俺の事が好きなのであろう人形使いが毎回付きまとってくるのだが一体どうすればいいのだろうか?   作:エノコノトラバサミ

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 皆様本当にお久し振りです。五ヶ月ぶりの更新となります。
 ぶっちゃけ内容忘れた(元からほぼ皆無)ので展開が不安ですが、たま~にボチボチと更新したいと思ってます。



紅霧異変? ⑤

 家からちょっと離れた森の中。

 そこの一番大きな木の根本で、俺はただじっと眼を瞑っている。

 辺りには皆の姿。こいし、文、椛、空、藍、小傘、そしてフラン。姿は見えないけれど、気配は感じる。皆が、この世紀の瞬間を眼にしようと立ち会っている。

 

「驚けぇ!」

「ッな、小傘テメェ、こんな時にズボン脱がすなぁ!!」

「あははは、大成功!!」

 

 ったく、雰囲気ぶち壊しだよ。

 

「ていうかお兄さん、早く飛んでくれません?」

「俺に言うな文、アリスに言ってくれ」

 

 俺の真上、木の枝の上に、アリスが待機している。

 俺の体に糸を通して持ち上げて、一時的に空を飛ばせる準備をしているのだ。アリスも初めての事の様で、念入りにしなければ危ないとの事。まあ、仕方がないよな。

 

「とうとうお兄さんも弾幕デビューかぁ」

 

 何故か感慨深そうに藍が呟く。

 

「この調子でトントン拍子で進んで行って、いつか人間も辞めちゃうんだな……」

 

 前話が前話だからそれは言わないでくれ。

 

「もしも力が欲しいなら、私の式にしてやるぞ」

 

 いや結構です。

 

「え、ホント!? じゃあ私式になる!」

 

 こいし、お前何言ってんの? そんな力欲しいの?

 

「こいしちゃんがなるなら、私も!」

「じゃあ私とフランちゃんでペアルックだね!」

 

 何か違うぞ。

 

「こいしちゃん……子供はいつ作る?♥」

 

 飛び過ぎだよテメェ、てか無理だよ。 

 

「準備出来たわ!」

 

 アリスが上から叫ぶ。皆が会話を中断して、一斉にその時を見守る。流石に直前になると大人しくなるな。

 

「それじゃあ、いくわよ」

 

 両手を広げると、上から垂れ下げられた糸が俺の体をぐるぐる巻き付けていく。超が付く程細く、眼を凝らしても視認する事が難しい。こんなに細いと俺の体が千切れそうだが、魔法で俺の体の強度も上げているので、そんな悲惨な事故は恐らく起こらないだろう。

 

 足がゆっくりと地面から離れていく。

 皆が少しずつ低くなっていく。

 

「……すげぇ、飛んでる……」

 

 感動。生身の人間が何も付けずに、空に浮かぶなんて。

 

「凄い凄い、お兄さん飛んでる!」

「後は素早く動けるかですね」

「まあ私達は皆飛べるんですけどね」

 

 低く見えていた皆の姿があっという間に同じになった。

 あぁ、神様はなんて不公平なんだ。

 

「……なぁ、今思ったんだけどさ」

「どうしたの、お兄さん?」

「皆って、どうやって飛んでるんだ?」

 

 思えば、それが当たり前なので深く考えた事は無かった。

 文と空は分かる。背中に翼があるし。

 

「実は私の尻尾はプロペラなんだ」

 

 嘘つくな女狐。

 

「フランちゃんは羽あるよね」

「わちきには傘があるよ!」

「傘で空飛べるのか?」

「こう、上に向かって息をフーッて」

 

 お前の体重どうなってんだ小傘?

 

「皆オナラで飛んでんのよ、細かい事はどうでもいいじゃない」

「じゃあアリス、お前はオナラで飛んでんのか?」

「たまに○○○が出ちゃうわ」

「死ね」

「弾幕ごっこの最中に、つい力んじゃってお尻か──」

「テメェも死ねカラス」

「お兄さん、私トイレ行きたくなっちゃった」

「ほら見ろ、話題のせいでこいしが催しただろ、何とかしろ」

「こ、こいしちゃん……どうしてもって言うなら、私が何とかして……」

「え、ホント、フランちゃん!?」

「何もするな馬鹿野郎トイレ探して来い」

「大丈夫だよお兄さん……私、こいしちゃんの物なら全部受け止めて」

「止めろって言ってんだろ吸血鬼」

「トイレなら心配なく、私が他の奴等のテリトリーではない場所を探しに行って来ます!」

「本当、モミー!?」

「お前は犬になる気か!?」

「て言うか、ちょっと飛べばすぐ家に戻れるじゃない」

 

 アリスのこの一言で、この場にいた全員が顔を見合わせた。

 

「……行ってくるね」

「……おう」

 

 アリスの奴、昔と比べたら随分とまともになったものだな。

 

「ったく、私はスカ○ロは専門外なのよね……」

 

 あ、さっきの無しで。

 

「……チッ」

 

 え、今フラン舌打ちしなかった!?

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、俺の弾幕ごっこの特訓が始まった。

 アリスの糸に操られながら、借り物のスペルカードで弾幕を出す練習を何度も繰り返す。仕方ないじゃん、俺魔力とかそーゆー類いの力無いし。

 

 そして、とうとうその日が訪れる。

 


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