FE世界を渡り歩いた旅人が箱庭に招待されるようですよ? 作:飛翔翼刃
夏休み前から仕事のほうが忙しく、ちょこちょこ執筆しての繰り返しで…。
ホント夏休みが懐かしく思える(遠い目)
そして戦闘描写は( ^ω^)・・・ウン、ワタシニハムズカシスギタヨウダ。
ではでは本編どうぞ!
初手で決めようと必殺の一撃を繰り出したが白夜叉には届かなかった。
振り出しのように二人は距離を取り、お互いの手を探りあう。
「さて、おんしの次の手はどんな事をしてくるのかの」
次の手をどうしたものかと高速思考させていくクラウン。
しかし有効打は見つからない。
「流石に白夜叉に届く手段が見当たらないよ」
「降参するか?」
「しないよ。
最後まで足掻いてみせるさ」
クラウンは一冊の本を取り出す。
「ただの本…ではなさそうじゃの」
「正解」
クラウンは己の中に持ち得る魔力を迸らせ、本に宿りし雷の魔法を作り出していく。
「ほ~先程は近接に優れた暗殺者だと思っておったが、魔法も使えるとはな」
「偶々どの職種にも適正があっただけさ」
そうクラウンがいた世界では様々な
大体が一つの職種を極めるのだが、稀に幾つもの職種を使いこなす人も存在したのだ。
その内の一人にクラウンは含まれる。
「ヤハハ!クラウンのやつ魔法まで使えるとは面白いやつだな!」
「それでも白夜叉様には到底敵わないと思います…」
「それはわからないんじゃねえのか?」
「いえ、白夜叉様はあれでもかなり手加減をしていらっしゃいます」
「ホントバケモンだな!」
愉快に笑う十六夜。
(白夜叉に火の魔法は一切効かないだろうな。
なら、近接で畳み掛けるしかない)
「ほれ、ただ雷を落としているだけでは当たらんぞ」
「…………」
クラウンは集中しているのか言葉を発さない。
最初は白夜叉の居る場所に落ちていた雷も移動予測をし、雷を落としていく。
所々でカモフラージュの雷も落としていく。
そのカモフラージュの雷は主に目眩ましのため、魔力の消費が激しいが大きめに放っていく。
「予測箇所に落としてくるとは中々だが、決め手にはならんの」
しかし次の瞬間。
「うおっ!?」
雷を避け、クラウンに視点を定めようとしたら目の前に矢が飛んできている。
咄嗟に回避するも矢は頬を掠り、その箇所から血が滴る。
「まさか私に血を流させるとは」
「(今のでも掠める程度…)」
今放ったのは
その速度は常人が見たら、まず反応は出来ないであろう速度。
それを目の前から反射神経だけでかわした身体能力はもはや化け物といっても過言ではない。
「ほれ私をもっと楽しませてくれるのだろう」
そう言うと白夜叉からさらに威圧感が膨れ上がる。
「ぐっ!!」
その威圧感に少し怯んでしまうクラウン。
「まだだ!!」
次は手斧を白夜叉に二つ投擲していく。
それは弧を描くように白夜叉に飛来するが、扇子で受け流されてしまう。
その弾かれた手斧を帰ってくる方向を見定め、拾い、また白夜叉に投げる。
(あやつ先程から円を描くように動いとるの)
洞察力も優れた白夜叉はクラウンの動き方が規則的に廻りすぎているのを不振に思い始める。
しかし先程の事も鑑みるとこれも何かしらの布石。
そう考える白夜叉は何時でも対処出来るように自身に炎の鎧を纏わせる。
「おんしが何を狙っているか解らんがこの鎧を易々と破れると思わんことだな」
「そんな解っているさ」
二つ放っている手斧の一つをまた白夜叉に向かって投擲をする。
しかし白夜叉に向かっていく途中、何十もの炎の壁に阻まれ、白夜叉が纏し鎧に辿り着く頃には高温により手斧が溶かされてしまっていた。
「もう一つ!」
最後の手斧も効果はなくても、白夜叉に向け投擲する。
「やれやれ。また同じ手とは学ばぬの」
先程と同様白夜叉に辿り着く頃には溶けてしまう。
「さて、そろそろ飽きてきたし終わらせようかの」
少しだけ本気を出して終わらせようとクラウンの居るであろう場所を見るが…。
既にクラウンの姿はない。
「!!?」
突然真後ろから膨大な魔力の流れを感じ、直ぐに振り向くと。
「確かに貴女には今持ち得る手段では殆どが届かないだろうね。
けどこれは届くはずだ!」
そう言って自身が放てる魔力を限界まで振り絞り、白夜叉にその魔法は放たれる。
(外側が攻められないのなら、内側を攻めるまでだ!!)
「ルナ!!」
クラウンから放たれる魔法が白夜叉の内側から襲う。
凄まじい光が白夜叉を包み込み、姿形が見えなくなる。
「まさか白夜叉様がやられた!?」
「おいおい黒ウサギよぉ、フラグ立てんじゃねえよ」
光が治まりつつ、次第に姿が露わになっていく。
「さ、流石に内側からの攻撃はちと効くのう」
所々の服が破け、口からは血が垂れている。
「本当に貴女は恐ろしく強くて、恐怖しか感じないね」
「いやいや此処まで私を追い詰めるとは、おんしもやりおるの」
刹那、背後から殺気を感じ前転で回避行動に移ろうとしたが…。
「ぐぁっ!?」
背中に激痛が走る。
「私も本気でいかせてもらうからの」
その言葉を皮切りに白夜叉からの猛攻が始まる。
炎による攻撃、扇子での打撃、時として炎で形成された剣や槍のよる斬撃。
皮膚は裂け、焼かれ、血が出ている所が炎に焼かれ肉が焼け嫌な臭いがする。
もう何度目の攻撃だろう、クラウンは立っているのもやっと…いや奇跡に近いだろう。
眼は虚ろ、力は入らず、意識があるのかもわからない。
しかし白夜叉に慈悲などない。
それは敬意もっての一撃。
その一撃は鳩尾に深く決まり、10mほど吹き飛ばされてしまう。
「これでおしまいかの」
「やっぱりクラウンでも無理みたいだったな」
「ええ、仕方のないことよ」
「クラウンは頑張った」
「クラウンさん…」
吹き飛ばされたクラウンの周りは土煙が上がっていて姿が確認できないが、あれほどの攻撃を受けたのだから立ってはいないだろうと皆が思う。
***
(やっぱり無理だったみたいだな)
吹き飛ばされながら一人愚痴るクラウン。
地面に着く瞬間、凄まじい衝撃が走る。
(はは、痛みすら感じないや)
これほどまでの攻撃は今まで受けたことがない。
これは流石に死ぬんではないかと思ってしまう。
(意外とあっけない最後だったのかな)
楽しくもない人生。
(十六夜や飛鳥、耀、黒ウサギともっと過ごせたら良かったのに)
この世界は今までの世界より光溢れる世界だと思っていた。
しかしそれも此処まで。
静かに眼を瞑る。
(何を諦めているんだい)
(?!)
何処からか懐かしい声が聞こえる。
(君はこんな事で諦めるほど弱くはないだろう)
(しかし身体が動かないんじゃどうしようもないだろ)
(そんなものどうにでもなる)
(君は一人じゃないさ)
(僕達が力を貸すよ)
(力を貸す?)
(俺達は何時でも力を合わせて苦難や試練を乗り越えてきただろ)
(次は僕達が君を…クラウンに恩を返す番)
(僕達は何時でも君を待っている)
(早く僕達の所まで来れる事を祈っているよ)
幾つもの光がクラウンに取り囲み、包み込んでいく。
それは懐かしい
(ありがとう皆。絶対に勝ってみせる!!)
***
「そろそろ土煙が晴れるぞ」
皆が倒れているであろうクラウンを見つめている。
しかしそれは外れのようだ。
「ヤハハ!!マジかよ!!」
「彼も本当に同じ人かしら?」
「凄い!」
「クラウンさん!」
白夜叉を除く四人が驚いている。
「まさか立っているとは思わなかったぞ」
「僕も立ててるのが不思議なぐらいさ。
でも皆の力を借りている以上負けるわけにはいかない!!」
白夜叉に向かって走り出す。
「これ以上やっても意味はないと思うがの」
「それはわからないよ」
そう此処からはクラウン一人だけの力だけではない。
(マルス!力を貸してくれ!)
クラウンの手に光が収束し形が彩られていく。
「ファルシオン!」
「何!?ファルシオンじゃと!?」
ファルシオンを手にしたクラウン。
たちまちと傷が塞がっていく。
「うおおおぉぉー!!!」
白夜叉と切り結んでいく。
しかし白夜叉のほうは形勢不利。
いやファルシオンが持つ力により押され始める。
「ぐうぅ!小癪な!」
白夜叉は一度体勢を整えようと後退する。
「逃がしはしない!」
クラウンはファルシオンを離す。
するとファルシオンは光となり霧散していく。
(ロイ!君の力が必要だ!)
再び手に光が収束し、違う形状の剣が握られている。
その剣を上空に翳すと剣から凄まじい炎が纏う。
「吹き荒べ!闇を払いし爆炎!」
勢いよく振り下ろすと白夜叉の周りにて炎が飛んでいくのではなく爆発が起こる。
「ぐぅぅ!」
(この機会を逃したら次のチャンスはない!)
白夜叉に向かって駆けていく。
そのスピードは十六夜にも匹敵する速度。
いやそれ以上の速度を誇っているだろう。
クラウン一人の力ではこれほどまでの力など出せない。
全ては彼が一緒に戦い、傷つき、守ってきた仲間達との力の結晶。
今この瞬間、彼は
(アイク、漆黒の騎士……ゼルギウス!君達の力を一つにすれば敵わないモノなどない!)
女神の加護を受けし二振りの剣を両手に構える。
「私とてそう易々とやられはしまいぞ!」
あれほどの攻撃に爆発に巻き込まれても、まだ白夜叉の戦意は削れていない。
いや寧ろ高まっていっていると言った方が正しい。
久方ぶりに人類最終試練を登り詰めれるかもしれない人間が現れたのだから。
白夜叉からは行く道を塞ぐ大量の炎の壁にクラウンを呑み込まんとする炎の荒波。
それを物ともせず彼の者達は『勇気』と『愛』を語る。
「これが僕の!僕達の全力だ!!」
クラウンの姿がぶれる。
先ほどの残像とはわけが違う。
その数20以上。
その類い稀なるスピードと手数で相手を翻弄し、死へと誘う剣のエキスパート。
その剣の道を極めし者にだけ与えられ、讃えられる称号『
「ふふ。ふふふ。ふふはははぁは!!」
白夜叉は高笑いをする。
気が狂ったわけでもない。
今この時この瞬間、よもや20もいかぬ若造によって試練を乗り越えられるとは思わなかったからだ。
今はこの者に最高の祝福を贈ろうではないか!
次の瞬間、白夜叉の身に一つ、また一つと重い斬撃が放たれていく。
唯の剣ならば白夜叉の身を傷つけることなど不可能であろう。
しかし今此処に存在する二振りの剣は女神に祝福されし『神剣ラグネル』『神剣エタルド』。
「見事だ!人の子よ!」
白夜叉はクラウンに賞賛の辞を述べる。
「いえ、貴女の力に勝てたのは僕の力だけではありません。
今まで辛く厳しい戦いを共に支え合い、助け合ってきた仲間達との絆によって齎された勝利ですよ」
クラウンは笑顔で応える。
「良い笑顔じゃな。
流石に辛いから、私の部屋に戻るとしようかの」
クラウンの元に勝利を知らせるギアスロールが降りてきて、終了と共にゲーム盤から白夜叉の部屋へと戻っていくのであった。
次回 ここが私達の住む場所です!
スキルって便利ですよね。
でも覇者の剣のキルマーさんは封印の剣が舞台だから、スキルなしで7連撃をやってのけたことに…。
やっぱFEの人たちって凄いですよね…。
次はガルド戦突入前ですかね。
早く投稿できるように頑張ろう。
ではまた。