狭間少女~Proprietà comune~ 作:Il cielo
リング争奪戦の時16設定です。
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ツナ13:雲雀16
リング争奪戦時17
私が彼を雲雀恭弥だと断定したのにはとある理由がある。
彼に助けてもらってから、少し歩いた所に不良が溜まっていたのだ。
彼としては風紀を乱している彼らを咬み殺すのは当然だった。
彼は私に一言まっててと言うと、ほんの数秒で不良を咬み殺して帰ってきた。
彼等の返り血を浴びて佇む少々ホラーな姿を見て
思いだした。
むしろ、『咬み殺す』と台詞、そして彼の武器であるトンファーを見て気付かない方がおかしいという物だろう。
彼らしからぬ優しさに、雲雀恭弥ではないのでは?と思ってしまうが、先程の光景を見ていると本物としか思えないのだ。
今更思うのだが、あの時学ランを掴んだ私は何て勇ましいく、命知らずなのだ。
そもそも彼が雲雀恭弥だとわかると、家に行くというのが裏がある様にしか聞こえない。いろんな意味で。
しかし、行く所が無いので彼について行くしかない。
彼には感謝すべき所なのだが、それ以上に怖さがこみあげてくる。
せっかく泣き止ませてもらったのに、悲しさと虚しさゆえ一粒だけ涙が流れる。
それをカーディガンの袖で拭って唇を噛みしめる。
これからの事を考え、私は弱々しいため息をついた。
……………
「あらあら、まあまあ!可愛い子!」
雲雀恭弥の家についた途端、私は彼の母親らしき人物にガクガクと揺さぶられ、しまいには抱き締められていた。
随分、雲雀恭弥とタイプが違うのと頭がクラクラするとので私は混乱していた。
「じゃあ、あとは頼むよ」
彼はとはいえば一通り事情を説明した後、何処かへいってしまった。欠伸をしていたので恐らくこれから就寝につくのだろう。
「じゃあ………えーっと…」
何か言おうとした直後に口ごもるので何なのだと首を傾げる。
「ごめんなさい。貴方の名前を教えてもらってもいいかしら?」
そう聞かれてまだ名前を言って無い事に気が付く。
「あ…あずさ…梓です」
「そう…良い名前ね。私は恭花。恭花と呼んでくれればいいわ」
そう言って微笑む恭花さんは私の手をとると、徐に歩きだすのでそれについていく。
「梓ちゃんは今日はここで寝てくれる?」
そう言って案内されたのは広く、いきなりやってきた私に用意するには豪華すぎる部屋。
和室なのもあってか、見慣れない部屋に目眩がする。
「あの……良くあるんですか?こういう事」
ふと、思って聞いてみる。そう思うほど、手慣れていたのだ。
「ん?そうねぇ。確かに良くあるわよ。恭弥が迷子の子供をつれてくること。」
「子供……」
「えぇ、貴方みたいに可愛い子をね。小動物みたいだから、助けたくなるらしいわよ」
小動物か……。と、いうことは私もそう見られているのか。
私の容姿が幼く、身長も低いのは認めよう。
だが、いっておく。私は彼よりも歳上で高3であると。
少なくとも中学生の彼より年下ではない。
しかし、中学生に間違われる事はあったが、彼より……中学より下、小学生に見られた事は無かったが…。
まぁ、雲雀恭弥よりも歳上だったから追い出される、なんて事になってもこまる。異論はとなえないでおこう。
「ところで梓ちゃんは何処にすんでるの?」
「………っ。その……お母さんとお父さん…が…」
きっと彼女ならこの言葉で両親が死んだと思ってくれるだろう。
もっと幼さをだすためにパパ、ママ呼びでもよかったか?
「そう……ならウチにくればいいわ。ね?」
「え…?あ、の…いいんですか?」
「もちろん」
あっさりと受け入れてもらえた事に驚くが何はともあれよかった。
「じゃあ、取り敢えずお風呂にいきましょうか」
「あ……はい」
部屋からでて、恐らく風呂であろう場所に移動する。
途中の道順はしっかりと覚えておく。
しかし、広い…流石、雲雀恭弥の家というだけあるだろう。
「じゃあ、此処に服はおいてあるからね。」
言われた所をみると、寝巻きらしきものが畳まれておいてある。
私が返事をすると、恭花さんは出て行った。
周りを何気なく、そう何気なくただ、何となく見回すと1枚の鏡が目に写る。それ自体に何も問題はない………が、写っている者に問題がある。
……………誰だコレは。
鏡には小学生ほどの少女が写っていた。
その顔は私の顔よりもずっと幼く可愛いかった。
子供特有のプニッとした頬を触る。想像よりもずっと柔らかい。
……そんなことより。何だコレは。
いくら私の顔が幼いとはいえ、ここまでではない。
というか、そもそも顔がちがう。
どうして?なんで?そんな事を考えると頭がパンクしそうになる。
私は取り敢えず、風呂に入ってしまう事にした。
こんな状況だ。顔くらい変わるのかもしれない。
そう思ってしまえる自分はもう手遅れなのかもしれない。
風呂へと続く扉を開けると、そこにはまるで銭湯の様な光景が広がっていた。
この家は何もかも広く、豪華だなと思いながら身体を洗う
シャワーでシャンプーをおとしながら、今日の事を思い返す。こんな状況になっても案外何とかなるものだな、と思う。
一通り洗い終えたのでゆっくりと浴槽につかると、一気に疲れがとれる。
「ふぁぁぁぁあ…」
あまりに気持ち良く声をあげる。
とりあえず、衣食住が確保できたことに安堵する。
安全が確保できたことで、他の問題が浮かびあがる。
まず第一に何故、雲雀恭弥がいるか、だ。
彼は漫画に出てくる人物で、いわゆる二次元というものに存在している筈。それこそ、言葉通り次元が違うのだ。
しかし、彼は此処が並盛だといった。
つまり、私が次元を越えてしまったのだろう。
いわゆるトリッ……いや、この言い方はやめておこう。
そりゃあ漫画のキャラと会えるのはなんとも新鮮で嬉しくないと言ったら嘘になるし、受験が目の前だったのでそれから逃げられて正直、少しホッとしているところもある。
しかし、やはり漫画の世界と現実では現実の方が大事だ。
友達にも両親にも恵まれている私にとって、現実で充分なのだ。ト……次元を越えるなんてとんでもない。
まあ、きてしまったからには必死で生きようとは思う。
第二にこの姿。
私の身体ではないこの姿。
よくよく見れば、顔だけではなく前より身長は低く、声も高い。
コレについてはどうしようも出来ないし………する必要もないのかもしれない。少なくともこの世界では。
この容姿のおかげで私はのたれ死ぬ事を回避できたのだ。
そうポジティブに考えるしか………ない。
第三にこの宝石だ。
脱衣所においてこないで、持ってきたソレをみつめる。
この宝石は私が触れた時だけ光る。
「あれ…?」
触れてみて、気が付く。
以前はほんのりとピンクだったのが、薄く藍色に光っているのだ。些細な変化かもしれないが私は宝石から目がはなせなくなった。
暫くみつめていたが、宝石が落ちそうになった時やっと動く。何とか、落ちるのを阻止してため息をつく。
今日何度目のため息だろうか。
「これも結局様子をみるしかないか…」
そうつぶやいて立ち上がる。
脱衣所にいき、身体を拭いてからパジャマをきる。
やはり、道順を覚えておいて正解だった。
私は方向音痴なため、覚えていてもちゃんと帰れるか不安だったが割と目印があったので助かった。
部屋に戻ると、部屋にある机の上に服がおいてあった。
恐らく明日の朝着ろという事だろう。
実に仕事がはやい。
そう思いつつ、敷いてある布団に潜り込む。
私はいつも寝ているところでないと寝れない体質なため、寝れるか不安だったが、恐らく高級の素材を使っているふかふかの布団には関係はなかった。
…
翌朝、起きてなんとも可愛い服に着替え、時計をみると結構早く起きてしまった事に気付く。
どうしようかと考えていると襖の方から声がしたので
そちらをみる。
「はいるよ」
私がそちらをみた時には既に入った後だった。
彼、雲雀恭弥は私の格好をみて優しく微笑む。
思わず見惚れてしまうような顔だった。
「中々似合ってるね」
「あ、あの。この服は誰が…」
「母さんだけど」
何故そんな事を聞くというような顔でこちらをみる。
一方、私はホッとしていた。
この可愛い服を彼が選んだのだったら少し引いてるところだった。
「話は聞いてる。此処に住むんでしょ?……君、幾つ」
「あ、はい…えっと…じゅう…」
そこまで言って口ごもる。
果たして17といってもいいものなのだろうか。
流石にこの容姿では無理だと自分でも感じる。
無理でもなんでも事実なのだが。
此処は……彼より年下でかつ、この容姿と比例するほど幼くない年齢…
「12歳です。」
「小学生?」
「はい。来年中学生になります」
「………見えないな」
まぁ、私も精々10歳くらいだろうとは思う……私の容姿はどうなってしまったのでしょうね。
心の中で乾いた笑いをだしながら本当ですよ、と言う。
「恭弥さんは幾つですか?」
「………」
「あ……名前は恭花さんから聞いて…。その、名前しか教えてもらってないので。嫌でしたら苗字でも…」
「…いいよ、そのままで。歳は……16ぐらい……だったかな。僕には歳なんて関係ないけど。」
並中の学ランを着ているので中学生かと思ったら既に高校生の年齢とは…。だが、まあ彼より下の年齢を言えてよかった。
歳上になってしまったらどうしようかと少し思ってしまった。
しかし、ぐらいって何なんなのか。
確かに原作でも忘れていた気がするが。
「じゃあ、来年は並中に通うんだね」
「並…中…?」
確定かよとツッコんでしまいそうになるのを堪えてとぼける。
すると、雲雀さんは考え込み「そうか、知らないのか」と呟くと、私をみて妖しく微笑んだ。
「良い機会だ。僕が並盛を案内してあげるよ。」
…………
一通り案内してもらった後思ったのは、やっぱこの人の並盛愛すごい、だった。一体、公園や広場を紹介するのに何分かかっているのだ。
だが、並盛が良い町だというのはわかった気がする。
店も自然も豊富だし、景色も綺麗。
不良や事件などは雲雀さんが即座に咬み殺してくれるので、基本的に平和。
確かに住んでいたい町だ。
「良い町ですね。」
「当たり前だよ」
雲雀さんが嬉しそうにしたのは気のせいではないだろう。
こうして私を並盛大好きっ子にする生活は始まったのであった。
違います。そんな話じゃないですw
ちなみに梓が雲雀さんを心の中で雲雀さんと呼んでいるのは、恭弥さんと呼んでいるのは媚売りで実際そんな風に呼ぶのは恐れ多いからです。