FE世界を渡り歩いた旅人が箱庭に招待されるようですよ? 作:飛翔翼刃
更新が遅れてしまい申し訳ないです…。
GW前から他店に応援とか行ったりで、仕事、寝て、仕事の繰り返しで執筆時間が取れなかった(´・ω・`)
今回は少し短いですが本編をどうぞ!
「おんしらが望むのは『挑戦』か?それとも対等な『決闘』どちらだ?」
その言葉と同時に問題児御一行の景色が一転二転と次々と変わっていく。
それもわずかばかりの時間…本当に刹那としか言えない。
そして次第に周りの景色も落ち着いてきたと思っていたが、その光景に喧嘩を売った三人は目を見開いている。
それもそうだ、問題児達が放り出された世界は…見渡す限りの白い雪原に凍っている湖畔、挙句の果てには水平に廻る太陽。
これだけで喧嘩を売った相手を間違えたねと言いたくなるクラウン。
「これは!?」
「驚く事はないぞ。これは私が持つ、ゲーム盤の一つだよ」
「これだけの広さがただのゲーム盤ですって…」
先ほどの部屋から、こんな広い世界に連れてこられ、これがただのゲーム盤と言われもすれば大体の者は足が竦んだり、戦意喪失して当たり前だ。
これだけの世界を作り出す目の前の相手とは絶対的に強さの次元が違うのだと思い知らされる三人。
(本当に凄いね。まるで
そう
今正にそれに近いであろうことが起こされたのである。
これを言葉で表現などできぬほど、この行為は人から見たら奇蹟の顕現と呼ぶに相応しいだろう。
「さて今一度名を名乗り直し、問おうかの。
私は『白き夜叉の魔王』………『太陽』と『白夜』の星霊…白夜叉。
おんしらが望むのは試練への挑戦かの?それとも対等な決闘か?」
魔王白夜叉。
とても少女の可愛らしい笑顔ではなく、その笑みさえ恐ろしく恐怖心を抑えるのがやっとな三人。
しかしクラウンだけはニコニコ顔を崩してない。
(あの小僧は怯える素振りすら見せんの)
白夜叉は四人を見ていて、クラウンが一番の実力者なのだとすぐに見抜く。
(さて、喧嘩を売った三人はどうするのかな?)
三人は見事に意気消沈していた。
しかしプライドが高いのか、負けず嫌いなのかはわからないが素直に降参しようとは思っていないようだ。
「して、おんしらの返答は?『挑戦』であるならば、手慰み程度に遊んでやる。
だがしかし『決闘』を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り戦おうではないか」
「「「………っ!」」」
しかしその沈黙を破ったのは一番の問題児の十六夜だった。
「あぁ、参ったよ。こりゃあ降参だわ」
挙手をして、降参を宣言する。
「ふむ、ならば決闘ではなくて…挑戦もとい試練を受けるという事でええのかの?」
「ああ。これだけのゲーム盤を用意出来ちまうんだからな。アンタには俺たちを試す資格がある。
いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様よ」
苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜に、白夜叉は堪え切れず高らかと笑い飛ばした。
プライドが高い十六夜にとっての最大限の譲歩なのだろう、自ら試されてやるとは随分可愛らしい意地の張り方があったものだと、白夜叉は腹を抱えて笑うのであった。
一頻り笑った白夜叉は笑を噛み殺し、喧嘩を売ってきた他の二人にも問う。
「くくく、それで他の二人も同じかの?」
「……ええ、私も試されてあげるわ」
「私も同じ」
「そうか。それでおんしはどうするのじゃ?」
「僕?」
最後の回答はクラウン。
「クラウンさん、お願いですから無謀な事はしないでください!」
黒ウサギが必死に止めようと懇願してくる。
「うーん、せっかくなら両方は受けられるかな?」
「クラウンさん!?」
「両方じゃと?」
「挑戦は基本的にこの三人にお任せするよ。
助言とか何か手助けぐらいはしてあげたいから、一応参加の資格だけでもと思ってね。
それに白夜叉は暇してるみたいだから、一人ぐらいは決闘相手がほしいんでしょ?」
「おいおい、クラウンだって面倒くさい相手だって言ってたのに勝てるのかよ」
「勝てる勝てないは抜きにして、やってみないとわからないさ。
それに行動を起こさない限り、敗北しかありえない道なんて僕はごめんだからね」
「どうやら決まったようじゃの。
それにしても両方とは思わなかったぞ」
「まあ白夜叉は理解してくれる人だろうしね」
「おんしは見る目があるの」
「色んなものを見てきたからね」
数え切れないほどの種族や争いを見てくれば、嫌でも見る目は身につく。
騙し騙されの世界に身を置いていたのだから仕方ないことだが。
「さて、まずは挑戦の方を済ませてしまうかの」
そう考えていると遠くから獣のようで鳥のような声が聞こえてくる。
その声を聞いた白夜叉は思いついたように掌をポンと叩く。
「おお、そう言えばあやつがおった。
あやつならばおんしらを試すのに打って付けなのかもしれんの」
そう言う白夜叉は湖畔の向こう岸の山脈に向かって手招きをしている。
するとその山脈から体長5mはあろう獣がこちらに向かって、翼を広げ滑空してくる。
その獣は鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣であった。
春日部耀は驚愕と歓喜の籠もった声を上げる。
「嘘!?本物のグリフォンなの!?」
「如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。
『力』『知恵』『勇気』と全てを兼ね備えたギフトゲームを代表する獣だよ」
(グリフォンとは懐かしい。何度グリフォンに跨り共に戦ったことだろう)
クラウンはグリフォンを見て懐かしむ。
かつて友であり、仲間のグリフォンを思い出す。
その他にもドラゴンや馬など、様々な仲間に跨り戦場を生き延びたこともあり、試練をやろうかと思ったが…。
耀が先ほどから目を輝かせている。
(これは耀に譲ったほうがよさそうかな)
耀の後にでも跨らせてもらえばいいやと思うクラウン。
「さて、肝心の試練の内容だが…このグリフォンと『力』『知恵』『勇気』何れかで比べ合い、背に跨りこの湖畔を舞うことが出来ればクリアということにしようかの」
白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出す。
すると虚空から
白夜叉は細く白い指を奔らせて羊皮紙に記述する。
『ギフトゲーム名 鷲獅子の手綱
・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜 久遠 飛鳥 春日部 耀 クラウン
・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う
・クリア方法 力 知恵 勇気の何れかでグリフォンに認められる
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します
サウザンドアイズ 印』
「私がやりたい」
クラウンの思っていた通り耀が挙手をする。
耀はグリフォンを羨望の眼差しで見ている。
普段は大人しい彼女にしては珍しく熱い視線だ。
『お、お嬢……大丈夫なんか?なんや獅子の旦那より、遥かに怖そうやしやたらとデカイけど』
「大丈夫だよ。問題ない」
「自信があるようだが、こやつは結構難物じゃぞ?
失敗したら大怪我で済めば、良いほうじゃな」
その言葉に飛鳥と黒ウサギが考え直したほうがという目線を送るが、耀はお構いなしのようだ。
それこそ目がキラキラ輝いて見えるぐらいに生き生きとしており、長年探していた宝物を見つけた子供のような輝きを放っていた。
「まあ春日部、頑張ってくれや」
「怪我はしないよう、気をつけてね春日部さん」
「ありがとう。頑張る」
耀はグリフォンに向かおうとするところで。
「耀」
クラウンに呼び止められる。
「何?」
「グリフォンはとても気高く、そして誉れある種族だ。
とにかく最初は振り落とされないことだけを考えて。
それと礼儀も忘れずにね。
これは僕からの餞別だよ」
クラウンは一枚のマントを渡す。
「これは?」
「気休め程度にしかならないけど、これには加護がついてるから凍死とかはしないと思うよ。
耀の服装では寒さに耐えられるかわからないからね」
「クラウン。ありがとう」
耀は受け取ったマントを羽織、グリフォンと対峙する。
「はじめまして。春日部耀といいます」
名前と一礼をする耀。
「先ほどのやつは我らのことを知っているようだな」
「そうなんですか?」
「お前…私の言葉がわかるのか?」
「はい。生きている動物となら、どの種族ともお話が出来ます」
「ふ、面白いやつだな。
では貴様は何を賭け、何を示すのだ?」
「私は命を賭けます」
その言葉に飛鳥と黒ウサギが目を見開く。
「そ、そんなの駄目ですよ!」
黒ウサギが止めに入るが。
「貴方は誇りを賭けて、私は命を賭ける。
もし転落して生きていても私は貴方の晩御飯になります……それでは駄目ですか?」
「面白い!ならばせいぜいその命散らさぬよう、しっかりとしがみついている事だな!」
耀はグリフォンに跨る。
グリフォンは翼を羽ばたかせ、上空へと上がっていく。
次第に高度は人が落ちたら死ぬであろう高さまで上がり、そこから耀とグリフォンとのデスマッチが開催される。
「おい、クラウン」
「なんだい?」
「さっき渡したマントは何なんだ?」
「あれは魔法への耐性があるマントなんだよ。
本当はグリフォンナイトが使っている防具があるんだけど、耀は体格的に合わないんだよね」
「へえ!お前の世界にはグリフォンがいたのか」
「一応ね。
数はかなり少ないみたいだったけど」
一方グリフォンに跨り、滑空している耀。
(クラウンが貸してくれたマントのおかげか、少し寒いだけで済んでる)
マントの効果があったのか、耀は凍えずに済んでいた。
「もっとスピードを上げるぞ!」
グリフォンはさらに加速をしていく。
これには耀も急激な重力に耐え抜くのに必死になる。
「もう少しで耀の勝ちだけど、あっちも本気を出してきたね」
「速すぎて目で追うのも一苦労だわ」
あまりの速さに目で追うのも一苦労になっている飛鳥。
「ヤハハ!あれ絶叫マシーンで出したら売れんじゃねえか?」
「多分普通の人は振り落とされるか、失神して真っ逆さまに落ちていくだけだよ」
そんなくだらない話をしているとグリフォンがこちらに戻ってきている。
耀が勝ったのだと思った矢先に…耀が落ちてしまう。
「春日部さん!」
「耀さん!」
飛鳥と黒ウサギが叫ぶ。
「大丈夫だよ」
しかしクラウンが制止する。
「「え?」」
その言葉と同時に耀が空中で動きを止める。
いや浮いていると表現したほうが正しいかもしれない。
そして綺麗に着地をする耀。
「見事だったぞ。人の子よ」
グリフォンに認められた耀であった。
「ありがとう」
少し照れている耀。
「お疲れさま」
「クラウン。これありがとう」
耀はクラウンにマントを返す。
「どういたしまして」
マントを受け取りしまうクラウン。
「僕もグリフォンに跨って空を飛びたいのだが…いいかな?」
グリフォンに尋ねるクラウン。
「お前も命を賭けるのか?」
「何でも構わないよ」
「本当に面白いやつがいるものだな」
グリフォンに跨るクラウン。
「耀、よく見といてね。
これがかつてグリフォンと一緒に空を飛んだ腕前ってところを。じゃあお願い」
そう言って、上空に素早く上がり滑空を始めるクラウンとグリフォン。
それは先ほどの耀とは違い、とても滑らかでただしがみついているだけの動きではなかった。
まるで一人と一体で一つのような阿吽の呼吸で湖畔の周りを舞い、そして戻ってくる。
「まあこんな感じかな」
「まさかグリフォンナイトに出会えるとは思ってもいなかったぞ」
「正式なグリフォンナイトではないけどね
本当のグリフォンナイトはこれ以上の腕前を持っていたしね」
そんなやりとりをして、グリフォンは去っていった。
***
「いや~、面白いものを見せてもらったの」
先ほどの試練で面白いものを見たと満足気な白夜叉。
「それにしても、そやつのギフトは素晴らしいものだったの。
本当に売ってはくれんのか?」
「駄目」
耀が様々な動物と会話をし、恩恵を受けられるのは父が作ってくれた木彫り細工のお陰なのである。
その木彫りを見た瞬間から、白夜叉がくれくれうるさいのである。
「残念じゃの。
さてと、そろそろメインイベントにいこうとするかの」
白夜叉はもう一枚羊皮紙を出し、記載していく。
『ギフトゲーム名 沈まぬ太陽と紅に染まりし道化
・プレイヤー一覧 クラウン
・クリア条件 白夜叉に有効打、降参をさせる
・敗北条件 降参、戦闘不能、上記の勝利条件が満たせなくなった場合
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します
サウザンドアイズ印』
「こんなもんでいいかの?」
「構わないよ」
「それでは始めるとするのかの。
せいぜい私を楽しませてくれよ」
「まあ足掻いてみせるよ」
二人は一定の距離を取る。
「先手は譲ろうではないか」
「いいのかい?」
「よいよい、どれほどのものか見させてもらうぞ」
「それじゃあお言葉に甘えて」
クラウンは両手にナイフを持ち、白夜叉との距離を窺う。
「あんなナイフ二つで勝てると思っているのかあいつ」
「確かにあれぐらいのナイフでは勝ち目なんてないわね」
「でもなんかクラウンの雰囲気が変わった気がする」
「ええ、上手く言葉に表せないですが…明らかにニコニコしているときのクラウンさんではないです」
観戦していた四人はクラウンの武器を見て、それぞれの感想を言う。
(あやつ何ゆえナイフなんかを取り出したのだ?
あの程度の武器では私に届かんぞ)
全員が考えているときにクラウンが動く。
いや正確には姿がブレ始める。
それに驚く全員。
そのブレが治まると思ったその瞬間、クラウンの姿が消える。
「「「「な!?」」」」
(消えた!?いや違う!確実にこちらに向かってきておる!!)
白夜叉は冷静に周囲に微細な感覚を研ぎ澄まし、クラウンの位置を割り出そうとする。
「そこ!!」
白夜叉は後ろに振り向きざまに扇子で叩くが、そこには一本のナイフを弾いただけ。
「何!?」
さらに真後ろから殺気を感じ、咄嗟に自分の真後ろに炎の壁を作る。
「っつ!」
咄嗟に炎の壁を作らなければ、間違いなく白夜叉の負けであった一撃を何とか凌ぐ。
「まさか二段構えの攻撃とはの…恐れ入ったわ」
「こっちこそ、初手で決められなかったのは痛いね」
クラウンは表沙汰で動けないときに、暗殺を行っていた。
それこそどの世界においても、指折りで数えられるほどの実力者。
一撃は囮で二撃目が本命。
これに反応できたのは白夜叉が初めてである。
「やれやれ、また策を講じないといけないのか」
「これは私も本気を出さないといかんかの」
二人は再度距離を取り、相手の出方を窺うようだ。
「ヤハハ!クラウンのやつおもしれぇ事してくれるじゃねえか!」
「本当にのほほんとしてた人とは思えないわ」
「能ある鷹は爪を隠す、だね」
「ええ、本当にそうですね。
でも白夜叉様には同じ手は通じませんよ」
黒ウサギの言うとおり、ネタがばれてしまっては通じないのである。
元々暗殺とは人に見られて行うものではない。
一撃必中で仕留めなければ、自分に危険が降りかかってきてしまうからである。
それが白夜叉という、強大すぎる相手には…。
次回 三人の挑戦。一人の決闘。 後編
戦闘描写は難しいです…。
クラウンの初手クラスは暗殺者(アサシン)でした。
次の後編では違うクラスも出てくる予定です。
次はもう少し早く更新できるよう頑張りたい(´Д`)
ではまた次のお話で!