安心院さんと炬燵に入って蜜柑を食べつつ駄弁りながら物語を傍観するだけの簡単なお仕事。因みに時給2500円 作:惰猫
いつの間にか画面の向こう側の時が進んでいるような気がしないでもない。
まあ、それは時と空間の狭間に置いておくとして、だ。
俺達二人が炬燵の中で蜜柑を食べながらみている状況が凄いことになっている。
主に主人公っぽいめーさんが凄い形相で白髪の風紀委員長を殴っているのだ。
因みにめーさんとはどっかの戯言使いな主人公(?)の呼び方から取っている。
主人公繋がりだし、これだけ傍観しているのだからそろそろ呼び方くらい変えても怒られないと思う。
「一方的に知ってるだけだけどね」
「まあ、それを言っちゃあお終いなんだけれどもね」
「なら僕のことも親しみを込めてなっちゃんとでも呼びなさい」
「え、やだ」
「なん、だって?」
「なんで驚かれてるのかは解らないけど、普通に名前呼びしたいからだからな?」
「知ってたよ」
「まあ表情が微塵も変わってなかったから知ってることを知ってたけれど」
「凄いね。以心伝心だ」
「あ、そういえばそんなスキルを作ったけどいるか?」
「因みにソースは?」
「『身気楼』だな。相手の認識を弄るって所を弄って相手に自分の心を伝えるって形にしたんだよ」
スキルの数は今や自分でも把握仕切れない所まで来ている。
ここまで来るとは流石に俺自身驚きな訳なんだが。
尚、認識していないスキルは名も無きスキルとして頭の片隅に置いている。
まあ、多分俺のスキルは今やなじみのスキル数の数百倍くらいにはなっているだろうな。
おお、凄いインフレだ。
どっかの龍玉や脱色なジ○ンプ漫画も吃驚なんじゃあないだろうか。
ああ、そうだ。吃驚したことと言えば、この作品の原作が打ち切りの様に終わったことだな。
「メメタァ。……まあ、ジャ○プのいけないところは人気のある内は引き延ばそうとするとこだったしいい加減キレたんじゃあないかな」
「メメタァ。さて、はい。ハッピーバレンタイン&ホワイトデー」
「あ、ありがとう。……なんで今なんだい?」
「いや、とっくに過ぎてしまったからな」
「まだコッチでは五月くらいの筈なんだけど」
「アッチでも五月になってしまったからだな」
「メメタァ」
俺は炬燵の布団から出て台所に向かう。
なんとなく桃が食べたくなったんだけど、何処かねぇ?
桃って美味しいけれど、かぶりついたら口の周りが荒れたりするのが嫌なんだよな。
昔、桃を食べて美味しかったけど次の日から数日間口の周りが荒れるという嫌な経験をしたことを思い出してしまった。
ちくせう……。今思い出してもなんかむかつく。
「ん、この匂いは桃かい?」
「Exactly」
指を弾いて一瞬で桃を八等分にする。
……自分でやっててなんだが、厨二っぽいんだよな。
まあ、こうやった方が精度が増すからしょうがなくやるにはやるんだけれども。
因みに『Exactly』に合わせて弾いたのは内緒だ。
「んじゃあ、そっちに送るぜ?」
「了解だよ」
なじみを指パッチンをする。
すると、炬燵の上にあった蜜柑と蜜柑の入っているカゴが台所に来て、切った桃が炬燵の上に転位した。
「……いつもいつもツッコむがなんというスキルの無駄使い」
「でも、このスキルは光一が作ってくれたんだぜ?」
「まあ、そうなんだが。食べ物の周りにあるものしか転位出来ないように劣化させた元々のスキルが『不慮の事故』な『食欲の為す自故』。存在価値が本気で解らないスキルなんだよなぁ……」
「案外使えるけどね」
「日常生活では使えても戦闘では全く使えないぞ?」
「そもそも僕等って戦うのかい?」
「……うむ、戦う可能性は0だよな。それに、俺等が出てったとしても負ける気がしない」
「そうだね。めだかちゃんの主人公補正も無くすことが出来るようになったしね」
「そうだな。あのスキルを使えば敵の必殺技がぎりぎり急所を外れない。行けども行けども殺人事件に遭遇しない。「悪運の強い野郎だ」とか言われない。かつてのライバルが絶体絶命のピンチに通りかからない。トーナメントで弱い順に当たらない。曲がり角で女の子とぶつからない。敵の気紛れで生き残ったりしない。敵の妹と知り合えない。旅先でばったり友達に出会わない。土壇場で逆転の秘策が思いつかないそれから運動神経は人並みになり、思考スピードも人並みになるからな」
「今の一瞬でそれだけのことが思いつくんだね」
「まあ、台本通りだしな」
「メメタァ」
「まあ、それはさておき、だ。めーさん白髪になってるな」
「白髪って……」
「あれじゃあ白神めだかじゃあないか……。ごめん、今の無かったことにして。というより無かったことにする。『大嘘憑き』」
「>そっとしておこう」
「!?……なじみ、今どうやってその言葉を発したんだ?」
「『身気楼』に数十個のスキルを合成した相手に言葉に出来ない言葉を伝えるスキルだよ。光一のとは少し違って、言葉に出来ない言葉しか言葉に出来ないそんな言葉を司るスキルだよ」
……案外『身気楼』って弄りがいのあるスキルなんだな。
まぁ、『大嘘憑き』には劣るがな。
なにせ『大嘘憑き』は逆転すればなかったことをあったことに出来るし、すこし弄ればなかったことをなかったことに出来るようになる。
ああ、素晴らしきメインキャラクターのスキルってところだな。
『正義はいつでも勝つんだよ!!』
「おいおい、風紀委員長くん。その言葉はめーさんに言って良い言葉じゃあないぜ?なにせめーさんは存在が正義だからな。例え人を殺しても、強盗しても、嘘を憑いても、どんなことを犯しても正義になるんだしな」
「それとは逆に人外な僕等が何をしても悪になるんだよね」
「まあ、何をしても俺はなじみの側から離れる気はさらさらないけどな。例えこの気持ちがなかったことになったとしても、な」
「……光一って時々凄い格好いいよね」
「なんか、時々って言葉が気にくわないが、お気に召されたなら光栄です、お姫様」
「良きにはからえって言うべきかな?」
うむ、なじみがお姫様だったら誰に攫われることもないだろうな。
どっかの桃のお姫様は一体何回攫われていることなんやら。
「そう言えばお金ってどうしてるんだい?」
「ん?遊戯王のE・HEROプリズマーを数十枚買ってそれをオークションに売ったりして暇を潰してるよ」
「……なんつー無駄使いだよ。せめて漫画でも買えばいいのに」
「ああ、現存する書物は全部書架に置いてあるぜ?全部揃えるのには苦労したなぁ……」
因みに今ハマっているのは『俺の青春ラブコメ○間違っている』というライトノベルだ。
あれは面白いよな。今、深夜アニメでやってるからついつい夜更かしして見てしまうんだよな。
……まあ、夜更かししたところで眠たくなることも、疲れることもないんだけどさ。
なにせ『大嘘憑き』で無くしてしまえば良いんだからな。
「……君も君でスキルの無駄使いのオンパレードだよね」
「まあ、どうせクマーのスキルだし」
「そうだね、どうせ球磨川くんのスキルだもんね」
……桃を食いながらボーっとしていると不意に凄い言葉が聞こえた。
『私は生徒会長だぞ!学園校舎の一つや二つ動かせんわけがなかろうが!!』
「「いやいや、その考え可笑しい!」」
「……おいおいおい、なじみ。めーさんって本当に人間なのか?」
「……うん、たぶん。きっと。そう、だと良いなぁ」
「ははは、人外筆頭のなじみに人かどうか疑われるって凄いな……」
「人外筆頭の光一も顔が引き攣ってるじゃあないか」
「俺の場合は軽く呆れているだけなんだが」
「僕は呆れを通り越して笑えてくるよ」
……と、取り敢えず、まぁ、その、なんだ?いつもの如く明日は明日の風が吹くって言うし、新しい明日目指して頑張るとしよう。
「あ、そうだ。京都に行こう」
「……へぇ!?」