呉島光実はいかにしてチーム鎧武に入ったのか。闇に堕ちた少年の、光の当たる部分の始まりを描く。

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閲覧有難うございます。

「仮面ライダー鎧武」の重要人物・呉島光実のプロローグです。

違和感を覚える方もいらっしゃるかとは思いますが、どうか温かく見守ってください。


仮面ライダー鎧武 -Begining of Micchi-

あれは、中学三年生の秋のこと。

 

当時、僕には密かな趣味があった。

 

学校帰り、名門校に通っていた僕は、わざわざ公衆トイレで制服から私服に着替える。もしも同級生に見られたら、馬鹿にされるに決まってる。

 

今夜は塾の授業がある予定だったけれど、そんなものはどうでもよかった。それくらい、僕は彼らに夢中だった。

 

広場のステージ前でしばらく待つと、アップテンポの音楽が流れ始め、ステージへ青い服装の集団が躍り出た。

 

チーム鎧武。最近、沢芽市で大流行している、ビートライダーズと呼ばれるストリートダンスチームの一つだ。

 

チームのメインカラーは明るい青で統一されており、衣装はもちろん、ファンが持つタオルなどの応援グッズも青いものが多い。

 

勉強をサボって遊び回っている愚民集団。ライバルである同級生たちや、尊敬している兄さんはそう言っていたし、僕もそう思っていた。

 

しかし、たまたまステージの前を通りかかったときに彼らのダンスを見て、僕の胸は激しく高鳴った。

 

上手く言えないけれど、一言で言えば、凄い、としか言いようがなかった。人を引き付ける魅力がある、そう思った。

 

そして中でも、特に僕を虜にしたのが、メンバーの一人である少女・高司舞だった。

 

一目惚れなんて初めてだった。いや、そもそも恋をしたことが、僕にはなかったのだ。学校には友達と呼べる存在はいない。いるのは、成績を競うライバルたちだけだったから。

 

彼女のダンスは言うなれば、「天使の舞い」だった。

 

 

 

そして運命の日。空はどんよりしていて、少し冷たい空気が漂っていた。

 

せっかくの休日なのに、塾に行った帰りで疲れてる。

 

確か、今日はチーム鎧武の公演はなかったよな。

 

念のためにステージの前を通ってみると、鎧武どころか、どのチームも公演を行っておらず、ヤンキーたちの溜まり場と化していた。

 

「愚民どもが…」

 

神聖な地を汚された気がして、思わず呟いた僕を、奴らは睨み付けてきた。

 

しまった、と思ってももう遅い。五人に取り囲まれた。マズイ。

 

「どこの坊っちゃんだ、お前?」

 

「オイ、金出せば許してやるよ」

 

引けずに睨み返すと、案の定、殴られた。

 

羽交い締めにされ、殴られ蹴られ、叩き伏せられる。

 

よくよく考えれば、人に殴られるのって初めてじゃないか。

 

いい子を演じていれば親や兄さんに手を出されることはなかったし、エリートな同級生と喧嘩することなんてなかったんだし。

 

僕の涙と一緒に、沢芽市に冷たい雨が降り始めた、そんなとき。

 

「お前ら、何やってんだ!」

 

その声と同時に僕への暴力は止まった。誰かが助けに来てくれたのか?

 

伏せていた顔を上げると、青いパーカーを着た青年が、ヤンキーたちを次々と殴り飛ばしていた。

 

カッコいい…。頭に浮かんだのは、そんな言葉だった。

 

「君、大丈夫!?」

 

続いて僕の周りだけ雨がやみ、それは少女が傘を差し伸べてくれていたからだとわかった。

 

「アナタは…!」

 

 

 

僕を助けてくれたのは、鎧武の葛葉紘汰と、憧れの高司舞だった。

 

「あーあー、もうこんなに濡れちゃって。大丈夫?風邪ひくよ?」

 

二人は僕を鎧武のガレージへ連れて行き、タオルと着替えを貸してくれた。

 

鎧武のメンバーだけが着ることを許される、ロゴ入りの青いパーカー。

 

「君、最近よく公演、見に来てくれるよね?」

 

憧れの高司舞が僕の傷を手当てしてくれているだけでもドキドキなのに、更にドキッとした。

 

「ぼっ、僕の顔、覚えてくれてたんですか?」

 

「うん、大切なお客さんだもん」

 

あぁ、高司舞がこんなに近くで、僕だけのために微笑んで…。

 

「あんなに毎回見に来てたんじゃ、ちょっとくらい踊れるようになってんじゃねえか?」

 

葛葉紘汰が言う。

 

ガレージの奥の方では、数人のメンバーがダンスの練習をしていた。何度も見た、僕を虜にしたダンス。

 

僕は黙って練習中のメンバーに加わった。

 

彼らは突然の乱入者に驚きを隠せずに動きを止めたが、それでも僕はやめなかった。

 

曲が終わると同時に決めポーズをしてフィニッシュ。

 

「ハァ、ハァ」

 

普段あまり運動しないから、息が荒い。

 

そんなとき、ガレージの中に拍手が響き渡った。そこにいた全員が、目を見開いて僕を見つめていた。

 

「スゲェよ、お前!何回か見ただけでこれだけ踊れるなんて!」

 

今まで勉強に活かしてきた記憶力が、まさかこんな場面で役立つとは。

 

「そうだね、凄いよ!パーカーも似合ってるし、もうチームに入っちゃえば?」

 

高司舞の思わぬ言葉に、僕の胸は高鳴った。僕が鎧武に…。

 

「いいよね、裕也?」

 

「ああ、もちろん」

 

鎧武のリーダー・角居裕也が力強く頷いた。

 

「お前、名前は?」

 

「くっ、呉島光実です!」

 

答えると、葛葉紘汰は顔をしかめた。

 

「み、ミツザネ、か?ちょっと呼びづらいな。うーん、じゃあ…」

 

「ミッチ!ミッチがいいんじゃない!?」

 

高司舞のその言葉で、僕はその瞬間から、ミッチになった。

 

 

 

この幸せが守れるなら、僕は、どんな裏切りでもできる。




閲覧有難うございました。

光実はきっと、こんな感じでチーム鎧武に入ったんじゃないかと。
僕の妄想を読んでくださったことにお礼申し上げます。

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