狭間少女~Proprietà comune~ 作:Il cielo
「やばい、やばい……どうしよう…!」
授業終わりに前の席から聞こえてきたのは、そんな言葉だった。
恐らく先週やったテストが返ってきたのでその事だろう。
まあ、クラス中がその話題で持ち切りなので珍しくはない。
ちなみに私の隣の席の人物は先程からその事で唸り声をあげている。腕の中にあるテストの端に書かれている数字が27な事に気付けば納得だった。
その点はあまりにも酷い。
中学生のテストならば見かけない数字なわけでもないが、小学生のテストは80点超えて当たり前という所がある為余計にだ。
これ以下の点数でないならまだ大丈夫だろう、そう思い玲奈に声をかける。
「玲奈ちゃん、テストどうだった?」
「………梓ぁ…………終わった」
大袈裟な、と思いながら玲奈のダランと気力の抜けた手からテストの解答用紙を抜き取る。
「えっと………ぇ」
そこに書かれていた数字は27。
これはちょっと大丈夫じゃないかもしれない……。
「玲奈ちゃん他の教科は?」
そう聞くと、黙って自分の机を指差す。
数枚の紙が机の上にあるのを見て、それを素早く取り寄せる。
流石に27以下の点数はなかったものの、32、41、59と一つも60すら越えないという悲惨な点数だった。
「うわぁ………」
「…………中学早々これとか…」
「それに比べて梓さんはすごいねぇ」
玲奈が落ち込んでいる隣で何時の間にか私のテストをひったくっていた友優が感心していた。
「………何点なの?」
玲奈が友優の方をちらりと見て聞く。
「全部100点。」
「はぁぁぁあ?」
「僕もあと少しだったんだけど、ケアレスミスで一教科だけ99点になっちゃって……」
「は?え、まって、このテストそんなにレベル低いの?」
まあ、小学生のテストだし私は100点取れないとヤバイというか、取れるのが普通というか……。
それにしても、彼は勉強出来るのか。ますますモテる要素が増えた。才色兼備というやつなら私は彼を殴ってしまうかもしれない。
才色兼備ほど私が嫌う人はいないかもしれない。
私がそれと程遠いばかりに、その人種に嫌悪感を抱く様になっているのだ。
私が恨めしそうな目で友優を見ていると、玲奈が強引にテストの話から話題変えをした。
「あーもー!テストの話は終わり!2人は部活何に入るか決めた?」
「私は部活に入る気ないけど。」
「あれ、そうなの?興味ある物ないの?」
「んー、そーゆー訳じゃないけど……何と無く?」
「ふぅん」
本当は部活に入るくらいならその時間を修行に当てたいだけだが。
まあ、面倒というのもあるが。
団体競技だと人とコミニケーションを取らなければいけないし、個人競技であれば自分の下手さが浮き彫りになる。
それに、最近雲雀さんの影響か、人と群れるのが嫌になっている傾向があるのだ。それと同時に並盛への執着も強くなっている気がする。
なんとも影響とは恐ろしいものだ。
「友優は野球部?」
「うん、そのつもり」
「野球やるの?少し意外。」
おっとりとしたイメージがあるので、野球とかサッカーとかいかにも運動部といったスポーツをするのは意外だ。
「そうかなぁ?野球、好きなんだよ」
「小学校のころからやってるのコイツ。他のものにはあんまり興味ないのに、野球だけには夢中なんだよ」
「へぇぇ……」
玲奈の説明を聞きながら、友優の顔を見る。
見ればみるほど、野球に熱中するようなイメージはわかない。
人は見た目によらないものだ。
「玲奈は何か入るの?」
「んー、テニス部に入ろうかなって」
「テニス?玲奈も小学校の時やってたの?」
「ううん。そうじゃないけど、やってみたいなって」
まあ、大抵の人はそうだろう。
小学校からスポーツをやっている人の方が少ない筈だ。
「ふーん、がんばってね」
「梓も一緒に入らない?」
「え?」
何と無く、返事を返していると思わぬ言葉が返ってきて目を丸くする。
しかし、冗談じゃない。私はサッカーだろうが、テニスだろうが球を使うスポーツは全く出来ないのだ。
サッカーでシュートをすれば、斜めどころか真横に飛んでいくし、テニスでボールを打てば狙っているところから少なくとも5mは横にずれる。
左を狙えば右に、右を狙えば左に。
いわゆるノーコンという奴なのだ私は。
なのでテニス部なんて断固お断りだ。
「ごめん、私はいいや。」
「そう?残念」
私は、この誘いを断ったことを後で酷く悔やむ事をまだしらない。
最近、卒業式がありました。
腹痛で唸ってました。
いつも卒業式は体調が悪くなります。