艦隊これくしょん 第八九特別掃討隊任務報告書   作:読図パニキ

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意味は左舷停止。今回の内容は作中で触れるので読み飛ばしてもらっても


Stop Port/抜粋

 ――1999年7月21日。

 

 太平洋横断中のクルーズ船「サン・ピエトロ号」海難事故発生。

 また他にも、7月以降の大小海難事故件数が増加を辿る。

 

 

 ――1999年8月10日。

 

 対領空侵犯措置に出撃した航空自衛隊、F-4EJ改が墜落。発見されたブラックボックスと機体残骸からは、戦闘の痕が確認された。

 航空機事故後、航空自衛隊は訓練飛行禁止措置を実行。

 

 ――1999年9月20日。

 

 鹿児島県西南西海域甑島(こしきじま)付近での民間船の救難信号を傍受したテレビ局のヘリコプターにより、深海棲艦の姿が初めて報道される。

 政府は非常事態宣言を発令。米国第七艦隊と協力して、本土近海での防衛作戦を実行。

 この作戦により、海上自衛隊は護衛艦“はるな”“みょうこう”“あぶくま”を喪失する。

 

 

 ――1999年11月21日。

 

 米第七艦隊及び海上自衛隊護衛艦隊により、砲撃及び雷撃能力を有する敵対性海洋生命体(通称:深海棲艦)の鹵獲に成功。

 防衛技術研究本部にて解析が進められる。

 深海棲艦への対抗策としては現在、分解能を強化・システムの一部を変更したレーダーによる索敵。

 その大きさの為に、これまでの人類が持つ攻撃システムでの対処は困難。火器管制システムの更新を早急に進める必要がある。

 

 

 ――1999年11月28日。

 

 深海棲艦には個体差が存在する。

 前足を持つもの。後ろ脚を持つもの。単眼、複眼――それぞれの差異に応じてイ級~ニ級と区別する。

 いずれにしても大きさは小型の鯨程度。

 特徴としては口腔内に砲門を持つ事。また、体内にアセトン系化合物を含有し、火砲の如く体細胞を打ち出す事。

 重油を分解・反応させエネルギー源とする事。骨格等に金属を使用する事。

 新種の生命体と考えられるが詳しい生態は不明。確認されているのは、船舶等への砲撃を行う事である。

 また、奴らは鰓を持たず適宜空気中から酸素を取り入れる必要がある。

 

 

 ――1999年12月21日。

 

 深海棲艦に別系統の個体が発見される。

 体細胞の大部分に金属粒子が含有され、強度が上昇。また、砲塔状の害敵部位が複数に渡る。

 他、人類のそれに酷似した前足や頭部と思しき物体が見られる。

 これらを、これまでに発見された深海棲艦と比べて「軽巡型深海棲艦」と称し、以前から存在していた個体については「駆逐型深海棲艦」と分類。

 さらなる解析を進める。

 

 

 ――2000年2月16日。

 

 研究の結果、深海棲艦の強度の秘密が明らかとなる。

 高度のフラクタル構造を有する肉体による、常識外の浮力の所持。強烈な細胞分裂・自己増殖速度を持つ事。

 また、金属に存在する何らかの素粒子(物質?)を通じて、補助神経伝達ネットワークを構成している事。

 そして何よりも衝撃的であったのが、その染色体数が人間と同じであり、遺伝子構造も酷似している事。

 この事から、これまで発生されていた深海棲艦は彼らの「幼体」であると推測される。

 現在、成体は確認されていない。

 

 

 ――2000年10月8日。

 

 金属に存在する素粒子は、奴らの「記憶」に関わるらしい。

 それを基に破損した生体の再生を行う。更にどうやら、遺伝子構造を自己で変貌させる機能も持ち合わせるらしい。

 また、奴らが体内に多く含有するこの素粒子が衛星カメラなどによる索敵や探知を困難とする。

 通常の深海棲艦よりも長時間の潜水を可能とする個体も発見された。

 鹵獲はできていないが、それらを「潜水艦型」と定義する。

 

 

 ――2001年9月11日。

 

 海洋上への航行を行おうとしていた民間機へ深海棲艦のものと思われる攻撃が発生。

 操縦不能となった旅客機数機が、米国本土ニューヨークで墜落。多数の死者を出す。

 

 

 ――2001年10月7日。

 

 米国、深海棲艦掃討作戦を決行。

 この戦闘に於いて成体と思しき個体の発見。

 それぞれ「重巡型」「空母型」「戦艦型」と称する。

 体細胞の殆どが金属を含有。強度は、これまでの深海棲艦と比べ物にならないほど上昇。

 更にその個体の多くは、人類に近い姿を持つ。通常火器での捕捉・撃滅が困難。旅客機墜落に関わる深海棲艦の攻撃は「空母型」のものと推測される。

 この大規模戦闘により米国海軍第七艦隊が甚大な被害を受ける。

 

 

 ――2002年1月18日。

 

 防衛技研に専門部署が設立。以後の研究は一元化し、国家主導で行う。

 

 

 ――2002年8月8日。

 

 生物が成長の過程で持つアポトーシスを誘発する因子であるが、人工培養した幼体からそれを発見。

 兵器への搭載を行えば、戦艦型深海棲艦の撃破も可能かと思われるが、劣化が早く搭載が困難。

 更なる技術研究が求められる。

 

 

 ――2003年3月20日。

 

 深海棲艦の第二次大規模侵攻。

 石油輸送経路に出現した深海棲艦と国連軍との大規模戦闘。様々な対深海棲艦兵器を使用するも、有効性が確認できず。

 東南アジア諸国に深海棲艦上陸。多数の戦死者・犠牲者が生まれる。日本政府は深海棲艦被害民の受け入れを閣議決定。

 

 この戦闘により、我々人類は事実上の制海権を喪った。

 

 

 ――2004年4月2日。

 

 素粒子の解析に成功。金属に含まれる記憶を、我々人類も知るところとなる。

 深海棲艦対策プロジェクトにも大きな助けとなるだろう。

 

 

 ――2004年4月9日。

 

 正式に、深海棲艦に対する「特殊攻撃技術」プロジェクト発足。

 

 

 ――2004年11月18日。

 

 兼ねてより研究の進められていた深海棲艦対策プロジェクトの一環が試作段階に。

 プロジェクトは研究者の名前から「富士プロジェクト」と名付けられる。

 奇しくも、大東亜戦争時に存在した最古参艦と同じ名称である。

 

 

 ――2006年8月6日

 

 数度の試験や実戦を経て、「富士プロジェクト」実用段階に移行。

 

 

 ――2007年1月19日。

 

 防衛庁、国防省への移行。

 それに伴い、「富士プロジェクト」による対深海棲艦用海上機動装甲歩兵を正式に兵科として採用。

 尚これらは通称、艦娘と呼ばれる。

 

 

 

 

用語

 

【艦娘】 (-カンムス) [名]

 正式名称:海上機動装甲歩兵。諸外国やレーダー表記ではFG(Fleet Girls)などを採用。

 それぞれ艦種が存在し、戦艦娘(Battleship Girls)、航空機母艦娘(Aircraft carrier Girls)、軽航空機母艦娘(Light Aircraft carrier Girls)、水上機母艦娘(Seaplane Carrier Girls)、重巡洋艦娘(Heavy Cruiser Girls)、軽巡洋艦娘(Light Cruiser Girls)、駆逐艦娘(Destroyer Girls)などが存在。

 おおむね背部に主機を背負い、そこから発生した電力を装備に通電させる事で航行・戦闘を行う。他に艦娘各員は深海棲艦の持つ記憶システムを応用して作成した、第二次大戦時の艦の記憶を有して戦う。原則的に有視界戦闘での運用を想定。

 なお男性はおらず、また、個々人の適性が存在する為希望した艦種になれるとは限らない。

 立派な国軍の兵士であり、危険任務に従事する為家族・遺族への社会保障は手厚いものとなる。

 

【艤装】 (-ギソウ) [名]

 正式名称:海上機動装甲歩兵用兵装。火器管制や推進機や電源、火砲や魚雷など武装も総称する。深海棲艦の生体組織を培養して製作されており、これらの作製は基本的に国が一元管理する。

 なお、それぞれ名称は威力を基に戦前の装備から引用されており、50口径46センチ砲と言っても、実際に砲身が50×46センチでもなければ直径が46センチでもない。

 脚部艤装は高度のフラクタル理論に基づいた構造が為され、体積に対して表面積が多大。それが宛らアメンボのように浮力を生み出す。無論これだけでは人一人を浮かび上がらせて航行は難しいが、通電させる事で浮力と推進力を生む。

 

【艤装‐戦闘服】 (-セントウフク) [名]

 装甲。高度のフラクタル(以下略)表面積が多大。各面に高周波で通電させる事で電磁防壁を発生させる。それ故に静音を求める潜水艦などの装甲は薄い。水中で海水に通電させると恐ろしい事になるのである。

 なお、何故か私立小学校の服装を思わせるものであったり、巫女服を思わせるものであったりと謎の機能美(?)を持つ。

 特に潜水艦のスクール水着。誰が計画したのかは知らないが、「あいつらマジで未来に生きてやがるぜ」と諸外国の海軍から嘯かれているとかいないとか。

 有する磁場に突入した物体の速度などから破壊力を推測する装置が備わっており、特に強力なものとあっては高出力で通電・防壁を倍増させるが焼き切れる。

 非常に羞恥を誘う姿となるのは全世界共通。その度に兵卒は気が気じゃないとか。

 なお、艦娘がいくら公務員で肖像権がないと言っても無許可で撮影されると憲兵にしょっ引かれる。くれぐれも裸体を撮影、ネットに投稿するのは止めよう。

 

【魚雷】・【雷撃】・【雷装】 [名]

 推進力を有し、水中を航行して対象物へと命中と共に雷管が作動。爆発するもの。及びそれを用いた攻撃。

 ただし深海棲艦・艦娘ともにそのサイズが実際の船体以下で在り、さらには大方が水上を航行するために、直撃は困難。

 それぞれが持つ磁場に近接した際に爆裂する事と、その爆風が致傷範囲で在る事を“直撃”と称する。

 

【深海棲艦】 (-シンカイセイカン) [名]

 1999年を境に出現した、人類への敵対意思を持つ水棲生物の俗称。

 俗称であるがネットなどを通じて広く認識され、国会答弁などにも「俗にいう深海棲艦」と称されてしまった為に公文書にもそれらの名前が使われるようになった。

 遺伝子数は人間と同じ。遺伝子構造には異なりを見せ、その体細胞には金属が含有される。体内で火薬を合成し、死細胞など体の一部を砲弾として砲撃を行う。

 それ故に船を襲っては“食す”。他、生態は不明。人類に近似した個体も多く、中には人語を介する存在もいるのではと囁かれる。

 金属に含有されるある素粒子を記憶システムとして活用しており、高強度の自己修復を行う肉体を有する。

 対策として彼らが成長過程で行うアポトーシスを引き起こす因子を組み込んだ弾丸を撃ち込むが、中にはそれが通用しない個体も。

 「駆逐型」「軽巡洋艦型」「重巡洋艦型」「戦艦型」と等級が存在し、右に行くほど高火力・重装甲の個体に変わる。イロハにより、級が分類。

 他に「軽空母型」「空母型」、「潜水艦型」、「重雷装巡洋艦型」、「補給艦型」、「揚陸艦型」などが確認される。

 

【砲撃】 (-ホウゲキ) [名]

 砲塔を有する艤装に火薬と砲弾を用いて射撃を行う事。

 駆逐艦娘、軽巡洋艦娘、重巡洋艦娘、戦艦娘となるに連れて高威力の砲を装備可能となる。通常の対人携行火器とは比べ物にならない火力を有するものの、実在する戦艦の主砲ほどではない。

 砲弾には深海棲艦の体細胞培養により作り出した、再生を阻害する因子と金属に含有される素粒子の持つ“船の記憶”が搭載。これを叩き込む事で再生を阻害しつつ、46cm砲による砲撃の“記憶”を撃ち込み、深海棲艦の再生システムを阻害する構造。

 なお、劣化が激しく艦娘の持つ艤装以外への搭載が極めて困難。




明かせる範囲での設定および用語。一部は、『艦娘の真実』の記事より抜粋


朝潮型はガチ
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