俺の事が好きなのであろう人形使いが毎回付きまとってくるのだが一体どうすればいいのだろうか?   作:エノコノトラバサミ

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比較的シリアス回の前にやりたい事の為、眈々と物語を進めております。
しばらくは変態成分も薄く、盛り上がりに欠ける事でしょう。
しばらく我慢してくれるとありがたいです。
そのうち爆発しますから。


あっそ

 新しい朝が来た、希望の朝だ。

 喜びに……あ、歌詞書くのダメなんだっけ? 悪い悪い。

 とにかく朝が来た。別に新しさも希望も無いんだけどな。

 

「それでは行ってきますね」

「ご主人、すぐに戻りますから!」

「行ってらっしゃ~い」

 

 という事で、仕事に向かう二人。俺とこいしは特にやる事無く家で留守番だ。

 ……ん、誰が配達行ってるんだって? 文とモミーに決まってんだろ?

 え? 何で文が家から出て行ってるんだって?

 

 あ、そうか。それでは過去回想、レッツゴー。

 

 

 

「私を正式に雇って下さい! 下宿させて下さい! お願いします!!」

 

 前話の事件からしばらくした後、烏が家にやって来ました。見た目で分かるのですが、途方に暮れてしまったらしいですね。

 

「いいよ」

「やっぱそうですよね、流石に無理が……えぇ!?」

 

 そんな彼女を、俺は受け入れる事にしました。

 何せ忘れてたけど、文は幻想郷最速。配達の早さも尋常じゃない。更にモミーと二人なら、あっという間に仕事なんて終わる。何でコイツ今まで新聞記者やってたんだろうと疑問に思ったが、どうせ聞いても無駄なので忘れよう。

 それに飛脚なんて重労働、今や進んでやりたいなんて思う人はいない。それほど重労働故に、給料も弾むのだ。節約次第では俺一人で相当な人数を養える程に。養う気なんてこれっぽっちも無かったけどな。

 

「いやぁ、期待して無かったのですが、来てよかったですよ~」

 

 何で皆俺の事期待しないんだよ。

 

 

 

 ……と、そんな訳です。別に面白くとも何ともねぇな。

 そろそろネタ尽きて来たんだよ、頼むから察してくれ。

 

「ねぇねぇお兄さん、今日は何して遊ぶ?」

 

 特にやる事も無いのでこいしに付き合ってあげる毎日。なんか、ダメ人間みてぇだな俺。

 

「ん~、今日はかくれんぼでもするか?」

「そんな事よりプロレスごっこしよう!」

 

 なんで聞いたんだよ。

 

「タワー○リッジ!!」

「うお、痛てぇ!! 背骨が折れるぅぅぅ!!!」

 

 容赦ねぇなコイツ……

 

「そこまでよ!」

「だ、誰だ!」

 

 ふと忽然と姿を表した一つの影が、こちらへと降りてくる。しかも、見覚えが無い。

 

「弱いものイジメは許さない!」

 

 俺は弱いものらしいです。

 

「き、貴様は!?」

「私は……えっと、その……仮○ライダーだ!」

 

 作品ごったがえすな、紛らわしい。

 

「私の邪魔をするな、仮○ライダー! 喰らえ、ライダーキック!!」

 

 放つ方逆じゃね?

 

「グハァ!! ……く、この私が……こんな奴、に……」

「ハハハハハ、正義は勝つ!」

 

 盛大な茶番をありがとう。

 

「……それで、貴方だれですか?」

 

 こいしに蹴られた当の本人である女性はふと思い出した様にこちらに向かい合うと、深々と頭を下げて御辞儀した。

 

「ついついこいし様のお遊びに乗ってしまいました。私は霊烏路空。皆にはお空って呼ばれてます」

「お空ねぇちゃん久しぶり!」

「もうこいし様ったら、すっかりなついてしまって。ご迷惑を御掛けして申し訳ありません」

「は、はぁ……」

 

 なんだろうこの凄いお姉さんオーラは。

 

「あの……こいしのお姉さんですか?」

「いえいえ、私は昔からさとりお嬢様の元に仕えていた使用人兼ペットなんですよ」

「ペット?」

「はい、私こう見えて元々カラスでして、まあ色々あってこうして人の姿になったり、核融合の力も使えたりするんですよ」

「そうなんですか……」

 

 こう見えてっていうかバリバリ背中から黒い翼見えてるけどな。

 

「とりあえず、外で話すのもアレですから、中へどうぞ」

「これはご丁寧に、ありがとうございます」

 

 

 

「それで、今日はどうして家へ?」

「純粋にこいし様の様子が気になりまして」

 

 もしかして、連れ戻しに来たのか?

 

「こいし様、さとりお嬢様から伝言です」

「何?」

「お土産宜しくぅ!! だそうです」

「あっそ」

 

 お嬢様……

 

「という事で、一旦私は地底に戻ります」

「あ、もう行くのか?」

「はい、荷物を纏めなくてはいけませんから」

 

 荷物? どういう事だ……

 

 そうして、空は空へと飛び立ってしまった。きっと忙しいのだろう、俺とは違って。

 ……なんか、虚しくなってきたな。

 

「……こいし」

「何?」

「お前は、家に帰りたいか?」

「別に。私はお兄さんと居れればそれでいいもん」

「……そうか」

 

 ちょっと、複雑な気持ちだ。

 

 

 

「ただいま帰りました~」

「ご主人様ぁ!」

「おかえりモミー!」

 

 仕事を終え、帰ってきた二人。しっかし、いつ見てもモミーのこいしへのなつき様は凄いな。あそこまで行くと最早洗脳だな。おぉ、怖い怖い。

 

「あ、そういえば、帰る途中に飛脚さんに用事があるって人連れて来ましたよ」

 

 すると、文の後ろから先程見たあの人の姿が。

 

「また会いましたね」

「……」

 

 空の背中には風呂敷一つ。それを床に置くと、またもや深々と頭を下げた。

 

「では、今日から宜しくお願いします」

「…………え?」

「さとりお嬢様が私に『こいしの面倒でも見てやれ』と仰りましたので。こうみえて、掃除、洗濯、お料理、核融合、何でも出来ますよ」

「え、お空おねぇちゃん一緒に住むの? やったぁ!」

「ご主人様のお姉さん、宜しくお願いします」

 

 ……なんで、皆家に来るんだろう。




烏が二羽に狗が一匹。
次話は……狐かな?

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