ペルソナ!って言いたいけど、資質ゼロなんです。   作:甲斐太郎

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P3Pin女番長 屋久島旅行ー②

美鶴先輩のお父さんに招かれ、私たちは10年前に桐条鴻悦氏が何を考え、何を行おうとしたのかを聞かされる。そして、事故の様子を話す科学者が残したメッセージは色んな意味で衝撃を与えるものだった。

 

きっと今までの私だったら、何の疑問も抱かずにその事実を受け入れていたかもしれない。けれど、今の私は違う。

 

だって、人から齎される情報が真実のみとは限らないことを知っている。語られる言葉の裏に隠された真意を察しなければならないんだ。だから言うよ、ゆかり。

 

「私はこの人が言っていることが真実とは思えない。桐条総帥、この動画を詳しく調べたことはあるんですか?」

 

私が問題提起をした時、その場にいた人間の一人が能面のような無機質な表情で視線を向けていたことなんて知らなかった。

 

 

 

7月20日(月)

 

海で散々遊びまわって、桐条の別荘に戻るとそこにいるだけで存在感がひしひしと伝わってくる男性の姿があった。美鶴先輩は身体を震わせた後、その男性に近づき話をするが事務的なもので、家族の会話と思える内容ではなかった。私たちが美鶴先輩にそのことを言うと、力なく笑い仕方がないことだと頭を垂れる。

 

部屋に戻った私たちは何か出来ることはないかと4人で頭を悩ませるが、いい案は思い浮かばない。というより、美鶴先輩が戦う理由を知っている私と優ちゃん、知らないゆかりと風花っていうメンバーじゃ、この問題に対するモチベーションが違う。前者は何とかしてあげたいっていう気持ちが強いけれど、後者は……。

 

いっそのこと話してしまうかと考えたが、やめておく。美鶴先輩のことだから知られても問題ないと言うだろうが、やはりそう言ったことは本人の口から伝えられる方がいいに決まっている。人から聞かされるのと、本人が話すのでは印象ががらりと変わるから。

 

「ん?なんか外が騒がしいね」

 

「本当だ。……玄関の方に人だかりが出来ているみたい」

 

ゆかりと風花がバルコニーに出て、喧騒の原因を見つける。集まっているのはこの洋館にいるメイドさんや執事、コックの人たちらしい。

 

「あ、なんか嫌な予感が……」

 

すると私の隣にいた優ちゃんが腕をさすりながら身体を震わせる。

 

「とりあえず玄関に行ってみようか」

 

私はそう提案して皆をつれて玄関に向かう。順平と真田先輩も気になったようで廊下に出ていた。2人と合流して玄関に行くと人だかりが出来ている。それを掻きわけて向かった先にはトラックが1台止まっていた。

 

どういう状況なのかを尋ねようと、先に来ていた美鶴先輩を見つけ声をかける。

 

「美鶴先輩……。これはいったい?」

 

「ああ、湊か。鳴上が釣りに行ったという話はビーチで聞いたな。これが釣果だそうだ」

 

美鶴先輩は桐条が総司くんに貸し出したクーラーボックスとトラックの荷台を指差した。クーラーボックスの中には色んな種類の魚が入っている。私はあまり魚に詳しくないので皆に確認したけれど、返事は色良い物ではなかった。それを見た美鶴先輩は白髭を蓄えたコックを呼んだ。

 

「鈴木料理長、このクーラーボックスに入っている魚を説明してくれないか?」

 

「分かりました。お嬢様」

 

一礼をした初老の料理長は丁寧に説明してくれた。クーラーボックスに入れられていた魚は全て屋久島近海で獲れるもので、中には高級魚であるスジアラと呼ばれるものもあるらしい。

 

「こうやって様々な魚を釣り竿一本で釣り上げることも凄いのですが、本日一番の衝撃はやはり“トラックの荷台に載せないと運べなかった”コレでしょうね」

 

そう言って初老の料理長は自身の髭を整えるようにして撫でながらトラックの荷台に視線を向ける。私たちも自然とそれに目が向く。

 

「まさか、カジキマグロを磯で一本釣りするとは、中々やりますなぁ。お嬢様が連れて来られた少年は」

 

磯で、カジキマグロを、一本釣り?しかも、少年ってことは……。

 

「さすが……兄さん。私たちがやれないことを平然とやってのける……」

 

優ちゃんがショックを受けてふらついたが美鶴先輩が支えたことによって倒れずにすんだ。

 

「ちなみに大きさはどれくらいなんですか?」

 

「漁師から聞いた話によれば、270kgは降らないそうです」

 

現在桐条の洋館に努めているスタッフ全員で食べても数日は持つ量だと笑って言われてもいまいち分かんないけれど、とても大きなものを釣ってきたのだと分かる。

 

「では、お嬢様。これよりカジキマグロを切り分けて、ディナーの準備に取り掛かりますのでご学友を連れて部屋にお戻りください。それと魚を釣り上げてきた少年ですが、我々の仕事に興味があるということなので現在厨房におりますのでご安心を」

 

そう言った初老の料理長は玄関をあとにして洋館の中へ入っていく。その後ろ姿を見ながら私は美鶴先輩に言葉を発する。

 

「どこを安心すればいいんでしょうね?」

 

「ああ……。確実に桐条のコックたちは衝撃を受けることになるだろう。鳴上の料理の腕と発想を目の当たりにすれば……。くっ、グループに勧誘しろという訴えが確実に来る」

 

美鶴先輩は額を手で押さえ、近い未来に訪れる難題に頭を悩ませる。その隣で優ちゃんが申し訳なさそうに彼女を見上げている。

 

「こりゃあ、総司バーサス桐条のコックさんの料理合戦っていうところか?」

 

「どんなものが出てくるのか予想付かないけれど、きっと全部美味しいよね。……(ぐにっ)」

 

順平は洋館の裏口に移動していくトラックを見ながら、あふれ出るよだれを拭う仕草を見せながら呟いた。ゆかりは最近の悩みであるお腹のお肉が気になるのか俯いている。

 

というか屋久島に降り立ってから総司くんの顔をまともに見れていないんだけれど。こういうところは優ちゃんとそっくりなんだから。双子だから当然と言えば当然なんだけど。

 

まぁ、皆の予想通り、本日のディナーは凄いことになった。美鶴先輩曰く、桐条のコックたちの料理に対する情熱や飽くなき探究心を感じさせる料理だったとのこと。美鶴先輩のお父さんも絶賛されたらしく、桐条グループが総司くんを獲得する日も近いのかもしれない。

 

 

 

 

そして、その夜。私たちは美鶴先輩のお父さんに招かれて応接間にきた。先に来ていた男組が会話している。

 

「で、包丁を見せてもらったんですよ。さすが桐条グループの料理人ですよね。大阪の堺の職人により一丁ずつ手作りされる『幸之祐』を普通に使っているんですよ!」

 

「分かった。何を言っているのか分からないけれど、分かったから総司。とりあえず落ちつけ」

 

「これでも料理人の端くれです。いつかはそういった包丁も扱ってみたいんですよね。……あ、お先しています」

 

「やっときたか、お前たち。鳴上兄がいたく興奮していて手がつけられなかったんだ、助かる」

 

総司くんの話し相手だった順平は私たちの姿を見て安堵のため息をつき、真田先輩は立ち上がって私とゆかりの背を押して、総司くんの隣に座らせた。その瞬間、総司くんは顔を真っ赤に染めて立ち上がり優ちゃんの隣に移動する。その行動を見た真田先輩と美鶴先輩は首を傾げる。

 

「鳴上、何かあったのか?」

 

「いえっ!?今日は半日、海風に吹かれていたので女性の隣にいるのは問題あるかと思いまして!!いや、ちゃんとシャワーは浴びたよ!?火照っているのはソレの所為だよ」

 

海風に吹かれてって、私たちはその海で泳いできたんだけれど……。

 

わたわたと手を大げさに振って弁解する総司くんを見て、順平とゆかりがニヤニヤとした表情を浮かべながら彼と私を交互に見る。ちぃ……ここで私が何かを言うとそれが槍玉にあがってしまう。ここは我慢、我慢よ私。

 

そう思っていると、応接間に入るための扉が開かれて、美鶴先輩のお父さんと幾月さんが入ってきた。私たちは佇まいを正して、話を聞く態勢を整える。

 

「美鶴から、大体は聞いているな」

 

「あ、はい」

 

ゆかりが答え、美鶴先輩のお父さんは皆の顔を確認する。

 

「左様、全ては大人の…我らの罪だ。私の命ひとつで贖えるのなら、とうにそうしていたところだが…今や、君らを頼る他はない。父鴻悦が怪物の力を利用してまで造り出そうとしたもの。それは時を操る神器だ」

 

「時を操る……?」

 

「言葉の通りさ。時の流れを操作し、障害も、例外も、全て起こる前に取り除く。未来も意のままにする道具と言ってもいい」

 

風花の疑問に答えるのは幾月さんだった。科学者らしい言葉で説明していく。それを聞いた順平は驚愕の表情を浮かべる。

 

「す、すげえ……。野望のサイズがデカい……」

 

「だが研究は、父の指示によっておかしな方向へ進んでいった。……晩年の父は、なにかとても深い虚無感を胸の奥に持っていたようだ。今にして思えば、父の乱心は、それを打ち破るために始まったのかもしれん。君らが全て知りたいと望むのは当然のことだ。私にも伝える義務がある」

 

美鶴先輩や幾月さんの話を聞いた時からずっと思っていたけれど、美鶴先輩のお父さんは直接研究に携わっていたわけではなさそうだ。多少は聞かされていたのかもしれないけれど、深くは知らないみたい。だとしたら、こんなにも責任を負うようなことは言わなくてもいいのにと思う。

 

私がそう考えていると天井からスクリーンが降りてきて、部屋の照明が落とされる。そして、そのスクリーンに映像が映し出された。

 

「これは……?」

 

「現場にいた科学者によって残された、事故の様子を伝える唯一の映像だ」

 

「……映像?」

 

燃え盛る火の手や、辺りから立ち込める黒煙。何かが崩れ落ちる音やノイズ音が頭に響く。

 

『この記録が……心ある人の目に触れる事を……願います』

 

「この声…!?」

 

ゆかりが驚愕の声を上げて立ち上がり、スクリーンに映し出された映像に釘付けになる。

 

『ご当主は忌まわしい思想に魅入られ、変わってしまった。この実験は…行われるべきじゃなかった!もう未曾有の被害が残るのは避けられないだろう……。でもこうしなければ世界の全てが破滅したかもしれない』

 

「世界の……破滅?」

 

あれ?どこかで私たちは“世界のために戦っている”って言われなかったっけ?

 

『この記録を、見ている者よ、誰でもいい、よく聞いてほしい!集めたシャドウは大半が爆発と共に近隣へ飛び散った。悪夢を終わらせるには、それらを全て消し去るしかない』

 

私は先ほどの言葉がひっかかって映像から目を逸らして応接間にいる皆の顔を見る。

 

大半が映像に凝視しているが、1人だけ違ったところを見る存在がいた。彼は唇を噛みしめ、まるで親の敵を見るような目で誰かを見ている。私がその視線の先を見ると、その人は映像を見ながら嗤っていた。くだらないジョークを言って笑っている姿とは、一線を隔した恐ろしいと思える姿に私はすぐに目を逸らし映像を見る。

 

映像に映っていた男性が申し訳なさそうに告げる。

 

『全て……僕の責任だ。全てを知っていたのに、成功に目が眩み、結局はご当主に従う道を選んでしまった……』

 

さっき見てしまった彼の嗤う姿の所為で、この映像は都合よく作られた偽物なんじゃないかって気持ちが強くなっちゃったよ。それに、今のフレーズも使い方がおかしいし。

 

『全て、僕の…責任だ…』

 

「……っ!?」

 

今まで話していた科学者の顔が映し出されるとゆかりは口元を手で押さえた。込みだしてくる何かを押し留める様にして。そこで映像が終わり、部屋の照明が灯る。明るさを取り戻した部屋でゆかりが呟いた。

 

「お父さん……」

 

映像に映し出された男性の科学者はゆかりの父親だったようだ。皆の視線がゆかりに集まる。先ほど映像を見ながら嗤っていた彼も心配そうにしながら、ゆかりを見ているが、私には演技をしているようにしか見えず、警戒心ばかりが高まっていく。

 

「お父さんって、……今のひとが?」

 

「…………」

 

風花がゆかりに尋ねるが、彼女は俯いて肩を震わせるだけで何も言わない。

 

「お父様、これは…」

 

美鶴先輩が眉を寄せながら椅子に座るお父さんに話しかける。美鶴先輩のお父さんはゆかりを視界に収めると首を小さく振ってから話し始める。

 

「彼は岳羽詠一郎…当時の主任研究員だ。実に有能な人物だった。その彼を見出して利用し、こんな事件まで追いやってしまったのは、我々グループだ。詠一郎は…桐条に取り殺されたのも同然だ」

 

「ま、まさか……」

 

「つまり…私のお父さんが、やったって事……?影時間も…タルタロスも…たくさんの人が犠牲になったのも…みんな…父さんの所為ってこと?」

 

ゆかりが俯いたまま淡々と胸の内をさらけ出す。それは自身の心を言葉のナイフで傷つけるようで痛々しく見ていられない。

 

「お…おい」

 

「じゃ…色々、隠してたのって、ホントはこれが理由?私に気遣って、隠してたってこと?そういうことなのっ!?」

 

ゆかりは涙目で思いのふちを大声で吐き出す。信じ続けていたものに裏切られたような、絶望を体現したような表情を浮かべている。泣きたいのに泣けない。叫びたいのに叫べない。そんな辛そうな表情を…。

 

「岳羽、そ「待ってください!美鶴先輩もゆかりもおちついて!」っ、湊……」

 

「……。何、湊?可哀想とかやめてよ」

 

ゆかりは押してしまえば倒れてしまいそうな姿で私を見る。引き留めたからにはゆかりの心を助けないといけない。

 

「ゆかりは今の映像を見て、何も思わなかったの?私は思ったよ、何かがおかしいって」

 

「…………」

 

ゆかりは人形のように光を失った瞳で私を見てくる。見て分かる様にゆかりの心は今、自分自身で放った鋭利な言葉によってボロボロに傷ついてしまっている。

 

言葉選びは重要だ。

 

「私がおかしいって思ったのは、言葉の内容じゃない。“言葉を無理やり継ぎ直したような不自然な間があること”だよ」

 

「……え?」

 

ゆかりの瞳に一筋の光が灯る。私はゆかりの正面に立って肩を掴んで、まっすぐ見据える。

 

「ゆかり、まだ決めつけるのは早いよ。私はゆかりが話してくれたお父さんの話をよく覚えているし気持ちも分かる。ゆかり、お父さんのことをもう少し信じ続けてみようよ」

 

「……湊。……うぅ、うわぁあああああああ」

 

ゆかりの心のダムが決壊し、彼女の瞳から大粒の涙があふれ出す。私はゆかりの身体を引きつけると優しく抱きしめ、背中を撫でる。ひっくひっくと嗚咽を漏らす彼女を安心させるように撫で続ける。

 

しばらくして落ちついたゆかりだったが、TPOを考えずにやったため気まずさがハンパない。順平や総司くんは申し訳なさそうにしており、優ちゃんと風花は顔を真っ赤にして私たちを見つめ、美鶴先輩と真田先輩は眉を顰め何かを考える様にしている。

 

ゆかりは私から距離を置くと椅子に座って顔を両手で覆い、身悶える。人生最大の失敗をしてしまったと言わんばかりに、この場所から逃げ出したそうにしている。

 

「話は済んだようだな」

 

「はい。改めて聞きますけれど、桐条総帥。この動画を詳しく調べたことはあるんですか?」

 

「いや、今まで彼の言う言葉の解釈のみを調べさせてきたが、映像自体を調べるということはしていない。本部の方へ連絡を入れ、近いうちに結果を君たちに届けることを約束する。それでいいか?」

 

美鶴先輩のお父さんはゆかりに向けて言葉を紡ぐ。ゆかりはばつが悪そうな表情を浮かべていたが、大きく頷いた。

 

「しっかし、湊っちもやるねー。オレっちなんか全然、気付かなかったぜ」

 

「そうですね。確かに湊ちゃんの言うとおり、言葉を話す時に不自然に言葉を切っていたのでどうしてなんだろうとは思ったんですけれど」

 

順平と風花が思っていたことを話し始めたので、私は“総司くんが幾月さんを睨みつけ、幾月さんは映像を見ながら嗤っていた”ところをぼかすために、以前寮の屋上で総司くんに聞かされたことを話す。

 

「情報と真実。言葉の裏にある真意か……。鳴上総司…くんといったか。君は本当に15歳の少年か?」

 

美鶴先輩のお父さんが言う、その疑問は皆が思っているものだった。言い方が悪くなるけれど、総司くんは落ち着きすぎなのである。下手すれば私たちよりも落ちついているので、たまに実は私たちよりも年上なんじゃないかって思うこともあるし。

 

「みんなしてヒドイし。僕の味方は優だけだ……って、何で優もそっち側なのさ!?理不尽だよ、……うぅ、旅行から戻ったら寮母の仕事をボイコットし―――――――」

 

頬を膨らませていじけ始めた総司くんをどうなだめようかと皆で苦笑いした瞬間、総司くんがいた場所に角ばった棺が現れた。旅行で巌戸台から離れても一度認識してしまった影時間からは逃れられないっていうことか。

 

「おおう……知り合いが象徴化するところ、初めて見たぜ」

 

「いきなりでびっくりしましたね。そっか、総司くんは本当に影時間の適正がないんだ」

 

「えっと、どうしますか?」

 

優ちゃんが象徴化した総司くんの棺桶に触れながら言う。彼女が言うのは勿論、臍を曲げてしまった総司くんの説得方法だ。

 

「物で釣る方が簡単だ。美鶴、鳴上兄と俺たちの会話を聞いていただろう?料理道具は料理人にとって生命線だ」

 

「分かった。今までの分と、これからの分の礼も兼ねて、堺の包丁を用意しよう」

 

「ありがとうございます、美鶴先輩。兄さんも喜ぶと思います。……もしかしたら、気分がよくなって寮に戻った時に『宝石メロン』か『黄金スイカ』を振る舞ってもらえるかもしれないですね」

 

「「なんだとっ!?」」

 

美鶴先輩はいつもの調子だが、もう1人驚きの声を上げた人がいた。美鶴先輩のお父さんである桐条総帥だ。彼は美鶴先輩を呼んで、どういうことなのかを聞き出している。

 

所々、彼らの会話が聞こえてくるけれど、月給が100万単位ってどれだけ総司くんは凄いのだろうか。ふと私はあることを思う。

 

「……学力は問題なし。運動神経も十分。性格は温厚で人付き合いもよくて、家事も完璧。就職先も引く手数多……。あれ、総司くんって結婚相手には超優良物件なんじゃ?」

 

恋人ではなく結婚相手っていうのがミソである。

 

「本気で狙いに云ってみようかな。幸い、優ちゃんの好感度は高い方だし……」

 

私は象徴化した総司くんを労わる優ちゃんを見ながらそう思うのだった。

 

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