狭間少女~Proprietà comune~ 作:Il cielo
01/変化
気づくと私は、見覚えの無い道路に一人で佇んでいた。
周りを見回してみるが、やはり見覚えがない。
よく、考えてみよう。何故、私はこんなところにいる?
今まで何をしていた?
確か、学校から帰ってきて、ご飯を食べて、ベッドに入って眠りについた…はず。
「夢…?」
そう思い、頬を強めに抓ってみるが痛みが走る。
それに、吹き付ける風から感じる寒さは現実としか思えない。
夢では無いとしたら、まずここはどこなのだろうか?
風景が全く見たことがないから多分、私のいた町ではないのだろう。
といっても、辺りが暗闇につつまれているので断言は出来ないが。
とにかく、どこにしても持ち物を確認しないと始まらない。
だが、鞄等は持ち合わせてなくカーディガンやスカートのポケットをあさる。
そもそも何故、私服なのだろうか?
私はちゃんと寝間着を着て寝たはずなのだが…。
そう思った矢先、手に何かが当たる感触がしてそれを取り出す。
「綺麗…」
それは淡く、しかしハッキリと光輝く丸い宝石だった。
よく見てみればうっすらと、ピンクに色づいている気がする。
暫く宝石にみとれていたが、そんな場合ではないと気づきポケットにしまう。
そして、再びポケットを漁る作業を再開する……が、
結局なにも見つからず途方にくれる。
溜息をつきながら、壁に寄りかかり座り込む。
先程の宝石を出せば光輝き、私を照らす。
「一体どーゆー原理で光ってるんだろうね…」
宝石をつつきながら呟く。
いや、そもそも私がこんな所にいることからしておかしいのだ。
原理など考えない方が正解なのかもしれない。
「はぁ…」
宝石の光は少し私を安心させてくれるが、結局何の解決もしていない。
此処がどこなのかもわからないし、金もない。
つまり、住む場所も食べ物もないのだ。
途方にくれ、顔を服に埋め、目を閉じると暗闇に包まれたからなのか
両親や友達の顔が浮かぶ。
「お父さん………お母さん………」
口にだすと、途端に不安になり瞳からぽつり、ぽつりと涙が溢れだす。
声をあげるとそれこそ本当に不安に押しつぶされそうになる気がして、
必死で声をころす。
スカートに目を必死にこすりつけて、涙を拭くがすぐに溢れでてきてキリがない。
「ぅ………ぁ…っく…」
唇を噛みしめながら、とまれ、とまれ、と念じるが一向に涙がとまる気配はない。
こんなにも私は弱かったのかと思う反面、もうどうにでもなってしまえという気がしていた。
だからだろうか。自暴自棄になっていた私の耳に誰かが近づいてきたことを
知らせる足音は聞こえていなかった。
「ねぇ」
話しかけられてやっと気づき、顔をゆっくりと上げる。
涙で視界が潤んで前がうまくみえないので、ゴシゴシと少し乱暴に涙を拭く。
ハッキリと前が見えるようになった私の目にうつっていたのは、
私から少し離れた位置に立つ『黒』と呼ぶのに相応しい綺麗な少年だった。
月明かりに照らされるその姿がとても美しいと思った。