風の聖痕~和麻のチート伝説~ 作:木林森
今回の話は後半意味分からないです。オリジナル展開ぶっ込みまくりです。原作はもっとさらっとしてます。
あと、妖魔の説明がよく分からないので大分テキトーです。
ご了承下さい。
後味の悪い仕事
「趣味悪い館だなー」
思わずそう呟いた青年。中々失礼な事を言うこの男が一体誰かというと、我らが主人公和麻である。
「どうしよーかなー。帰ろーかなー」
そんな風な事を宣う和麻。
が、そんな事が出来るわけがない。何故なら、今和麻は仕事でここにいるのだから。
とりあえず館のインターホンを押す。
『どちら様ですか?』
「依頼を受けた八神だ」
扉が開く。現れたのは少々顔が厳つい老人だった。雰囲気的に執事だろうか。格好もそれっぽい。
「あなたが八神和麻...様ですか?」
様と付けるの少し躊躇ったが、一応この館に勤めている身として品格を貶めないように様を付けた。と、和麻は何となく勝手にそう思った。
そんな和麻のしょーもない考えは置いといて。この執事、和麻を訝しげな目で見ている。
それもそのはず、和麻はかなりラフな格好をしており、とてもじゃないが仕事が出来るようには見えない。
本当に大丈夫なのだろうか?そう思う執事だが、人は見かけで判断してはいけない。そう考え和麻を招き入れる。
「お入り下さい。旦那様がお待ちになっております」
言葉は丁寧だが、やはり不信感は拭えなかった。和麻はそれが言葉に出ているのを感じて、少し苛ついたが日本で初めての仕事でいきなり騒ぎを起こすわけにもいかないので、なんとか抑えて館に入った。
「なっ!?お前は和麻!?」
執事に案内された部屋に入ったらいきなり大声で名前を呼ばれたでござる。
一体誰だと思いその声の方を見ると
「...............」
本当に誰だ。目の前の男の事を思い出そうとするが全く思い当たらない。
不思議そうな顔で見ているのにバレたのか男がまた喚く。
「おい!何だその顔!まさか覚えてないわけじゃ無いだろうな!!」
「いや、そんな事言われても......。あんた誰?」
本気で分からず、地味に戸惑っていると
「慎治だ!結城慎治!神凪の分家の!」
そう言われ、数瞬間を空けて
「ああ!そういえば居たな!そんなの」
と、人をそんなの呼ばわりする和麻。
「テメェ!」
案の定キレた慎治。
が、
「んん゛っ!」
誰かが咳払いをする。
咳払いをした人物はハゲでデブなおっさんだった。こんな見た目でもこの館の持ち主で金持ちな男である。そして、今回の仕事の依頼主でもある。
「悪いがそういうのは仕事が終わった後にしてくれないかね?」
些か不機嫌そうに言う。
「結城君。やたらと騒いでいたが、八神君と知り合いかね?」
慎治に和麻の事を聞く依頼主。
慎治は分家とはいえ、退魔師として有名なあの神凪家に名を連ねているのだ。そんな人間と知り合いの男が一体どんな存在なのか。気になるのは当然といえた。
「ええ、多分神凪の人間は皆あいつの事を知ってますよ。だって、神凪の直系でありながら炎を使うことの出来ない無能でしたから」
和麻を貶める発言をする慎治。だが、和麻は対して堪えてない。その様子が慎治を苛つかせる。
そして、それを聞いた依頼人が和麻に怒鳴る。
「それは本当なのか八神君!君の腕は確かだと聞いたから私は君に依頼したのだぞ!」
そんな依頼人に対して、和麻はヘラヘラしながら
「仲介人が何言ったか知りませんが、嫌なら別にこの依頼無しにしても構いませんよ?俺は」
依頼人に挑発するような言動をとる。
怒るかと思いきや、依頼人は少し唸って何かを考え始めた。
そして、顔を上げ
「ならば、君と結城君とで勝負してもらおうじゃないか。どちらが仕事を成功させるか早い者勝ちだ」
と、勝手に勝負することを決めた。
そんな勝手な提案に慎治は
「それはいいですね」
ニヤリとしながら了承した。
依頼人が依頼した仕事は、この館に出る悪霊を祓ってほしいという退魔師の仕事。
慎治は和麻には勝てないというのを身をもって知っている。だが、退魔の対決ならば話は別だ。どれだけ身体能力が高かろうと、悪霊を退治する事は出来ない。慎治はそう思った。だろうと和麻は思った。そして、もしそう思っているなら、こいつはバカなんだろうなとも思った。
まず、退魔が出来ないならこんな仕事はしていない。こういう依頼を受けているということは、それなりに退魔師としての力があるということだ。
(そんな事も分からんのかこいつ)
神凪も墜ちたな。そう思った和麻だった。
「八神君もそれでいいかね?」
依頼主が聞いてくる。
「別にどっちでも」
投げやりに答える和麻。
その時、和麻はある気配を感じた。だが、おかしい。これは悪霊退治のハズだが、感じる強さは悪霊程度ではない。
まあ、それでも和麻の敵ではないが。
「むっ!来たか!」
(遅すぎだ。グズ)
和麻より7秒くらい遅くに気配を感じた慎治。遅すぎた為、和麻は内心で慎治を罵る。
「な、何が来たと言うんだね?」
依頼人が狼狽える。
「あんたが退治してほしいって言ってた悪霊だよ」
和麻は依頼人を見ずに答える。視点は部屋の奥。そこに青黒い邪気が溜まっていく。そしてそれは形を成して、悪霊になった。
(やはり、悪霊なんてそんな弱い存在じゃねぇな。クソ、あの仲介人め。何が楽な仕事だよ。神凪の奴とは仕事が被ってるし、もう二度とあいつ使わねぇ)
目を細め、悪霊を見ながらそう悪態をつく和麻。
「出やがったな悪霊め!この浄化の炎で消滅させてやる!」
慎治は悪霊が出てきて、すぐにその手に炎を生み出した。
(遅っ!)
並の退魔師ならそこそこの早さだし、慎治は分家の中でも威力はともかく、炎を出すスピードはまあまあ早い方だった。
だが和麻からすれば遅すぎて、むしろ冗談だろと言いたくなるのだった。
しかも
(なんてお粗末な炎だよ)
慎治が言った浄化の炎。神凪の最強たる由縁。なのに、今慎治が出している炎に最強なんて感じられなかった。
(いくら分家とはいえ、この程度の力しかねぇのかよ。神凪は本当にこの先やってけんのかよ)
思わず、神凪の行く末を心配してしまう和麻。慎治の炎がそれほどまでに酷かったということであった。
「喰らえ!悪霊!」
慎治が悪霊に炎を放つ。赤々と燃える炎が悪霊へと迫っていく。
和麻はそれを見て呟く。
「バーカ」
慎治の放った炎が悪霊に当たり、燃え盛る。そして
『ギキャキャキャキャキャキャキャキャ!!!』
悪霊が叫び、炎を辺りへと弾き飛ばす。そのせいで部屋が燃える。
「ったく、何やってんだか。それが悪霊なわけねーだろがよ」
どう見ても妖魔じゃねーか。
妖魔。簡潔に言えば人為らざる者。人に害を与える存在。数多く存在し、その強さは本当に弱いものから笑うしかない程強いものまでいる。
纏めると、人間にとってはマジでいらない存在。ということだ。
「あーあー。こんなに燃えちゃって。色々高そうなものあんのに。もったいねー」
でも、逆にこの趣味の悪い感じも無くなるかもしんない。
燃え盛る部屋を見てこんな感想が出る和麻は異常です。皆さん真似しないで下さい。
「た、助けてくれええぇ」
「あん?」
情けない声と共に依頼人が和麻の足に這いよって来た。
「引っ付くな。キメーんだよおっさん」
そう言って依頼人を蹴る。もちろん手加減はしている。
「た、頼む...。報酬の2倍出すから命だけはたすけてくれ......!」
「ふーん。あんたの命って二百万なんだ。随分安い命だな」
冷たい目で依頼主を見下しながら会話する和麻。
「だったら5倍!いや、10倍払う!」
「悪いねー。その程度じゃ助けてやれねぇわ」
和麻がそう言うと、風が吹き荒れた。風で炎は消え、そして
『ギギャアアアアアアアア!!!』
断末魔を上げ、悪霊もとい妖魔が消え去った。
依頼人はポカンとしていたが、助かったと理解し安堵した。しかし
「うぐっ!」
すぐに地面に這いつくばされる。和麻が足で押さえつけていたからだ。
「悪いねおっさん。まだちょっとお話があるんだよ」
和麻が悪い笑みを浮かべる。
「もういいぜ。入ってこいよ」
と、扉に向かって言葉を投げつける。すると、扉から和麻を部屋まで案内した執事が立っていた。
依頼人はそれを見て、驚きの表情を顕にした。
「っぐ!貴様!これはどういうことだ!」
依頼人が執事に向かって吠える。和麻はそれをニヤニヤと眺めている。
そして執事は依頼人の問に答える。
「旦那様。私はお前を許さない。お前のせいで私の娘がこの世を去ったのだから」
執事は淡々と、しかし底冷えするような声で依頼人を糾弾する。
「お前はその権力を使い、私の娘を手に入れようとした。が、金や権力に目が眩まなかった娘に対し、お前は腹を立てて、そこらのチンピラを雇いあろうことか娘を凌辱したな。結婚したばかりで幸せの絶頂だった娘を」
声は静かだが、目は血走って、まるで瞳孔が開いてるかのように見開いていた。
「許さん。娘の幸せを奪ったお前を。娘の幸せを奪っておきながら当たり前のように生きているお前を。私は決して許しはしない」
だから死ね。
和麻に押さえつけられている依頼人に何の躊躇いも無く、執事は懐から出したナイフで思いっきり頭を刺した。
何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も。めった刺しにした。
気が済んだのか、刺すのを止め立ち上がる。そして、執事は和麻に頭を下げる。
「私の依頼はこれで終わりました」
「ああ」
「報酬の一億は既に口座に入っております」
「分かった」
「それでは最後の仕上げをお願い致します」
「本当にいいのか?」
「はい。このようになってまで生きたいとは思いませんので」
「そうか。......なあ、これは興味本位なんだが、復讐してよかったって思ってるか?後悔はしていないか?」
「全くしておりません」
「そうか。だったら、あばよ」
ゴトッ
そう言って和麻は執事の首を落とした。
和麻はタバコを取りだし、火を点け吸う。そして、スパーっと煙をだし
「テンション下がるなー」
と呟いた。
後半はやはり意味不明ですね。
次回どういうことだったのか説明するつもりです。
次回は神凪家の方々が登場しますよー。綾乃や煉も多分登場します。