で、でも!これからは明るい話書いていこうと思いますのでので!
そうして彼は何かを欠落してから数年が経ち中学3年生にまでなった。
過去の出来事からまるで不運という不運に取りつかれたように彼自身に悲惨なことが起きていた。それが起こるたびに彼は彼自身による防衛本能のせいか感情という感情を出すことが無くなっていった。
元々容姿も良く大人しく静かな子供だった彼は歳を重ねるごとにそこに大人びた雰囲気を醸し出すようになり、今ではまるで立っているだけで絵になるような青年にまで行った。
分家の中には彼の謎のチカラのせいや不運っぷりに彼を疫病神だとか死神だとか言う輩も増えて彼が本当に久良家の跡取り息子として相応しいのかという声まで上がりだしている。
やはりそれでも跡取り息子としての顔もあるため客人や仕事関係の相手には表面上だけの笑顔は作れるようになっていた。
だが、それでもあくまで表面上だけである。
どれだけ愛想よく笑顔を振りまこうが彼の心の中はひどく冷たく氷の世界のように閉ざされている。
中学生までは親が客人と接する機会が多かったとは言え高校生となるとそうはいかない。
両親や周囲の人間は彼がどうにかしてきちんとした表現が出来るようにと色々なことを試してみたが彼の心の中は周りが思っているほど生半可な冷たさではなかったのだ。
両親は焦っていた。
このままではまたいつあの謎のチカラが働いて周りに危害を加えるかも知れないしそれに彼の欠けた部分も戻すことは出来ないのかも知れない。
そう思った彼の両親は昔、彼を『川神院』に連れて行ったことを思い出した。
チカラが再発してから彼には秘密で度々『川神院』の鉄心から助言をもらっていたのだ。
そこで両親や親族は話し合い、いっそのこと高校3年間『川神院』に預けてみてはどうだろうかという結論に辿り着いたのである。
西日本に本拠地を置く久良家とはいえ日本全国に分家は存在している。
そうなるともちろん東日本、多くは川神に存在している武人達の名前は届いてくるもの。
世界に名を轟かせている九鬼財閥にも凄腕の武人や使用人が何人もいることは勿論のことながら『武神』川神百代のことも耳に入れていたのだ。
そんな猛者がうごめく地に彼を任せてみては少なからず彼も変わるのではないか、と淡い期待を抱きながら彼にこの事を話してみるのだった。
彼は最初この話を聞いたとき少し何か考えるような素振りを見せながら自分のチカラの正体と抑え方を知るために向かうと決めたのである。
そうして彼が卒業を迎えると同時に彼は両親と共に『川神院』に訪れた。
最初、彼が川神に訪れたときは強者の闘気や覇気を肌に微力ながら感じていた。
『川神院』に着くと既に鉄心や川神院師範代のルーが待ち構えていた。
「ほぉほぉ、よく来たのぉ~。かれこれ十数年ぶりじゃのぉ。」
「川神鉄心さん、ルー師範代。どうかこの子のことをよろしくお願いします。」
「任せてくださイ。この川神もとい川神院に来たからにはビシバシ鍛えますヨ。」
「では、お二人ともこの子の事どうかお願いします。零斗、お前もしっかり変わるんだぞ。」
「分かりました、父さん。安心してください。」
そう言い残して彼の両親は川神院を後にしたのだった。
「では早速で悪いんじゃがまず零斗くん、君はこの胴着に着替えて来てくれんか?」
「わかりました。ではお部屋をお借りします。」
彼は早速胴着に着替え鉄心、ルー、零斗は誰もいなかった道場へと入って行った。
「うむ、気の結果もしっかりかけてっと。ではまた早速では悪いんじゃが君が持っているというチカラ…あれを見せてくれることはできるかの?」
「チカラ…ですか…。でもあれはほとんど無意識に出るものでまだ僕には…。」
その通り、零斗は今までこのチカラを出すときは無意識でやっており、今出せと言われて出せるものではなかった。
大体このチカラが今まで発動したのは数えれる程度の回数なのだ。
それに怒りや憎しみ、悲しみが頂点に達したときのみにしか発動できていなかった。
「そうカ。それは困ったネェ。」
「むぅ、だがこれを今どうにかせんとこれからの日常に支障を与える可能性が高い。そうなるとこの町や人々に危害を与えかねん。」
「そうですよね。本当に申し訳ない。」
彼は謝ると頭を下げた。だが、これが本当に謝罪として心がこもっているわけではないのだ。それを聞いて鉄心もルーもこれが彼の辿ってきた人生の中での悲惨さの塊なのかと可哀想に思ってしまっていた。
「うぅむ、仕方のない。非常にこの方法だけはやりたくなかったのだが京極家の者を呼ぶしかないかのぉ。」
「なニ!?総代!!それは本当ですカ!?」
「自身で出せぬ強大なチカラとなると外から引っ張り出すほかないわい。勿論わしも本当なら使いたくなかったわ。」
「…総代がそう決めるのであれバ、それに従いまショウ。」
「それではルーよ、頼むぞ。」
「分かりましタ!」
そういうとルーはどこかへと走り去って行った。
さっき名前が挙がった京極という人を呼んでくるのだろう。
「あの外から引っ張り出すってどうするんですか?」
これは恐怖や心配の念から来る言葉ではない。
感情がない以上これは、あくまで引っ張り出すという方法に対する質問なのだ。
「なに、心配せんとも大丈夫じゃよ」
そういって鉄心は明るい笑顔を見せてくれた。
これもこの人なりの気遣いなのかも知れない。
そうこうしているとルーはある一人の青年を連れてきた。
年は自分より2,3上の人物なのだろうか。和装をしているせいか余計大人びて見える。
ちょっとした自己紹介が入り彼は京極彦一という人物らしい。
年は自分より1つ上、つまり16ということらしい。
「よろしく頼む、久良君。」
「よろしくお願いします、京極先輩。」
「それでさっき零斗くんに軽く説明した通りこの京極彦一による言霊(一種の催眠術らしい)で、辛いかもじゃろうが無理矢理悲しみを思い出してもらう。」
「なるほど、わかりました。では京極先輩お願いします。あともしかしたら京極先輩も危ない可能性があるのでその時は」
「なぁに、心配せんでもわしが付いておるから大丈夫じゃよ」
「では久良君始めさせてもらうよ。」
そうして京極彦一による言霊を使っての引っ張り出しが始まった。
と言っても最初はやはり零斗のことを心配してか軽めのものから始まった。
だが零斗も感情が消えてしまった身であるため強くしてもなかなか悲しみの頂点に達することは出来ない。
それでも京極彦一による言霊の影響が出始めていた。
「うぅっ…。」
「むぅここまでとは…相当な人生を歩んできたのじゃろう…悲しいことよ…。」
そうして京極彦一の頑張りの成果により零斗の悲しみは頂点まで行った。
「ぬぅ?!?!なんじゃこの気は!!ルーよ!!結界を強めるのじゃ!!」
「は、はイ!!総代!!」
栓が緩んだ水道というか振り続けた炭酸の栓を外した時の感じと言えば分かりやすいだろうか。
溢れんばかりの気で川神院の総代である川神鉄心もこの気の量には驚いていた。
「なんということじゃ!!これはちときつめにいかんと辛いかもしれんぞ!!」
「うあああああああああああああああ!!!!!!!」
「耐えるのだ!!久良君!!」
京極は何とか鉄心のおかげで精神を保てているが彼でもこれに当てられれば最悪命を落としかねないと本能で理解した。
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零斗が目を覚ますとそこは見知らぬ天井、周りには鉄心・ルー・京極が揃って彼の顔を見ていた。
「あ、あの…僕…。」
「うむ、気づいたようじゃな。ここは川神院のこれから君が使うことになる部屋じゃ。」
「あの後すごい大変だったが、学長のおかげで何とかなったよ。」
「すいません、ご迷惑をおかけしました。」
「いや、こちらこそ滅多にお目にかかれないようなものを見せてもらったからこれでイーブンだ久良君。」
「そうですか…それで鉄心さん、僕のチカラ…あれはどういうものなのでしょうか。それに僕に扱うことができるのでしょうか。」
「うむ、それじゃがな。あれのチカラの正体を教える前に君に一つ約束をしてほしいのじゃよ。」
「約束…ですか?」
「そうじゃ、約束を守るというのであればチカラの正体と扱い方を教えよう。」
そういって鉄心は真剣な眼差しで零斗の顔を見つめた。
彼は元からそのためにここ来たのだからどんな約束でも守らねばと思い返事をした。
「分かりました。その約束、どんなものでも守りましょう。」
「うむ、いい心がけじゃ。それで約束とはこのチカラを使うのはわしがもうお主が扱い方をマスターしたと許可を出すまでは特訓以外で使うことを禁ずる。よいな?」
「分かりました。先ほども言いましたがその約束守りましょう。」
「いい返事だネ。ではこれからも練習頑張ってネ!!」
「では私もそろそろ失礼しよう。またいつか落ち着いたときにそのチカラの正体を教えてくれよ久良君。」
そういってルーと京極は部屋から出て行った。
この部屋に残るのは鉄心と零斗の二人のみ。
そういって鉄心は辺りに誰か居ないかどうかを気で探した後に少し考えた顔をした。
恐らく鉄心もチカラの正体を何なのか分かっているがこれを伝えて零斗の人生が大きく変わるかも知れないと思い悩んでいるようだった。
そうして少しの静寂がこの部屋を漂う。
すると突然鉄心は口を開いた。
「いいか久良零斗、お主のチカラの正体がわかった。よく聞いておれよ。」
「わかりました。どんなチカラであろうと扱って見せますよ」
そういうと零斗は作った笑顔を鉄心に向ける。
「うむ、いつかそれも治るといいのじゃが…では伝える。お主のチカラの正体は―――」
ハァハァなんかgdgdになってる気しかしない(´゚д゚`)
主のメンタルは豆腐メンタルなので優しいコメントお待ちしてます…