俺の事が好きなのであろう人形使いが毎回付きまとってくるのだが一体どうすればいいのだろうか? 作:エノコノトラバサミ
『魂魄妖夢 様へ』
白玉楼って、どうやって行けばいいんだよ……
「ありがとう。はい、お駄賃」
「イャッフゥゥゥ! 今後とも御贔屓に!」
そんな訳で、博麗の巫女に依頼して白玉楼へ。アイツ最早巫女というより何でも屋だな。というか別世界宛に手紙出すなよな、メンドクサイ。サンタクロースへのお手紙をポストに入れるのと同じ様なもんなんだぞ。
長い階段を登り白玉楼へと進む。疲れるかって? 疲れないと言えば嘘になるけど、日頃から走り込んだ俺の肉体はこの程度では根を上げんのだ!
てな訳で白玉楼へと到着。実は来るの初めてなんだよな。たまに魂魄妖夢が里に買い物しに来るのは見かけてるけど。
「妖夢さん、お便りです」
……返事がない。ただのしかば……幽霊だ。
「妖夢さぁん、入りますよ~」
門を開けると、そこに見えるは美しく整えられた庭だった。そしてその真ん中にポツンと一人、誰か座っている。
……妖夢だし。
なんでどいつもこいつも返事しないんだよ。
「あの~、お便──」
「来るなぁ!!」
「うおッ!?」
いきなり刀振ってきやが……刀じゃなくて新聞紙かよ。文々。新聞って書いてあるよ。
「どうせ……貴方も笑いに来たんでしょう!!」
「ハァ?」
「剣士の癖に刀無くした私を嘲笑う為に来たんでしょう!! ええどうぞ、存分に笑って下さい!! 間抜けでヘタレな私を存分に笑えばいいじゃないですか!!」
「……おた」
「知りません! そんなもん!!」
……今日はどうしてこんなメンドクサイんだよ。
刀、探すか。
白玉楼をぐるぐる回りながら刀を探す。が、そんなものは見当たらない。よく考えりゃ当たり前か。庭に落ちてたらすぐ見付かるもんな。
俺は屋敷の中へ向かった。刀を探す為に!
……とかいうのは口実で本当は中が気になったからだ。
屋敷の中も庭に負けず劣らずキレイだった。どこを見てもゴミ一つ落ちていないし、家具も上質なものばかり。こんな家に住んでみてぇよ。
「あら、お客さん?」
「うおッ!?」
後ろに誰か居たし!! ビックリした!!
どうしてこの世界の奴等はみんな背後に這い寄ってくるんだよ!?
「ふふ、そんなに驚く事無いじゃない。あ、私幽霊だから気配感じないのも仕方ないわね。所で、どんなご用件?」
「あ、妖夢さんにお便りがあるのですが、刀を無くしてしまったみたいで……」
「あら、そうなの。手伝ってくれてるのね。ありがとう」
「いえいえ……」
……おい、まともな人が居たぞ! 久しぶりにちゃんとした会話した気がする!!
「あの、名前は何ですか!?」
「私? 私は西行寺 幽々子。この世界を管理したりしてるんだけど……あ、ちょっとごめんなさい。そろそろ時間なの」
時間?
「貴方も一緒にやる?」
「はい? ……じゃあ、とりあえず一応」
一体何をするんだ?
「はい、ワンツーワンツー!」
「こう……ですか……」
「そこで腕を大きく振って!」
「は、はい……」
「膝を曲げて屈伸!」
「……」
「手を上げて大きく伸びて!」
「……これ何ですか?」
「エアロビクスよ」
「あの……一ついいですか?」
「何?」
「幽々子さん、幽霊でしたよね?」
「ええ」
「今やってるこれ、何ですか?」
「エアロビクスよ」
「意味あるんですか?」
「あるわよ! 女性たるもの、美容と健康には気を使うべきだわ!! その為の努力は惜しまない、それが私のモットーよ!!」
……惜しいなぁ、色々と。
「ふぅ、良い汗かいたわね~」
「そうですね……」
「あ、そういえば、妖夢の刀なら冷蔵庫にあったわよ」
何故それを先に言わない!?
てかどうして冷蔵庫なんだよ!?
言われるがまま冷蔵庫を開ける。だが、そこに刀は無かった。
「あれ? おかしいわねぇ」
元から嘘なんじゃねぇのか?
「違うわ! 嘘じゃないわよ!」
地味に心読むなよ覚り妖怪かテメェは。
「こうなったら、妖夢に心当たりを聞くしか無いわねぇ……」
「妖夢ぅ~、刀の場所に心あ──」
「ウッセェ死ね!!」
話しかけた第一声が死ねかよ……
「参ったわねぇ、どんどん性格が凶暴になってきてるわ」
「これどうします?」
「仕方ないわ。久しぶりに幻想郷に降りて探すとしましょう」
「そうですね……」
従者の刀を主が探すってな。まるで永遠亭だ。
……よく考えれば全く違げぇわ。
「そういえば、その手紙に何て書かれてるの?」
「え……基本本人以外開けちゃいけないのですが……」
「私は主だから私にも権利はあるもの」
……まあ、いいか。
「どれどれ……魂魄妖夢様へ。刀は私が貰いました。霧雨魔理沙より」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……帰り、どうしよう」
「泊まっていく?」
「ありがとうございます」
「ダーリン……帰ってこないわ……放置プレイかしら!?」
※追記
変態成分が足りないので次回も白玉楼です。