あの時悲痛な叫びをあげていたヲ級だった。
これから起こるであろうことを否が応でも思い出してしまい、言葉遣いなど気にもせずに
周りの人に向かって叫ぶ。
「やめろよ! こんな、こんなことなんてやめろよ!」
だが、聞こえていないのか誰一人と反応せずにヲ級を見つめ続ける。
クリップボードとペンを持った誰かが、ヲ級へ近づいて話しかける。
『単刀直入に問う。 貴様らは、なぜ我々を襲う?』
その問いかけにヲ級は垂れている顔を微動だにせずに沈黙を続け、そのまま時間が流れる。
答えないことを悟ったのか問いかけた人が手で合図を出すと、誰かがコツコツと音を立てながら
赤く灼けた鉄の棒を持ってきて、おもむろにヲ級の腹へと突き立てる。
「アアァァァァ!!」
あまりにも生々しい、人間とまったく変わらない悲鳴が自分の耳に届く。
……いやだ。
心の中で強く思うが、どうすることもできない。
『まだ、話す気は無いのか』
続けて聞こえた声の後に、コードに繋がっている棒を持ってきて、ヲ級の体に当てる。
バチバチ! という機械がショートしたような音と共に、再びヲ級の絶叫が響く。
こんなもの、見たくない。
そう思うが、目が離せない。
体が、言うことを聞かない。
『さっさと話したらどうだ』
更なる合図と共に、今度は一振りの刀を何人もが抱えて持ってくる。
焼け焦げたヲ級の腹に突き立て、段々と押し込んでいく。
「グッ、ア、アァ!」
脳に直接響いた、苦痛の叫び声。
「ハァ、ハァ……」
ここまでされてもヲ級は顔を上げず、時折うめきながら荒い呼吸を繰り返すだけ。
腹から刀が抜かれ、今度は機械で固定された主砲らしき艤装が出てくる。
こんなの、おかしいだろ……!
その考えと共に艤装が火を噴き、ヲ級の右足を根元から吹き飛ばす。
もう、周りの音は何も聞こえなくなっていた。
痛々しく響くヲ級の叫び声も、無慈悲にヲ級を死に追いやる艤装の砲撃音まで、何もかも。
次々に、左足、右腕、左腕を撃ち抜かれ、残ったのは胴体と頭だけになった。
どす黒い血が辺りを赤く染め、周りに転がる見たことが無いような形の四肢。
それらを意識した瞬間、悲しみが胸を埋め尽くし、両目から涙が零れ落ちる。
敵だからといって、こんなことをするのは――
「……あんまり、じゃないか……!」
流れる涙は、いくら服で拭おうと目を閉じようと止まらない。
そんな中、始めてヲ級が顔を上げて自分を見つめる。
「キエタクナイ……シニタクナイ……!」
頭の中で直接響いた、思い出したくもない、恐怖で震える声。
記憶の中ではここで終わっていたが、ヲ級の口からさらに言葉が出てくる。
「シニタクナイ……タスケテ……」
涙で揺れる視界の中で、口がそのように動くのを見て、そしてはっきりと聞こえた。
……人間だとか人間じゃないとか、そういう問題じゃない……
無意識にヲ級の方へ歩み寄りながら、頭の中で考えがあふれ出てくる。
大切なのは、大切なのは――
「……心の、在り方なんだ……!」
傷だらけのヲ級の体と首へ腕を回し、鎖ごと抱き寄せる。
自分の体がヲ級の血で赤く染まっていくが、意識せずに泣きながら腕に力を込める。
ほんのりと温もりを感じたが、流れ出る血の量に比例するように、死人のように
冷たくなっていく。
そして、ヲ級の呼吸が完全に止まり、死んだことを悟った。
もう必要性もないのに、涙を流しながら亡骸を抱きしめ続ける。
これしか、自分に出来ることはないから。
時間が過ぎ、何分も何十分も何時間も抱きしめ続けた。
理不尽に殺された、ヲ級の魂が少しでも報われるように、心の底から祈りながら――
……あれ、朝……?
近くにある窓から差し込む日差しの中、雷はゆっくりとうつ伏せの状態から体を起こした。
いつもと空気が違い、明らかに自分のだけではない暖かさを感じている。
不思議に思いつつ目を開けると、何故か正面には臨時の司令官が、左右には暁たちがあどけない
顔をしながら寝ていた。
どうしてこうなっているかをすぐに思い出し、少し顔が熱くなるのを感じた。
私、なにやってたんだろ……
見ず知らずでしかも会ったばかりの人にこんなことをするのは、普段の自分ではあり得ない。
それにも関わらず大胆にも一緒に寝るようなことをしたのは、全部響に言われたからだ。
昨日気絶した司令官を部屋まで運んで集まり、響が「信頼できるかどうか試す」と言ってきた。
それに対して、暁たちと否定した。
気難しい人だったら、自分のことしか考えない人だったら、怒られたら、殴られたら、
蹴られたら等、考えられる全てを話して止めようとした。
艦娘だって怒られれば心が痛むし、暴力を振るわれたら怪我だってすることもある。
それを知っている筈だったが、「皆に試せる? いつかは、誰かが知ることになる」という
大人びた一言を言い切られてしまい、暁ですら黙りこんでしまった。
全てを響に任せた昨日の夜、信頼に値する人だとわかってとてつもなく安堵した。
……この司令官なら、私は……
目の前で寝ている会ったばかりの人に心を完全に許しかけたが、直前で考えを改める。
期待するだけ、事実に裏切られた時の悲しさは大きい。
その事を知って以来、基本的に暁たち以外は信用しないことにしたのだ。
それに、自分は――自分達は、単冠湾泊地から逃げられない。
どれだけ望もうと、あの司令官から離れることができないことを、とっくの昔に痛感した。
だとしても、私は……
どれだけ辛くても、明るく強く振る舞い、家族も同然の暁たちを不安にさせず、
頼るだけでなく頼られる存在になろうとしている。
その決意を、これぐらいで崩してはいけない。
そう改めて思った、その時だった。
「……っく……うっ……」
寝ているはずの司令官が、突然泣き始めた。
な、なによ……
自分が何かしたのかと今までの行動を振り返るが、泣かせてしまうようなことは
していないと断言できる。
何があったのかと心配になって起こそうとするが、自分が動くより早く司令官の両腕が動き、
自分の体を抱いてくる。
「ちょ、ちょっと……!」
寝ている人だから簡単にできると思って腕から抜けようとするが、寝ているのにしては
あり得ないぐらいの力で抱き締めてくる。
自分の胸元に額をあてて涙を零す司令官は、頼もしく優しかった昨日とは違い、別人ではないか
と思わされるほど弱々しい印象を与えてくる。
どうしてこんなに弱くなるのか、どうしてこんなに泣くのかが気になって、気が付けば
両手で司令官の体を揺さぶっていた。
「……起きて、司令官」
何回か揺さぶると腕の力が少し抜け、司令官が涙で濡れた顔を上げる。
「……いか、ずち……?」
抱きついたまま寝ぼけているように口を開いた後、少しだけ時間をおいて話しかける。
「……ねぇ、司令官。 なんで、泣いてるの?」
「泣い、てる……?」
自分に言われて初めて気付いたらしい司令官は、目元を指の腹で拭って泣いていることを
自覚すると、途端にまた涙が流れ始める。
「あの時、私は、私は……!」
声になっていないような音を口から漏らしながら、自分の体から離れて頭を抱え込んでしまう。
「敵じゃ、敵じゃないのに、なんで……どうして……!」
司令官の言っている意味が、全くわからない。
だが、とても辛く、そして悲しい何かが、今の司令官を泣かせていることは容易に理解できた。
私も、昔は……
泣き続ける司令官を見て、いつしか昔の自分の姿と重ねていた。
単冠湾泊地鎮守府に着任してからしばらくの間、馬が合わない艦娘やちょっとした失敗で
怒られたりして、毎日静かに部屋でうずくまって泣いていた。
なんでこんなに辛いのか理解できず、電よりも泣いていた。
だがある時、暁に抱きしめられ、「私がついてる。 大丈夫、辛くても大丈夫」と
励ましてくれて、それからは泣かないように心の中で自分を戒めた。
正直、見ず知らずの場所で見ず知らずの艦娘に囲まれ、理不尽と思うほどに怒られることが、
心の底から怖かった。
暁にあの言葉を言ってもらえてなければ、今も電より泣き虫のままだった。
たったあの一言で、自分の心は壊れずにすんだ。
もしかしたら、今目の前で泣いている司令官にも同じことが言えるのだろうか。
……私、なに考えて……
頭の隅で否定的な考えを持つ一方で、司令官のために何かできるのではないか、
と思い始めていた。
あの時、暁が私にやったようにすれば……
両手を伸ばして司令官の頭を両手で抱きしめようとするが、直前で止める。
これをすることで自分の心が変わるのではないかと、確信は持てずとも感じたからだ。
一回、一回だけよ……
頭を軽く横に振って先程までの考えを振り落とし、覚悟を決める。
悲しみで流す涙の辛さは、自分も知っているから。
ゆっくりと両腕で司令官の頭を包み込み、少しだけ力を込める。
「……司令官、私がついてるわ。 大丈夫、大丈夫」
頭を撫でながら赤子をあやすように言うと、堰を切ったように嗚咽交じりの濡れた声に変わる。
「……うっ、あぁ、あぁっ! あぁぁ!」
胸元を掴んで、声を上げながら泣きはじめた。
司令官の中に渦巻いている辛さや悲しみを消してあげれるように、頭をなで続ける。
「そうそう……もっと、私に頼ってもいいのよ、司令官……」
「あぁぁ! うっ、あ、っく、あぁぁ!」
かなり大きな声で泣いているが、疲れているのか周りの誰も起きない。
泣きじゃくる司令官を、窓から差し込んできた朝日の中、優しく撫で続けた。
後半、雷視点で書いたみた9話でした。
雷、ってなんというかお母さん的な感じがしますよね。
どこかで『ロリおかん』とか呼ばれてるそうですが、的を得た言い方だと思います。
第六駆逐隊は、みんなそれぞれ魅力的な個性があっていいですよね。
駆逐艦の中では一番目に響、二番目に暁、雷、電が同じくらい好きです。
……もちろん、他の艦種にも好きな人はいますよ?
あくまで、駆逐艦の中ではの話です。
出てくる艦娘、全員を魅力的に書いていきたいです。
そういえば先日、戦艦武蔵が発見されたそうですね。
艦これファンとしても日本人としても、なんか嬉しい気がします。
それでは、今回はこの辺で。
次回、楽しみに待っていただけたらと思います!