知らないドラクエ世界で、特技で頑張る   作:鯱出荷

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区切りのいい位置で場面を変えたいため、更新期間が開いてしまっているにも関わらず、いつもより短めです。

…決してシリアスなバトルシーンが書けないことに屈したわけではありません(´;ω;`)

それと最近3DSに出たドラクエですが、もちろんダウンロードしてプレイしてます。
しかし相変わらず、回復役がいないうちにサマルトリアの王子を探すのは面倒ですね。

【2017/11/19 追記】
今回の話で、8名から誤字脱字のご指摘をいただきました。

いつもありがとうございます。


【第33話】そこに何体ものレイザーがおるじゃろ?

----ポップSide----

 

「すごい。あれが、レイザーの力でパワーアップしたハドラーの力…」

 

バーンとの戦闘をするハドラーを見て、ダイが感嘆の声をもらす。

そんなダイは俺達が合流するまでに傷ついているにも関わらず、今にもバーンに飛びかかっていきそうなため、俺がダイの肩を抱き、抑え込んでいた。

 

【ハッソゥ!ハッソゥ!】

 

蘇ったハドラーは周囲を溶かすほどの魔炎気を身にまとい、その一撃一撃全てがヒムのヒートナックルのような重みがある。

更に体に埋め込まれた黒の核晶による悪影響がなくなった超魔生物は自己回復能力も備えているため、真の姿となったバーンでも戦闘に専念せざるを得ない状況だ。

 

【ハッソゥ!ハッソゥ!】【ハッソゥ!ハッソゥ!】

 

その余りの熱波に、共闘しようとしていたアバン先生やラーハルトは火傷から前線から下がり、付いていけるのはヒムだけとなっている。

 

そして暗黒闘気で回復呪文では治療できないダメージが残るダイと、魔炎気の巻き添えで火傷を負ったアバン先生のために『ハッスルダンス』を踊ってくれてはいるのだが…。

 

「なるほど、なるほど。ただ闇雲に動くのではなく、このように一挙手一投足、動き一つずつに気持ちを込めるのですね。『ハッソゥ!ハッソゥ!』…うん。気合の入る良い掛け声です」

 

モシャスによってレイザーに化けたアバン先生。

 

「ふむ、面白いな。見ただけでは無駄な動きと思っていたが、実際に動きを真似してみると次から次へと移る動作は効率的で無駄がない。これが舞踊というものか。『ハッソゥ!ハッソゥ!』」

 

モシャスによってレイザーに化けたラーハルト。

 

「アバン先生はもちろん、まさか竜騎将もダンスの心得があるとは…。やはり『ダンス万能説』を提唱するべきか」

 

そして諸悪の根源、レイザー。

まるで邪悪な儀式の生贄のように、俺とダイの周りに合計3体のレイザーが踊りまわる地獄絵図ができていた。

 

ちなみにマァムとクーラは「バーンからの攻撃に備える」と言って逃げられ、囲まれているのは俺とダイだけだ。

またさっきから、アバン先生やラーハルトが『ハッソゥ!ハッソゥ!』と奇声を上げる度、瞳にされたヒュンケルからレイザーへの怒気が膨れ上がっていくのを何とかしてほしい。

 

ただこちらだけが辛いということはなく、位置的に常にレイザーを見なければいけないためか、バーンの頭には青筋が立ち、思った以上に本調子が出せていないようなので痛み分けといったところだろう。

 

…勇者と大魔王との決戦での痛み分けって、こういうことじゃない気がする。

 

「バーン、貴様は気づいているはずだ。…お前はレイザーを恐れている」

 

何度目かの仕切り直しとなったハドラーも、何か変なことを言い出した。

 

「俺と立ち会っている際も、必ずレイザーを視界に入れるようにしている。それにお前は気づいているからこそ、苛立っているのだ」

 

「いや。余が奴から目を離せないのは…」

 

「ふふふ。そういって自分を言い聞かせているのだろう?俺もそうだったぞ」

 

「話を聞け。進化の秘法で復活したが、脳が退化しているのか?」

 

ヒムが必死に首を横に振るが、ハドラーは話を聞く様子を見せない。

それどころかアバン先生は「当然です」と言わんばかりに頷き、ダイも「父さんや先生どころか、ハドラーにも認められるなんてすごい」と目を輝かせている。

 

どうやってダイやアバン先生に正気に戻ってもらえるか考えていると、それよりも先にバーンからの怒号が飛ぶ。

 

「次から次へとこの変人は…!今度は何をしているのだ!?」

 

ハドラーから再びレイザーに視線を移すと、いつの間にかレイザーは踊りの輪から外れて、床に座って何枚もの絵を描き上げていた。

 

「このバーンパレスは美しい建築物だが、大魔王の拠点として足りないものがある。それは自己顕示欲を具現化した物だ。だから雰囲気作りのために、今からでも贈呈品と思って。…これなんていい出来だと思うんだけど、どう思う?レオナ姫」

 

「バーンの瞳化から解放してくれたことにはお礼を言うけど、その理由が『王族からの絵の評価が欲しかった』なんて知りたくなかったわ」

 

恐らく『凍てつく波動』の練習としてだろうが、レオナ姫が元の姿に戻り、絵を見せてくるレイザーへの怒りをこらえていた。

 

しかもその描かれた絵の数々は無駄に上手く、バーンも美形に書かれているがポーズはボディビルのような姿ばかりで、瞳化を解除された怒りも加わり、バーンはもう何と言っていいか困り果てた表情をしている。

 

本当に、暇だからって奇行に走ろうとするのはやめてほしい。

 

「うーん…やっぱりただの人物画だと普通過ぎるな。だったら今度は浮世絵風にs『ガシッ』…あの、マァムさん?」

 

なお絵を増産しようとしているレイザーの頭を、マァムが鷲掴みにする。

 

「そんなに元気があるんだったら…戦って来なさいっ!」

 

アバン先生を始めとする周囲への悪影響に限界を迎えたのか、掴んだレイザーをバーンへと投げつけた。

床をバウンドしながらバーンの前に滑っていくが、クーラもマァムの行動を仕方ないと思っているのか咎める様子もないし、そもそもレイザーなら大丈夫だろう。

 

「助かるぞ、レイザー。幾ら回復能力があると言っても体力は消費する。しばらくこの場を預けるぞ」

 

そう言って下がるハドラーに続いて、ヒムもレイザーから一刻も早く離れるためだろうか、全速力で下がる。

だが、バーンはレイザーに付き合う気はないようだ。

 

「貴様らの喜劇に付き合ってやるのもそこまでだ。…まずは地上の邪魔者を消させてもらう」

 

その言葉と共に、はるか下の方から爆撃のような音が響く。

 

バーンが行ったのは、これまで度々地上への無差別攻撃として行っていた巨大な杭のような物を落下させることだった。

 

地上にいるフローラ女王様やバランのことを気にする俺達に対して、バーンは先ほど落下させたのを含めて計6発の攻撃は、無差別攻撃などではなく、杭の中に潜ませた黒の核晶を呪文の威力を増幅させる六芒星の位置になるよう地上に落とし、地上そのものを消滅させることが目的だったと明かした。

 

そしてバーンが魔力を放てば、いつでも起爆させることができる状態だという。

 

アバン先生の話では先ほどの地上への攻撃でミナカトールは破壊され、ルーラなどで外部に出られないよう結界が張られてしまったという。

更に地上に残っているメンバーに、もう黒の核晶をどうにかできる戦士はいない。

 

それを確信したからこそバーンはこの場で計画を実行に移し、その全貌を明かしたのだろう。

しかしその計画を話している中、バーンがふと思い出したことがあるらしい。

 

「そういえば落下させたピラァ・オブ・バーンの内、バルジ島に落とした物は突如余の魔力でも届かない場所に消えていたな。恐らくバラン辺りが何かしていたのだろうが、5本でも十分に威力が発揮される。無駄な抵抗だったな」

 

嫌な予感がする。

 

1つ。最近、各地の魔王軍拠点に行った。

2つ。ルーラなどを使えて、無駄に行動範囲が広い。

3つ。巨大な落下物など珍しい物に対して、嬉々として何かやらかす。

 

バランとの比ではなく、それらに該当する人物にダイとバーン以外が視線を送る。

 

「レイザー、どうせお前だろう?」と。

 

視線を送られたレイザーは、苦笑いをしながら同じく視線で返す。

 

「Yes,I do.(はい、私です)」と。

 

そしてレイザーが袋から取り出したのは、禍々しく輝く黒の核晶。

多少申し訳なさそうに、レイザーは語り出す。

 

「久しぶりに里帰りしたら変なのが刺さっていたんで、拾ってきました」

 

「捨て犬拾ってきたみたいに言わないで!確かに黒の核晶のことをあなたに教えたのはバルジ島から戻って来てからだけど、その時点で皆に相談して!!」

 

マァムの怒りが頂点に達したようだが、レイザーは懲りた様子もなく言葉を続ける。

 

「いや。『黒の核晶』っていうくらいだから、『赤の核晶』とか『青の核晶』とか全部で7色あって、全部集めると願いを叶えてくれる的なアイテムかと…」

 

「どんなファンタジーかアドベンチャーだ!…あぁ、もうとにかくそれを早くしまえ!!」

 

理屈はわからないがレイザーの袋にはバーンも干渉できない力があるらしいため、隠すよう指示する。

しかし何か思いついたらしく、俺の言葉を無視してレイザーはバーンへ叫ぶ。

 

「バーン!地上にある黒の核晶を起爆させたら、俺の手元にあるこれも爆発させるぞ!ちなみに色々いじったから、お前が停止させようとしても無駄だ!…だから爆破するのは止めてください!!」

 

アバン先生やラーハルトが逆転の一手を見つけたかのように「その手があったか」といった様子で驚いているのは、彼らの気の迷いだと思いたい。

しかしレイザーの脅迫のおかげで、現在地上が命拾いしているため何も言えなかった。




【追記1】
ここからかなり悪ふざけが加速するため、まだまともなところで切っております。

私でも「怒られそう」と躊躇するくらいのノリなため、今回の皆さまの反応で方向転換するかもしれません。

【追記2】
今回のレイザーの突発的な行動の内、まともな理由で行ったことが一つあります。
そのため感想で「何でこんな迷惑行為してんの?」などと聞かれて不自然にスルーしている点があったら、そこが答えと思ってください。

【追記3(という名のボツネタです)】
考えていたサブタイトルの候補ですが、他に使うところなさそうなので晒させていただきます。

■あなたが困っているのはアバン的なレイザーですか?ラーハルト的なレイザーですか?それともレイザー的な何かですか?
 →長い上に、サブタイトルで内容が予想できかねないので却下。

■奴にジェットストリームハッスルを仕掛けるぞ!
 →勢いで書いたものの、テンション落ち着いてから見直したところ、自分でも意味不明なため却下。

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